加藤かおりのレビュー一覧
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ある旅客機に乗り合わせた人々の人生を描いた群像劇。その旅客機にトンデモナイ異常事態が発生し、それぞれの人生にそれぞれの形で影響を与える。
遠目に見るとエンタメ小説のようだが、断面を見れば純文学のようでもある。SFでもあり、スリラーでもあり、社会派小説、恋愛小説、ヒューマンドラマ、ハードボイルドの要素すらあり...。
独立した多数の物語が並列で語られるので、同時に何冊も読んでいるような感覚になる。お得と言えばお得なのだが、正直、疲れてしまった。実際、前半で挫折する読者は多いようで、巻末にある斜線堂有紀さんの解説には、この本の「読み方」が書かれている。心が折れそうになったら、読みましょう...
弁当でいえば、洋風幕の内(大盛り)という感じ。一度に色々と楽しみたい人にはいいかもしれない。 -
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とても有名なおはなし
『星の王子さま』
お恥ずかしながら、一度もちゃんと読んだことがありませんでした
夏休みということもあり、何か娘と読める本はないかと手にしてみました
星の王子さまはいろんな翻訳で出てるんですね
こちらは矢部太郎さんのイラスト入り
内容としては哲学的で、文学作品っぽくて
ちょっと苦手な分野でしたが
矢部さんのイラストのおかげで読みやすかったです(*^^*)
物語として楽しもうとしてたけど
わかったようなわからないような笑
大切なことを見落とさないように
言葉を汲み取るように読むと楽しめそうな本でした
不時着した飛行士が星の王子さまと出会い、ここに来るまでの話を聞きます。
子ども向けのように書かれているけど
大人に向けてメッセージを送ってるように感じます
例えば
大人たちは、なんだって自分ひとりでは理解できない。だから、いつだって説明が必要になる。子どもにとって、これはほんとうにくたびれる
なんて書かれています
こんな揶揄するような言葉がたくさんあって
ハッとさせられながら読みました
一回じゃ理解しきれなくて
何回も読んで理解を深める本なのかも
読みタイミングでも感じ方が変わりそうだし
訳によっても違いそう
ちなみに娘は早々にギブアップしてました(^◇^;) -
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殺し屋、ポップスター、売れない作家、軍人の妻、がんを告知された男……なんのつながりもない人びとが、ある飛行機に同乗したことで、運命を共にする。飛行機は未曾有の巨大乱気流に遭遇し、乗客は奇跡的に生還したかに見えたが――。ゴンクール賞受賞作
第一章で、登場人物の紹介めいたエピソードが延々と続くので、受け付けない人は脱落するのでは。
私は割りと、ふむふむと楽しく読み込むタイプなので苦にならず。
第二章で何が「異常」なのかが明らかになり、第三章では「ダブル」同士での落としどころ、それぞれが語られる。
私はシンプルな解決方法を選んだブレイクが好きかも。
そして各自「マーチ」と「ジューン」のその後が語られて終わりかと思いきや、10月に第3のエールフランス006便が出現。
大統領がミサイル発射を命じるも、それが当たる寸前で世界は崩壊を始めて…。
ラスト2ページで、その崩壊っぷりを印象的に描いてます。
いやー、面白い。
現実世界は単なるプログラムで、シミュレーションされているだけって説は、大和真也のジュゼシリーズを思い起こさせますね。久しぶりに再読しようかな。 -
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ネタバレそうとう厄介な作品だ。
が、読み終わってみると、それなりの満足感がある、とも言える。
本書は、巻末の、あとがき、解説の世話にも大いになった。ご丁寧に、それらも、ここまでは第一部を読んでる途中の人へ、とか ここから先は結末に触れているなど、読者が頼ってくるだろうことを想定して書いているところも面白い。それだけ、厄介な、というか、途中で放り出したくなる序盤なのだった。
とにかく第一部は我慢して読んでみること。そして第二部は、あくまで建付けにすぎず、核心は第三部にある、と我慢に我慢が必要な作品だ。
訳者あとがきで、この先注意、とある先に書いてあることではあるが、これは先に知って読んでもよかろうと思う。それは、作者がウリポという実験文学集団というものに所属しているということ。
