清水晴木のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ相変わらず清水作品は美しい…
人と人との尊い繋がり、温かさをいつも見せてくれる。今回も心がとても洗われた気分だ。
主人公小野田明は、生前の記憶を亡くしたまま若くして天国に来た。彼はそこで友人たちとかけがえのない時間を過ごすとともに、「天国映画館」の一員として働くことになる。そこの映画館では天国にいる誰かの生前の物語が上映され、その上映を助けるのが館員の仕事だ。
小野田は映画館支配人の秋山のサポートをもらいながら、様々な映画の上映に携わることで、多くの人の思い出に寄り添っていく…
果たして小野田は生前の記憶を取り戻せるのかー。
そして彼の今後の行く末はー。
特に好きなシーンはやはりラスト。
あんなに「生」の喜びを感じる瞬間はあるのだろうか?
あのシーンを通して、
本当に人生は映画のようだと強く思った!!
あと本作で欠かせないものは、印象的な登場人物たちと映画たち。小野田の友人ロベルトや明菜、そして大和の存在は天国で生きる上で小野田にとって大切な道標だったと強く思う。
また本作を彩った映画たちも素晴らしかった。
思わず観てしまった「ニューシネマパラダイス」!!
たしかにあのラストシーンを観ないのは人生損だ(笑) とても印象的で言葉で言い尽くせないシーンだった。
次の清水作品は、どんな世界を読者に見せてくれるのか今からワクワクだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ猫好きだし、好きな作者が含まれいたので。
好きな作者、若竹七海の「神様のウインク」は
文字通り沈みつつある公団に住む中学生の話。
幼い頃の火傷の痕が顔にある少年は、
母親はいるが顔を合わせてもらえず、
母親に代わって祖母の面倒をみるヤングケアラー。
その相方は、
そんな火傷の痕なんて大したことないと言って、
父親によるたばこの痕で水玉模様になった尻を見せた同級生。
相変わらずひりりとした話で、かつミステリー仕立てで面白かった。
他の作者は全くチェックしておらず期待もしていなかったが、
「オロロ畑でつかまえて」の作者はYouTubeでバズった猫の秘密、
「ある日、あひるバス」の作者は四代に渡って会社にいる猫たちの社史の話を描いていて、
どちらも面白かった。
猫がいる会社、うらやましい。
さらには、見合いをしたら猫飼い同士だった話や、
夜のコインランドリーで黒猫と会う濱氏も良かった。
とにかく粒ぞろいの猫アンソロジー、
いやそこはニャンソロジーか。 -
Posted by ブクログ
◯比較的ボリュームは薄めだけど映画好きとしては刺さった部分もあった
●ストーリー自体は表題の通り天国にある映画館で故人の人生を上映し2度目の旅立ちを行うというシンプルなものです。世にも奇妙な物語でありそうな話だなと読む前に思ってしまったw
この作品で気に入った部分が「特別な」人生を歩んでいる人が「いない」点につきます!確かにドラマでありそうな人生を歩んだ人もいるにはいましたけど,極端にゲームの主人公みたいな歩みを進んだ人いないんですよね。等身大の人間が等身大の人生を上映する…その一種の儚さ・小さな幸せそれを噛み締めるその展開が面白かった。
●主人公は記憶喪失状態で天国にきた成人男性なんですが,その伏線回収が予想を超えたものでした。あえての変化球展開で良い意味で驚きがあり満足感が上がった。天国にいるからといっても人生をハッピーエンドで終わった人が少ない点を踏まえつつ読むのが面白い作品でした。 -
Posted by ブクログ
誰にでもいつかはやってくる別れの日。その後にもしも、誰かに会いに行くことができたとしたら、最後に会いたいと望むのは誰だろう。そんなことを考えさせられる一冊でした。
『さよならの向こう側』は、死んでしまった人が生まれ変わりをする前に二十四時間だけ、現世に戻って会いたい人に会うことができる、という不思議な場所。けれど、大切な条件が一つ。それは、自分が死んでしまったことを知っている人には会えないということ。
次々に訪れる死者たちは、案内人の説明を聞いて驚いたり、嘆いたり、投げやりになったり、様々な感情をあらわにしながら、死んでしまった自分と、そんな自分が最後に会いたいのは誰なのかを探っていきます。手元に残されているのはたった二十四時間。自分の死を知らない人にしか会えないという縛りの中で、彼ら、彼女らが最後に望んだ会いたい人。
十人十色、一人一人に色々な出会いや生き方があって、別れがあった。そんな人生を垣間見るような切なくて、どうしようもなく愛しい最後の物語を読ませてもらえる作品でした。
誰かの死が、誰かの生が、他の誰かに影響して広がっていく。この物語の登場人物たちのように、自分にももしかしたらそんなつながりが誰かと持てたのかもしれない。これからも持つことができるのかもしれない。そう思ったら、これからの人生も大切に生きていきたいような気持ちになりました。
もしも、このお話のように、命が終わってしまったその後で、誰かに会いに行くことができるのなら。
最後の時に会いたいと思える人が、私にもいてくれたらいいなと思います。