與那覇潤のレビュー一覧

  • 史論の復権
    与那覇潤『史論の復権』
    中身は面白かったがタイトルが頂けない。
    「史論の復権」と聞いて読みたくなるのは「史論」を知っていて、その衰退を嘆いている人だけ。私はと言えば、史論という言葉は聞いたことはあるし何となくぼんやり意味はわかる(ような気がする)けどまったく思い入れはない、という状態。同じ著者の『中...続きを読む
  • 中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史
    「中国化」を軸に日本の歴史を読み解き直す─これが筆者の目指すところ。
    いわゆる「西欧化」と同じことが、約千年前に中国で起こっていた…なるほど。
    日本では「中国化」と「(再)江戸化」の間で揺れ動き、今のところ「江戸化」優位な状況だが、世界の「中国化」の流れに対処できるのかについて、時代を追って考えた…...続きを読む
  • 中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史
    昨年の小坂井敏晶『社会心理学講義』に引き続き、今年も人生観がひっくり返るような衝撃を社会科学の研究から受けることになった。輿那覇潤『中国化する日本』。
    不惑を越えたというのに、これだけ揺さぶられるということを、まずは喜んでおきたい。

    さて。本書の残念な点は、口が悪いこと。
    タイトルもそれで損してい...続きを読む
  • 中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史
    最近、お気に入りの著者の本。
    「中国」といっても最近のGNP2位の共産党支配の中国でなく、宋代に完成した自由経済/能力主義のことで、日本は幾度もこの体制に近づくチャンスがありながら江戸化=統制経済/封建制を繰り返し、21世紀の今また、「中国化」に抗いつつも近づいているというフレームワークが面白い。
    ...続きを読む
  • 「日本史」の終わり 変わる世界、変われない日本人
    在野の経済学者、池田信夫さんとネット歴史論壇の旗手、与那覇潤さんの知的刺激あふれる対談集。
    この本を読んだ後には、司馬史観で「お前も大志を抱いて励め」と諭す上司に一言いいたくてしょうがなくなるかもw

    曰く、「明治維新後、西欧化を図り、わが国は世界に類を見ない高度成長を遂げた」という歴史の通説は幻想...続きを読む
  • 中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史
    歴史観が変わったね。
    司馬遼太郎読みすぎて、鎌倉、室町、江戸時代最高!日本って自由で多様的で、素敵。日本文化っていいよなあって思ってた。別に間違ってるわけではないけど。
    ただ、中国が後進国という考えは間違いだったのだろう。

    江戸時代の特徴は、封建制、身分制で自由はなく、権力者も相対的。
    中国の近世...続きを読む
  • 「日本史」の終わり 変わる世界、変われない日本人
    橋下さんは、民主主義者ではなく、徳治主義者。
    「専制者が民意を吸い上げて、代わりに執行してあげる」という中国的な民主主義。「決定できる民主主義」は、西洋ではなく、中国的な民主主義。

    与那覇氏の「ブロン」(日本と中国の双方の特徴が混じった結果、両者の欠陥を兼ね備えた体制になること)。星新一の掌編が語...続きを読む
  • ボードゲームで社会が変わる 遊戯するケアへ
    <目次>
    第1章  なぜボードゲームに注目するか~「ブーム」の理由と現在地
    第2章  ボードゲームをどう楽しむのか~有識者6名とのプレイング
    第3章  どんな未来をボードゲームは開くか~「遊戯<ゆげ>するケア」の可能性
    第4章  ボードゲームはなにを私に考えさえたか~リワークデイケアでの体験から
    ...続きを読む
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版
    『元』歴史学者、と與那覇潤氏は名乗る。
    重度の双極性障害のため休職を余儀なくし、今まで『知』という自身の生きる力、そして生活する上での能力が病気によって奪われ、そしていかにして取り戻していったかの記録である。
    『言語』に比重を置いてきた彼が、『身体』に意識を向けることで回復していく。
    …回復は少し語...続きを読む
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    世界の頭のいい人たちからコンパクトに要点教えてもらおう!という、ある意味とても今っぽい本。中公新書で出た企画が成功したので、後追いという印象もある。
    後追いとはいえ、世界は変わっており、最新の状態を前提にスピーディに新書化してるので、つまらないということはない。
    今回はコロナとウクライナを前提に話し...続きを読む
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    『エマニュエル・トッド』
    (2022年現在、今後の世界情勢について)私は歴史家が本職。でも歴史の話はまったく役立たず。なぜなら、私たちが経験しているのは、まったく新しい何かだから。
    歴史と違う点
    ・20世紀初めは各国人口増加したが、今は中国も含め減少する見通し
    ・冷戦時は、ロシアとNATOが直接対決...続きを読む
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    いずれの登壇者も中国を(アメリカも)過大評価せず、いずれたち行かなくなると考えている。また今後注目すべきインドについての見解が興味深かった。
    アタリ氏の「未来の自分に優しく」は、まさにその通りである。
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    4名の著名な知識人へのインタビューと、それを踏まえた日本の知識人による論評という構成。日本の知識人の方々は、確り自身の意見を述べていて好感が持てた。