ウリポ(Oulipo)とは、Ouvroir de littérature potentielle (潜在的文学工房)のことで、1960年に作家レーモン・クノーと数学者フランソワ・ル・リヨネによって創設され、作家だけでなく、数学者や言語学者も参加する珍しい文学集団。作者のエルヴェ・ル・テリエは1992年からメンバーとなり、後には会長も務めている。「潜在的文学」、それは、まだ存在していない文学の可能性のことで、それを探求する集団ということらしい。
なので、本作も、起承転結といった、一般的で分かりやすいストーリー展開を見せるでなく、目に見えて分かりやすい主人公がいて、その敵対者や協力者がいて、紆余曲折の冒険を経て作品としてのひとつの結末に辿り着くという体裁も取っていない。群像劇とも言えるが、それともちょっと違う。
むしろ、ひとつのシチュエーション、とある出来事を体験した個々人が、それぞれ経歴や国籍、性別、年齢、おかれた人生のどの局面であったかによって、どのように反応し、それぞれどのような結論に落ち着くかを並べてみたという、まさに実験的な作品となっている。
なので、第一部の、個々の人物の人生を眺めつつも、全てを記憶しておく必要も、どうやらなかったということだ(もちろん、全ては覚えられないし)。むしろ、気になる人物の、気になる行動、発言があれば、それを記憶の片隅に置いておくくらいで十分。気にならない人物は、ある意味、自分の人生においても、ご縁のなかった人のようなもの、そんな人の人生は知ったことじゃないと、割り切るくらいでほどよい。
もちろん、個々の人物の行動を、メモを取るようにしっかり記憶しておいてもよい。著者も、それぞれに人物に託したテーマ、それぞれの個人が己の人生における問いが用意されていることにも気づけるだろう。
例えば、アラカンの建築家アンドレは「老い」だし、世界的有名人のスリムボーイは「名声の裏の孤独」だろうし、「後悔」や「生と死」の問題を抱えた人物もいれば、徹底的に自己にこだわる犯罪者ブレイクもいる(否が応でもブレイクは目立つ。第一部でも冒頭だし、第三部でも一人だけ特異な行動を取る)。
ややこしいのは、第一部では、第三部でその帰着を描かれる人物と、そうでない人物が混在している点だ。ご丁寧にハヤカワepi文庫にはピンクの登場人物表が挿入されていて、16人もの登場人物の名前と職業が記されている。この人物たち全ての人生が語られ、全員が事態の解決、あるいは結末に関与してくるかというと、半分だな。一覧の後半、軍の関係者や、事態解明のための学者たちは、むしろ関係ないとも言える。そこが、本作のやっかいなところ。
結論、本作は、とある事態に遭遇した時、人はどのように行動するか? どのような選択をするか? の人間標本のような作品。
その事態を好機と捉えるか否定するか、そこに人生の新たな選択、可能性を見出すかは、ひとそれぞれということ。ある意味で、人生の選択を描いた作品とも言える。
この文学的実験は、なかなか壮大であり、一つの創作の手段ということでは大いに学ばせてもらった。
一人の主人公を設定し、その人物が動き出す様を自由に描くことで創造の翼が羽ばたくこともあれば、とあるシチュエーションという枠をハメることで、その中に、被検体として多くの人物を放り込むことで生まれる反応を観察するかのような手法でも、物語は生まれるのだ。
面白い!! -
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ネタバレ3.5くらい
読むのに時間かかった。物語の加速パートに入るまでが長い…人間も多くて誰だっけとなる。
シミュレーション仮説というのがどうも腑に落ちなくて、そこも読みにくいポイント
でも重複者それぞれの人生の選択が面白くて、特にスリムボーイは好き(対面の場で寿司を食べながらお互い見つめ合うシーン面白いし、なくした片割れとの出会いみたいにしっくりきててよい)
あとソフィアの父親による性暴力が明るみに出たところも、ちょいきついもののよかった。
終わり間際の俯瞰した状態で登場人物たちの様子が描かれるところ、映画みたい。
で、まさかの三便目…大統領の撃墜指示。ヒェ〜3があるなら4や5もあるのでは…これから全部落としていくん??と思ったけど、読み進むと、ミサイルが飛行機に達する1秒前、爆発までの時間がどんどん間延びして…この波動がこの世に存在するありとあらゆるものに作用するとあり、何気ない世界の日常の一コマが断続的に続いたあとに文字がバラバラになっていくのだけども、これってミサイルが重複し、ありとあらゆるところで爆発したってことなの??それともマッハ4の波動がありとあらゆるものを一瞬波紋のように揺らして、そしてまた元の日常に戻っていくの??
