加藤かおりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フランスで生まれ育ったミランは、1994年のルワンダ虐殺を生き延びたクロードとの出会いと別れを経て母の祖国でもある彼の国へ。凄惨な記憶を背負う彼ら生存者たちに寄り添い、自らのルーツをも見つめ直す。
当事者から語られる事件の詳細はあまりにも辛く重たい。それでも、癒えない傷を抱えつつ、人生を歩みつづけようとする皆に心を寄せます。
ミランの母がなかなかシビアかつ強烈な人物で、しっかり個人として息子に向き合う姿が西洋個人主義的。「そうあろう」としているようにも感じるし、あの地獄から徹底的に息子を守ろうとする愛の盾でもあった。
そして感情の流れは事件後に生まれたせだいでもあるステラにも続いてゆく。
日本の学生が選ぶゴンクール賞とのこと。候補作を学生たちがフランス語で読んでディベート・表彰というのも初めて知りました。すばらしき取り組みと慧眼。 -
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた作品を、満を持して読んだ。
第一章は登場人物たちの日常が延々と描かれる。人数も多く、正直やや退屈。しかし章の終わりで衝撃的な展開を迎える。
そこから先は、「一体何が起きているのか」という謎を追う話というより、その異常な出来事に直面した人々がどう生き、どう判断するのかを描く。SF的な仕掛けを用いているが、読後の印象はむしろ哲学的な思考実験のよう。
第一章の日常描写が生きてくるのもそこから。様々な人物の視点や生活が描かれ、それぞれが同じ現象にどう向き合うのかが示される。読みながら何度も「自分だったら」と考えた。
SFやミステリーとして読むと、謎解きやカタルシスは少ない。一方で、「もしこんなことが起きたら」という発想を軸にしたエンターテインメントとしては最後まで楽しんで読めた一冊。
ラストもうーむ。 -
ネタバレ 購入済み
想像を裏切られる
「第一部のラストで思わず本を落とした」という小島監督などの帯コメントにひかれて購入。
SF読みなので一部のラストでめちゃくちゃ驚いたかというとそうでもなかったけど、その後の展開がすばらしい。
私を含む多くの読者が(なんで? どうしてこうなったの?)と期待するタネ明かしが本筋ではなく、(巻末解説にもあったが)それにどう立ち向かうかを作者は描きたかったのだ。そこが目ウロコでおもしろかった。そういう物語でもいいよね。
多岐にわたるジャンルへの作家の博識もすばらしいが、訳者のなめらかな翻訳がさらにすばらしい。
おかげで様々な文体ジャンルを含む物語をすらすらと読めた。
(アンドレの日常だけ、興味が持てなくて一瞬、放り出そうとしたけど)。
そして、ブレイクはそれでよかったのか、なみたいなアレもありますが、総じて楽しい読書体験でした。