與那覇潤のレビュー一覧

  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版

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    ネタバレ

    『元』歴史学者、と與那覇潤氏は名乗る。
    重度の双極性障害のため休職を余儀なくし、今まで『知』という自身の生きる力、そして生活する上での能力が病気によって奪われ、そしていかにして取り戻していったかの記録である。
    『言語』に比重を置いてきた彼が、『身体』に意識を向けることで回復していく。
    …回復は少し語弊がある。きっと回復はしない。病気を通して社会を見る目も自身の弱さも知り、元には戻ることはない。ただ、それは悪いことではない。

    氏が平成の世について感じたこと、天皇制について、政治について、ケアについて、大学についてなど、思考していることはバラバラとしており、病気についても同じトーンで書かれている。
    それが、まとまりなくもあるが、思考を覗いているようでも面白い。

    個人的に気に入った部分。
    コミュニズムを共産主義と翻訳されていることについて誤りだったとする網野善彦について触れつつ、資本ではなく能力を共有する社会について。
    いかに話す能力が高い人がいても、聴衆者がいないとその能力は発揮されない。能力が個人によって高低差があるのは前提として、それは完璧に個人に帰属するものではなく、社会として共有していく考え。

    弱者と定めるのではなく、贈り手と受け手としてまわる、優しい世の中になればいいなと個人的に感じた。

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    2023年08月11日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    世界の頭のいい人たちからコンパクトに要点教えてもらおう!という、ある意味とても今っぽい本。中公新書で出た企画が成功したので、後追いという印象もある。
    後追いとはいえ、世界は変わっており、最新の状態を前提にスピーディに新書化してるので、つまらないということはない。
    今回はコロナとウクライナを前提に話している。
    複数の人が話し、それをまた複数の人が感想を言う二重構造で議論が深まっていて良い。
    学ぶとは考える体験であり、時間がかかるためデジタル化やコスパとは相容れないないという言葉は印象的。
    多元的に考えるという言葉一つでも、人によって表現が違い、印象も変わる。
    読後は「もっと本を読もう、ネットは減らそう」となった。

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    2023年06月17日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    『エマニュエル・トッド』
    (2022年現在、今後の世界情勢について)私は歴史家が本職。でも歴史の話はまったく役立たず。なぜなら、私たちが経験しているのは、まったく新しい何かだから。
    歴史と違う点
    ・20世紀初めは各国人口増加したが、今は中国も含め減少する見通し
    ・冷戦時は、ロシアとNATOが直接対決したことはないが、ウクライナ戦争は、核使用が現実味を帯びるロシア対NATOの本物の戦争
    ・プーチンは独裁者だと言うが、ヒトラーや、ムッソリーニ、スターリンと違いイデオロギーが無い折衷的で多様な独裁者
    ・各国国民は超個人主義になった。それはロシア国民も同じ。だから国家間の経済紛争や戦争が行っているのにどこの国民もここです。だから参加したがらない33

    中国に選択肢は無い。どうしたってロシアに加担せざるを得ない。一方、新興国のインド、トルコ、イラン、パキスタンなどは今後の世界を決める立場になる。しかも彼らは先進国を好きじゃない(旧植民地だから)。それにこれらの国は強烈な父権制文化の国で、女性解放などの先進国の理論には興味を示さない。彼らに選択を迫るのは危険だ39

    『マルクス・ガブリエル』
    ロックダウンシステムは「近代史上で初めて世界が中国を真似たシステム」。直ぐに見直されたが。56

    コロナ禍で分かったのは「国境無き世界」はまだ存在せず、相変わらず「国民国家」が世界の潮流だという姿が炙り出されたこと。結局どの先進自由民主国も、マスクやワクチンを奪い合い、国家内の医療保険制度の範囲に壁を作った57

    SNSでは、自由民主主義の水準に達する会話は成立しない。「Twitterで誰が大統領になったのか」を忘れてはいけない。(ガブリエルはコロナ禍の中でSNSアカウントを消去した)71

