加藤かおりのレビュー一覧

  • 異常【アノマリー】

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    何の前情報も無く手に取ったので、ミステリだと思ってたらまさかのSFに転じて驚愕。

    登場人物が非常に多く、且つ人物によって文体や語彙を使い分けているらしく、著者の筆力に圧巻される一方、私の知識や理解が追い付かずに正直読み辛いと思う場面もあった。

    世界に巻き起こっている『異常』に民衆たちが気付き、じわじわと狂乱が巻き起こっていく様子が不気味で気持ちが悪い。
    作中に新聞の写真を挟む事で、その後の2人の少女の殺害現場もリアルに想像してしまい、ゾッとした。

    最後はすっきりしないけれど、読み応えのある作品だった。

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    2025年08月08日
  • サヨナラは言わない

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    ネタバレ

    悲しみという怪物からパパと自分を守れ。

    エリーゼは日本人でピアニストのママとフランス人で調律師のパパとの間に生まれ、8歳でママを亡くした。ママがいなくなってから、パパは日本語を禁じ、ママを思い出させるものをすべて処分したり封じたりしてしまう。ある日、ママの母であるソノカおばあちゃんがやってきて——。

    家族を事故で失った悲しみにパパは捕えられてしまっている。それの怪物を大蛇丸としたのにちょっと笑った。そうだね、支配されそうになるよね。突拍子のないステラの言動は、それだけにエリーゼの心にまっすぐ届く。おばあちゃんの強さも素晴らしい。パパの回復を待てるエリーゼが本当に素晴らしい。

    好きなものに

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    2025年08月07日
  • 異常【アノマリー】

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    ネタバレ

    思考実験的な内容と感じた。
    もし、こんなことが起きたら、人はどう振る舞うのか、というパターンがいくつか描かれている。
    この状況は、確かに異常。非科学的でもあり、科学的にも感じる。
    なかなかこれは思いつかない。

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    2025年08月04日
  • 迂回

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    ネタバレ

    物事がうまく進まないのは全て自分以外の誰かのせいという、定職を持たない身勝手男が、妻とのバカンス中にひょんなことから泥沼に足を取られ、それを妻の父親の金で何とかしようと藻掻く話。何とも不思議な味わい。しかし、とてつもなく大きなポイントの文字で印刷された150ページそこそこの本に2800円とは恐れ入る。

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    2025年07月11日
  • サヨナラは言わない

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    エリーズのそばにステラがいて良かった!お母さんが亡くなって4年、お父さんとおばあちゃん、そして友達と一緒にひと山もふた山も乗り越えていくハートフルなお話でした。日本文化をこよなく愛するステラのお辞儀、日本語がかわいい。

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    2025年06月18日
  • 生き急ぐ

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    ネタバレ

    著者の体験に基づいた私的な小説。もしあの時こうしていたら~のifで章立てられている。途中突然バイクの記述ばかりになってなんか話変わった?(小説というよりここだけノンフィクションノベルみたい)と感じてしまった。

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    2025年06月11日
  • 迂回

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    夫婦の噛み合ってなさに終始モヤモヤしながら読んだ笑。
    最後の訳者あとがきまでセットで読んでようやく腑に落ちるような。

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    2025年06月02日
  • 生き急ぐ

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    タイトルにひかれて読んだ
    パートナーをバイクの事故で亡くした
    妻(作家)は引っ越しをひかえていた
    夢見た自分達が理想とする居場所に
    なるはずだった場所
    20年の時を経て夫の死を考える
    もしもあの時
    いくつもある もしも

    人生で悲しい事があると考える
    もしも
    もしもあの時こう言っていたら
    もしもあの時出かけなければ
    もしもあの時別れなければ
    もしもあの時イエスと言っていたら
    などなど
    でも 戻ってこない過去という時間

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    2025年05月07日
  • サヨナラは言わない

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    主人公は日仏ダブルの少女。日本人の母が亡くなった後から物語はスタート。フランスの読者に向けて書かれているからではあるけど、大量の注釈は日本人なら大体知っているような感じのこと。

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    2025年04月30日
  • サヨナラは言わない

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    ネタバレ

    パリに住むエリーズのママが亡くなってから、パパは心を閉ざしている。
    二人の腫れ物を触るような、ひっそりした暮らしに、
    日本からおばあちゃんがやってきて・・・というお話。

    連作短編集みたいな感じ。
    タイトルは、日本人のおばあちゃんにまつわるのだけれど、
    「おばあちゃん」の印象が残らない。

    むしろ、パリにおける日本文化の捉え方がクローズアップされているようで
    そちらに意識がいってしまった。
    本文にも、やたら注がふられ、ほぼ日本語の説明w
    フランス人読者に向けて書いているんだからあたりまえ。
    そこがおもしろくもあり、面倒でもあり。

    若い人の文章だなぁと、エリーズのおばあちゃんより、
    少し若い「

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    2025年04月18日
  • ちぐはぐなディナー

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    「なぜ、男達は気づかないのだろう?」と女の私が思うように「なぜ、女達はそんなことをするのだろう?」と世の男性達も理解に苦しむのかもしれない。

