加藤かおりのレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
舞台のブルンジは初めて名前をきく国だった。ホテル・ルワンダも映像としての衝撃があったけど、この小説は、特にお母さんの言動を通じて当事者としての体験が生生しく感じられる。
中立に、平和主義で、事なかれ主義でいたい性格の主人公が、殺伐としていく状況から逃げたいけどどうしようもなく紛争に絡め取られていく様子が丁寧に描かれてた。少年時代とその喪失、家族の問題、特権階級として存在する白人たち、そして民族対立の憎悪と狂気と悲しみ。色んな要素がぐるぐると混ざり合う。主人公と同じく読者も、それらに翻弄されながら受け止めるしかない。できることとして、遠い異国の痛ましい話に関心を寄せ、心を寄せ、支援できることがあ -
-
Posted by ブクログ
ネタバレフランスのミステリー。新聞の書評で知り読みました。主人公が犯人。強姦されそうになり相手を殺害。自首すれば自分も家族も不幸なると考え、被害者が当然別の場所で殺され、死体が出てこないのも世間が納得する状況を何とか作り出そうとする。強姦しようとした被害者は著名な作家で、SNSをやっていたので、作家が生きているかのように、Twitterに投稿し、電子メールを親しい人に送る。主人公は小説家の秘書になりすまし、小説家に親しい人に接近する。
人は周囲からどのように見られるかについて気になるが、別人格になりすます事で主人公が殻を破っていく過程がこの本の醍醐味です!地味な女性が異性を引きつける女性に変身するとい -
Posted by ブクログ
ルワンダでのフツ族によるツチ族の大虐殺のニュースはたいへんショッキングだったのでよく覚えている。それ以前にも同じようなことが繰り返されていて、そのせいでルワンダから隣国のブルンジに逃れてきたルワンダ難民のツチ族の女性とフランス人男性の間に生まれた男の子が、少年期までを過ごしたブルンジでの日々を回想する形式で書かれた一作。ブルンジもルワンダと同じフツ族とツチ族で構成された国で、ルワンダで大虐殺が起こった後、元々政情が不安定だったブルンジでも民族間の戦争が始まったために、彼は父親の故国フランスに逃れる。
虐殺や戦争が始まるまでの彼の日々は、両親の不和などの不安材料はあるものの、家族や親戚、友人に囲 -
Posted by ブクログ
ネタバレノーベル賞平和賞を受賞される前に書いた自伝、今後(旧ザイール)に生まれ、世界的に重要な医師になるその道のりは、決して平たんではなく、なったらなったで様々な障害が待ち受けている。激しく揺れ動く国内政治や国際情勢の中で、これだけ一貫性をもって生き続けている人がいる、ということは大きな励みになる。
自分のコミュニティのために尽くすことが、世界にとっての大きな価値を生み出している。
また同時に、現場に根差した活動には、専門家・プロフェッショナルとしての技術と信念が備わっていて、学ぶべきところが多いと思った。
働き方に加えて、生き方についても多くを教えてくれる。
人生は日々の積み重ね、なにかのために何を -
Posted by ブクログ
アルゼンチンにおける過去の圧政、軍事独裁政権、あるいはファシズム時代の負の遺産の発掘と同じく先住民族に対する差別をテーマにしたミステリー。フィクションには違いないが、アルゼンチンの暗黒部分が圧倒的なスケールで押し寄せてくる。
次の殺人を防ぐための事実の調査が、結局次の殺人を生み出してしまうという負のスパイラルの連続。読んでいて気が重くなる一方だ。しかもその合間に触れられるアルゼンチンの酷い歴史とそれに紐づく警察や宗教界の対応。
しかし、それでも次々読み進めてしまうのは場面転換や、ジャナやルベンが遭遇する少しの光が前向きに展開していくからだろうか。 -
Posted by ブクログ
殺し屋、ポップスター、売れない作家、軍人の妻、がんを告知された男……なんのつながりもない人びとが、ある飛行機に同乗したことで、運命を共にする。飛行機は未曾有の巨大乱気流に遭遇し、乗客は奇跡的に生還したかに見えたが――。ゴンクール賞受賞作
第一章で、登場人物の紹介めいたエピソードが延々と続くので、受け付けない人は脱落するのでは。
私は割りと、ふむふむと楽しく読み込むタイプなので苦にならず。
第二章で何が「異常」なのかが明らかになり、第三章では「ダブル」同士での落としどころ、それぞれが語られる。
私はシンプルな解決方法を選んだブレイクが好きかも。
そして各自「マーチ」と「ジューン」のその後が語 -
Posted by ブクログ
ネタバレそうとう厄介な作品だ。
が、読み終わってみると、それなりの満足感がある、とも言える。
本書は、巻末の、あとがき、解説の世話にも大いになった。ご丁寧に、それらも、ここまでは第一部を読んでる途中の人へ、とか ここから先は結末に触れているなど、読者が頼ってくるだろうことを想定して書いているところも面白い。それだけ、厄介な、というか、途中で放り出したくなる序盤なのだった。
とにかく第一部は我慢して読んでみること。そして第二部は、あくまで建付けにすぎず、核心は第三部にある、と我慢に我慢が必要な作品だ。
訳者あとがきで、この先注意、とある先に書いてあることではあるが、これは先に知って読んでもよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ3.5くらい
読むのに時間かかった。物語の加速パートに入るまでが長い…人間も多くて誰だっけとなる。
シミュレーション仮説というのがどうも腑に落ちなくて、そこも読みにくいポイント
でも重複者それぞれの人生の選択が面白くて、特にスリムボーイは好き(対面の場で寿司を食べながらお互い見つめ合うシーン面白いし、なくした片割れとの出会いみたいにしっくりきててよい)
あとソフィアの父親による性暴力が明るみに出たところも、ちょいきついもののよかった。
終わり間際の俯瞰した状態で登場人物たちの様子が描かれるところ、映画みたい。
で、まさかの三便目…大統領の撃墜指示。ヒェ〜3があるなら4や5もあるのでは…これか