    アイデンティティーで人を見るのは間違っている。例えばジェンダーの問題で、相手をノンバイナリーやクエスチョニングの人として見るのは道徳的に間違い。なぜなら見解の是非を「相手のなかの人間性を見て判断」するのではなく「その人のアイデンティティーを見て判断」しているから。ここで言うアイデンティティーとはジェンダー、人種、国籍など72

    SNSでフェイク認定されてBANされる、といった国家が行えば「言論統制」と大問題になることを、Twitterなどの一企業が行っていることは異常 與那覇98

    「現代に歴史は参考にならない」は賛成。無文字社会から文字社会になり、歴史は「記憶=暗唱」⇒「記録=叙述」になった。そして現代、歴史は「データ=検索」の時代になってしまった。必要な時に歴史を「つまみ食い」する。私は「歴史家」という肩書きを辞めて「評論家」になった。與那覇109

    「日本はアジアで唯一の先進国」というパターナリズムをそろそろ捨てるべき。技能実習生というシステム自体が「途上国人を勉強させてやる」という建て前で成り立っている。これを「人口減少で衰退する日本の生活を維持するため『お手伝いに来てもらっている』」と正直に改めるべき。與那覇119

    グローバリゼーションの原因のひとつは「道徳にとらわれない自己利益の追及」だ。「これは禁止されていない」「法的には間違っていない」と経済活動する。これは道徳を外部委託している(政府や行政たけが担っている)ことが関わっている。しかし難しいのは利益追求と道徳がトレードオフになっていて、解決法が見つからないこと。ミラノビッチ167

    アフリカや南米、一部のアジアの国で見られるような極端な貧困や低開発がなくなった世界ができたとする。おそらくそうすると、より人々の交流が活発になるのと、各国内(先進国)の格差問題や不平等の縮小が起こると予想できる。ミラノビッチ186

    「リープフロッグ現象」先進諸国が経験した段階を「蛙飛び」にして新興国で特定の技術やインフラが先進国より速いスピードで整備、浸透すること。アフリカでは銀行口座持てなかった人々が電子マネーを使い、物資が行き届かず餓死者が出てた村にドローンでモノが供給されたり、携帯ゲームで教育が普及したりしている224

    ジャック・アタリの「ポイズンフードをやめよう」「ナチュラルなものを接種しよう」という主張に疑問。アフリカでは虫害や干ばつに強いので遺伝子組み換え大豆が人々の命を救っている。反ポイズンフード思想を先進国の理論で、無自覚に、急速に強要すれば反論と大混乱を招く。小川227

    SNSは秒で情報を得られるが、「考える」ことが出来ない。《人新世の資本論》は面白かったが、結論の「一人ひとりが考えて立ち上がるしかない」が不満。本当に今必要なのは「一人ひとりが立ち上がるために、人々に啓蒙や教育をどう届けるか」という方法論だ。東229

    AIの恋人が出来たとする。長いあいだ恋人として会話したけれど、ある日、実は会話はアルゴリズムだったと発覚する。その「恋人」に「今まで会話してくれてありがとう」と言えるか。多くの人は「裏切られた」と思い結婚詐欺に遭ったと同じように感じるのでは?東239

    私は「人々はそんなに理解しあわなくてもいい」と心から思っている。「理解しあえなくても共存できればいい」と考えるのが大事。この考えは人類が共存しあえる社会を作れる可能性がある。それに自分や自分と同じ考えのグループが、危機に陥って解決策が無い時、自分たちの思想が破綻したときに、全く想像もつかない「別の考え」を得られるリスクヘッジにもなりうる。小川240

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    2023年06月04日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    いずれの登壇者も中国を(アメリカも)過大評価せず、いずれたち行かなくなると考えている。また今後注目すべきインドについての見解が興味深かった。
    アタリ氏の「未来の自分に優しく」は、まさにその通りである。

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    2023年04月26日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    ネタバレ

