あらすじ
「なぜ眼球を抉るんだろうね?」平穏な日々を嘲笑うかのように繭墨あざかは問いかける。近隣を騒がす"目潰し魔"。そいつに眼球を狙われていると、チョコレートを齧りながら優美に語る。まるで危機感のない繭墨を急かし、事務所から避難させようとした矢先、傘を掲げたヤツが現われた。その紅く濡れた傘が僕の頬を掠めた瞬間、鋭い痛みが眼孔を貫き--僕の視界は血に染まり消失した。残酷で切なく、醜悪に美しいミステリアス・ファンタジー第6弾!
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Posted by ブクログ
今回のお話は繭墨から見ると多少の予想外はあったようだけど、どれも退屈なエピソードだったんじゃないかと思う。
基本的に読者は小田桐視点になると思うで、これはこれで良かったのだけど、やはり狐に代わる大物の登場が欲しいかなぁ。簡単に彼の目覚めを覚ますようなつまらないことはしないと思うので、第2幕をしばらく引っ張ってくれる屋台骨が必要だと思う。と思ってたらあとがきで、チョコレートデイズ第2巻出した後、新章開始とのこと。期待ですな。
白雪さんの接近はこの世界観の中では違和感に近いものがあったけど嫌いじゃなかった。あっさり拒むあたり小田桐の甲斐性ないのを再認。彼女の望みの本質は結婚じゃないのだから考えてやれと言いたい。ひとりも救えない小田桐だからこそやれることはやっておくべき。
顔と手だけという点でイラストが残念だったStory IIで、無戒のじじいが「下(シモ)の世話」という言葉を口にしたとき、ハッとしたのが、繭墨のこと。まあ下賤な話なのでこれ以上言わないけど、普段、世界のすべてを知っているかのような澄まし顔の彼女も下の際にはヒトと同じになるんだろうかと。神話では性交の話はあっても脱糞(言っちまった)の話はなかったと思うが、繭墨は異界を自由に開く力があるようなので、直腸付近に異界を繋げておいて・・・。(酔うと脱線がとまらない)
Posted by ブクログ
前巻にて、誰もが眉をひそめるような選択をして憎きあさとを助け出した小田桐
けれど、彼が自分の意志でその選択をしたならば、後悔が有ったとしてもあの道しか選べないなら、そこに絶望が有ったとしても彼なりの幸福に繋がっている可能性があると言えるのかな
今回はそれと似たような他者からの理解は難しくても当事者なりの幸福を追求するかのような話が目立った印象
冒頭から陰惨な行為が描かれるStoryⅠ、発作的に他者の眼球を抉る猟奇犯罪の話なんて随分とおぞましい
犯人の話を聞いてみても論理的であるようで居て決定機に破綻している。そもそも後悔しているだとかもう止めたいだとか口では言うのに、行動は全く言葉に沿っていない
彼自身ではどうしようもないその矛盾があざかによって解消され生じた自傷には何とも言えない気分になったよ……
他者の眼を抉るばかりだった男は己の眼を抉り取った事で穏やかな生活を手に入れた。狂気に染まったようにしか見えないその有り様はけれど幸福だなんて…
なんて矛盾だろうね
無戒はそれこそ他者から理解されようがない幸福の中に居た人間。その点は小田桐の目が見えない為に強調されるね。
彼の生活が異様だと知らず、無戒の伴侶を人間の女性と思い込んだ。それによって無戒を家事が下手なだけで気の良い人間に思えた。無戒が示す異能者であっても常人と分けて考える必要はないとの考え方をすんなり受け容れられた
真相を知った後にこのエピソードを改めて読み直す際、無戒の傍に侍るは何ものか想像しながら読むとそれこそ絶句するようなおぞましさを覚えてしまう気がするよ…
逆に綾の件は見えているからこそ彼女が幸福を掴めるのでは無いかと小田桐に思えたエピソードとなったのかな?
