加藤かおりのレビュー一覧

  • ちいさな国で

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    ルワンダでのフツ族によるツチ族の大虐殺のニュースはたいへんショッキングだったのでよく覚えている。それ以前にも同じようなことが繰り返されていて、そのせいでルワンダから隣国のブルンジに逃れてきたルワンダ難民のツチ族の女性とフランス人男性の間に生まれた男の子が、少年期までを過ごしたブルンジでの日々を回想する形式で書かれた一作。ブルンジもルワンダと同じフツ族とツチ族で構成された国で、ルワンダで大虐殺が起こった後、元々政情が不安定だったブルンジでも民族間の戦争が始まったために、彼は父親の故国フランスに逃れる。
    虐殺や戦争が始まるまでの彼の日々は、両親の不和などの不安材料はあるものの、家族や親戚、友人に囲

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    2020年05月25日
  • すべては救済のために

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    ネタバレ

    ノーベル賞平和賞を受賞される前に書いた自伝、今後(旧ザイール)に生まれ、世界的に重要な医師になるその道のりは、決して平たんではなく、なったらなったで様々な障害が待ち受けている。激しく揺れ動く国内政治や国際情勢の中で、これだけ一貫性をもって生き続けている人がいる、ということは大きな励みになる。
    自分のコミュニティのために尽くすことが、世界にとっての大きな価値を生み出している。
    また同時に、現場に根差した活動には、専門家・プロフェッショナルとしての技術と信念が備わっていて、学ぶべきところが多いと思った。
    働き方に加えて、生き方についても多くを教えてくれる。
    人生は日々の積み重ね、なにかのために何を

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    2019年10月06日
  • マプチェの女

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    アルゼンチンにおける過去の圧政、軍事独裁政権、あるいはファシズム時代の負の遺産の発掘と同じく先住民族に対する差別をテーマにしたミステリー。フィクションには違いないが、アルゼンチンの暗黒部分が圧倒的なスケールで押し寄せてくる。

    次の殺人を防ぐための事実の調査が、結局次の殺人を生み出してしまうという負のスパイラルの連続。読んでいて気が重くなる一方だ。しかもその合間に触れられるアルゼンチンの酷い歴史とそれに紐づく警察や宗教界の対応。

    しかし、それでも次々読み進めてしまうのは場面転換や、ジャナやルベンが遭遇する少しの光が前向きに展開していくからだろうか。

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    2018年06月23日
  • ささやかな手記

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    スティーブン・キングの作品を連想させる設定だが、現実社会から乖離したように舞台が出来上がっていく感が本著はより一層強い。不条理な立場に立たされた被害者たちがさらに心理的に追い込まれていく描写は、強い絶望感を伴って読者に迫ってくる。

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    2016年08月06日
  • ささやかな手記

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    一気に読める。印象的なフレーズもたくさんあって、ちらりと深みを感じさせもする。
    しかしいかんせん凄惨すぎ、痛過ぎる。。。

    「その女アレックス」などもそうなんだけど、監禁や暴力は読むのがつらくてつらくて、つらさだけが最も残ってしまう。あるのはつらさだけじゃないのにね。

    イヤミスと言えるものかどうかわからないけれど、もうイヤミスはやめようよ、と言いたい。
    読み応えはあるが、拭い去ることの出来ないこの読後の不快をどうしよう。

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    2016年08月05日
  • マプチェの女

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    なかなか掘り出し物。南米舞台は新鮮やし筋はオーソドックスやし理解しやすい。
    表紙の女性はもうちょい胸なくてもいいんちゃう(描写的に)

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    2016年03月24日
  • 異常【アノマリー】

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    展開が思ってたのと違ったけど登場人物の多様な背景をもとにエピソードが展開される感じは読む価値あり

    それにしても登場人物多すぎ…

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    2025年12月06日
  • 生き急ぐ

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    ゴングール賞受賞作品ってことで、興味深く読みました。フランス文学って、やっぱりちょっと感覚が違うかなって改めて思う。pied noir って言葉も出てきて、フランスでホームステイしてたときに教わった言葉だから懐かしかったー

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    2025年12月02日
  • 迂回

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    ネタバレ

     まず、この小説を読んで思ったことは推理小説ではあるんだがはっきりとした事件や犯人が出てこなく、不思議な小説ということです。次にイタリア・シチリア島をせっかく夫婦で旅行している中、天気が大荒れで夫がさらに道を間違いまくっていくということです。
     自分はイタリアを個人で旅行する際に、身の回りの物(特にパスポート)は肌身離さず持つということをさんざん言われましたが、結局イタリアを旅行することはありませんでした。でも、海外を旅行するときには身の回りのものには気をつけるということをこの小説を読んで改めて思いました。あと、夫が道の選択を間違った上に何かにぶつかったという現象は最後になっても解決されること