    4名の著名な知識人へのインタビューと、それを踏まえた日本の知識人による論評という構成。日本の知識人の方々は、確り自身の意見を述べていて好感が持てた。


    また4名のインタビューの中では、ミラノビッチ氏の話が面白かった。

    曰く、エレファントカーブを見ると、程度の差こそあれ、あらゆる人々がグローバリゼーションを通じて所得が増加していることがわかる。また、グローバリゼーションに反発するのは、相対的に恩恵の少ない先進国の中産階級だけで、国内政策での対応が可能である。
    そう考えると、保護貿易的な政策で中産階級を保護するより、再配分や成長産業への労働力移動を通じた、グローバリゼーションに抗わない政策の方が効果的ということなのだろう。

    また、無道徳的な資本主義と道徳的な共同体は両立しない/経済成長しないと絶対的貧困は減らせないとも述べている。
    つまり、無道徳的でも資本主義を通じて経済成長を続けるしか道はないということで、現実的な意見だと感じた。(因みに無道徳とは、”道徳・倫理について、内なる規範ではなく、法律などの外部規定に依存する”ことらしく、必ずしも悪いことではない)

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    2023年03月28日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    考え方、捉え方の好き嫌いはあると思うが、ガブリエル、トッド好きはすんなり読める。対談内容を日本人がさらに評論するという形式は面白い。本人がいないので忖度もなく好き勝手(良い意味で)言える。
    4人の主要な意見はもちろん勉強になるが、それでもその道を本業とする人たち固有の考え方の特長があるように感じる(翻訳も影響すると思うが)。広い知識を持ってしても、どこかに嗜好、好みが出てきて面白い。

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    2023年03月07日
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版

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    46
    北朝鮮拉致問題の謝罪→加害者の日本、被害者のアジアの対立が必ずしもそうではなくなった
    →対北強硬論の安倍晋三が人気に
    46
    被害者性の椅子取りゲーム
    51
    ごっこの世界
    知識人ごっこの終わり→ひろゆき台頭?

    92
    新型うつ病に対して
    112
    大学教員の在り方の変化(大学院重点化)
    118
    フロイト精神分析は自我を想定
    精神病理学は自我を想定しない(統合失調症)
    121
    ハイデガー
    存在者(≒モノ)と存在それ自体(≒機能)を媒介する「現存在」(存在の現れる現場)
    →人間中心主義的な解釈
    →フランスの実存主義
    125
    戦後直後にマルクス主義が流行した理由=無謀な戦争をしたのかを分析的に語ることに成功したとみなされたから
    127
    言語から身体へ
    脱・人間中心主義=『批評空間』
    →身体派 加藤典洋、鷲田清一、内田樹
    (無意識は身体に近いと考えられたが、ラカン は無意識こそ言語のようにできていると考えた)
    136
    デリダとsns

    158
    反知性主義=反正統主義の持つ宗教性
    163
    大学・言語・身体のマトリクス☆
    182
    ビリギャルの本 文庫本化勉強法やテクニックの削除
    →内実はどうでもいい
    =言語より身体
    185
    大学でいちばん学べることは「日本語」
    191
    大学での会員商法的な論文集販売のはなし
    193
    ヘイトと大学での講演の警備のはなし
    →大学自治の破壊だと言われた教授会のはなし
    196
    グローバル人材について
    ・そもそも大学教員自体がグローバル人材
    ・留学生のレベル低下
    201
    人文系について
    後継者は作れない
    203
    初年次教育

    211
    伊藤計劃『ハーモニー』
    言語的理性によって駆動するユートピアに身体的な違和感を覚える
    →「言語から身体へ」とつながる
    218
    「身体が言語(理性)に反発している」
    232
    NEATO
    233
    沖縄基地問題の原点
    234
    沖縄人が日本人だという身体感覚を持てるか
    237
    ロシアの民族の身体に失敗したが、中国にはある
    249
    身体感覚にもとづく権力にたいし、言語による批判は往々にして無力
    252
    天皇退位への批判性のなさ
    ・天皇からくるわれわれの共同体という身体性
    =王の二つの身体

