加藤かおりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレまず、シミュレーション仮説、世界線(人物)の分岐を扱ったエンターテインメントSFとして面白い。第一部の核心に触れるまでに不穏さが高まっていく感じがよかった。
後半に入り、何が起きたのかが明らかになってからはコピーが生まれてしまった人間たちそれぞれの自分との向き合い方に焦点が移る。複製との協力関係を選ぶものもいれば、隔離、あるいは抹殺という選択をするものもいる。この選択は自分の絶対性をいかに信じているかによるのかもしれない。ブレイク(おそらくサイコパス)は自分の絶対性を信じて疑わない。だから複製を抹殺した。アンドレは自分の過去の行いを悔いていた。だから複製にアドバイスを与え、同じ轍を踏まないよう -
ネタバレ 購入済み
想像を裏切られる
「第一部のラストで思わず本を落とした」という小島監督などの帯コメントにひかれて購入。
SF読みなので一部のラストでめちゃくちゃ驚いたかというとそうでもなかったけど、その後の展開がすばらしい。
私を含む多くの読者が(なんで? どうしてこうなったの?)と期待するタネ明かしが本筋ではなく、(巻末解説にもあったが)それにどう立ち向かうかを作者は描きたかったのだ。そこが目ウロコでおもしろかった。そういう物語でもいいよね。
多岐にわたるジャンルへの作家の博識もすばらしいが、訳者のなめらかな翻訳がさらにすばらしい。
おかげで様々な文体ジャンルを含む物語をすらすらと読めた。
(アンドレの日常だけ、興味が持てな -
Posted by ブクログ
ネタバレガエル・ファイユの自伝的小説のようであり、デビュー作のようである。
「ぼくは、ぼくの子ども時代を追われたのだ」この言葉がこの話の本質を得ているのではないかと思う。
主人公は子どもから大人に変わる時期をはく奪され、両親も友達も近所の仲間も多くを失った。またその失った原因は外的要因である民族間の問題である。
父が政治に興味を抱かせなかったのも、政治に関わることで民族というフィルターが貼られることを想ってであり、そのフィルターがなかったために、主人公はある意味では自然的に、ある意味では周囲の状況を理解できなかったのだと思う。
また、主人公は何度も恐怖と怒りの天秤に関わるところは、民族間の争いが起こっ -
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Posted by ブクログ
ネタバレこの著者のDVD「女を修理する男」を見てこの本にたどり着いた。
このDVDに興味を持ったのは、「性暴力が兵器として利用されている」という衝撃的なニュースを読んだから。
DVDよりもより詳しく著者の経歴やコンゴの歴史に触れているから、この本を読んでからDVDを見た方が分かりやすかったかも。
コンゴに限らずアフリカの悲劇はなぜなくならないのか。
国連は、アメリカは、先進国たちは一体何をしているのか不思議だっが、この本を読んで少しだけ理解できた気がする。
資源が豊富なアフリカでは先進諸国を含むあらゆる利権が絡んでおり、アフリカの内戦の裏には先進諸国の影がちらついている。
その情勢は複雑で、どちら -
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Posted by ブクログ
舞台のブルンジは初めて名前をきく国だった。ホテル・ルワンダも映像としての衝撃があったけど、この小説は、特にお母さんの言動を通じて当事者としての体験が生生しく感じられる。
中立に、平和主義で、事なかれ主義でいたい性格の主人公が、殺伐としていく状況から逃げたいけどどうしようもなく紛争に絡め取られていく様子が丁寧に描かれてた。少年時代とその喪失、家族の問題、特権階級として存在する白人たち、そして民族対立の憎悪と狂気と悲しみ。色んな要素がぐるぐると混ざり合う。主人公と同じく読者も、それらに翻弄されながら受け止めるしかない。できることとして、遠い異国の痛ましい話に関心を寄せ、心を寄せ、支援できることがあ -