與那覇潤のレビュー一覧
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ネタバレ「「ボードゲームを思想にする」ために」(p3)作られたという本書。その言葉に違わず、「ボードゲームを思想にする」ための数々の試みが、書籍全体にちりばめられており、その切り口そのものが興味深い。
文化人類学者・小川さやかさんの『 ハイソサエティ』論や、歴史学者・辻田真佐憲 さんの『主計将校 』のプレイレポート)など、様々な分野の研究者・専門家がそれぞれのアカデミックな知見と文体で「ボードゲームをプレイする」経験を記述する第2章からは、「ボードゲームを思想にする」ために我々はいかなる言葉で、何を語ることができるのか、という問いを突き付けられる。
また、與那覇潤氏と小野卓也氏の二人が、それぞれに異な -
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「目的」は遊びの大敵
という小見出しが出てくるが、この部分こそ本書の中核をなす本質だと感じた。
ボードゲームを知らない人向けの紹介レポートとして、6人の有識者による実際にボードゲームを遊んでみたレポートも収録されているものの、
その部分は付録的なものであり、挙げられているゲームも世の中に無数にあるうちのごく一部でしかない(批判しているのではなく、そもそも良作を挙げたらキリがないし、読書と同様に人によって向き不向きや相性もあるから一概に言えない事情もあるかと思う)。
現実社会においても、
事前に設定された「目的」に縛られてしまった途端におもしろくなくなる、という現象が観察される場面は少なくない -
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研究者の著者が鬱病を患った経験を書かれています
元々賢かった人のため、本が読めなくなるほど追い詰められる病症がショックだそうでした
自身の知性に自信がお有りのようでしたので、鈍化していく脳により衝撃を受けたのでしょう
テストの結果を受けた結果を比較し、鬱がどれだけ知性にあったか説明されています
周囲が納得して聞いてくれてるのは研究者としての肩書きがあってこそで、社会的地位が低ければ戯言として切り捨てられ誰も聞いてくれなかったと思います
鬱病に対する誤解も項目に分けて紐解いており、下手な医療従事者より余程精神疾患の偏見を減らせれるでしょう
しかもこの解説は文春オンラインで公開されており、誰でも読 -
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タイトルにある通り「うつ病患者の処方箋」ではなく「うつ病社会の処方箋」。人間価値を語る上でキーワードは「統合性」と語られる本書と、人間は個々が微妙に異なる出来上がりをしていても所詮部分の集合でしか見られていない上に、ほぼ全ての部分とその統合の仕方も外部的な要因(遺伝・環境・進化心理学)だけで決まっているという残酷な現実があるので、どこの部分分解を理解しているとこの残酷な現実を「ハック」出来るのか考えようという橘玲氏のヒット作シリーズとはかなり対照的な内容に感じた(どちらの思考も必要だとは思う)。書籍全体を通してあまりにも広い範囲に話題が及んでいるので特に興味深かった2点だけを引用。
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またしてやられた、というのが正直な感想である。
著者の本は「知性は死なない」から読み出したが、同書のインパクトが強く、それ以前の本を手に取ることがなかったので、鬱前後で区切ったときに、鬱以前を知らなかった。
しかし、「知性は死なない」でしてやられた感覚はそれ以前のこの本でもまた思い知らさせた。
筋で見方をひっくり返す、という意図は見事に果たされ、「輿那覇史観」をこれでもかと投げつけられた。恐らく、細かな論点はいくつも挙げられるのだろうが、主な論旨を覆すほど反論できる根拠が恥ずかしながら今の私には見当たらない。
そして、最終章の最後で記されている憲法前文の扱い方は、この筋を一通り読むとまた格 -
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自分が適応障害なのでタイトルに惹かれて読んでみました、、が処方箋的な内容ではなかったです。
むしろ色んなシーンで起こる心の問題が、なんで起こってしまうのか社会構造や歴史、人間の特性など色んな角度から語られて説明されている、解説書という感じでした。
1年かけた対談をまとめたものらしいのですが、お二人の知識の幅がすごくて圧倒されました。引用が多いのですが、用語解説が丁寧なので理解しながら読むことができました。巻末の参考文献をお二人がそれぞれあげて解説されている部分も良かったです。さらに知見を深められそうです。
この本で印象に残ったのは、
日本は無宗教と言われているけれど実は、日本教とでも言う -
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ネタバレ通読一回ではまだよくわからないところも多いが、まず一番にお伝えしたいのは、その視点の新しさ。
内容は歴史の話です。日本が中国化してゆくというとても議論を呼びそうなタイトルですが、読み進めると筆者の述べることが分かります。加えてこの本の良いところは、この日本を何とかしたいという筆者の思いが感じられるところです。その熱意のようなものと筆者の論の新しさに感動すら覚えました(ただ本文中では非常にシニカルな文体です)。
まず、日本史の新たな見方について大いに驚嘆。戦国時代とは決してかっこいい時代ではなく飢餓をしのぐために殺し合って食べ物を奪い合っていたという見方。また江戸時代の安定はお上とイエ -
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ひきこもりからポストモダン、ラカンを語り、現在はオープンダイアログを実践されている斎藤環氏と歴史学者の與那覇潤氏の対談本。與那覇氏は双極性障害で入院し、その体験を書籍にもしている人。何かの雑誌で対談を続けた物を編集したものかと思ったが、いわゆる語りおろしを加筆修正したもの。両者とも指向性が似ているのか、話が尽きない。これまでの両者の指向性が最終章のオープンダイアログの話に集約するが、ここにコミュニズムを絡めて語るところが味噌であった。ポストモダンやラカンなど難解な思想を絡めて語り合うので、ついていくのに骨が折れた。用語の脚注は豊富であるが、おそらく基礎知識がないと、この脚注だけでは不十分だろう
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安易な最近の「中国化」という言葉につられ、つい手にした本であったが、歴史を振り返り、未来を考える意味において必読。
著者曰く、世界で最初に「近世」に入った地域は宋朝の中国だそうだ。(東洋史家の内藤湖南も宋代以降を近世)
宋に於いては、貴族制度を全廃し、皇帝独裁政治を始めるが、経済、社会を自由化。
科挙、殿試、郡県制、青苗法、朱子学。
火薬、羅針盤、活版印刷。
宋で導入された社会の仕組みが、実は全世界でも現在まで続いている。
日本は唐までは中国から学んでいたのに、何故にそこからは学べなかったのか?何故グローバル化できない?
日本史をこの観点から現代まで語っている本。小泉政権まで語ってくれ