清水晴木のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『さよならの向う側 90s』は、読み始めたときは各話に散りばめられた繋がりや青年案内人の存在から、「最後に大きな伏線回収があるのでは」と期待していた。しかし読み終えてみると、本作はトリッキーな仕掛けや驚きで魅せる作品ではなく、人と人との想いを丁寧に描くハートウォームな連作短編集だった。各話の登場人物たちは死後の世界と現世の狭間で、大切な人へ伝えられなかった言葉や感謝、後悔と向き合う。その姿は派手ではないが、どこか自分自身の人生とも重なって見える。
特に印象的だったのは、案内人の青年だ。彼の正体や背景は最後までふわりと描かれるに留まるが、その曖昧さがかえって物語全体に優しい余韻を残している。振り返れば、彼は伏線の中心というより、死者と生者の想いを繋ぐ存在だったのだと感じる。
ミステリーやサスペンスのような鮮やかな回収を求めると少し物足りなさはある。しかし本作の魅力はそこではない。「もし最後に一日だけ会えるなら、誰に何を伝えるだろう」という問いを読者に投げかけ、身近な人との時間の尊さを静かに思い出させてくれる。読み終えた後、驚きよりも温かさが残る作品だった。 -
Posted by ブクログ
春、夏、秋、冬の四部構成になっている。もう400年生きている、人間の言葉が話せる猫の話。
ライトノベルのような文章と世界観で、途中読むのやめようかな、、と思ったけれど、途中でやめるのは気持ち悪いので読み続けた。結果、読んでよかった。
最終章の「冬」が良かった。そして、物語の巡りも解り、更に感動が広がった。
何のために生きるのか?生まれてきてくれてありがとうと誰かに思われる喜び。自分の存在が誰かの生きる意味になることの喜び。そんなことを考えさせられた。
そう、自分も猫のトトと出会い、トトの存在が自分の生きる意味になり、そして、トトと会えたから自分も生まれてきて良かったんだなと初めて思えたことを久しぶりにしっかりと思い出した。昨日がトトの命日だった。いなくなりたいという気持ちが強くなっているこのタイミングで読めたのは、トトからの私のことを思い出して!のメッセージだったのかもしれない。
自分が誰かに「生まれてきてくれてありがとう」と思われることはなさそうだけれど、猫と犬と、あと、昔、一人の人間に対して「生まれてきてくれてありがとう」、そして、その親に「産んでくれてありがとう」と思えたことがあるのは事実。
大切な存在が側に居てくれる幸せは、他のどんな幸せよりも得難く、有難い。