與那覇潤のレビュー一覧

  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    『エマニュエル・トッド』
    (2022年現在、今後の世界情勢について)私は歴史家が本職。でも歴史の話はまったく役立たず。なぜなら、私たちが経験しているのは、まったく新しい何かだから。
    歴史と違う点
    ・20世紀初めは各国人口増加したが、今は中国も含め減少する見通し
    ・冷戦時は、ロシアとNATOが直接対決したことはないが、ウクライナ戦争は、核使用が現実味を帯びるロシア対NATOの本物の戦争
    ・プーチンは独裁者だと言うが、ヒトラーや、ムッソリーニ、スターリンと違いイデオロギーが無い折衷的で多様な独裁者
    ・各国国民は超個人主義になった。それはロシア国民も同じ。だから国家間の経済紛争や戦争が行っているのに

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    2023年06月04日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    いずれの登壇者も中国を(アメリカも)過大評価せず、いずれたち行かなくなると考えている。また今後注目すべきインドについての見解が興味深かった。
    アタリ氏の「未来の自分に優しく」は、まさにその通りである。

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    2023年04月26日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    ネタバレ

    4名の著名な知識人へのインタビューと、それを踏まえた日本の知識人による論評という構成。日本の知識人の方々は、確り自身の意見を述べていて好感が持てた。


    また4名のインタビューの中では、ミラノビッチ氏の話が面白かった。

    曰く、エレファントカーブを見ると、程度の差こそあれ、あらゆる人々がグローバリゼーションを通じて所得が増加していることがわかる。また、グローバリゼーションに反発するのは、相対的に恩恵の少ない先進国の中産階級だけで、国内政策での対応が可能である。
    そう考えると、保護貿易的な政策で中産階級を保護するより、再配分や成長産業への労働力移動を通じた、グローバリゼーションに抗わない政策の方

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    2023年03月28日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    考え方、捉え方の好き嫌いはあると思うが、ガブリエル、トッド好きはすんなり読める。対談内容を日本人がさらに評論するという形式は面白い。本人がいないので忖度もなく好き勝手(良い意味で)言える。
    4人の主要な意見はもちろん勉強になるが、それでもその道を本業とする人たち固有の考え方の特長があるように感じる(翻訳も影響すると思うが)。広い知識を持ってしても、どこかに嗜好、好みが出てきて面白い。

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    2023年03月07日
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版

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    46
    北朝鮮拉致問題の謝罪→加害者の日本、被害者のアジアの対立が必ずしもそうではなくなった
    →対北強硬論の安倍晋三が人気に
    46
    被害者性の椅子取りゲーム
    51
    ごっこの世界
    知識人ごっこの終わり→ひろゆき台頭?

    92
    新型うつ病に対して
    112
    大学教員の在り方の変化(大学院重点化)
    118
    フロイト精神分析は自我を想定
    精神病理学は自我を想定しない(統合失調症)
    121
    ハイデガー
    存在者(≒モノ)と存在それ自体(≒機能)を媒介する「現存在」(存在の現れる現場)
    →人間中心主義的な解釈
    →フランスの実存主義
    125
    戦後直後にマルクス主義が流行した理由=無謀な戦争をしたのかを分析的に語る

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    2023年02月20日
  • 中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史

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    近世(初期近代、early modern)の中国に注目する
    近世は日本史だけではない

    世界ではじめに近世に入ったのは「宋朝の中国」
    ヨーロッパの近代啓蒙主義は、宋朝の近世儒学のリメイクとして考えられる
    ルネサンスの三大発明はどれも宋代中国の発明
    →どうして近代には西洋が中国を追い越し、産業革命は起きたのか?
    →どうして近代化・西洋化が捗っていなかったはずの中国が大国に返り咲いたのか?
     どうして先進国だった中国は、人権意識や議会政治だけはいつまでも育たないのか?

