清水晴木のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
主人公が亡くなった後、最後の扉をくぐる前に現世に戻り、貴重な一日を誰と会い、どうすごすのかという連作短編集。
お気に入りの場所が人生を彩ったり、未来への想いを託したり、ひとりひとりのエピソードがすごく良かったです。
案内人がかける言葉が優しいです。
物語では、案内人佐久間さん自身のことにもふれています。
たくさんの患者さんの最期をみてきた私の知人の看護師は、最近自分はどんな最期をむかえるのかな、って思うことがよくあるんだそうです。
私は死を身近に感じたことはないですが、後悔のない時間の使い方をしたいと心がけています。
90年代を背景にしたいい作品でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ死役所の天国版とでもいおうか。
いい話だけど、なまぬるくて、うすっぺらく、さむ、と思ってしまう、私の性格の悪さよ。読み手によってはとてもあたたかい本になりうる。他人の人生は自分の人生をうつす。本も同じです。
人生はよく映画にたとえられる。最後まで何が起こるかわからない、だから楽しい。それを本にしちゃったもの。
ストーリーとしては何の変哲もなく見どころがなくても、素敵なワンシーンがあるだけで、いい映画だ、というのが刺さった。ワンシーンを支えているのは日常だ。鈴木さんという普通のひとが毎日通勤電車に揺られている日常がなかったら、突然逆方向の電車に乗って海に行く非日常はいいワンシーンにはならない。 -
Posted by ブクログ
さよならの向こう側シリーズの90年代!
ウォークマン、ファミコン、ノストラダムス、2000年問題…あったなぁ。
最初から最後まで懐かしいワードがたくさんでした。
死後、条件付きだけど会いたい人にもう一度会えるとしたら…。
普段意識してなくても“もう二度と会えない”ってなったら、切実に伝えたいことや会いたい人はいると思う。
どんな人にとっても、最後の再会は救いになると思う。でも、最後だからこそ苦しい…。
読んでいて涙が込み上げてきました。
何度も思い出して、懐かしむ特別な時間。
大切な人と過ごした時間は、どんな小さな日常でも、思い出すだけで温かで幸せな気持ちにしてくれる。
作中に出てくる