    登場人物全員「今、自分は人生の重要な局面にいる」と思っている。自分の得たい幸福において、必要かどうかでしか相手をみていない。だから、相手も大事な局面にいるなんて想像もできない。読者として、客観的に見ていると愚かにも思えるが、これは日常的に起きていることだと気付かされる。

    ほんの少しの歩み寄る気持ち、相手のことを理解しようと思う心があれば「男女のわかりあえない問題」も少しは解決するのではないかと思った。

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    2025年03月29日
  • ちぐはぐなディナー

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    フランスのジゼル・アミリ賞なる賞を受賞したセシル・トリリのデビュー作2組の夫婦が集いディナー読んでいてしみじみ考えさせられる、内容に翻訳小説を忘れほど心に突き刺されました。ミステリー抜きとしての翻訳小説もぜひ読んで欲しいです。

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    2025年02月26日
  • 夜、すべての血は黒い

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    第一次大戦の白兵戦の最中、腹を切り裂かれ苦しみに耐えかねる友人から「殺してくれ」と懇願される…余りに恐ろしい場面を経験した兵士の問わず語り。
    決して百年前のことではない。今もウクライナなどで続く戦争で同じ場面が起こっているのでは、と思う。戦争指導者にこの本を読ませるべきだ。

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    2024年09月16日
  • 念入りに殺された男

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    設定は面白い。ただ無理があるなあと随所で感じました。指紋認証ってそんな感じ?とか。実際その通りなのかもしれないけどそういう細かいところもなりすましの面白さ・リアリティをだすところかなと。フランス人の名前は男女が分かりにくかったです。

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    2024年04月28日
  • ちいさな国で

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    アフリカの小さな国、ブルンジの日常描写が色鮮やかで印象的。明るい記憶に彩られた前半は瑞々しいが、潜んでいた暴力の暗い影が大きくなっていく後半は苦しい。ヒップホップアーティストの著者自身の体験を元に書かれたそう。美しい故郷の思い出、当たり前の日常が崩れていく様を刻一刻と追体験しているかのようだった。

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    2024年04月18日
  • 念入りに殺された男

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    プロットは面白い。襲われ男を殺してしまったが、過去の犯歴でいくら正当防衛とはいえ情状酌量は望めないと判断した主婦。そんな彼女は作家崩れの知恵を働かせてその罪を他者に負わせようと奮闘する。結末が気になり一気に読んだ。
    そんな都合よくいくか!な場面もあるが、昨今の人類総SNS時代、起こり得る話でもあると思った。

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    2024年02月26日
  • 念入りに殺された男

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    フランスのミステリ。
    興味を引くタイトル通り、着想が面白い。

    フランスの田舎町に住むアレックスは、家族とは睦まじく暮らしているが、人中に出ることのない内気な女性。
    小説家を目指していたが、今はほぼ諦めていました。
    家族と営む民宿に、思いがけなく有名作家のシャルル・ベリエが滞在することに。
    お忍びで作品を完成させたいというのだ。
    気さくで話し上手なベリエは家族を魅了するが、アレックスは次第に圧迫感を覚える。
    ある晩、ベリエに襲われて、抵抗した勢いで殺してしまったアレックスは‥

    この宿に来ることを誰にも教えていなかったベリエ。
    複雑な性格で、勝手な行動も多かったため、隠蔽できるのではないかとア

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    2021年10月13日
  • ちいさな国で

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    アフリカの小さな国で、仲間たちと川で遊んだり、近所の家のマンゴーを取って笑い合ったりという日常を送る少年。
    そんな日常の中にも使用人や、奥地に住む貧しい人を見下す意識、民族差別が垣間見えます。
    やがて虐殺の嵐が近づいて来て、否応なく飲み込まれていく。ずっと続くことを疑わなかった日常が破壊される恐怖や悲しみ、苦しさが伝わってきます。
    そんなに昔のことでもなく、今なお取り返しのつかない心身の傷に苦しめられている人を思い切なくなります。

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    2021年09月04日
  • 念入りに殺された男

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    着想のフレンチミステリ。まさに。

    アレックス一家の営むペンションに訪れた有名作家ベリエ。
    その屈託のなさで家族にあっという間に馴染み溶け込んでいたかと思えば、その裏では自身の新作の題材に家族のイメージを勝手に使ってしまうあざとい男。

    あげくの果てに、アレックスのサプライズ誕生日パーティーの夜にアレックスに言い寄り襲い掛かる。
    アレックスは抵抗する中でベリエを殺してしまう。

    そこからが真骨頂。
    単純な隠ぺい、逃避、しら切りではなく、他の誰かに罪をなすりつけようとベリエのアシスタントに成りすまし、関係者から候補者探し。

    いかにも素人めいた手口や無理のある偽装工作、結末への舵切りには改良の余

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    2021年06月13日
  • 念入りに殺された男

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    いつ、どこから破綻するのかとハラハラしながら読んだ。意外な展開な気もするし、でも予定調和な気もするという不思議な感じ。

    にしても斬新な設定というかアイデアだなと思いながら読んだあと、訳者あとがきで、それがフランス文学の特徴みたいなことが書かれていて得心した。

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    2021年01月20日