【感想・ネタバレ】異常【アノマリー】のレビュー

あらすじ

〔ゴンクール賞受賞〕殺し屋、売れない作家、軍人の妻、がんを告知された男。彼らが乗り合わせたのは偶然か、誰かの選択か。パリ発の航空機がニューヨークに向けて降下をはじめたとき、異常な乱気流に巻きこまれる。乗客は奇跡的に生還したかに見えたが。先読みできない衝撃のエンタメ小説! 解説/斜線堂有紀

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Posted by ブクログ

ネタバレ

3ヶ月前の自分が目の前に現れたら。
あるいは、3ヶ月後の世界で自分に会ったら。
「私」の人生をどう分かち合うべきなのだろう。

多くの登場人物が出てくる群像劇のような作品だが、どのエピソードも読みごたえがある。みんな何かしら抱えていて、幸せとは言えずとも満足して終わっているように見える。

掛詞や韻などが目立つのが印象的。「禅なる死は単なる死ではない」みたいな、おそらく原書での言葉遊びを日本語で再現したのだろう訳文も楽しい。

ところで、アメリカの大統領は馬鹿にされすぎではないかw

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2026年06月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中盤の、何が起こったかわかるところがめちゃくちゃ面白い。でもそこがピークで、残りは余韻だけな気も少ししてしまう。訳者あとがきにも書いてあったけれど、こういう事件があったらどうなるだろう、というの一本で遊び倒している。
終わりはきちんとあるけれど、ページ数も少ないし、最後の展開にあまり重きを置かれていないような感じがする。後半はずっとそんな感じ。思考実験としてすごく面白いし、創作物などでこういうシチュエーションを今後考える時に思い出される本だと思う。

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2026年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

異常事態の全容が明らかになった時、映画『シン・ゴジラ』を思い出した。人智を超えた事態が発生した時、人類はどう行動するのかをシミュレーションしているような内容だったのが共通しているからだろう。

一部の時点では、多分描写されている人物達には皆、後々重要な変化が訪れたりするんだろうなぁとうっすら予想しながら読み進めていたが、正直集中力が続かなかった。ピックアップされている人物が多すぎることに戸惑いがあったので。
二部以降は筆者の意図も理解でき、一部を読み流していたら面白さが加速していく波に乗れなかったな、とちょっと得した(?)気分になった。

重複者を日常へ戻すにあたり対策を講じる中で、宗教面にも配慮する場面があり、舞台が西洋圏ならではだなと感じた。もし日本でこの異常が起きても、宗教的思想からいきなり重複者を排除する方向にはいかない気がする。

パートナーや家族との関係性の揺らぎ、1つしかない戸籍や社会的立場をどちらの存在が得るのかなど、急に自分自身と物理的に向き合って答えを出さなければいけないという事態の残酷さや、意外な顛末を次々と目にすることになる中盤から後半は非常に読み応えがあった。

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2026年05月30日

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ネタバレ

非現実的な展開に直面した人々がいかに葛藤し、行動するか。存在しないifであるにも関わらず、登場人物一人一人にすごく心を動かされた。

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2026年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一応SFなのかな、と思う。
エルヴェ・ル・テリエという作家、寡聞にして存ぜず。この度話題になったということで初めて手にした。

久しぶりの★4をつけたいと感じる作品。
同じ飛行機が時間を異にして現れ同じ人が現れるーいずれも本物、というアイデアはなんとなく他のSFにもありそうな気がするのだが、それが大勢で、その中の複数の人にフォーカスし彼らの人生や事態への対応法などで人間を描く、というアイデアがなんだか新しい。
そういう意味では、道具はSFだが、描かれているのは人間だ。
問題の現象が起きた理由については、「シミュレーション仮説」というものが物語内で推測されている。実際にそれが正しかったのかどうかはあまり重要ではない。
不可思議な現象が発生した時、人、あるいは世界は。がメイン。