    【1】
    冷戦後
    ・一極支配
    ・自由(機会の平等)の名の下に平等(結果の平等)が蔑ろにされる=自由競争

    内藤湖南「宋代以降近世説

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    2023年02月19日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

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    躁鬱病の当事者の與那覇潤先生(元県立大准教授)と精神科医の対談


    ■第8章 辞めたら人生終わりなの? p215

    斎藤
    ・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)による改善率は80%と高いが、寛解率は40%しかない
    ・成人の患者にとってのSSRIは、良くも悪くも一貫して「軽い薬」症状を緩和してはくれるが、それだけで治し切れるものではない。

    ・英米型のうつ病治療は、患者の人間性にはさほど注目せず、純粋に症状だけで分類して病名を特定する。DSMは極めて操作主義的(手順を重視)【人格に注目しメランコリ親和型など分類した、従来のドイツ型と異なるアプローチ

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    2022年10月30日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

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    精神科医エッセイみたいな軽いものかなと思って読み始めたら、今の時代が抱える問題をしっかり考える対談でした。
    與那覇さんは、病気をされて、歴史性よりも今を生きるということを身を持って感じられたようです。
    人をみるとき、今を大切にしつつ、今までのことも大切にしたいと思う今日この頃です。

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    2022年03月06日
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版

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    うつとなってから現在(?)までの変遷を通じ、知性について考える内容。

    「中国化する日本」の論理整理がキャッチーかつ要約力溢れていたのを契機に著者に関心を強めたところ、現在に至るまでにキャリアを含めた紆余曲折があったことを知り、やや野次馬根性もあって本書を手に取った。

    過渡期の病状で執筆されたとのことで、荒削りな印象はあるものの、関心領域の整理力要約力はやはり健在。歴史学よりも広範な、しかしspecificな領域を対象とした見取り図を示しながら、やや行儀の良い論旨で結ばれている。以後の著作のプロトタイプ的な面も他評者から指摘されているので、他の著作も読んでみたくなった。

    うつやその克服に関

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    2022年02月17日
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版

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    著者の患った「躁うつ病」は能力の下がる病であるという。しかしそうしたつまずきを経て、これまで自分が信じてきた前提を根底から問い直すのは知性を働かせる行為だ。著者に見えて来たことは「能力は個人の所有物ではない」ということなんだろうか。
    その上で「共産主義」を「共存主義」と訳し直し、緩やかな連帯を模索していく。
    共存主義には共産主義のような力強さ(良くも悪くも)はない。けれども「言語」の力でまとめられた異なる集団はかつてのソ連の様に瓦解していくのかもしれず、それに対して共存主義には弱者に寄り添う良識のようなものを感じた。
    世界が政治的、経済的に行き詰まるなか、つまはじきにされた人々が知性を働かせて

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    2022年01月22日
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版

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    知能という能力を使う歴史学者が躁うつ病の発症により能力を失い、生きる意味を問い直すことになる。
    文字による知識を否定し、身体への偏重を加速する平成の時代の出来事と重ねながら、喪失と回復までのやや混線した道筋が書かれている。
    知性は死なない、というタイトルに強い決意を感じる。
    『平成史』のよくわからなかった部分の副読本になってる気がする。

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    2022年01月13日
  • 歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの

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    歴史を考える場合に、時間軸を捉える意識が重要だとの主張が非常に心に響いた.コロナ禍に対処する学者の欠点を上げ連ねているが、人文系・理科系を問わず、視点が定まっていないことを嘆いている.その通りだ.第6章の対話、これは與那覇潤と浜崎洋介・先崎彰容・大澤聡・開沼博がそれぞれ議論しているのだが、登場する人物が凄い.柄谷行人、浅田彰、大澤真幸、福田恆存、山本七平、内田樹、高橋哲哉、上野千鶴子、江藤淳、加藤典洋、竹内洋、原武史、東浩紀、佐伯啓思などなど.それぞれの著作に目を通して議論しているのが素晴らしい.

