火坂雅志のレビュー一覧
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吉川版を読んだ後なので数々の食い違いが見られる。吉川版では官兵衛と半蔵は秀吉配下に入ったのち知り合っているが、こちらは官兵衛が随分前にわざわざ半蔵に会いに行ってる。また吉川版では有岡城に乗り込んだ時は、官兵衛はまだ小寺氏の家来だが、こちらは小寺氏とは縁を切って秀吉の使者という立場だ。どちらが史実かは判断し難い。
吉川版は登場人物がカッコ良く書かれ過ぎてる感があるが、本書は人物表現にはリアリティがある。官兵衛も勿論魅力はあるが、秀吉って面白い!と今更ながら感じいってしまった。作者が秀吉よりなのかと思う。
力のあるものは慕われるけど嫌われる。小寺城内での黒田親子もそうだが、本書全体にその主張が -
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内容(「BOOK」データベースより)
秀吉の“紅羊羹”を超える羊羹を作れ―。直江兼続より、翌年行われる関白主催の花見の会での上杉家の羊羹作りを任された庄九郎。練り羊羹を味わったこともなかった庄九郎による、越後ならではの羊羹を求めての戦いが始まった(「羊羹合戦」)。国学者・荷田春満が忠臣蔵の一件に関わっていたという、「桂籠」。亡き父親の想いを胸に、藩主の命による黒鯛釣りに士道を尽くす男を描く「釣って候」など、さまざまな趣向を凝らした全八篇。2009年NHK大河ドラマ原作となった「天地人」原作者の、他の長編の原点ともいえる作品も収録された、珠玉の時代小説集。 -
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上・中と読んで、下巻を読むのを、と言うか、下巻の存在を忘れてました・・・。
とても読みやすいですが、なんとなく、内容が薄い気がします・・・。
関が原は仕方がないとしても、大阪の陣も、さらっと終わってしまい
ました。伏線の割には、真田幸村との絡みもそれほど盛り上がらなかったし・・・。
主人公が、何故、「愛」と言う言葉を貫こうとしたのか、細工は流々でしたのに、仕上げはとっても分かりにくかった。
実物がそのくらい複雑な行動をしていて史実に従うと主題と結び付けにくくなるのでしょうが・・・。キャラは立っているので、決してこの作品がつまらないわけではないですが・・・。
また別の作品に期待しようと思いま -
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真田昌幸⇒真田幸村
ほうっ・・・。
物語後半になればなるほど面白かった。
昌幸と信幸・幸村兄弟の生きる道。
徳川家康の重臣・本多忠勝の娘を娶った信幸と、
石田三成の盟友・大谷吉継の娘を娶った幸村。
関ヶ原の合戦では兄弟が戦場にて合間見える形となる。
耐えて、耐えて。
でも譲れない一点では心を曲げず、命を懸けたいくさをする。
戦場での戦いもさることながら、政治での戦いも重要。
弱小勢力ながら、二度も徳川の大軍を退けた
上田合戦のところは、小気味良い、という感じでした。
読み終えてすぐ書いてるから、なんか熱いな(笑)
”いかなる難攻不落の巨城でも、それを守っているのは人である。
人の和が崩 -
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ネタバレ徳川家康の右腕となり、黒衣の宰相と呼ばれた金地院崇伝の物語である。崇伝は京都の名刹、瑞竜山南禅寺の禅僧であった。崇伝は武門有数の名家に生まれた。室町幕府で四職と呼ばれた名門、赤松、一色、京極、山名のうち、一色の血を引いている。しかし、室町幕府の衰退に伴い、名門一色氏も昔の力を失った。崇伝の父、一色秀勝は、室町幕府の最後の将軍、足利義昭に仕えていたが、義昭が織田信長と対立し、京を追われて室町幕府は滅び、崇伝の父、秀勝もまた、京から逃亡した。崇伝は、当時5歳であり、南禅寺に入ったのはこの時である。
いかに名家であっても、過去の権威にすがっていては、厳しい戦国の世を生き抜くことは出来ない。崇伝の青 -
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タイトルは謙信びいきなのにいきなり直江兼続。謙信の話題は期待するほどにはない。どちらかというとマイナーな者の方が多い。歴史の裏舞台で自らに与えられた仕事をしっかりこなした男たちを紹介している。著者は新潟の人。国境の長いトンネルを抜けても雪国はなかった。そこには目もくらむような快晴の蒼空、太陽の恵みをいっぱいに受けた明るい世界が広がっていた。一時は雪国のハンディを背負っていることに理不尽な思いを抱いたこともあったが、今は、雪は決して負の面ばかりではないことを悟ったという。長い冬が終わり、春が訪れると山からは清冽な水が流れ出し、日本一の米、そして酒を育むことができる。これもすべて雪の恩恵。雪国に住
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著者の作品は歴史上のいわば脇役的な人物や、組織の№2的人物を主人公とする作品が多いことが私好みで多く読んできた。
本書も安国寺恵瓊という歴史上マイナー人物を主人公としたもので、毛利家における微妙な立場を的確に描きつつ、織田軍中国戦略を、受側の毛利家の視点で描いたものは読んだことがなかったので、新鮮であった。
個人的な嗜好で注文をつけるとすれば、最後のクライマックスである関ヶ原実戦での主人公の軍団内駆け引きや足掻き、また、敗戦後逃亡して捕らわれるまでの葛藤などを著者流の人物描写を持ってもう少し物語濃く入れて欲しかった。(上下巻共通レビュー) -
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著者の作品は歴史上のいわば脇役的な人物や、組織の№2的人物を主人公とする作品が多いことが私好みで多く読んできた。
本書も安国寺恵瓊という歴史上マイナー人物を主人公としたもので、毛利家における微妙な立場を的確に描きつつ、織田軍中国戦略を、受側の毛利家の視点で描いたものは読んだことがなかったので、新鮮であった。
個人的な嗜好で注文をつけるとすれば、最後のクライマックスである関ヶ原実戦での主人公の軍団内駆け引きや足掻き、また、敗戦後逃亡して捕らわれるまでの葛藤などを著者流の人物描写を持ってもう少し物語濃く入れて欲しかった。(上下巻共通レビュー)