あらすじ
〔ゴンクール賞受賞〕殺し屋、売れない作家、軍人の妻、がんを告知された男。彼らが乗り合わせたのは偶然か、誰かの選択か。パリ発の航空機がニューヨークに向けて降下をはじめたとき、異常な乱気流に巻きこまれる。乗客は奇跡的に生還したかに見えたが。先読みできない衝撃のエンタメ小説! 解説/斜線堂有紀
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登場人物が多いので、あらすじを追うのに難儀をしますが、本書に挟まれている「登場人物表」がとても役立ちました。本書は483ページほどの作品です。140ページあたりから、「異常」なことの内容が伝えられてきます。それ以降終わりまで一気に読み切る面白さです。この作品は、前知識ない状態で読み始めてもらい作品なので、私も物語については触れません。小説が好きな友人にはお勧めしたい作品です。
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各分野のデティールがすごく(殺し屋・ミュージシャン・医者・学者・FBIなどなど)細かく知的で楽しめる。人は3ヶ月で状況も考え方も変わってしまうものです♪
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折角ならネタバレ無で読んだ方が楽しめると思います。
カズオイシグロとかみたいな、文学をベースに結構強めにエンタメまぶした感じですが、ベースの人間を描くという部分が確りしているのでいい小説読んだわ。という非常に良い気分になりました。
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評判どおり、第一部のラスト数行で思わず声が出そうになるほど驚きの展開が待っていた。
いや、むしろここから物語の幕が一気に開いたような、それぐらいの衝撃を受けた作品だった。
並大抵の知識や想像力では、この作品は作れないだろう。
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ネタバレ検索を厳禁な小説です うっかり目につかないように、手早く読み進めようとしたのですが、物語は各人に迫って、短めに追っては次に移っていくので、垣間見える異常への関心を抱いても、前のアイツに興味があっても、ソイツには興味ないんだなぁという気持ちが湧いて、読み終えるまで、季節が移ろう程の時間がかかりました
作品として描かれている中で、フランスの小説の中での紋切型なアメリカや中国への印象が興味深かったです、日本についてもチラっと出てきて、こっちが花の都パリの豊かなライフスタイルしか想像しないのと同様に、向こうも浅く日本を切り取って、たまにニュースと関連付けて思い出すぐらいの関係なのだろうなぁと思いました
フランスの作家が、個人の様相を摘んで、重点を置いて書き連ねる内容が、日本の小説では見ない視点が多くて、海外の作品の翻訳を読んでいるのだなぁと、しみじみした気持ちになりました
翻訳作品は、現地での成功から、翻訳先での編集者と出版社の二重のハードルを越えないと出版されてこない訳ですから、より面白い作品である確率が高まる、という理論を信じているのですが、空振りが続いた中で、『異常』にまみえたのは僥倖でした
あと4年も経てば、もう昔の作品だし語っていいだろうって人が多数派になるでしょうから、いまのうちに読むのがオススメだと思います
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うん、面白かった!大学の仏文講義で受けたジョルジュ・ペレックとこんなところで再会するとは。ウリポの実験小説はやはり面白いし、かなりエンタメ性も強くて素晴らしい。人に薦めたくなる一冊!
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前半は登場人物の紹介パートで若干退屈。星2くらいかなと思っていたら…
中盤以降は怒涛のSF展開で、個人的にとても面白かった!ワクワク感が群を抜いています。
物語の締めもカッコよかったので星5です!