視界が不自由な時には彼女は白い塊にしか見えない。けれど回復した視界では普通の人間に見える。一方で綾の方は人間の形を保っていても自身を人間と思う事が出来ず不安定になる
でも、それは言ってしまえば人間になりたいとの欲求の裏返し。綾は化け物ではなく人間としての幸福を得たいと思っている
綾の悩みはかつて小田桐が通った道とも言える。だから小田桐は自分の信念を彼女にも掲げられるものとして話してやれる
StoryⅣは凄まじい始まり方をしたけど、終わってみればこちらは幸福の押し付けを思わせる話が展開されていたような
小田桐は白雪の事が嫌いな訳では無いが、彼女を愛せる心境には成れないと彼女の告白を断った。それは自分と連れ添わない方が彼女にとって幸福だと考えたから
でもそんな自分勝手がむしろ白雪を傷つけるのは当然で
白雪は小田桐を圧倒する覚悟を既に備えている。ただ、小田桐の側にそれに釣り合うだけの想いがまだ無いだけで
鴉越の館で起きた惨劇はそれこそ感情の押し付け合い、相手の幸福を勝手に決めるかのような振る舞いが目立つね
惨劇の背景が明かされない内は世を去ってしまった雛を思い偲ぶ者達が彼女を忘れられず集っているように見えるけれど、見方を変えれば彼女が死んでも変わらずあの家に集える彼らは可怪しいとも言えて
樹達という存在を雛の死を哀しみつつ鴉に襲われる被害者という視点のままだと見通せない鴉越の真実
けれど樹達こそ雛の幸福を勝手に定め追い詰めた加害者と考えるとこのエピソードの構図は引っ繰り返る。確かに真実が明らかになってから雛が見せた狂気は理解を拒むものだけど、他方でその狂気は何処か無理が有る。まるでそう思い込む事で自分を保とうとしているかのような
彼女は他人に押し付けられて崩れた幸福を、更に自分で押し付け直す事で保とうとしている。そんなものはもう存在しないというのに
過去に似た心境に居た白雪からの問いが彼女の心に罅を入れたのだろうね。だからこそ最後の最後に彼女が抱いた殺意は純然たる自由意志によるものと言えるのかもしれない……
水無瀬の宿命に殉じようとしていた頃の白雪は小田桐と出会って自分の心の行く先を己の意志によって決めた。いわばあの恋心こそ白雪が手にした真の幸福と言える
それだけに小田桐がそれに応えられないと決めつけている点が気になるが……
Posted by ブクログ
眼球の話、床を這う女の話、綾の悩みの話、鴉の話、4話構成で成り立ち、それぞれの話が独立している。
今回のテーマは幸せの形。人によって何を幸せと感じるか、何が辛いのかは違う。周りからしたらとても幸せだとは思えなくても、本人が幸せだと感じているのならばそれは良いことなのだろうか?そして、自分の幸せのためなら他を犠牲にしてもいいのか?自分の幸せは他人の不幸の上に成り立っているのかもしれない。
Posted by ブクログ
今回は、連作短編仕立てになっています。
第1章では、妹と自分自身の視線から逃れようとして狂気に陥った男の物語。小田桐は、あざかを男から守ろうとして目を攻撃され、ショックで一時的に視力を失ってしまいます。
第2章は、死にゆく異能者の依頼を受けて、あざかと小田桐が彼の最後を看取る話です。
第3章は、小田桐と雄介、七海、綾が闇鍋をする話。
第4章は、異能者の鴉越雛(うごし・ひな)が自殺した後、彼女の眷属であるカラスの様子がおかしいことに気づいた鴉越樹(うごし・いつき)が、あざかに調査を依頼する話。
今巻は、白雪が小田桐のもとに押しかけてきて、ラブコメ色がかなり強くなっていますが、ストーリーそのものも十分に楽しめました。
Posted by ブクログ
今回はインターバルということで、リラックスして読もうと思うと内容はいつも通りのB.A.D.ワールドなので怪我します。
相変わらず正面から突っ込んでは傷つく小田桐は相変わらず。だが、読者的にも小田桐本人にもどうやら耐性が付きつつあって、なんかアレ。ここまでくるとグロシーンも大したことなくなってきたし、まぁ6巻目だし仕方ないよね(ぇ
といっても、インターバルですから若干日常回だと思う。うん。七海や嵯峨の話とかはそう。
そして今回は久々に白雪さんが登場。もう彼女眩しすぎて直視できないわ・・・
てか小田桐は不死身ってことでいいんですかね?毎回ボロボロになるわりに次の巻になると何事もなかったかのようになってるし。
Posted by ブクログ
小田切くんは今回も負傷しています。毎巻本当に大変ですね。そしていき過ぎた愛がいっぱいです。白雪さんも繭墨さんも七海も女のコはみんな可愛いです。