植松三十里のレビュー一覧
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『帝国ホテル建築物語』
帝国ホテル2代目本館の建築前、建築中、そして取り壊し、移設の物語です。また、同時に、それを支えた多くの人たちの物語でもあります。
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【建築費】
設計・施工費は当初130万円でした。しかし、最終的な設計・施工費は900万円となりました。 調達は、増資および銀行からの借り入れでした。いかに資金繰りが大変であったのか?がわかります。
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【施工年月】
1916年に帝国ホテルと設計者;フランク・ロイド・ライト氏で契約が締結されます。着工は1919年です。3年の月日が経過したのは、周辺用地の買収に時間を要したためです。そして、オープニングは1 -
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またもや素敵な作品に出会ってしまった。
「帝国ホテル」にまつわる知られざる熱く壮大な物語。
ホテル支配人、建築家、石工や瓦職人たち、焼き物師など、この建物に一体どれだけの人の想いが詰まっているんだろう…。
長い年月をかけて完成した建築なので、去る者もいれば、意志を受け継ぐ者もいる。
完成までの苦難の道のりを知ると、その重みを感じるし、奇跡にも思える偉業に心を動かされずにいられない。
世界の多くの人を魅了したこれまでにない美しいホテル、感動をもたらした名建築。
ついに完成したときは、もう感無量!!
濃い読書時間を堪能しました。
現在は、愛知県の博物館「明治村」に「帝国ホテル中央玄関」のみ様 -
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とても読みやすい本でした。
大河ドラマの どうする家康 を見て
家康の子供で秀吉の養子になった 後の結城秀康は
どんな人だったんだろう?
と思って読みました。男性の作家の時代物は読みにくいものが多いですが
これは女性の作家さんの書いたもののせいなのか
とても読みやすく 一気に読みました。
結城秀康が34歳の若さで亡くなったのは知りませんでした。
その後継が出来が悪く 秀忠の命で九州に流刑になり 石高を大きく削られる。
ただ 他の子供たちが 松江 津山 前橋 明石などに 松平家をたてた。
せっかく結城秀康が頑張ったのに
と思ったけど 後継以外の子供たちがしっかりしていてホッ -
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帝国ホテルのライト館を設計したのはフランク・ロイド・ライトだが、この物語の主人公は支配人の林愛作であり、ライトの助手の遠藤新になる。
ライトをこの2つの核から少し離れて置く事により、彼を一種の神格化或いは天使の様な存在(随分アクの強い天使だが)としたのが、この物語をより面白くさせている要因の1つだと思う。
辰野金吾や伊東忠太、アントニン・レーモンドがバイプレーヤーで出てくるのも楽しいが、プロローグとエピローグに後日譚であるライト館の明治村への移転で谷口吉郎と名鉄社長の土川元夫が尽力するのも感慨深い。
有名無名問わず、キャスティングの妙が光る。無駄な登場人物がいない。何故か「悲の器」に通じ -
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一番最近だと、「別府温泉を日本一にした男」
少し前だと「かちがらす〜幕末を読み切った男、佐賀藩主鍋島直正」
植松三十里は静岡市出身。東京大学史学科卒。
平成15年に「桑港にて」で歴史文学賞受賞。
平成21年には「群青、日本海軍の礎を築いた男」で、新田次郎文学賞受賞。
その学歴を見ただけで、
どれほど史実を丹念に掘り起こし物語に紡いでいく作風かが、しのばれる。
冒頭、慶喜こと七郎麻呂が5歳の時に、
下級武士であろうと重鎮であろうと一切の区別なく学べる場所をと
名君の評判高い父、徳川斉昭が作った、文武両道の藩校、弘道館がでてくる。
どうしても気を使われることが嫌で、最後に藩校を出 -
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以前「かちがらす」という幕末を読み切った男という副題の本を読みました。
この植松三十里さんは、丹念な取材と資料の読み込みにより、史実を第一にしながらも読み物としても十二分で、ハラハラドキドキ、感動を呼びます。
今回の時代は明治から昭和10年まで。
最初は油を売っていたが米屋に転身した実家。
小僧として働く。気働きができて、頑張り屋の少年、熊八。
子供時代からの米相場を皮切りに、経済のことをよく学び、一時は株で大儲けをする。
いったん、大負けして仕事を無くすが、縁あって別府温泉宿を譲る受ける。経済のことを学ぶために渡米した経験がある熊八。
ヒッチハイクをしながら全米を旅し書き溜めたノートを財