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一部のラスト(180Pくらい!)までは苦痛だった。
物語がどこに向かうのか、ともかくわからない。
数ページごとにシーンが変わり、登場人物が変わり、それぞれの人物の物語もぶつ切り。わかりづらく、わからない。全体を通しての客観的すぎる文体も手伝い、「?」が続き、正直なところ2回くらい読むのやめよっかなと思ったりしました。
一部の最後、一つの異常な出来事にゾクゾクする。
そして二部。一部で出てきた人物たちの深掘りが進む。この出来事に一部のシーンがつながっていく。なんせ最初はわかりづらかったので、確認のために何度も一部のそれぞれのシーンを読み返してしまう。
個人的に好きな要素も出てきたりして、この辺りがものすごく面白かった。
例えばインターステラーとか、量子力学とか、シュレディンガーの猫とか、シミュレーション仮説とか、そういう科学っぽいお話がすきな人はすごくワクワクできるかもしれない。(自分がそう。)
そして物語は交差したりしなかったりして進み、読み手に色々な解釈の余白を投げて終わる。
その余白の残し方だったり、群像劇だったり、シーンがとめどなく変わることだったり、すごく映画向きな物語だなあと思う。内容は全然違うのだけど、「マグノリア」を思い出した。
この物語に関してはラストに何かを決めて欲しかったけど、そこは好みかもしれない。
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フランス発の不可思議小説。
11名の運命を描く。
何かを書くことが即ネタバレになりそうなので書けないが、はじめは読むのが面倒に感じるくらい緩慢だが、1/4を過ぎたあたりから事態は急展開を迎えて面白くなってくる。
ところどころ出てくるユーモアが基本的に風刺というか皮肉が効いているし、多少偏見かもしれないが、フランス人は本当に皮肉とタブーと不平・批判が好きなんだなあと本書を読むとしみじみと感じる。
現代においても我ら東洋の国々と西欧の文化や価値観の違いに如実に表れていて面白い。
そして後半ラストは我ら個々の人生に対するテーゼであり、熟慮できたのもよかった。
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SFデカルト2.0
我々はプログラムにすぎないのだろうか。
仮に私たちがプログラムであるとして
私たちがゲームキャラクターを思い通りに操作できても自分達自身は自由に操作できない。
同様に私達が上位存在に操作されていたとしても彼らは彼ら自身を自由に操作できないのでは。
だからプログラムであろうがなかろうが完全に自由な存在などいないのだからその中でどうにか生きてゆかねばならない。
キャラクター同士のクロスオーバーが少なく「異常」にたいしてのオムニバス形式という感が強かった。故に読みやすいのだろうけど。
誰か1人でも読んでて刺さる人がいるかもしれない。
ラストの撃墜すると世界終焉エンドは気が利いていた。
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一度目は、なぜこんなことがおこったかの解を求めて一気読みをして????
いろんな人の解説を調べまくって、解はないことがわかり、異常事態が発生したときの人々のものがたりだとわかりました。
そこで、二回目にチャレンジし、日付に気をつけながら読み込むと面白さがわかりました。
しれーっと書かれている、アメリカ大統領の対応が恐ろしさと共に、ニヤリとしてしまう皮肉をかんじました。
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面白かった。
異常の正体も、そしてその後も。
一番良いなと思ったのは、異常が起こり、でも今後も日常が過ぎ去っていくだけで別に何も起こらないというのが良かった。
後、ラストの3回目以降のコピーされた?飛行機は墜落させるのがなんとも後味が悪くて、しかも変にリアリティがあって気持ち悪くて良かった。
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まず、シミュレーション仮説、世界線(人物)の分岐を扱ったエンターテインメントSFとして面白い。第一部の核心に触れるまでに不穏さが高まっていく感じがよかった。
後半に入り、何が起きたのかが明らかになってからはコピーが生まれてしまった人間たちそれぞれの自分との向き合い方に焦点が移る。複製との協力関係を選ぶものもいれば、隔離、あるいは抹殺という選択をするものもいる。この選択は自分の絶対性をいかに信じているかによるのかもしれない。ブレイク(おそらくサイコパス)は自分の絶対性を信じて疑わない。だから複製を抹殺した。アンドレは自分の過去の行いを悔いていた。だから複製にアドバイスを与え、同じ轍を踏まないようにした。スリムボーイは過去に向き合い自身をカミングアウトするために協力した。リュシーとジョアンナは自分の絶対性を疑わなかっただろうが、子供とパートナーの存在が異なって作用した。リュシーには社会性があり、二人を仲裁できる子供がおり、パートナーは同じ経験をしたアンドレ。ジョアンナにはまだ産まれる前の子供と一人のパートナー。
フランス文学らしい(?)熱い人生哲学は、英米のSFにはない良さがある。
この世が仮に高度な知的生命体によるシミュレーションだとしても、結局人間の行動は変わらない、というか変えようがない。我思う、ゆえに我(我が想定している一般的な知的精神としての我)あり。自分が認識している現実に対応していくしかない。そして人間は現実すらもゆがめて認知することができる(現実の環境問題のように)。悲観が翻った楽観。
前半では多様な登場人物の背景描写が物語の核心である「異常」事態の発覚に向かって集まっていくのに対して、後半ではそれぞれがまたバラバラに散っていきそれぞれの新しい人生に戻っていく。この構成が美しい。
あと完全なハッピーエンドとしないのも好き。狂信者によるアドリアナの殺害から、中国による複製の隠蔽、新たなエールフランス006便の出現。結局本当の真実を認識できている者は存在しない。
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なんか格好つけた本だなって印象。
実際、展開は格好良いんだけど、、リアルとオカルトの狭間というか、、。
信じるか信じないかは、あなた次第です!
