平塚柾緒(太平洋戦争研究会)のレビュー一覧
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生々しくも優しく
開戦から約1か月。楽園は焦土と化し、田丸らは極限のサバイバルへ突入する。渇きから空腹へ──今度は「飢え」が兵士たちを蝕む。作者の筆は容赦なく、食糧ゼロの絶望を抉り出す。
可愛いデフォルメの兵士たちが、蒸し風呂のような洞窟で朦朧とし、夜な夜な食を探す姿が痛々しい。守備隊本部は玉砕を請うが許可されず、徹底持久の名の下に苦しみが続く。田丸はスケッチを続け、人間の尊厳を繋ぎ止めるが、飢餓は精神を崩壊させる。絵柄の優しさと残酷のギャップが、ますます心を刺す。
極限状態での人間関係、諦念とわずかな希望──史実の重みが細部に宿る。読み終え、息が詰まる。戦争の狂気を、こんなに生々しく優しく描くとは。シリー