あらすじ
〔ゴンクール賞受賞〕殺し屋、売れない作家、軍人の妻、がんを告知された男。彼らが乗り合わせたのは偶然か、誰かの選択か。パリ発の航空機がニューヨークに向けて降下をはじめたとき、異常な乱気流に巻きこまれる。乗客は奇跡的に生還したかに見えたが。先読みできない衝撃のエンタメ小説! 解説/斜線堂有紀
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Posted by ブクログ
最初はミステリーっぽく、後半からはSFの要素が強くなる。「もう一人の自分」が発生してしまった人たちの反応を、いろんなパターンで見られて面白い。
自分だったらスリムボーイズみたいに「もう一人の自分」と一緒になりたい。各国の首脳が本名で出ていて大丈夫なのかと心配になったけど、リアルな感じが出ていてよかった。ジョアンナが1番かわいそう。あとディヴィッドのお兄さんと奥さんもしんどい。ルイは大人過ぎて逆に心配。
1人ずつ時系列を整理して読むとわかりやすくなって、最初から読んだときと印象が変わってそれも面白い。
ぜひ映画化してほしい。
Posted by ブクログ
品性のあるブラックミラー
3月に異常をきたした人々の、6月の群像劇
◯登場人物たち
殺し屋、カエル、作家、弁護士。
◯品の良い展開
派手なスペクタクル展開にもできるのに、
あくまで人物を軸にしたストーリー展開
◯ワードセンスたち
ジューンとマーチ。
プロトコル42。
◯構成
一部
3月に同じ飛行機に乗った人々の紹介
6月末の話。皆がラストに国家の陰謀がチラリ。
二部
3月飛行機と6月飛行機。
三部
それぞれのビフォーアフター。
◯リアル?な政治的軍事的な流れ
◯SF展開に対する多角的なアプローチ
宗教、倫理、政治、たち。
◯三部の恐ろしすぎる展開
●人物描写の少なさ
キャラが浮かばず、人物たちが整理できない
前半は叙述トリックなのかも?と混乱するレベル
●一部のとにかく読みにくい文章
二部三部は読みやすいのに、翻訳合ってる?
●誰目線なのか、常に見失う文体
●引用とメタファーの乱用、本筋に必要?
●前半の冗長さ
Posted by ブクログ
一部のラスト(180Pくらい!)までは苦痛だった。
物語がどこに向かうのか、ともかくわからない。
数ページごとにシーンが変わり、登場人物が変わり、それぞれの人物の物語もぶつ切り。わかりづらく、わからない。全体を通しての客観的すぎる文体も手伝い、「?」が続き、正直なところ2回くらい読むのやめよっかなと思ったりしました。
一部の最後、一つの異常な出来事にゾクゾクする。
そして二部。一部で出てきた人物たちの深掘りが進む。この出来事に一部のシーンがつながっていく。なんせ最初はわかりづらかったので、確認のために何度も一部のそれぞれのシーンを読み返してしまう。
個人的に好きな要素も出てきたりして、この辺りがものすごく面白かった。
例えばインターステラーとか、量子力学とか、シュレディンガーの猫とか、シミュレーション仮説とか、そういう科学っぽいお話がすきな人はすごくワクワクできるかもしれない。(自分がそう。)
そして物語は交差したりしなかったりして進み、読み手に色々な解釈の余白を投げて終わる。
その余白の残し方だったり、群像劇だったり、シーンがとめどなく変わることだったり、すごく映画向きな物語だなあと思う。内容は全然違うのだけど、「マグノリア」を思い出した。
この物語に関してはラストに何かを決めて欲しかったけど、そこは好みかもしれない。
Posted by ブクログ
SFデカルト2.0
我々はプログラムにすぎないのだろうか。
仮に私たちがプログラムであるとして
私たちがゲームキャラクターを思い通りに操作できても自分達自身は自由に操作できない。
同様に私達が上位存在に操作されていたとしても彼らは彼ら自身を自由に操作できないのでは。
だからプログラムであろうがなかろうが完全に自由な存在などいないのだからその中でどうにか生きてゆかねばならない。
キャラクター同士のクロスオーバーが少なく「異常」にたいしてのオムニバス形式という感が強かった。故に読みやすいのだろうけど。
誰か1人でも読んでて刺さる人がいるかもしれない。
ラストの撃墜すると世界終焉エンドは気が利いていた。
Posted by ブクログ
一度目は、なぜこんなことがおこったかの解を求めて一気読みをして????