のオカルト感。(逆に謎)
しかし、よくこんな話を考えるなぁ。パンばっかり食べてるからかなぁ。(ひどい偏見)
お国柄なのかフランス映画もそうだけど、変に静かなシーンを1カットで長く使うみたいな、ちょっと独特なリズムを文章からも感じました。(日本語訳だけど)
異常です。(結果、これを言いたかっただけ)
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ごく異常な状況において人間がどう振る舞うか、の思考実験を見せられる。極限状況での人間を見て本質を判断する的な作品はあまり好かないけれど、これは違った。じわじわと不安な気持ちにさせられ、淡々と状況が動いていく様から目を離せずすごいスピードで読んだ。久々に読書体験自体が楽しかった本。
でも個人的には前半の群像劇パートが好きだったかな。作品内作品である『異常』を端から端までしっかり読みたい。
運命とは偶然刺さったダーツの矢の下に的を描く行為にすぎない。←これとても好き
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本筋のSF部分は言うまでもなく大変面白い。
一方で、それを差し置いても心理描写がとにかく多彩で、ヒューマンドラマ小説としても十分に楽しめた。
多様な比喩表現で登場人物たちの心の機微をありありと伝えてくれた。
例えば、粗雑な性格をした夫を持つ女性の話などは特に沁みた。
若かりし頃、夫が自分のために詠んでくれた詩が、実はただの引用だと知った時の虚しさ。
かつて心優しかった夫は今や乱暴な男性へと成り果てた。
そんな夫を受け入れるために、自分の中で気持ちの落とし所を探る、苦痛で愛の無い作業を繰り返す。
この手の描写を多様な比喩を用いて、懇切丁寧に人物を描いている。
そのため、ヒューマンドラマ群像劇としても大変読み応えがあった。
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目的も理由も何もない絶対的な“異常”がある。
そんな物語はラストも“異常”
当然、感想もまともには書けないので、作中の文章を引用することに……
「運命という言葉は好きではありません。それは、矢が突き刺さった場所に、あとから的を描き足すようなものだから」
ジャンルにこだわらずに読むこと。
想像を裏切られる
「第一部のラストで思わず本を落とした」という小島監督などの帯コメントにひかれて購入。
SF読みなので一部のラストでめちゃくちゃ驚いたかというとそうでもなかったけど、その後の展開がすばらしい。
私を含む多くの読者が(なんで? どうしてこうなったの?)と期待するタネ明かしが本筋ではなく、(巻末解説にもあったが)それにどう立ち向かうかを作者は描きたかったのだ。そこが目ウロコでおもしろかった。そういう物語でもいいよね。
多岐にわたるジャンルへの作家の博識もすばらしいが、訳者のなめらかな翻訳がさらにすばらしい。
おかげで様々な文体ジャンルを含む物語をすらすらと読めた。
(アンドレの日常だけ、興味が持てなくて一瞬、放り出そうとしたけど)。
そして、ブレイクはそれでよかったのか、なみたいなアレもありますが、総じて楽しい読書体験でした。
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"異常"に巻き込まれた当人たちそれぞれの未来は明るくもあり暗くもあるが、この世界全体としては明らかに破滅に向かって行く様相で、混迷の道を進む世界や異常そのものの原因へのフォローがないまま描かれるあのラストはとても良かった。
事態に対して居心地の悪い妙な軽快さがあり、その緩やかな終わりへの描き方はネビルシュートの「渚にて」を思い出す。しかしこの世界の終わりはそれよりもさらに悲惨なものになると思う。
多くの登場人物が存在し一見群像劇のように描かれてはいるが、その人物たちが交わることはほとんどなく個人個人の様子が描かれるばかりなのでそうした面白さはほとんどなかった。