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    2025年11月27日
  • 異常【アノマリー】

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    "異常"に巻き込まれた当人たちそれぞれの未来は明るくもあり暗くもあるが、この世界全体としては明らかに破滅に向かって行く様相で、混迷の道を進む世界や異常そのものの原因へのフォローがないまま描かれるあのラストはとても良かった。
    事態に対して居心地の悪い妙な軽快さがあり、その緩やかな終わりへの描き方はネビルシュートの「渚にて」を思い出す。しかしこの世界の終わりはそれよりもさらに悲惨なものになると思う。

    多くの登場人物が存在し一見群像劇のように描かれてはいるが、その人物たちが交わることはほとんどなく個人個人の様子が描かれるばかりなのでそうした面白さはほとんどなかった。
    この作品自

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    2025年11月07日
  • 迂回

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    ずっと逃げてた。
    現実に向き合うことを避け、大丈夫だと自分と妻に言い聞かせながらも頭をフル回転させ逃げる様は、まあ気持ちわかるけどもね、とは言いたくはな……………らないか……。
    短く読みやすいが、少々唐突に終わるので続きが読みたい。

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    2025年11月01日
  • 生き急ぐ

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    自分は昨日のことも思い出せないのに、20年前の事故のことをこんなに整理して覚えていられる作者を尊敬します。

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    2025年10月29日
  • 異常【アノマリー】

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    カッコつけて読んでみたけど、難しかった。
    これが完璧にできて、かつ面白いと胸張って言える大人になりたい。

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    2025年10月16日
  • 異常【アノマリー】

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    ネタバレ

    翻訳物ってそんなに読まないから、そこへの違和感みたいなのに慣れるのに時間がかかった…。
    物語自体は面白いし、俯瞰してる私はジェットコースターだけど、きっとそれぞれ(ダブル含めて)の中で流れる時間は淡々としていってるような気もして。

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    2025年09月26日
  • 異常【アノマリー】

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    最後が難解。そんな表現方法が!?とアーティスティックな雰囲気に気を取られた。しかし、あの現象は本当にシュミレーションだったのだろうか。

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    2025年09月24日
  • 迂回

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    シチリア島にヴァカンスで訪れた夫婦
    楽しいはずの旅が選択を間違え悪夢へと変わる
    今まで読んだことのない奇妙な小説でした
    ずっと不穏で不気味な雰囲気でストーリーは進み、軽い文体で読者は物語の世界に惹き込まれます
    好き嫌いは分かれると思いますが、私は好きでした

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    2025年09月13日
  • 異常【アノマリー】

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    読んだ後のモヤモヤ感がすごくて、しばらく抜け出せなかった。完全なエンタメと思って読んだんだけど、いやいや、違って、これは人間が理解できない状況に陥った時の群像劇だと思ったら、なんとなく腑に落ちた。私だったら、どうするかなぁ。読後もぐるぐる考えた。読後に色々な感情が湧き出てくる作品は悪い作品ではないと思う。著者はフランスの方。なんとなく納得!

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    2025年08月31日
  • 異常【アノマリー】

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    本屋で見て気になったので読んでみたけど、一体何なんだろう?これは。
    航空機で乱気流に巻き込まれた人たちが(いや、世界中が)異常な出来事に出会うと言うお話。
    出てくる人たちのそれぞれのエピソードが矢継ぎ早に、次から次へと展開するので、全く人物が覚えられないまま進んでいく。

    頭の良い人が考えたあらゆる異常事態に想定したプロトコル。その中でも「こんなんありえへんやろ」と冗談半分で作っていたコード42が発動された。
    FBIが世界中に散らばって例の飛行機に乗っていた乗客をかき集める。
    そこからが面白い。今まで出てきた登場人物がそれぞれが異常事態の起こった飛行機に乗った登場人物ということで非常に大きな異

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    2025年08月23日
  • 異常【アノマリー】

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    帯で煽りすぎ、そこまで面白く無いよ。
    もしも、こんな事が起きたら人はどうするのか?
    思考実験みたいな小説
    謎が発生してから、謎を解くまでのワクワクドキドキは映画「ミレニアム」に似ていたが、同じように謎が解かれると、その安直な答えに「ミレニアム」と同様に気持ちは空気が抜けた風船のようにしぼんだ。
    暇つぶしに読むには丁度良い本。

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    2025年08月11日
  • ちぐはぐなディナー

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    大人の男女の物語
    二組のカップルはそれぞれに
    互いに物足りなさを感じている
    出世したい男とおとなしい女の一組
    やり手の女と単なる教師の男の一組
    やり手の女の昇格を機に
    仕事をもらおうと目論む男
    関係に疲れた女

    四人は別れて別々の道を選択する
    ことになる
    外国の作品だからこそなのか 
    雰囲気は理解できた
    ちょっと退屈な印象だった

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    2025年08月09日