【感想・ネタバレ】異常【アノマリー】のレビュー

あらすじ

〔ゴンクール賞受賞〕殺し屋、売れない作家、軍人の妻、がんを告知された男。彼らが乗り合わせたのは偶然か、誰かの選択か。パリ発の航空機がニューヨークに向けて降下をはじめたとき、異常な乱気流に巻きこまれる。乗客は奇跡的に生還したかに見えたが。先読みできない衝撃のエンタメ小説! 解説/斜線堂有紀

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Posted by ブクログ

ネタバレ

前半は登場人物の紹介パートで若干退屈。星2くらいかなと思っていたら…

中盤以降は怒涛のSF展開で、個人的にとても面白かった!ワクワク感が群を抜いています。

物語の締めもカッコよかったので星5です!

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一部のラスト(180Pくらい!)までは苦痛だった。
物語がどこに向かうのか、ともかくわからない。
数ページごとにシーンが変わり、登場人物が変わり、それぞれの人物の物語もぶつ切り。わかりづらく、わからない。全体を通しての客観的すぎる文体も手伝い、「?」が続き、正直なところ2回くらい読むのやめよっかなと思ったりしました。

一部の最後、一つの異常な出来事にゾクゾクする。

そして二部。一部で出てきた人物たちの深掘りが進む。この出来事に一部のシーンがつながっていく。なんせ最初はわかりづらかったので、確認のために何度も一部のそれぞれのシーンを読み返してしまう。
個人的に好きな要素も出てきたりして、この辺りがものすごく面白かった。
例えばインターステラーとか、量子力学とか、シュレディンガーの猫とか、シミュレーション仮説とか、そういう科学っぽいお話がすきな人はすごくワクワクできるかもしれない。(自分がそう。)

そして物語は交差したりしなかったりして進み、読み手に色々な解釈の余白を投げて終わる。
その余白の残し方だったり、群像劇だったり、シーンがとめどなく変わることだったり、すごく映画向きな物語だなあと思う。内容は全然違うのだけど、「マグノリア」を思い出した。
この物語に関してはラストに何かを決めて欲しかったけど、そこは好みかもしれない。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SFデカルト2.0
我々はプログラムにすぎないのだろうか。

仮に私たちがプログラムであるとして
私たちがゲームキャラクターを思い通りに操作できても自分達自身は自由に操作できない。
同様に私達が上位存在に操作されていたとしても彼らは彼ら自身を自由に操作できないのでは。
だからプログラムであろうがなかろうが完全に自由な存在などいないのだからその中でどうにか生きてゆかねばならない。


キャラクター同士のクロスオーバーが少なく「異常」にたいしてのオムニバス形式という感が強かった。故に読みやすいのだろうけど。
誰か1人でも読んでて刺さる人がいるかもしれない。
ラストの撃墜すると世界終焉エンドは気が利いていた。

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2025年11月03日

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ネタバレ

一度目は、なぜこんなことがおこったかの解を求めて一気読みをして????

いろんな人の解説を調べまくって、解はないことがわかり、異常事態が発生したときの人々のものがたりだとわかりました。

そこで、二回目にチャレンジし、日付に気をつけながら読み込むと面白さがわかりました。

しれーっと書かれている、アメリカ大統領の対応が恐ろしさと共に、ニヤリとしてしまう皮肉をかんじました。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
異常の正体も、そしてその後も。
一番良いなと思ったのは、異常が起こり、でも今後も日常が過ぎ去っていくだけで別に何も起こらないというのが良かった。
後、ラストの3回目以降のコピーされた?飛行機は墜落させるのがなんとも後味が悪くて、しかも変にリアリティがあって気持ち悪くて良かった。