この作品自体が「重複現象が起こったらどうなるか」と言う神の目線でのシミュレーションである、と言うのが正しい扱い方なんじゃないかな。我々はそれを眺める観測者としてこの本を手に取りページをめくっていたんだと。
丁寧で上質な作品ではあったものの、SF好きには少し物足りなかったってのが正直なところかなぁ。
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翻訳物ってそんなに読まないから、そこへの違和感みたいなのに慣れるのに時間がかかった…。
物語自体は面白いし、俯瞰してる私はジェットコースターだけど、きっとそれぞれ(ダブル含めて)の中で流れる時間は淡々としていってるような気もして。
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読んだ後のモヤモヤ感がすごくて、しばらく抜け出せなかった。完全なエンタメと思って読んだんだけど、いやいや、違って、これは人間が理解できない状況に陥った時の群像劇だと思ったら、なんとなく腑に落ちた。私だったら、どうするかなぁ。読後もぐるぐる考えた。読後に色々な感情が湧き出てくる作品は悪い作品ではないと思う。著者はフランスの方。なんとなく納得!
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本屋で見て気になったので読んでみたけど、一体何なんだろう?これは。
航空機で乱気流に巻き込まれた人たちが(いや、世界中が)異常な出来事に出会うと言うお話。
出てくる人たちのそれぞれのエピソードが矢継ぎ早に、次から次へと展開するので、全く人物が覚えられないまま進んでいく。
頭の良い人が考えたあらゆる異常事態に想定したプロトコル。その中でも「こんなんありえへんやろ」と冗談半分で作っていたコード42が発動された。
FBIが世界中に散らばって例の飛行機に乗っていた乗客をかき集める。
そこからが面白い。今まで出てきた登場人物がそれぞれが異常事態の起こった飛行機に乗った登場人物ということで非常に大きな異様な出来事に巻き込まれていく。ネタバレせずに話すのはなかなか難しいけど。
登場人物それぞれの環境や悩み、人間関係や人生観などの人間ドラマがある。全く同じ状況になったら自分はどんな選択をするのか?自らの人生を他人?に譲る選択をできるのか。
途中、宗教観についても考えさせられる場面があるけど、狂信的な人はなかなか危ないな、という印象を持った。
途中まではとても面白い。次から次に場面展開して行って、飽きる暇なく進んでいく。文体や思考の仕方も登場人物に合わせて変えてあるそうで、器用な作家さんだなぁと思った。
最後の結末は色んなことを思う人も多いけど、自分は好きだった。よくわからんけども。
エンタメとして読むにはとても面白い。
全ての事象に納得を求める人にはモヤモヤっとしてしまうかも。
Posted by ブクログ
帯で煽りすぎ、そこまで面白く無いよ。
もしも、こんな事が起きたら人はどうするのか?
思考実験みたいな小説
謎が発生してから、謎を解くまでのワクワクドキドキは映画「ミレニアム」に似ていたが、同じように謎が解かれると、その安直な答えに「ミレニアム」と同様に気持ちは空気が抜けた風船のようにしぼんだ。
暇つぶしに読むには丁度良い本。
Posted by ブクログ
何の前情報も無く手に取ったので、ミステリだと思ってたらまさかのSFに転じて驚愕。
登場人物が非常に多く、且つ人物によって文体や語彙を使い分けているらしく、著者の筆力に圧巻される一方、私の知識や理解が追い付かずに正直読み辛いと思う場面もあった。
世界に巻き起こっている『異常』に民衆たちが気付き、じわじわと狂乱が巻き起こっていく様子が不気味で気持ちが悪い。
作中に新聞の写真を挟む事で、その後の2人の少女の殺害現場もリアルに想像してしまい、ゾッとした。
最後はすっきりしないけれど、読み応えのある作品だった。