あらすじ
かつて世界第一の規模を誇ったころの江戸は、じつに無駄のない省エネ都市として栄えていた! その知られざる豊かな知恵を掘り起こし、尨大なエネルギーを消費して「無」へと突き進みつつある現代人の生き方に警鐘を鳴らすべく、精密なデータをもとに両時代の暮らしを比較活写する、異色の新文化論。図版の多数掲載。意外や意外、江戸時代の快適生活がわかる新・江戸論の決定版!
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Posted by ブクログ
江戸時代と現代日本社会での消費エネルギーを比較した本。
江戸時代の人々がいかに慎ましく成熟した文化を築いていたかに気づかされた。江戸時代をお手本に現代に応用出来ることはたくさんあるのではないか?
昔の日本人が築き上げてきた知恵を知れる一冊。
Posted by ブクログ
ミクロコスモスの実験というのがあって
小さいガラス容器に水、空気、小石や砂を入れて環境を作り
そこに小魚、水草、バクテリアを入れて密閉して
外部からの光と熱以外に入らない状態にして
どのくらい生存出来るかなんかを見るんだけど
うまく連鎖させられればそれぞれがバランスを取り合って
思いのほか長く継続出来るとのこと。
その小さな世界を地球に置き換えて考えてみると
地球も規模が違うだけで同じような環境だと言えて
その中でのエネルギーの消費に目を向けた本でした。
江戸時代は人力以外のエネルギー消費はほとんどなくて
燃料や資材も自然が再生できる範囲だから
ミクロコスモスと同じようにうまくサイクル出来てたけど
現代の文明社会は便利さと引き換えに
莫大な量のエネルギーを消費していることが
「あかり」「水」「米」「野菜」「住まい」など
23の項目による比較によって明らかにされる。
中には効率よく使えているエネルギーもあるけれど
現代人の活動の多くはエネルギーを消費するばかりで
そこから生み出されるエネルギーは少なく
リサイクルされるエネルギーも少ないことがよく分かる。
著者は現代の便利さを捨て去ることは不可能だと理解しているし
今すぐに江戸時代に戻るべきだとも言わないので
押し付けられている感じではないのが好感を持てた。
あくまで「エネルギー」という特定のものに限定した話で
付加価値やその他について言及されたものではないし
江戸時代の価値観と現代の資本主義社会の価値観は
そもそも「価値」があると定義される対象が違うため
同一に語れないことは間違いないけれども
それでも地球上に存在可能なエネルギー量が限られている以上は
少なくとも考えてみる価値のある内容だと思う。
まぁ個人的にはエネルギーの対比よりも
江戸の暮らしが垣間見えたところのが楽しかったけど(笑)。
いつも思うことだけどガイア説みたいな考え方をしてみると
人間という種族は地球にとって癌細胞みたいなもんだと思う。
地球上の既知の生物は約140万種と言われていて
未知のものも含めれば数百〜数千万種と言われている。
100年前は年間に絶滅する種はその中で1種くらいと言われていた。
いわゆる進化(進化って言葉は嫌いやけど)の過程で
適応できずに滅びる種は必ずあるはずやから
年間で1種類ならそれほど驚きはないけど
それが今では年間に4万種が滅びていると言われている。
それもほとんどが人間の営みによって。
便宜的にこのままの絶滅数が続くと考えて見ると
数十年後には人間と家畜くらいしか残らない計算になる。
また地球上にある物体の質量の総量は変わらないはずなのに
人間がこれだけ爆発的に増えているということは
それだけ他の存在を吸収しているということでもある。
人間が耐えられないくらいに環境が悪化した頃には
人間の数が減ってバランスが取られるんかもしれんけど。
だからと言って環境問題を声高に叫ぶ気はないけれど
そゆことは忘れずに生きていたいなと思う。