    266
    ボードゲーム
    アフォーダンス
    272
    communism→共存主義
    278
    地頭について
    ・階級化
    282
    新保守主義(レーガン、サッチャー)
    286
    SMAP
    291
    同一労働同一賃金制
    298
    社会で傷ついている=知性を活かすチャンス

    314
    マルクス主義史学が崩壊して以降のマクロな歴史学の失墜がコロナ禍で露呈

    320
    逡巡できなくなること=知性の衰退
    329
    アファーマティブ・アクションのスパイラル
    337
    言葉なき身体
    341
    AIと身体知
    間接話法

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    2023年02月20日
  • 中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史

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    近世(初期近代、early modern)の中国に注目する
    近世は日本史だけではない

    世界ではじめに近世に入ったのは「宋朝の中国」
    ヨーロッパの近代啓蒙主義は、宋朝の近世儒学のリメイクとして考えられる
    ルネサンスの三大発明はどれも宋代中国の発明
    →どうして近代には西洋が中国を追い越し、産業革命は起きたのか?
    →どうして近代化・西洋化が捗っていなかったはずの中国が大国に返り咲いたのか?
     どうして先進国だった中国は、人権意識や議会政治だけはいつまでも育たないのか?

    【1】
    冷戦後
    ・一極支配
    ・自由(機会の平等)の名の下に平等(結果の平等)が蔑ろにされる=自由競争

    内藤湖南「宋代以降近世説」
    唐(中世)と宋(近世)=中華文明の分け方
    ①貴族制度を全廃し皇帝独裁政治
    ②経済社会を自由化する代わりに政治の秩序を一極支配によって維持する仕組み
    ・農民に貨幣使用を行き渡らせるように王安石の青苗法→商売をするように
    ・自由競争で負けた時の保険として、「宗族」という父系血縁のネットワーク
    ・朱熹の朱子学=褒める道具

    ・日本は理念に賭けることができない、現実との落差を騒ぐ
    ・古代日本で科挙ができなかったのは、メディア・教育インフラが整っていなかったから(中国にはすでに印刷技術があった)
    ・令外官は実質に貴族の世襲になった→藤原氏の台頭

    ・武士に注目しても古代と中世を区別できない。日本中世は「中国銭の時代」
    ・日宋貿易→院政?
    ・新しいことを始めようとした平家が旧体制的な源氏に負けた(だから武士の時代ではないし、日本はグローバル化が下手)

    【2】
    ・モンゴルは野蛮な侵略者ではなく、グローバリゼーションの原点
    ・間接統治形式の採用→広い支配
    ・日本の元寇と韓国の高麗の違い。「国難ここに見る」ではなかった。軍閥政府の鎌倉幕府こそグローバル化の道を閉ざした
    ・後醍醐天皇は異形というよりスタンダード、他の奴らが変
    ・最後の挑戦者・足利義満も上手くいかなかった(暗殺?突然の病死)
    =日本において中国化を目指すとおおむね短命に終わる
    ・明朝の朱元璋は反グローバリズムで、その隙間をヨーロッパが埋めた
    ・銀の大行進→全世界が戦国乱世
    ・清朝は自由放任政策→好景気→格差

    【3】
    ・応仁の乱という転換点
    ・安土桃山期に象徴天皇制ができた?
    ・信長のライバルは「本願寺」

    ・☆なぜ近世日本は身分制社会を選んだのか?
    →イネとイエ。稲作の普及は徳川初期の新田開発によるもの。中世までは畑作の比率が高かったが稲作より収入が得られないため、中国化に賛成していた。が、インフラ的に食えるくらいにはなったので自由市場の魅力がなくなった。→大家族から直系家族へ。核家族化によって子供が増えた。≒農地改革から高度成長とも似てる
    封建的
    ・家職制によるジョブトレーニング

    【4】
    ・「マルサスの罠」の抜け穴=家事の市場化@西洋
    ・☆「姥捨山は偽の江戸、孫捨て都市が真の江戸」(都市の蟻地獄効果、速水融)=若者のために老婆が犠牲になるのではなく、イエを長男に継がしたジジババが次男・三男を都市に捨てる=出稼ぎ者の高死亡率
    =日本型の福祉社会
    ・江戸時代≒北朝鮮?

