綾里けいしのレビュー一覧
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ヒルガオが首を吊った原因の1つ絡繰舞姫、彼女の足を粉々のたたき折り、死ぬことを考える雄介は行方を眩ませる。主人を守れなかった飼い犬は復讐を果たして、死ぬべきだと考える久々津。2人の目的を阻止しようと動く小田桐。その小田桐に執着するように現れる紅い女。誰が自身の目的を達成できるのか。
7、8割が雄介の話でそれに付随して舞姫の話になっていて、雄介の怒りと悲しみ、過去の行いへの自責の念と自己愛を捨てきれない絶望、いろいろな感情が渦巻き、雄介に共感し応援する自分がいた。そして、独特な感性と考えを持つ舞姫に嫌気がさしていたが、彼女の覚悟と矜持に驚き、見方が変わった。
9巻はそれだけでよかったと思う。久々 -
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ヒルガオが首を吊って死んだ。それをきっかけに壊れてしまった雄介は死の原因の一端の絡繰舞姫、繭墨あさとの殺害を試みる。舞姫とあさとを守ろうと動く小田桐だが、守る対象は所在不明、それぞれがどう考え、どう動くのか。
雄介の話だが、前作に続き舞姫が出突っ張りだ。そして、異能者は考え方がぶっ飛んでいて、もはや小田桐すらも普通ではない。なので、雄介の悲しみに共感出来し、寄り添える人がいないのが切ない。強制的に気分のスイッチを切り替えて生活する雄介は日常生活でON/OFFを繰り返す読者と感覚はそう変わらないのかもしれない。それだけに読者としては雄介の言動に共感し、心配し、この先の幸せを望む気持ちが生まれた。 -
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白雪の話、小田桐・雄介・幸仁3人が巻き込まれる話、雄介と七海が交わる非日常の話、あさとの話、全4話の短編集。
それぞれの話が、本編に入らない部分で何をしていたのか覗くことが出来るサイドストーリーになっている。ただ、それぞれの話を読んだ後の気持ちはみんなバラバラだ。
白雪の話は物悲しさが滲み出ていて悲しさを抱える白雪を応援したいと思った。
男3人がわちゃわちゃする話は読んでいて楽しめるが、人間の悪い部分と良い部分を感じるB.A.Dらしい所も盛り込まれていた。だが、珍しく不快感のない話だ。
B.A.Dの中随一の怖さを誇るキャラは頭の中が歪んでいる。話は雄介と七海だが、七海の異常さと雄介の正常さの対 -
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集団自殺事件が多発し、その裏では繭墨あさとがいた。これまでの出来事で自責の念に囚われ動きを止めた小田桐。そんな彼のために狐の挑発にあえて乗った白雪は捕らわれてしまう。自分のために動いた白雪を救うために小田桐が動き始めたが、繭墨のもとを離れたがために戻って来た彼の目の前にあったのは繭墨の死体だった。
まさか、繭墨が死ぬとは思わなかった。これまでなんのかんの言っても繭墨は無敵だと思っていたが、本当に14才の少女だとある意味感心した。そして、小田桐の悩み、葛藤する時と踏ん切りのよさとのギャップが激しい。共感出来るのに恐怖すら感じる彼が面白かった。 -
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身体に『人』に酷似した部分を持つ、魔獣。
彼らを調教し、人の手に渡す職業の頂点に立つ人物と
知り合った事により、好奇心は満たされていく。
連続短編、なのですが、もう最初からすごい。
ミステリーかと思ったら、ものすごく綺麗に
計算しつくされていました。
この人を糾弾とか、陥れようとか、無理無理。
危機感がない好奇心旺盛な医者の主人公…ではなく
軸は調教師たる彼。
他の人間がその都度主人公になっていくのかと思ったら
そうでもなかったです。
彼が語り手なのは、しましま状態。
間には、別の人間が主人公として頑張っています。
1話目から、穴に気が付かない仕掛け。
2話目は、納品先での家族問題。
3 -
