熊谷晋一郎のレビュー一覧
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著者である綾屋さんは発達障害(自閉症スペクトラム)、熊谷さんは脳性まひという障害を抱えており、「自分がどう感じ、どう困っているのか」「他者とどう関わってきたのか」を、身体感覚や言葉、記憶を通して丁寧に語っている。
正直、専門的で難解な部分も多く、読み進めるのに時間がかかった。それでも、二人の語りからは、自分の感覚や苦しみを言葉にすることの切実さが、ひしひしと伝わってきた。
困難を抱えながらも他者とつながるとはどういうことか、その意味を深く考察しており、違いを認めたうえで関わり合うことの大切さを学ばせてもらった。
まだ咀嚼しきれていない部分もあるが、「違うまま共に生きる」ためのヒントをくれ -
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第六章「弱さは終わらない」は、すごかった。
綾屋さんのぐるぐる沼感。
(そこまでは、淡々と当事者としての自己分析でわかりやすい。別にアスペルガー症候群の当事者でなくてもわかるところもある。)
第六章はなかなか生々しく、これはこれでそういうことなんだろうなと思った。
としか、言えない
「誰にも言えない」から「私には話さねばならぬ責任がある」へ。
「相手に迷惑をかけたくない」「相手をいやな気持ちにさせたくない」と思って話せないでいるのに、そうして黙り込むことこそが加害行為になってしまうと。
話すのは怖いけど、沈黙の暴力をふるわないために、私には「話す」責任がある。そこまで来てようやく、人に打ち -
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オムニバス形式で内容は若干まとまりを欠いているように思えるが、学びは多く、今後は個人のカウンセリングだけでなく、組織や社会を巻き込んで広い視点から臨床実践を考えて行く必要があるなと思った。価値に沿った実践ということで、セラピストの価値とクライエントの価値、セラピストの所属する組織の価値などは、それぞれどこまで擦り合わせていけるのだろうか。単に、雇う側と雇われる側の関係だと、そこまで意識されないのかもしれない。ただ、臨床をしていく上で、組織の制約を受けているなと感じることは多々ある。心理的安全性の話もあったが、こういった側面からの組織改革が個人的に興味を惹かれた。
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浦河ベテルの家で生まれた当事者研究。これは当事者運動由来の「力/未来/パターン」と依存症自助グループ由来の「無力/過去/物語」そして両者に共通する「共同性」という特徴を束ねる役割として「(当事者)研究」が登場した。「当事者も専門家も自分たちが継承してきた価値・知識・技術を普段に見直し続ける『研究者』になることが、置き去りにされ勝ちな周縁に置かれた人々を包摂する社会の条件として重要」ということを実際にASDを例に提示された。これまで当事者研究は、当事者の語りが中心で提示されていたが、様々な研究を結びつける学際的な研究として進んでいることが分かった。
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人間同士の関係と距離感を対立と差別でなく
対等で自在な自律する相対の関係で磨き合えれば
お互いに傷付くこともなくなるから傷付けることも起こらず
安心して切磋琢磨しながら共存することができる
アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)と診断された綾屋と
痙直型脳性麻痺による身体障害者と診断される熊谷の
二人のマイノリティが出合うことで「当事者研究」が始まり
共同戦線を張っているマジョリティー(多数派)と対決することなく
つながるための研究とその方向性にたどり着くまでの過程を
克明に描き出している本である
結果としてこの研究はマジョリティーどうににおける距離感にも
通じる一般性のある答えだという -
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アスペルガー症候群と脳性まひ、というマイノリティの身体をもつ、綾屋氏と熊谷氏の二人の立場から「人とつながるためにはどうしたらよいか」という問いについて書かれた本。
「アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)」の特徴
1、相互的社会関係能力の限界
2、コミュニケーション能力の限界
集団での疎外感や空気の読めなさ
3、想像力の限界
4、自閉症と同じ症状を持つが、知的障害がなく言語も幼いころから話せる
あふれる刺激 = 感覚飽和
優先順位をつけにく
大量の情報を無視できずに感じっとってしまう
自身の内外の訴えをバラバラのまま感じ取ってしまう
運動のつながらなさ
外部と自分の動き -
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「人と違う事の自覚」は、基準と自らの差を理解し、一方を正しいと思い込む事から生じる。ならば、正しさは理解できており、その通りに振る舞えば良いのだろうが、そう、できない。あるいは、人に指摘されて初めて自覚する。そんな生き難さを感じる著者。アスペルガー症候群と身体障がい者。生きる難しさは、よくわかる。人と同じように行動したり、言葉を理解し合うのは、いつだって難しい。ボーっとしていても話は進むし、かと言って同じ事を繰り返し言われているようで、そう感じてしまうと注意力は続かないし。油断してボーっとすると、隙をついて重要な事が述べられていたりするのだ。
そんな事を繰り返すと不安になるだろうし、更にでき -
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子どもの人権をまもるというテーマに沿って……かな? けっこうそうそうたる人々が稿を寄せている。宮田雄吾(大阪共立病院・大村椿の森学園)、山野良一(名寄市立大学・専門社会調査士)、駒崎弘樹(認定NPO法人フローレンス代表)、仁藤夢乃(一般社団法人Colabo代表)、熊谷晋一郎(東京大学・当事者研究)、大塚玲子(編集者・ライター)、内田良(名古屋大学・教育社会学)、大貫隆志(「指導死」親の会共同代表)、大原榮子(「メンタルフレンド東海」世話人代表・名古屋学芸大学)、前川喜平(元文部科学省事務次官)、白濵洋子(佐賀女子短期大学・学校保健)、内藤朝雄(明治大学・社会学)、山下敏雄(弁護士)、村田和木(
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