    また4名のインタビューの中では、ミラノビッチ氏の話が面白かった。

    曰く、エレファントカーブを見ると、程度の差こそあれ、あらゆる人々がグローバリゼ...続きを読む
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    考え方、捉え方の好き嫌いはあると思うが、ガブリエル、トッド好きはすんなり読める。対談内容を日本人がさらに評論するという形式は面白い。本人がいないので忖度もなく好き勝手(良い意味で)言える。
    4人の主要な意見はもちろん勉強になるが、それでもその道を本業とする人たち固有の考え方の特長があるように感じる(...続きを読む
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版
    46
    北朝鮮拉致問題の謝罪→加害者の日本、被害者のアジアの対立が必ずしもそうではなくなった
    →対北強硬論の安倍晋三が人気に
    46
    被害者性の椅子取りゲーム
    51
    ごっこの世界
    知識人ごっこの終わり→ひろゆき台頭?

    92
    新型うつ病に対して
    112
    大学教員の在り方の変化(大学院重点化)
    118
    ...続きを読む
  • 中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史
    近世(初期近代、early modern)の中国に注目する
    近世は日本史だけではない

    世界ではじめに近世に入ったのは「宋朝の中国」
    ヨーロッパの近代啓蒙主義は、宋朝の近世儒学のリメイクとして考えられる
    ルネサンスの三大発明はどれも宋代中国の発明
    →どうして近代には西洋が中国を追い越し、産業革命は起...続きを読む
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)
    躁鬱病の当事者の與那覇潤先生(元県立大准教授)と精神科医の対談


    ■第8章 辞めたら人生終わりなの? p215

    斎藤
    ・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)による改善率は80%と高いが、寛解率は40%しかない
    ・成人の患者にとってのSSRIは、良くも悪くも一貫して「軽い薬」症状を緩和して...続きを読む
  • 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)
    精神科医エッセイみたいな軽いものかなと思って読み始めたら、今の時代が抱える問題をしっかり考える対談でした。
    與那覇さんは、病気をされて、歴史性よりも今を生きるということを身を持って感じられたようです。
    人をみるとき、今を大切にしつつ、今までのことも大切にしたいと思う今日この頃です。
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版
    うつとなってから現在(?)までの変遷を通じ、知性について考える内容。

    「中国化する日本」の論理整理がキャッチーかつ要約力溢れていたのを契機に著者に関心を強めたところ、現在に至るまでにキャリアを含めた紆余曲折があったことを知り、やや野次馬根性もあって本書を手に取った。

    過渡期の病状で執筆されたとの...続きを読む
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版
    著者の患った「躁うつ病」は能力の下がる病であるという。しかしそうしたつまずきを経て、これまで自分が信じてきた前提を根底から問い直すのは知性を働かせる行為だ。著者に見えて来たことは「能力は個人の所有物ではない」ということなんだろうか。
    その上で「共産主義」を「共存主義」と訳し直し、緩やかな連帯を模索し...続きを読む