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雄介は、ヒルガオの復讐のため、舞姫の足を襲撃して遁走します。一方、彼女を守れなかったことに責任を感じた久々津は、雄介を殺して自分も死ぬことを誓い、雄介の居場所を探します。
憎しみの応酬を断ち切るため、小田桐は2人の後を追い求めます。ところが、久々津があさとに、舞姫の足を取り戻してほしいと願っていたことが分かります。約束どおり舞姫の足は元に戻りますが、その代償として、小田桐、雄介、久々津の3人の中から一人が、彼らの前に現われた、どことなくあざかを思わせる女性に、自分の足を差し出さなければならなくなります。舞姫の足を傷つけた雄介と、彼女を守りきれなかった久々津は、ただちに自分の足を差し出そうとし -
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ヒルガオを失い、あさとと舞姫を殺害する決意をした雄介に対して、小田桐は身体を張って彼を止めようとしますが、雄介はそんな彼の説得に耳を貸さず、彼のもとを飛び出していきます。
その後、あざかと小田桐、そして舞姫と現在彼女の「犬」となっている久々津の4人は、菱神昭の家に招き寄せられ、閉じ込められてしまいます。人間ではなく人形でないことに不安を覚えた彼は、人間と人形の違いを知るため、人の身体を解体したいと言い募ります。小田桐たちの活躍により菱神の事件は解決しますが、そこへ雄介から小田桐に連絡が入ります。
雄介が、ヒルガオを売買した人買い業者のところへやってきたことを知った小田桐は、ただちにその場へ -
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繭墨霊能探偵事務所に、一人の女性がやってきます。彼女の願いは、死んだ弟の髑髏を持っている少女を見つけ出して欲しいというものでしたが、事情を明かすことに戸惑いを覚えた彼女は、けっきょくあざかたちに依頼することなく、事務所を出ていきます。ところが、その女性が探していた少女が、あざかたちのもとに現われます。彼女は、異能者の家系に生まれながら、身柄を売り渡されてしまったのでした。けっきょく、雄介がその少女を引き取ることになり、彼は少女に「ユウガオ」という名を与えます。
その後、幸仁の生み出した「神」が増殖してしまい、その対応に小田桐たちが振り回されるという事件を挿んで、人形使いの異能者でユウガオの実 -
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今回は、連作短編仕立てになっています。
第1章では、妹と自分自身の視線から逃れようとして狂気に陥った男の物語。小田桐は、あざかを男から守ろうとして目を攻撃され、ショックで一時的に視力を失ってしまいます。
第2章は、死にゆく異能者の依頼を受けて、あざかと小田桐が彼の最後を看取る話です。
第3章は、小田桐と雄介、七海、綾が闇鍋をする話。
第4章は、異能者の鴉越雛(うごし・ひな)が自殺した後、彼女の眷属であるカラスの様子がおかしいことに気づいた鴉越樹(うごし・いつき)が、あざかに調査を依頼する話。
今巻は、白雪が小田桐のもとに押しかけてきて、ラブコメ色がかなり強くなっていますが、ストーリー -
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この巻で、繭墨あさととの戦いに決着がつけられることになります。
前巻のラストで、心を閉ざしてしまった小田桐ですが、そんな彼の前からあさとが水無瀬白雪をさらっていったことで、小田桐はふたたび立ち上がります。その後、小田桐の下宿先に、あさとの意を受けた白木綾がやってきます。小田桐は、七海を味方につけて綾を幽閉し、あさとに関する情報を聞き出そうとします。
その後、事務所へと足を運んだ小田桐は、あざかの死体を目にすることになります。あさとによってあざかが殺されたと信じた小田桐は、お腹の雨香とともに、あさととの決着へと挑みます。
ストーリー展開は、前巻からの流れを引き継いで、自然な形で進行していき