シリーズ第12作。ついに結婚式の巻。
これで完結かと思っていたら、まだ続くらしい。
確かに結婚=ゴールではないのだし、あの森若さんがどんな風に新生活に順応していくのかは気になるところでもある。
今回は仕事の場面は少なかった。
結婚という一大イベントで、タスク表を淡々とこなすというわけにもいかないのだから仕方ない。
名字問題の次は世帯主問題。そして新居にお金の問題。結婚するためには話し合って決めなければならないことがたくさんある。
森若がこれまでのロジックで進めればいい問題ばかりではない。イラっとすることがあっても口にしない森若に、変化と太陽への思いを感じる。
会社の方は、新社長の円城格馬の改革の一つで業務のデジタル化プロジェクトがスタート。
森若が所属する経理部はそれほど影響はないだろうけれど、他の部署は混乱しそうだ。
プロジェクトのメンバーはデジタル化に興味がない、あるいは苦手という人ばかり。だがそういう人にこそ使えるシステムにしたいという、システムの会社の言葉にハッとする。
その人がいないと回らないという部署や会社ではいけない。
森若と太陽の結婚準備が進む中で、森若は改めて様々な課題を発見する。
妊娠、出産、子育て…育休や時短勤務を利用しながら、どう自分のキャリアを積み、仕事と両立していくのか。
太陽は積極的に関わる人間ではあるけれど、未熟さも大いに感じる。
森若の家族も協力的ではあるけれど、それも母親の健康と意欲があって成り立つことだということを知る。
昔に比べれば支援や協力体制、育休や時短勤務などの環境も進んだとはいえ、当事者と周囲で支える人、当事者が働けない分をバックアップする人とのバランスは永遠の課題のような気がする。
子育て世代だけでなく、介護や看護も考えれば全ての世代に共通する問題だろう。
話が逸れてしまったが、前作から気になっていた鎌本の態度がここに来て危険性を帯びてきてハラハラする。
まさか暴走してしまうのか…と心配したが、その結果はいかに。
毎回エピローグで蚊帳の外のように描かれる真夕だが、美華がきちんと評価してくれていて嬉しい。自身の欠点を意識している真夕だから、きっと成長出来るはず。
また勇太郎や山崎が意外と気を遣ってくれていて嬉しい。元々そうなのか、変わったのか。
いずれにしても森若と太陽がみんなから愛されていて良かった。
森若の、結婚式での気恥ずかしさは当時の自分を思い出して懐かしい。森若らしい部分と森若らしからぬ部分とが見られて興味深い。
太陽の方も変わらず楽天的な部分と、頼もしい部分が見られて興味深い。
次は本格的なデジタル化プロジェクトの進展が描かれるのか。そして新社長のさらなる会社改革はあるのか。