平塚柾緒(太平洋戦争研究会)のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
借りたもの。
表紙の桜は最後に玉砕を伝える電文「サクラ」を暗示するものだった。
洞窟で火炎放射器で一掃される負傷兵。
自身の死後、家族に恩給が支払われることを望む。
補給も退路も用意されず(できず)、本部からは玉砕も許されず……
極限状態で死を望む空気が蔓延する。
燃料も食料も、医薬品もあらゆるものが底を突き、万策尽きた机の上。
暗い壕内には他に誰もおらず、黒くシルエットだけになった大佐の姿。目だけが白く浮かび上がって見える。
周りには蝿が飛び交い、描くことができない血と膿と腐臭がすることを感じ取る。
その死が近いことも……
大佐の慟哭は何であろうか……
国のためという大義名分ではなく、単純に「敗北」という無念だと思った。
無念…敗北という「失敗」を認めたくない、認められないという理由だっただろうか?おそらく当時の空気感はそうではなかったのだろう。
機密保持だけでなく、誰のせいにもできないことが解っているから自害するのだろうか?しかしそれは今となっては無責任となってしまった。
見せしめとして屈辱的な姿にされたアメリカ兵の遺体。
その遺体が持っていた薬によって命を繋ぐ、その皮肉。
単独行動をしていた小杉伍長は洞察力に優れ要領がいい…
彼が最善の行動を取っているともいえる。 -
Posted by ブクログ
もはや戦略の体をなしていない。
アメリカ軍との戦闘ではなく、最低限のライフラインの確保――水を得るため――に、兵士が命を落としている。制圧された地域へ行かなければ水を得られないという、本末転倒な状態だった。
その虚しさと極限状態に声を上げて泣く主人公。その声も銃声に殆どかき消されている。
人を殺すことに慣れた(あるいは心を閉ざして無感動になった)兵士の姿、死んだ兵士たちの気配を感じ取る兵士……心霊現象というよりはPTSDの可能性もある、
異国の地で散った兵士たちは、洗脳されていたのだろうか……?本音と建て前が去来する。
生還することで自身も家族も後ろ指を指される可能性がある風潮(世間体)が垣間見れる。
戦地の兵士の視点から、最後の一話でが指揮官たちの視点と、俯瞰で見た戦略が描かれる。
フィリピンでの戦闘を食い止める最前線と位置付けられたペリリュー島だが、陥落する前にフィリピンはアメリカ占領下になっていた。
それをペリリュー島の旧日本軍は、おそらく知らない。
正しい情報から分析もできず、わかっていてもそれを共有しない指揮官。
現実的な手段ではなく精神論で動く空気……
(指揮官の見栄か、そんな兵力など無いことをわかってか)本土へ支援を要請する案が出る描写がない。