    【5】
    ・明治維新は大したことなく、日本独自の近世が耐用年数を超え、中国化せざるを得なくなった
    ・福沢諭吉は「機会の平等」は説いたが「結果の平等」は説いていない
    =新自由主義的、市場原理主義的
    ・西洋化と中国化のタイミングが重なった、中国や朝鮮はそもそも中国化していたので西洋化には魅力がなかった

    ・識字率はバラツキがあり、仕事柄文字を使う人が近世から読み書きができた
    →近代以降の市場経済に適応できるか否かをつくっていた
    ・底辺労働者でも実力主義で、女工にも手先が器用なエリートと雑で罰金を取られた負け組がいた

    【6】
    ・『ラピュタ』は『わが谷の緑なりき』への返歌
    ・再江戸化のさいに、社会主義の一部を適用した=日本がいちばん社会主義国家で成立した
    ・明治維新は失敗したが、昭和維新は成功した

    【7】
    ・『ナウシカ』は、満州事変から原爆投下まで
    ・創氏改名は同化というより江戸化
    ・東アジアに基地を持たないドイツ・イタリアと同盟することで、中国とアメリカに対立することになり、自滅した
    ・愛国心はムラ社会の結果であり原因ではない。戦中に徴兵制がうまくいってなかった中国に勝つことはできても掌握することはできなかった
    ・「日中戦争とそのオマケ」、アメリカに負ける前に中国に負けた
    ・Japanimationは戦時下に生まれたが故に生死や戦争が描かれる

    【8】
    ・戦前の軍国国家=軍部による社会主義→議会政治家による戦後社会主義
    ・自民党が作られなかった戦後史の方が西側の「普通の国」
    ・社会主義が経済ではなく平和問題になった
    ・戦後民主主義は新しいブロン

    【9】
    288
    新しい歴史観☆


    【10】
    300
    西洋型の近代社会のインフラ=法・人権・議会制民主主義は中世貴族の既得権益
    そもそも中国にはそのようなものはない
    306
    公務員を薄給にしてしっぱいした近世中国
    316
    北朝鮮化か、中国化


    宮台・仲正『日常・共同体・アイロニー』

    溝口健二『新・平家物語』

    『樽山節考』

    『郡上一揆』

    『スパイ・ゾルゲ』

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    2023年02月19日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

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    躁鬱病の当事者の與那覇潤先生(元県立大准教授)と精神科医の対談


    ■第8章 辞めたら人生終わりなの? p215

    斎藤
    ・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)による改善率は80%と高いが、寛解率は40%しかない
    ・成人の患者にとってのSSRIは、良くも悪くも一貫して「軽い薬」症状を緩和してはくれるが、それだけで治し切れるものではない。

    ・英米型のうつ病治療は、患者の人間性にはさほど注目せず、純粋に症状だけで分類して病名を特定する。DSMは極めて操作主義的(手順を重視)【人格に注目しメランコリ親和型など分類した、従来のドイツ型と異なるアプローチ

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    2022年10月30日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

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    精神科医エッセイみたいな軽いものかなと思って読み始めたら、今の時代が抱える問題をしっかり考える対談でした。
    與那覇さんは、病気をされて、歴史性よりも今を生きるということを身を持って感じられたようです。
    人をみるとき、今を大切にしつつ、今までのことも大切にしたいと思う今日この頃です。

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    2022年03月06日
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版

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    うつとなってから現在(?)までの変遷を通じ、知性について考える内容。

