NHKスペシャル取材班のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
NHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」を書籍化した一冊。東京特別区の中で唯一消滅自治体と指摘された豊島区、財政破綻自治体・夕張市、極端な自治体以外の例として、雲南市、益田市、京丹後市、横須賀市などの事例が紹介されています。世界に類を見ない高齢化・人口減少を迎える日本の今後の覚悟を問う内容となっています。
▼日本では戦後、地方から東京への一極集中は、大きく分けて、3回起きている。
・①高度経済成長期 ②バブル期 ③2000年以降
・①と②の共通点は好景気。ポジティブ(積極的)な理由で、多くの人々が地方から移り住むことによって引き起こされた。
・③は過去2回と異なる異質なもの。「地方から逃げ出す」というネガティブ(消極的)な集中
▼これまで日本は、「家族」を単位に行政サービスの基本を作ってきた。たとえば、老後の介護や看取りは、「家族」を手助けする前提で自治体がサービスを施す。ところが、東京ではすでに単身化が進み、これまでのサービスの形では立ちゆかないというほころびが現れ始めている。
▼どんなに追い詰められても自治体は消滅を選ぶことはできない。人口減少がさらに進み、財政が苦しくなりあらゆる行政サービスの効率が悪化しても、そこに住民がいる限り、自治体は逃げることはできないのである。そうした状況の中で繰り広げられる戦いを私たちは「撤退戦」と名付けた。
▼これまでの「地方再生」一辺倒の議論だけでは到底解決することができない「縮小ニッポン」の厳然たる現実だ。消滅をタブー視していては、何も進まない。何を守り、何を諦めるのか。私たち一人ひとりが自分の問題として考え、戦略を持って選び取る時代に来ているのではないか。
▼そうした厳しい状況の中で、私たちにできることとは何か。それは、国も自治体も、そして私たち国民も、この過酷な現実をしっかりと直視し、問題を先送りしないことしかない。その上で、これまで当たり前に思っていた行政サービスを諦めたり、自分たちの暮らす地域を縮めていくなど、一人ひとりが痛みを分かち合いながら、「撤退戦」に身を投じなければならないだろう。
そこには地方と東京の差はない。私たちは、次の世代にこの日本をつないでいく責任を負う者として、縮小ニッポンの未来図と向き合う覚悟があるのか、今まさに問われているのである。
<目次>
プロローグ
第1章 東京を蝕む一極集中の未来
23区なのに消滅の危機(東京都・豊島区)
第2章 破綻の街の撤退戦(1)
財政破綻した自治体の過酷なリストラ(北海道・夕張市)
第3章 破綻の街の撤退戦(2)
全国最年少市長が迫られた「究極の選択」(北海道・夕張市)
第4章 当たり前の公共サービスが受けられない!
住民自治組織に委ねられた「地域の未来」(島根県・雲南市)
第5章 地域社会崩壊 集落が消えていく
「農村撤退」という選択(島根県・益田市、京都府・京丹後市)
エピローグ 東京郊外で始まった「死の一極集中」(神奈川県・横須賀市) -
Posted by ブクログ
NHK取材班による日本における健康格差について取材をして報道番組をおこなったものを書籍にまとめたもの。
WHOによると4つの健康格差をうみだす要因として「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」があげられている。そのなかで、日本の特徴としては、世界に類を見ない速度で高齢化社会が進んでいること、また、「失われた20年」によって雇用形態が急激に変わってしまったことにある。
地域によってうけられる医療などが異なることは知っていたが、非正規雇用などの問題が健康問題に直結しているとはまったく知識がなかった。1993~2004年は就職氷河期といわれるが(本書でいう「失われた20年」もこれにかかわる事柄だが)、単に所得が少ないというだけではなく、単に貧困というだけではなく、健康問題にも直結しており、それが将来的な医療費や社会保障費の問題となって跳ね返ってきてている。読んでいて、健康格差で苦しんでいる所得が少ないひとたちにも、そして、国の行く末としても、背筋か凍るような思いを読んでいて感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2016/9/25に放送されたNスぺの文字起こしみたいな感じなので、番組を視た人には既知の話ばかりではある。
やはり衝撃を受けたのは東京都豊島区という大都市が消滅危機に襲われている事実。
ポジティブ集中(東京でデカイ一旗あげるために上京。かつての高度経済成長期やバブル期にみられ、20代が多い)でなく、ネガティブ集中(田舎には何もない。東京に希望があるわけではないが田舎にはない安くても仕事があるから集中。40代にみられる。よって少子化は解消しない)という分析は、九州の中心である福岡市にもこれからよそ事ではなくなる。
財政破綻を経た、北海道夕張市は「サービスは最低。負担は最高」というスパイラルがやみそうにない、これを敗戦が決まった状況になぞらえて撤退戦と呼んでいる。なんと夕張市長の月給手取りは15万8000円で、公務の交通費もその中から自腹負担しているそうだ。夕張市の中学生のほとんどが夕張市を離れたがっている事実。
解消するには、あたかもダム建設による接収のように、強制的に人の住む国土自体を減らすしかないというのが私案。そうすることで、皆が皆一斉に沈むのでなく、ギリギリ生き残る(行政サービスを提供し続けても赤字にはならない)地域を残せるのではないかな