松尾由美のレビュー一覧
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ネタバレ・その人が死んだという事実を知らない人間には、幽霊が生きている人間とまったく同じように見える。
・そのため幽霊にも昼間や夜間の「居場所」が必要である。
・小さな物質なら動かすことが出来る。
・生きた人間と死者を区別する特殊能力を持ち、理解した上で言葉をかわす人間も存在する。
・この世に未練のある人間だけが幽霊になり、それがなくなれば消えてしまうらしい。
舞台となるバーの妙に長々とした文学的な描写から始まり、なんとなく気持ちが着いていけないうちに、これらの特殊な設定を序盤で突きつけられ、最初は戸惑いを覚える。
(著者がSF的な作品を書く方だとはあとがきを読むまで知らなかった)
また、最初に主 -
Posted by ブクログ
かわいいおばあちゃん探偵。
しかも、現代では絶滅の危機に瀕している古き良き時代のおばあちゃんだ。
着物をきっちり着こなし、言葉づかいも奥ゆかしい。
ヒロインはアラサーの駆け出しライター。
ノートPCを持ちこんで原稿書きをする、ちょっとはやらないファミレスに、おばあちゃんは出没する。
原稿に行き詰り、PCの前で頭を抱えているヒロインを、悩み多き乙女…と思って胸を痛めたのか、おばあちゃんは声を掛けてきて…
その豊富な人生経験と見識で、飛び切りのアドバイスをしてくれるのである。
最近のヒロインは、アラサー独身、仕事も恋もなんとなくお疲れ気味…というパターンが多いなあ。
頑張れ、女子!
店長の山 -
Posted by ブクログ
ふわふわ~っと読み終えました。楽しかったです。
「ハートウォーミングな連作ミステリー」とカバーにありました。この読後のふわふわ~感がハートウォーミングな感じなのでしょう。
若い女性のたまたま出会った謎を一見そんなに物知りとも思えない人がすらりと解き明かしてくれる。円紫師匠を思い出します。しかし、それほどのインパクトはなく、ふわふわ~っとした感じが、ほどよく最後まで一気に読み進むのでした。
ファミレスに集う人が幸薄そうな人だから、ハートブレイクなのでしょうか。どうしてもハートブレイク・レストランという題名はしっくりきませんけれど。
ふわふわな幸福感を感じたい人にどうぞ。 -
Posted by ブクログ
一冊前に読んだ本と同様に、タイトルと表紙絵に惹かれただけで選んだもの。そちらは失敗だったが…この作品と作者に関しては稀有の巡り合わせだった。苦さと優しさとあたたかさが程よくステアされたカクテルのよう。気持ちよく酔えた。
松尾由美という人の本は読んだことがない。
私がすすんでは選ばないSFとか推理小説の作家だということだから、なるほど本を手に取ることもなかったはずだ。
この作品は…確かにSFチックな設定かもしれない。しかし設定など私はどうでもいい。そこに作者が記したものがどれほど自分の心をとらえるか、である。
現に読まないはずのジャンルに属する作家では、私は森博嗣氏の信奉者と自ら称してもいい -
Posted by ブクログ
素行不良の《妊婦探偵》が活躍する、シュールな笑いにあふれたSFテイストのミステリ。
舞台は、東京都第七特別区。人呼んで「バルーンタウン」。そこは、「人工子宮(AU)全盛の世の中で、妊娠・出産という過程をへて子供を持つことをあえて選んだ女たちが、天然記念物なみの保護をうけて暮らす」妊婦の町である。そのちいさな、しかしかなり特殊な町で発生するさまざまな事件を、「妊婦のことは妊婦にきけ」とばかりに、見事な「亀腹」をもつ《妊婦探偵》暮林美央が鮮やかに解決する連作もの。
この妊婦探偵、厳密にいえばちがうのだろうが、分類としては《安楽椅子探偵》に入るのだろう。じっさい、電話口から示唆するだけのものもあ