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2025年10月19日

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ネタバレ

まず、シミュレーション仮説、世界線(人物)の分岐を扱ったエンターテインメントSFとして面白い。第一部の核心に触れるまでに不穏さが高まっていく感じがよかった。
後半に入り、何が起きたのかが明らかになってからはコピーが生まれてしまった人間たちそれぞれの自分との向き合い方に焦点が移る。複製との協力関係を選ぶものもいれば、隔離、あるいは抹殺という選択をするものもいる。この選択は自分の絶対性をいかに信じているかによるのかもしれない。ブレイク(おそらくサイコパス)は自分の絶対性を信じて疑わない。だから複製を抹殺した。アンドレは自分の過去の行いを悔いていた。だから複製にアドバイスを与え、同じ轍を踏まないようにした。スリムボーイは過去に向き合い自身をカミングアウトするために協力した。リュシーとジョアンナは自分の絶対性を疑わなかっただろうが、子供とパートナーの存在が異なって作用した。リュシーには社会性があり、二人を仲裁できる子供がおり、パートナーは同じ経験をしたアンドレ。ジョアンナにはまだ産まれる前の子供と一人のパートナー。

フランス文学らしい(?)熱い人生哲学は、英米のSFにはない良さがある。
この世が仮に高度な知的生命体によるシミュレーションだとしても、結局人間の行動は変わらない、というか変えようがない。我思う、ゆえに我(我が想定している一般的な知的精神としての我)あり。自分が認識している現実に対応していくしかない。そして人間は現実すらもゆがめて認知することができる(現実の環境問題のように)。悲観が翻った楽観。

前半では多様な登場人物の背景描写が物語の核心である「異常」事態の発覚に向かって集まっていくのに対して、後半ではそれぞれがまたバラバラに散っていきそれぞれの新しい人生に戻っていく。この構成が美しい。
あと完全なハッピーエンドとしないのも好き。狂信者によるアドリアナの殺害から、中国による複製の隠蔽、新たなエールフランス006便の出現。結局本当の真実を認識できている者は存在しない。

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2025年10月12日

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ネタバレ

本筋のSF部分は言うまでもなく大変面白い。
一方で、それを差し置いても心理描写がとにかく多彩で、ヒューマンドラマ小説としても十分に楽しめた。

多様な比喩表現で登場人物たちの心の機微をありありと伝えてくれた。
例えば、粗雑な性格をした夫を持つ女性の話などは特に沁みた。
若かりし頃、夫が自分のために詠んでくれた詩が、実はただの引用だと知った時の虚しさ。
かつて心優しかった夫は今や乱暴な男性へと成り果てた。
そんな夫を受け入れるために、自分の中で気持ちの落とし所を探る、苦痛で愛の無い作業を繰り返す。

この手の描写を多様な比喩を用いて、懇切丁寧に人物を描いている。
そのため、ヒューマンドラマ群像劇としても大変読み応えがあった。

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2025年07月27日

ネタバレ 購入済み

想像を裏切られる

「第一部のラストで思わず本を落とした」という小島監督などの帯コメントにひかれて購入。
SF読みなので一部のラストでめちゃくちゃ驚いたかというとそうでもなかったけど、その後の展開がすばらしい。
私を含む多くの読者が(なんで? どうしてこうなったの?)と期待するタネ明かしが本筋ではなく、(巻末解説にもあったが)それにどう立ち向かうかを作者は描きたかったのだ。そこが目ウロコでおもしろかった。そういう物語でもいいよね。
多岐にわたるジャンルへの作家の博識もすばらしいが、訳者のなめらかな翻訳がさらにすばらしい。
おかげで様々な文体ジャンルを含む物語をすらすらと読めた。
(アンドレの日常だけ、興味が持てなくて一瞬、放り出そうとしたけど)。
そして、ブレイクはそれでよかったのか、なみたいなアレもありますが、総じて楽しい読書体験でした。

#切ない #エモい #カッコいい

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2025年06月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

翻訳物ってそんなに読まないから、そこへの違和感みたいなのに慣れるのに時間がかかった…。
物語自体は面白いし、俯瞰してる私はジェットコースターだけど、きっとそれぞれ(ダブル含めて)の中で流れる時間は淡々としていってるような気もして。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

思考実験的な内容と感じた。
もし、こんなことが起きたら、人はどう振る舞うのか、というパターンがいくつか描かれている。
この状況は、確かに異常。非科学的でもあり、科学的にも感じる。
なかなかこれは思いつかない。

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2025年08月04日

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