一人ひとりの物語は、感情移入も可能な、それだけで短編になりそうな物語だが(全員とは言わないが)、それを周囲の対応をともにまとめ上げることで、読後感としては、特定の人物の物語を超えた、ある時代の現象を俯瞰し描いた物語を読んだ気分。前半の個々人のエピソードは虫眼鏡で見ていたということが、物語の進行に伴いズームアウトしていき判明する、というべきか。

物語の途中で、公にはされないが、この現象は初ではないことが中国首席により語られる。また、アメリカに出現したこのダブルの飛行機は、最後でもう一度(もう一機)現れる。しかしその時下された決断は撃墜である。
これ以上の混乱を防ぐための決断ー排除だ。おそらくこの存在は公表されない。現実世界に同じことが起きた時、人類は同様の決断を下すのだろうか。

登場人物や企業名は実在するものでちょっと「おお」という感じ。いいのかな? その人物像もそのまま描くところに、作者の皮肉を感じる。米国大統領のみ名前が出てこないが、某人物を彷彿とさせる。ただし一期目の。

「穏やかなフライトはみな似ているが、荒れたフライトはみなそれぞれに荒れている」はアンナ・カレーニナだな、とわかったが、それ以外にもいろいろ同様の引用(のもじり)があったようだ。自分の無学さが残念。

ラストは「ウリポ」という文学グループによる文学表現の手法が使われているようなのだが(エルヴェ・ル・テリエがそのメンバーとのこと)、素人の私には戸惑いのもとだった。
エンターテイメントというよりは文学的であるとは思うのだが。

他の作品は日本語訳がされていないようなのだけど、これを機にされたりするのだろうか。
興味がある。

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2026年02月27日

ネタバレ 購入済み

想像を裏切られる

「第一部のラストで思わず本を落とした」という小島監督などの帯コメントにひかれて購入。
SF読みなので一部のラストでめちゃくちゃ驚いたかというとそうでもなかったけど、その後の展開がすばらしい。
私を含む多くの読者が(なんで? どうしてこうなったの?)と期待するタネ明かしが本筋ではなく、(巻末解説にもあったが)それにどう立ち向かうかを作者は描きたかったのだ。そこが目ウロコでおもしろかった。そういう物語でもいいよね。
多岐にわたるジャンルへの作家の博識もすばらしいが、訳者のなめらかな翻訳がさらにすばらしい。
おかげで様々な文体ジャンルを含む物語をすらすらと読めた。
(アンドレの日常だけ、興味が持てなくて一瞬、放り出そうとしたけど)。
そして、ブレイクはそれでよかったのか、なみたいなアレもありますが、総じて楽しい読書体験でした。

#切ない #エモい #カッコいい

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2025年06月02日

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ネタバレ

同じ人々が突如現れたら、国家として人類としてどう対峙するか。
これがテーマの小説だ。

小説というべきか、ドキュメンタリーのようにも思える。
もともとの世界にずっと存在していた人たちをマーチ(3月)、3月時点から分岐して突如6月に現れた人たちをジューン(6月)と分類する。
言葉は便利だ。同じ人間ですら分類できる。
しかし、当事者にとっては残酷だ。
自分は、ずっと一人と思っていたのに、1号、2号とつけられたようなものだからだ。
一人の息子を前に合理的な判断を選び、共存を模索するマーチとジューンもいれば、
たった3か月の空白のために身を引き、新たな生活を始めるジューンもいる。
過去は思い出として共有はできるが、現在の共存は難しい。

ミステリーとして始まり、SFへ向かい、そして最後は文学的に終わる。

理不尽なこと(=異常)はいつだって起こり得る。
一人の理不尽なら、その人が乗り越えていくしかない。
しかし、多くの人が同時にその理不尽を背負った時、そこに国家が入る。

国家が入るということは、ルールが入るということだ。
ルールは、多くを救うことはできるが、
すべてを幸せにすることはできない。

それでも、よりましな答えを探し続けるしかない。

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2026年05月16日

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ネタバレ

異常事態を見抜けるか?とか、あらすじ検索禁止という帯のSNS受けを狙った文句がミスリードすぎる。これはシミュレーション小説で、実際に読むことに意味があるのであって、ネタバレは読書体験を損なわないし、ミステリやSF的になぜこんなことが起きるかを推理するものでもない。
私はSFを、科学で現象を解明するものを期待していたから、終盤に差し掛かりどうやらそんな話ではないらしいと分かって少し落胆した。
それでも内容は面白く一気読みしてしまったし、「3機目」の悍ましさもいい。