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    2021年12月03日
  • 歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの

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    『平成史』を読んで、興味を持った與那覇さんの著作。インタビュー、書評、時評を集めたものなので、歴史学界隈の人々や状況への怒りのような通底するものはあるものの、一冊の本として一貫したロジックは薄い。一方で、公開された文章の集まりから、鬱病から回復し、教員職を辞して学会から距離を取り、文筆家としてポジションを確立しようとある意味踠いている様子はよくわかる。歴史学の業界からは相当に煩さく思われているのではないかと思うのだが、こと「歴史学」に関しては、単なる古文書の解読に過ぎない実証主義を批判し、歴史学を現在の社会や個人の行動において過去の学びから何を提示すべきかを問う学問であるべきと著者は規定する。

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    2021年11月23日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

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    著者の関連で手にとってはみたものの、タイトルとしては食指が動かないタイプの精神医学の道徳論かと思いきや
    精神を病んだ経験者と、精神科医との時評形式で内容としても縦横に広がりがあるため読み応えがあった。

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    2021年11月16日
  • 歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの

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    歴史なき時代とは、現代を生きる我々独自のものなのか。
    インターネットという21世紀の社会領域が、それを歴史上初めて作り上げてしまったのか。

    著者の嘆きやそれへの共感が内的感情の殻を破れないままでは、「歴史なき」という歴史自体も雲散してしまうはかない時代なのかもしれない。

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    2021年11月19日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

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    対談であるからこその、面白さと受け入れやすさがあったのかな、と思う。大学、大学院なんて承認ビジネスと同じようなものでもはや意味はないという與那覇氏に対して、「いや、そこまで自虐的にならなくても」と斎藤氏が苦笑して応じるような、ね。與那覇氏の発言はなるほどとうなずきながら進んでいると、いつのまにかちょっと引いてしまうくらい攻撃的になっていることがあり、ちょっと怖いんだよね。斎藤氏がそこをうまく、方向転換したり、和らげてくれていたんじゃないかと思う。「え?それはどういうことですか?」と疑問を提示して、それを受けて與那覇氏がもう少しわかりやすく説明したり、話を展開してくれるのも良かったと思う。

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    2021年10月03日
  • 歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの

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     歴史の記憶が忘却されるスピードがあまりに速い。
     歴史が活かされていない。
     
     「共感の基盤」をという指摘は、確かに世の中を見る手がかりになる。

     「平成史」とともに読みたい。

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    2021年09月04日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

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    分かりやすい本ではあるけれど、一度ではなかなか理解しずらく所々戻って読み返しました。1日経ってから読むと理解出来たり。たくさんの事が詰まっているので、サラッと読むのは勿体ないです。

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    2021年05月30日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

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    心の病に関して、社会的な観点から分析。
    処方箋的な内容ではないし、自分が苦しんでいるときにはたぶん読めない内容だけど、余裕があるときに読むと、あー、自分が社会に感じていた違和感がこんな感じだったんだ、とか、色々納得できることが多そう。
    アドラーはマッチョイズム
    スクールカーストの上位は共感能力が低い
    等、面白い分析だった。
    しかし、偏った考えもあるので、そこも中立的に見れると、一つの考えとして面白いと思う

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    2021年05月16日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

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    うつ病の治療、発達障害、ヤンキー文化、コミュ力第一社会、オンラインサロン、文学教育の意義、AI、多様な人間性、現代社会を生きる上で避けて通れないキーワードを、真っ直ぐ、変な肩入れなく話していく。様々な社会の見方を知ることができた。

    "ハーモニーではなくポリフォニーを"というフレーズが印象的であった。多様な考えが共存していい。調和する必要はない。共感を大切にするが、違っていい。生きやすい世の中にしていきたいし、自分で自分を苦しめないように生きていきたい。

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    2021年05月07日