加藤かおりのレビュー一覧
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ネタバレガエル・ファイユの自伝的小説のようであり、デビュー作のようである。
「ぼくは、ぼくの子ども時代を追われたのだ」この言葉がこの話の本質を得ているのではないかと思う。
主人公は子どもから大人に変わる時期をはく奪され、両親も友達も近所の仲間も多くを失った。またその失った原因は外的要因である民族間の問題である。
父が政治に興味を抱かせなかったのも、政治に関わることで民族というフィルターが貼られることを想ってであり、そのフィルターがなかったために、主人公はある意味では自然的に、ある意味では周囲の状況を理解できなかったのだと思う。
また、主人公は何度も恐怖と怒りの天秤に関わるところは、民族間の争いが起こったことを間接的に伝えているのだと思う。
幸せとは生まれながらにして決まるのか。そうではないと信じたいが、ちいさな国では重い現実があるのだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの著者のDVD「女を修理する男」を見てこの本にたどり着いた。
このDVDに興味を持ったのは、「性暴力が兵器として利用されている」という衝撃的なニュースを読んだから。
DVDよりもより詳しく著者の経歴やコンゴの歴史に触れているから、この本を読んでからDVDを見た方が分かりやすかったかも。
コンゴに限らずアフリカの悲劇はなぜなくならないのか。
国連は、アメリカは、先進国たちは一体何をしているのか不思議だっが、この本を読んで少しだけ理解できた気がする。
資源が豊富なアフリカでは先進諸国を含むあらゆる利権が絡んでおり、アフリカの内戦の裏には先進諸国の影がちらついている。
その情勢は複雑で、どちらが善でどちらが悪か、一刀両断にすることは不可能。
私たち先進諸国の豊かさと平和は、アフリカ地域の悲劇の上に成り立っていると言っても過言ではない。
それにしてもこのDr.は本当に凄い人物。
何度命を狙われても屈せずに女性達のケアに立ち向かう。
「暴力に立ち向かうには愛が必要だ」という著者の主張には心を打たれた。
アフリカの悲劇に対して私たちができることは何もないと思いがちだが、日々この平和に感謝をし、身近な人、地域、国を愛することが平和に繋がるかもしれないと思えた。
特にこの医師が凄いのは、単に患者を治療するだけでなく心のケアまで行い、更に金銭的主導も行い、患者が誰にも頼ることなく自分達で医療費を払えるようにし、病院の経営も立て直したところ。
この医師の活動は、20年にも及ぶ。
なぜ世界に認知されるまでに時間がかかったかというと、世界各国は「性暴力」という言葉に目を背け続けてきたから。
なぜなら、ずっと世界のリーダー達は男性だったから。
ようやく世界に認知されたDr.だが、今度は国内から様々な批判や脅迫を受けている。
祖国の現状を訴えるDr.の姿は、歪んだ愛国心を持つ者からは売国奴に見えるそうな。 -
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舞台のブルンジは初めて名前をきく国だった。ホテル・ルワンダも映像としての衝撃があったけど、この小説は、特にお母さんの言動を通じて当事者としての体験が生生しく感じられる。
中立に、平和主義で、事なかれ主義でいたい性格の主人公が、殺伐としていく状況から逃げたいけどどうしようもなく紛争に絡め取られていく様子が丁寧に描かれてた。少年時代とその喪失、家族の問題、特権階級として存在する白人たち、そして民族対立の憎悪と狂気と悲しみ。色んな要素がぐるぐると混ざり合う。主人公と同じく読者も、それらに翻弄されながら受け止めるしかない。できることとして、遠い異国の痛ましい話に関心を寄せ、心を寄せ、支援できることがあるなら支援すること。 -
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ネタバレフランスのミステリー。新聞の書評で知り読みました。主人公が犯人。強姦されそうになり相手を殺害。自首すれば自分も家族も不幸なると考え、被害者が当然別の場所で殺され、死体が出てこないのも世間が納得する状況を何とか作り出そうとする。強姦しようとした被害者は著名な作家で、SNSをやっていたので、作家が生きているかのように、Twitterに投稿し、電子メールを親しい人に送る。主人公は小説家の秘書になりすまし、小説家に親しい人に接近する。
人は周囲からどのように見られるかについて気になるが、別人格になりすます事で主人公が殻を破っていく過程がこの本の醍醐味です!地味な女性が異性を引きつける女性に変身するという昔からある話を現代的に焼き直した本とも言えます。なかなかの佳作。一気に読んだ。 -
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ルワンダでのフツ族によるツチ族の大虐殺のニュースはたいへんショッキングだったのでよく覚えている。それ以前にも同じようなことが繰り返されていて、そのせいでルワンダから隣国のブルンジに逃れてきたルワンダ難民のツチ族の女性とフランス人男性の間に生まれた男の子が、少年期までを過ごしたブルンジでの日々を回想する形式で書かれた一作。ブルンジもルワンダと同じフツ族とツチ族で構成された国で、ルワンダで大虐殺が起こった後、元々政情が不安定だったブルンジでも民族間の戦争が始まったために、彼は父親の故国フランスに逃れる。
虐殺や戦争が始まるまでの彼の日々は、両親の不和などの不安材料はあるものの、家族や親戚、友人に囲まれ、南国の光や果実の匂いに包まれたのびのびと幸せなものだった。アフリカの少年の日常生活を垣間見られたのも面白かった。
けれど、ルワンダで大虐殺が始まり、彼の日常は変わる。ここからの描写は本当に心に突き刺さるようだった。残虐だったり恐怖を感じるようなものにはできる限り目も耳もふさいでいたいというのが私という人間なのだけれど、ここに描かれていることよりも更に残酷で悲惨なことも実際たくさん起きているのだろうけれど、でもせめて、この本に描かれているようなことが世界のどこかで起こった・起きているという事実は覚えていたいと思った。 -
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ネタバレノーベル賞平和賞を受賞される前に書いた自伝、今後(旧ザイール)に生まれ、世界的に重要な医師になるその道のりは、決して平たんではなく、なったらなったで様々な障害が待ち受けている。激しく揺れ動く国内政治や国際情勢の中で、これだけ一貫性をもって生き続けている人がいる、ということは大きな励みになる。
自分のコミュニティのために尽くすことが、世界にとっての大きな価値を生み出している。
また同時に、現場に根差した活動には、専門家・プロフェッショナルとしての技術と信念が備わっていて、学ぶべきところが多いと思った。
働き方に加えて、生き方についても多くを教えてくれる。
人生は日々の積み重ね、なにかのために何をどれだけし続けたか、結果どうなるかわからなくても叶わない可能性を恐れずに開き直らずにどれだけ積み重ね続けられるか。
彼のストーリーは、自分の生き方を振り返る機会も与えてくれる。 -
Posted by ブクログ
アルゼンチンにおける過去の圧政、軍事独裁政権、あるいはファシズム時代の負の遺産の発掘と同じく先住民族に対する差別をテーマにしたミステリー。フィクションには違いないが、アルゼンチンの暗黒部分が圧倒的なスケールで押し寄せてくる。
次の殺人を防ぐための事実の調査が、結局次の殺人を生み出してしまうという負のスパイラルの連続。読んでいて気が重くなる一方だ。しかもその合間に触れられるアルゼンチンの酷い歴史とそれに紐づく警察や宗教界の対応。
しかし、それでも次々読み進めてしまうのは場面転換や、ジャナやルベンが遭遇する少しの光が前向きに展開していくからだろうか。