石川英輔のレビュー一覧
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メートル法しか知らない世代である私にとっては、尺貫法の方がわかりやすい、とまでは残念ながらいかなかったが、体の大きさを目安としてできたものというところはよく理解できた。
ただ、本書は欲張りで、尺貫法だけでなく、暦のことまで解説してくれる。
昔の単位について、あらかたのことがわかる、とても便利な本だ。
浮世絵をはじめとして、江戸時代の出版物の引用が多くて、ビジュアルに訴える構成。
「なごみ」が初出と聞いて、納得だ。
一番面白かったのは、匁と五円玉の関係。
そういえば最近のネットニュースでも、五円玉はアラビア数字が刻印されていない、日本のコインの中でも珍しい部類だと読んだ。
それ以外に、この本 -
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あらゆる植物を利用していた江戸時代の生活が詳しくまとめられている。
那珂川沿いの乾燥した平野では、綿が栽培された。木綿が普及する前、庶民向けには大麻、藤、楮、葛、シナノキなどの丈夫な繊維が使われ、上等の衣服にはしなやかな苧麻が使われた。
武蔵野の原生林が消えて、ススキの原になったのは、古代から焼畑農業と牧経営のために火入れが繰り返されてきたため。
13世紀末か14世紀初め頃の絵に揚水水車があるが、動力として使われるようになったのは江戸時代中頃からで、大部分は精米用だった。19世紀になってから上掛け水車が記録されている。茨城の大子の粉こんにゃくの製造、日光の線香製造、高野山の豆乳製造に水車 -
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知っているようで知らないコピペの知識と
体験を咀嚼して全体観とつなげた意識まで
育て上げた熟した知識の違い
まず二人が始めたのは
江戸流の時間と暦を日々の暮らしに持ち込むこと
そのために太陽と地球の関係から機械時計を作る
当時は日の直前を《明六つ》と言い
五つ・四つ・九つの正午となり
そこから八つ・七つ・と進み
日の入の直前を《暮六つ》言う
この先は夜の部となり
五・四・九・八・七となって明六つになる
昼間の短い冬の一刻は三分の二となる
夜の部の一刻はその分長くなる
暦は自然界から遊離した太陽暦でも
太陰暦でもあく
陰陽二本立ての複雑なもので
暮らしのリズムに合わせられている
特に漁業や農業に -
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江戸時代(主に中後期の江戸市街)の文化を、庶民の生活に重点を置きつつ、現代と比較しながら分かりやすく解説する、江戸ガイドブック。
行政組織や貨幣経済の仕組みから、衣食住から娯楽までの日常生活、庶民における仕事の形、教育の形など、当時の諸外国の様子も絡めながら、「江戸は決して不幸ではなかった」事を教えてくれる。
教科書では知ることが出来ない部分や、時代劇などのテンプレ的「江戸」で刷り込まれた勘違いなどの多さに、読み出した途端、目から鱗が止まらなくなること請け合い。
ただし、著者の傾向にて江戸時代礼讃…というより、痛切な近代批判がとにかく濃いのも特徴。
でもその毒々しい皮肉を差し引いても、読む価 -
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著者が江戸時代をよくいいすぎとも思いましたが、
実際に江戸時代は素敵な時代やったんちゃうかなと思いました。
確かに飢饉とかあったけど、
必要最小限だけ働いて(4時間ぐらい)、
好きな時に好きなだけ休む。
今みたいに何もかも合理化されて管理されている社会よりも、とても自分の個性を伸ばしたり好きなことに好きなだけ時間を費やせる時代やったんやなと思いました。
そらゲームとか携帯とかないけど。
環境破壊もしーひんし、体にも無理をかけへん。(日が昇ったら起きて、日が暮れたら寝るから)
今の狂った社会からは想像もできないほど、治安もよかったらしい。
なんと、殺人事件は年に1、2件。
の -
