konaのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この最終巻は小田桐が認められなかっためでたしめでたしの物語をどうひっくり返すかが要点なのだけど、それは言ってしまえば小田桐が救われる可能性に背を向ける構造にもなっている
あざかが居なくなってもあさとが腹を塞げる、紅い女の影響は徐々に消えるから小田桐は何とか日常に戻れる。そうした平穏を壊してあざかを取り戻そうとする
作中にて定下があざか救出に反対するスタンスを取るけれど、落ち着いて考えれば彼は何も間違っていないと判る
誰がどう見たって小田桐は破滅への道を突き進んでいる
その端緒が描かれたのが七海や雄介との大食いかな
ぱっと見であれば、日常生活の象徴である食事を通して自分が生きていると感じ直す行 -
Posted by ブクログ
ヒルガオの死を嘆き悲しみ暴走する雄介を通して、改めて己の不出来も愚かさも悟った小田桐。けれど、日傘達を死なせた時のように立ち止まらずに済んだのは、愚かであろうとも行動する重要性を知っているからか
ただ、この小田桐は満身創痍でありながら新たな危険に自ら飛び込むそれはそれで危ういタイプと化しているんだけど
どれだけ言葉を尽くしても、復讐を果たしてしまった雄介も、復讐に奔ろうとする久々津も最早止められない。そもそも腹に鬼を宿している以外の特別性を持たない小田桐では彼らを止める術がない
それでも小田桐が彼らを止めようとするならば、それこそ言葉を尽くすしか無い。そうした悪足掻きを辞めなかったからこそ -
Posted by ブクログ
ヒルガオが死に雄介は壊れてしまった
前々から手の施しようの無い人物では有ったけど、一緒に馬鹿が出来る程度には社会に紛れ込める人間性は持ち合わせていた。けれど、ヒルガオの死は雄介を決定的に壊してしまうね
人間性を捨て去った彼を小田桐は全く制止できない。彼にすら暴力を向けてあさとや舞姫を殺そうとする雄介は手遅れとしか思えない
この巻ではそんな雄介を始めとして、手遅れで救いの無い相手に対してどのように救いの手を差し伸べるのかという点が描かれていた気がするよ
StoryⅠの少女達は典型例
狐のゲームとして舞台を用意されながらも放置されていたが為に、そしてルール違反をしてしまったが為に救いが消え去 -
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Posted by ブクログ
最近同作者の新作を味わった関係でこちらも読みたくなる欲に耐えられずつい読み始めてしまったよ
読んだのはかなり昔の筈なのにちょくちょく覚えているシーンがあるのは結構心に刺さる作品だったからなんだろうなぁ
紅い唐傘を差すゴシックロリータ姿の繭墨あざか、腹に鬼の子を宿す小田桐勤
メイン二人の設定だけでも強烈に惹き付ける力を持っているのに、作中に依頼人や関係者として登場する人物がそれぞれに狂気を宿しているものだから何もかも強烈
依頼人や関係者は登場時こそ発言が支離滅裂な事が多い。けれどあざかによってその思惑が解説される事で、それは狂気のままに一本気の通った人物であると判る
ただ、それは他者の理解 -
ネタバレ 購入済み
切ない
ただただ切ない。
タイトルの通り、本当に一人だけ……
みんながトールのことを考えて行動してる。
対立したり、諦観のような視点もあるけど、生きることと夢を見ること叶えることを諦めないで欲しいという訴えは届いた気でいる。
終盤に少しSF展開があるけど、そのまま読み続けて欲しい。
どんでん返しとそっと胸にくるものがあるから…… -