    「中国化する日本」の論理整理がキャッチーかつ要約力溢れていたのを契機に著者に関心を強めたところ、現在に至るまでにキャリアを含めた紆余曲折があったことを知り、やや野次馬根性もあって本書を手に取った。

    過渡期の病状で執筆されたとのことで、荒削りな印象はあるものの、関心領域の整理力要約力はやはり健在。歴史学よりも広範な、しかしspecificな領域を対象とした見取り図を示しながら、やや行儀の良い論旨で結ばれている。以後の著作のプロトタイプ的な面も他評者から指摘されているので、他の著作も読んでみたくなった。

    うつやその克服に関して殊更関心がなくても、十分面白い。アカデミアと社会の関係に関心が高ければ尚のことである。

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    2022年02月17日
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版

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    著者の患った「躁うつ病」は能力の下がる病であるという。しかしそうしたつまずきを経て、これまで自分が信じてきた前提を根底から問い直すのは知性を働かせる行為だ。著者に見えて来たことは「能力は個人の所有物ではない」ということなんだろうか。
    その上で「共産主義」を「共存主義」と訳し直し、緩やかな連帯を模索していく。
    共存主義には共産主義のような力強さ(良くも悪くも)はない。けれども「言語」の力でまとめられた異なる集団はかつてのソ連の様に瓦解していくのかもしれず、それに対して共存主義には弱者に寄り添う良識のようなものを感じた。
    世界が政治的、経済的に行き詰まるなか、つまはじきにされた人々が知性を働かせて共存していく。それが令和の目指すべきありようなのかなと思った。

    併せて読みたい。
    「保守と立憲」中島岳志

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    2022年01月22日
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版

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    知能という能力を使う歴史学者が躁うつ病の発症により能力を失い、生きる意味を問い直すことになる。
    文字による知識を否定し、身体への偏重を加速する平成の時代の出来事と重ねながら、喪失と回復までのやや混線した道筋が書かれている。
    知性は死なない、というタイトルに強い決意を感じる。
    『平成史』のよくわからなかった部分の副読本になってる気がする。

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    2022年01月13日
  • 歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの

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    歴史を考える場合に、時間軸を捉える意識が重要だとの主張が非常に心に響いた.コロナ禍に対処する学者の欠点を上げ連ねているが、人文系・理科系を問わず、視点が定まっていないことを嘆いている.その通りだ.第6章の対話、これは與那覇潤と浜崎洋介・先崎彰容・大澤聡・開沼博がそれぞれ議論しているのだが、登場する人物が凄い.柄谷行人、浅田彰、大澤真幸、福田恆存、山本七平、内田樹、高橋哲哉、上野千鶴子、江藤淳、加藤典洋、竹内洋、原武史、東浩紀、佐伯啓思などなど.それぞれの著作に目を通して議論しているのが素晴らしい.

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    2021年12月03日
  • 歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの

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    『平成史』を読んで、興味を持った與那覇さんの著作。インタビュー、書評、時評を集めたものなので、歴史学界隈の人々や状況への怒りのような通底するものはあるものの、一冊の本として一貫したロジックは薄い。一方で、公開された文章の集まりから、鬱病から回復し、教員職を辞して学会から距離を取り、文筆家としてポジションを確立しようとある意味踠いている様子はよくわかる。歴史学の業界からは相当に煩さく思われているのではないかと思うのだが、こと「歴史学」に関しては、単なる古文書の解読に過ぎない実証主義を批判し、歴史学を現在の社会や個人の行動において過去の学びから何を提示すべきかを問う学問であるべきと著者は規定する。そこに嫉妬や個人に対する先入観が混じっていないかは疑問ではあるが、そのポジションを選び取り、強く批判する側に敢えて回っているように思う。そのベースとなるのは、鬱病となるまで突き詰めて考えたという経験と、『平成史』という世に問うた大作であるだろう。