このラストシーンあたりの数ページは映像が明確に浮かんで美しいなと思い、面白かったけど、ラストも含めてわりかし難解でした。 -
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ムンバイの自動車修理工場の中庭のパンクした古タイヤ
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ある異常な出来事に見舞われた人々とそれに対処する人々の群像劇。
SFの建付けだけどジャンル不明感があり、ネタバレ無しでは紹介しづらいというのは確かにその通りで、ネタバレ無しで読んで欲しい本である。
謎解きはあんまり主題ではないので期待すると肩透かしかも。一応回答は提示されるけれど、謎部分はただの舞台装置というタイプの本です。主題は異常にさらされた人々の話。
フランス作家の本で、本国ではかなり売れた様子。
3部に分かれていて、1部では登場人物たちのそれまでの人生が順に語られる。この時点では何が起きているのか(起きるのか)何も分からないので、ページをめくる手が重い。解説によると、ここはSFと言うよりミステリの人物紹介パートとして読むと馴染むという。なるほど、納得。先に教えてほしかった。
2部で物語が急展開を迎えてからが本領発揮。3部のそれぞれの対話が著者の書きたかったところだろうか。異常なシチュエーションに対面した登場人物たちが「お互い」どう対話、対処していくかという思考実験的で、これを書くためには確かに第1部は重要だ。SF感あって良い。 -
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幼い時から彼を取り囲んでいた教養ある環境、祖母に導かれてさまざまな文学に親しんだ“神童”の来た道を再構成。祖母との関係が両親より精神的には親密だったこと、パートナーとして選んだブリジットともやはり精神的つながりが強く、周囲の誰をも魅了しつつ、一定の距離は強固に保っている様子がうかがえる。
シアンスポから進んだ典型的エナルクだが、ユルムは2回不合格といい、ノルマリアンに対する劣等感がどこかにひそんでいるかも、と思いつつ読み進んだが、そういう自分の奥底にあるものを隠すことにも非常に秀でているのだろうと思わせる人物評。
以前、マクロンが小学校を訪ねた時に、教室で子どもたちに「右派と左派の違いを1分で説明して」と言われ、右派の自由、左派の平等、その中間に「博愛」があってこれが私の立場、と1分で簡潔に説明したのを見ながら、とてもシンプルなことだけれど、これが咄嗟にできるのがグランゼコールまでいった彼らの真髄、と思ったことがある。相手に合わせて説得的に言葉を選べる能力。向かい合う真摯な視線。この本では、政界、財界、文学、哲学界とさまざまな分野の人を魅了してしまうマクロンの言葉や行動について分析されている。 -
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ネタバレまず、この小説を読んで思ったことは推理小説ではあるんだがはっきりとした事件や犯人が出てこなく、不思議な小説ということです。次にイタリア・シチリア島をせっかく夫婦で旅行している中、天気が大荒れで夫がさらに道を間違いまくっていくということです。
自分はイタリアを個人で旅行する際に、身の回りの物(特にパスポート)は肌身離さず持つということをさんざん言われましたが、結局イタリアを旅行することはありませんでした。でも、海外を旅行するときには身の回りのものには気をつけるということをこの小説を読んで改めて思いました。あと、夫が道の選択を間違った上に何かにぶつかったという現象は最後になっても解決されることはなく、あとは読者の想像に任せるということかなと思って、不思議だけど面白いミステリー小説を読んだなぁ、っと思いました。 -
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ネタバレ悲しみという怪物からパパと自分を守れ。
エリーゼは日本人でピアニストのママとフランス人で調律師のパパとの間に生まれ、8歳でママを亡くした。ママがいなくなってから、パパは日本語を禁じ、ママを思い出させるものをすべて処分したり封じたりしてしまう。ある日、ママの母であるソノカおばあちゃんがやってきて——。
家族を事故で失った悲しみにパパは捕えられてしまっている。それの怪物を大蛇丸としたのにちょっと笑った。そうだね、支配されそうになるよね。突拍子のないステラの言動は、それだけにエリーゼの心にまっすぐ届く。おばあちゃんの強さも素晴らしい。パパの回復を待てるエリーゼが本当に素晴らしい。
好きなものに好きということがエネルギーになる。悲しみに浸ることも大切だし、悲しみをやり過ごすことも大切。