いろんな人の解説を調べまくって、解はないことがわかり、異常事態が発生したときの人々のものがたりだとわかりました。
そこで、二回目にチャレンジし、日付に気をつけながら読み込むと面白さがわかりました。
しれーっと書かれている、アメリカ大統領の対応が恐ろしさと共に、ニヤリとしてしまう皮肉をかんじました。
Posted by ブクログ
面白かった。
異常の正体も、そしてその後も。
一番良いなと思ったのは、異常が起こり、でも今後も日常が過ぎ去っていくだけで別に何も起こらないというのが良かった。
後、ラストの3回目以降のコピーされた?飛行機は墜落させるのがなんとも後味が悪くて、しかも変にリアリティがあって気持ち悪くて良かった。
Posted by ブクログ
まず、シミュレーション仮説、世界線(人物)の分岐を扱ったエンターテインメントSFとして面白い。第一部の核心に触れるまでに不穏さが高まっていく感じがよかった。
後半に入り、何が起きたのかが明らかになってからはコピーが生まれてしまった人間たちそれぞれの自分との向き合い方に焦点が移る。複製との協力関係を選ぶものもいれば、隔離、あるいは抹殺という選択をするものもいる。この選択は自分の絶対性をいかに信じているかによるのかもしれない。ブレイク(おそらくサイコパス)は自分の絶対性を信じて疑わない。だから複製を抹殺した。アンドレは自分の過去の行いを悔いていた。だから複製にアドバイスを与え、同じ轍を踏まないようにした。スリムボーイは過去に向き合い自身をカミングアウトするために協力した。リュシーとジョアンナは自分の絶対性を疑わなかっただろうが、子供とパートナーの存在が異なって作用した。リュシーには社会性があり、二人を仲裁できる子供がおり、パートナーは同じ経験をしたアンドレ。ジョアンナにはまだ産まれる前の子供と一人のパートナー。
フランス文学らしい(?)熱い人生哲学は、英米のSFにはない良さがある。
この世が仮に高度な知的生命体によるシミュレーションだとしても、結局人間の行動は変わらない、というか変えようがない。我思う、ゆえに我(我が想定している一般的な知的精神としての我)あり。自分が認識している現実に対応していくしかない。そして人間は現実すらもゆがめて認知することができる(現実の環境問題のように)。悲観が翻った楽観。
前半では多様な登場人物の背景描写が物語の核心である「異常」事態の発覚に向かって集まっていくのに対して、後半ではそれぞれがまたバラバラに散っていきそれぞれの新しい人生に戻っていく。この構成が美しい。
あと完全なハッピーエンドとしないのも好き。狂信者によるアドリアナの殺害から、中国による複製の隠蔽、新たなエールフランス006便の出現。結局本当の真実を認識できている者は存在しない。
想像を裏切られる
「第一部のラストで思わず本を落とした」という小島監督などの帯コメントにひかれて購入。
SF読みなので一部のラストでめちゃくちゃ驚いたかというとそうでもなかったけど、その後の展開がすばらしい。
私を含む多くの読者が(なんで? どうしてこうなったの?)と期待するタネ明かしが本筋ではなく、(巻末解説にもあったが)それにどう立ち向かうかを作者は描きたかったのだ。そこが目ウロコでおもしろかった。そういう物語でもいいよね。
多岐にわたるジャンルへの作家の博識もすばらしいが、訳者のなめらかな翻訳がさらにすばらしい。
おかげで様々な文体ジャンルを含む物語をすらすらと読めた。
(アンドレの日常だけ、興味が持てなくて一瞬、放り出そうとしたけど)。
そして、ブレイクはそれでよかったのか、なみたいなアレもありますが、総じて楽しい読書体験でした。
Posted by ブクログ
おもろい。ただダラダラしている。
180ページまでなんとか辿り着けばそこからは勢いで最後まで読んだ。
180ページの驚きがこの小説のキモだと思うので、ネタバレ厳禁にするのもわかる。いうてそこまでの展開は驚きに満ち溢れるというわけでもないので……
どちらかというと、「自分と全く同じ人物が突如この世に出現したらどうしよう?」という思考実験を楽しむ作品なのかなという気持ちもある。並行世界というわけではないから財産や家族は1人分なわけで、それをどうすればいいのか?という…悩ましい
登場人物が多く、その人物同士も大して交流しないので話が散逸してる印象を受ける。
世界規模を舞台にした話を書くぞ、というのが目的な気もするのでそれでいいのかもしれない。ただ、ソフィアの父をブレイクが殺すとか、リュシーとアンドリアナが元彼の悪口を言いまくるとか、そういう交流があったら楽しかったのになと個人的に思う。
話の展開で「この世は全部シミュレーションなのでは?」という突飛な方向に行ったのと、重複者たちの身の安全を確保するために各宗教の代表者を一堂に集めようというのはびっくりした。せっかくあんなに科学者が集まったのに哲学というか思考実験的なシミュレーション仮説にいっちゃうの?と少し残念に思った。プラン42という科学者が考えたユーモア的な展開が好みだっただけに…
ただ、重複者たちが存在を重複させながらもどうにか世界に馴染もうとするのはいいなと思った。特にスリムボーイたち。世界は混沌としており、それならそこにさらに混沌が増えてもいいだろうという世界の鷹揚さを見た気がした。
話の展開としては3機めのボーイング787が出てきて、さすがに3人目の重複者の処理はきついから撃墜したんだけどそれにより世界が崩壊してしまった、というエンドと理解している。どういう示唆なのかはわからないが……
同じ設定で星新一が連作ショートショートにしてほしいなという気持ちで読んでいた。星新一ならシニカルに、よりコメディチックに描いてくれたような気がする。