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2026年05月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もう一度読めば絶対に評価は変わるのだけど、1回目だと晦渋なストーリーに喰らってしまった。

とはいえこれは、ワットダニットミステリ的な一本道を期待してしまった故の読みづらさであり、本著のテーマは寧ろミステリでもSFでもなく、自らの“重複者(ダブル)”が現れた後の11人の人物それぞれの参差錯落な内面であり、生の選び方である。
これに加えて、登場人物それぞれの属性に合わせた文体や語彙レベルの緩急、詩、メール、新聞記事、聴取記録など形態の異なる執筆方法、小説『異常』の入れ子構造など、実験小説(?)としてのメタ的な遊び心がこれでもかと詰まった1冊だった。

そうした、ある意味では人物と技法の“るつぼ”のような本著が、殺し屋ブレイクの物語から語り始められる展開はなんとも渋い。

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2026年05月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

異常だらけだった笑
出てくる人みんな異常事態、飛行機も異常事態、その後の世の中も異常事態、最後には狂った大統領によってこの世自体が異常事態
難しい本だったわたしには。面白かったけどね。

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2026年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なかなか読み進められなくてちまちま読んでいたのが悪かったのか物語に入り込みづらかった。なんとか最後まで読めたがワタシには刺さらなかった。実際にある映画、俳優の名前が出てきたり、有名な古典作品(ワタシは読んだことがなかったのであとがきで知った)をもじったような文章があったりとエンタメにもとんだりして新しい小説の出し方だとは思った。登場人物も多くて覚えられなかったし、よく読み終えたと思う!(苦笑)読み方、読む姿勢を変えれば楽しめたかなー。。

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2026年03月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもろい。ただダラダラしている。
180ページまでなんとか辿り着けばそこからは勢いで最後まで読んだ。

180ページの驚きがこの小説のキモだと思うので、ネタバレ厳禁にするのもわかる。いうてそこまでの展開は驚きに満ち溢れるというわけでもないので……
どちらかというと、「自分と全く同じ人物が突如この世に出現したらどうしよう?」という思考実験を楽しむ作品なのかなという気持ちもある。並行世界というわけではないから財産や家族は1人分なわけで、それをどうすればいいのか?という…悩ましい

登場人物が多く、その人物同士も大して交流しないので話が散逸してる印象を受ける。
世界規模を舞台にした話を書くぞ、というのが目的な気もするのでそれでいいのかもしれない。ただ、ソフィアの父をブレイクが殺すとか、リュシーとアンドリアナが元彼の悪口を言いまくるとか、そういう交流があったら楽しかったのになと個人的に思う。

話の展開で「この世は全部シミュレーションなのでは?」という突飛な方向に行ったのと、重複者たちの身の安全を確保するために各宗教の代表者を一堂に集めようというのはびっくりした。せっかくあんなに科学者が集まったのに哲学というか思考実験的なシミュレーション仮説にいっちゃうの?と少し残念に思った。プラン42という科学者が考えたユーモア的な展開が好みだっただけに…
ただ、重複者たちが存在を重複させながらもどうにか世界に馴染もうとするのはいいなと思った。特にスリムボーイたち。世界は混沌としており、それならそこにさらに混沌が増えてもいいだろうという世界の鷹揚さを見た気がした。

話の展開としては3機めのボーイング787が出てきて、さすがに3人目の重複者の処理はきついから撃墜したんだけどそれにより世界が崩壊してしまった、というエンドと理解している。どういう示唆なのかはわからないが……

同じ設定で星新一が連作ショートショートにしてほしいなという気持ちで読んでいた。星新一ならシニカルに、よりコメディチックに描いてくれたような気がする。

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2026年02月11日

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