    ひとつ本書で繰り返し論点とされるのが、コロナ禍において行動の制限を躊躇いなく行った政府と、唯々諾々と受け入れたメディアを含む日本社会に対する、それでいいのかという怒りを伴う問いかけである。日本は人口当たり死亡率などコロナの影響度が相対的には少なかったにも関わらず、過度に政策を安全側に振り、それでいて誠実な説明と備えもなく経済活動を含む社会面で後々まで悪影響を与えるものを今だけの雰囲気で受け入れたというのだ。この本はコロナにおいて最大の影響があった2021年夏の第五波の前に書かれたものではあるが、今でもなお與那覇さんは同じ主張を繰り返すことだろう。

    コロナ対策においては、たらればの話も含んでしまうし、戦力の漸次的投入を避けるべきだという戦い方の選択の問題でもあるし、いつまでもマスクを外さないという日本の社会的特性の問題もあり、単純な答えもなく万人にフェアな結論もない問題ではあるが、歴史学者としてひとつの確固とした主張を行っていることは評価できると思う。

    実際にコロナに罹って重症化してICUで人工呼吸器につながれた身としてもし言うとすると、それでも日本の自粛対応は過度であったとも思うのである。それでもなお、あれ以外の方法はなかったのかもしれないとも思う。もし今やるべきことがあるとすれば、きちんとこれまでの対応を検証することと、日本の医療環境や地方自治体・政府のDX化も含めて見直すことではないだろうか。

    敢えてお薦めする本ではなく、與那覇さんの本を読みたければまずは『平成史』など他の本を読むべきではないかと思う。ただ、與那覇さんの強い個が見える本ではある。

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    2021年11月23日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

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    著者の関連で手にとってはみたものの、タイトルとしては食指が動かないタイプの精神医学の道徳論かと思いきや
    精神を病んだ経験者と、精神科医との時評形式で内容としても縦横に広がりがあるため読み応えがあった。

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    2021年11月16日
  • 歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの

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    歴史なき時代とは、現代を生きる我々独自のものなのか。
    インターネットという21世紀の社会領域が、それを歴史上初めて作り上げてしまったのか。

    著者の嘆きやそれへの共感が内的感情の殻を破れないままでは、「歴史なき」という歴史自体も雲散してしまうはかない時代なのかもしれない。

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    2021年11月19日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    対談であるからこその、面白さと受け入れやすさがあったのかな、と思う。大学、大学院なんて承認ビジネスと同じようなものでもはや意味はないという與那覇氏に対して、「いや、そこまで自虐的にならなくても」と斎藤氏が苦笑して応じるような、ね。與那覇氏の発言はなるほどとうなずきながら進んでいると、いつのまにかちょっと引いてしまうくらい攻撃的になっていることがあり、ちょっと怖いんだよね。斎藤氏がそこをうまく、方向転換したり、和らげてくれていたんじゃないかと思う。「え?それはどういうことですか?」と疑問を提示して、それを受けて與那覇氏がもう少しわかりやすく説明したり、話を展開してくれるのも良かったと思う。

    印象に残っているのは、お金がたくさんあればみんな働きたくないんじゃないか?という疑問に対しての斎藤氏の答え。ひきこもっている人に、突然遺産とか相続して働かなくてよい身分になったらどうする?と問うと、安心して働けると答えるのだとか。失敗して、首になっても生活に困らないから、と。なんか、考えさせられたなぁ。

    いろいろと問題提起があり、ちょっとふだん考えないような視点で話を展開してくれる。面白かったし、また読み返してよく咀嚼したいところだと思う。

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    2021年10月03日
  • 歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの

    Posted by ブクログ

     歴史の記憶が忘却されるスピードがあまりに速い。
     歴史が活かされていない。
     
     「共感の基盤」をという指摘は、確かに世の中を見る手がかりになる。

     「平成史」とともに読みたい。

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    2021年09月04日
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    分かりやすい本ではあるけれど、一度ではなかなか理解しずらく所々戻って読み返しました。1日経ってから読むと理解出来たり。たくさんの事が詰まっているので、サラッと読むのは勿体ないです。

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    2021年05月30日