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このシリーズの7巻目。小説なのだが、筆者が主人公の速水洋介に自分を投影して、愛してやまない江戸(特に文政年間)を語っているという感じ。 あとがきによれば、第1作は著者自身45歳のとき。正に主人公の年代。 7巻目(文庫)を出版した現在は75歳。歳を経てますます江戸への憧れ、思いが強くなっているようだ。 著者の妄想が江戸の街を縦横無尽に駆け回る(笑) 実は私、2〜6巻を読んでいないのですが、十分、問題なく楽しめた。 1巻では速水洋介は現代と江戸を転時するのだが、現代にいるときには、江戸の速水は不在で、 もちろん江戸へ行ってる時は、現代にはいないのだ。 で、途中どういう経緯があったか(読んでいないの
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ミクロコスモスの実験というのがあって
小さいガラス容器に水、空気、小石や砂を入れて環境を作り
そこに小魚、水草、バクテリアを入れて密閉して
外部からの光と熱以外に入らない状態にして
どのくらい生存出来るかなんかを見るんだけど
うまく連鎖させられればそれぞれがバランスを取り合って
思いのほか長く継続出来るとのこと。
その小さな世界を地球に置き換えて考えてみると
地球も規模が違うだけで同じような環境だと言えて
その中でのエネルギーの消費に目を向けた本でした。
江戸時代は人力以外のエネルギー消費はほとんどなくて
燃料や資材も自然が再生できる範囲だから
ミクロコスモスと同じようにうまくサイクル出来て -
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江戸文化に深い興味があったわけではありませんが、ボランティアについて知りたいと思い読みました。(中島隆信著「障害者の経済学」で取り上げられていたため)
何でも経済的なサービスに落とし込んで金銭をやり取りする現代とは異なり、江戸時代は公共サービスもボランティアによって成り立っている部分が大きかった。どちらが優れているという結論を求めるものではないが、現代社会の行き詰まりや人間孤独に示唆を与える内容です。
しかしながら、江戸文化について、”連”の話を深めてと細かく記載している箇所などもありますが、そこはボランティアの話題との関連が薄く、江戸文化に深い興味が無ければ退屈です。
ほか、文が感情的になり -
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江戸時代の技術に焦点を当てた一冊。和算、からくり、天文学、朝顔など12のテーマについて解説されている。一般によく言われているようなテーマもより詳細に書かれており、個人的にはあまりよく知らなかった"大小歴"や"錠と鍵"など面白かった。ただ、すぐに現代社会批判に話が向かい、その分量も多いのでちょっとげんなり。終わりの方の総括や対談などで、よくあるような反論は理解したうえで、それでも江戸時代(のような生活)に立ち戻るべきと言われているが、そうは言われてもやっぱりよくある反論をしたくなる。江戸時代は家康の描いたグランドデザインをもとに、日本人の硬直性と個々人の主
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江戸のリサイクルエコ文化礼賛的な内容で養老先生との対談付き。
電気も使わないし公害も発生しないし物を無駄に使わないので地球環境に良い事は読むと伺える。読んでいて思ったのはでは何故明治時代になったのかという事だが、言わずと知れて外国からの侵略に対抗する為である事は事実だろう。江戸の人達がエコを意識していたかは分からんけど江戸のままでいけばどこかの国の植民地になって結果的にエコでない社会になっていた可能性がある。
2024年現在では生成AIによる電力消費量が跳ね上がる。つまり江戸とは反対の方向に進んでいる。後戻りできないまでも江戸の暮らしのエコ要素を取り入れるのも悪くないかも知れない。 -
ネタバレ 購入済み
前半のドキドキわくわく感と比較すると、後半は少し物足りない結末にも思えましたけど、こんなことが本当に起きたら面白いだろうな!という内容のお話でした。
戦国時代って、どんな世界だったんだろう、
江戸時代って、どんな世界だったんだろう、
と、思ってみたこと、何度もありますが、実際、本当に自分がその世界に移動してしまったら…、かなりの恐怖だと思います。
戦国時代なんて、生きるか死ぬかみたいなところがありますし、江戸時代だって、刀を腰に刺した人たちが周りを普通に歩いていたりするわけです。なので、心の中で思ってはみても、本当に行ってしまうことになったら、かなり怖いと思います。
このお話は、そん