帝国ホテルライト館をめぐっての人間の執念のドラマが描かれている。
ロイド・ライトは、個人の中に、狂気が宿っているのかもしれない。
建築家というこだわりよりも、芸術家としてのこだわりが強い。
日本びいきで、日本の良さをどう自分のものにするのか?
帝国ホテルで、ロイド・ライトがチャレンジしたのは、
ライ
...続きを読むトの中にある「日本」というもののこだわりだった。
黄色のスクラッチブリックとテラコッタ。
スクラッチブリックを常滑で作り、帝国ホテルが直営のレンガ工場を作る。
それが、伊奈製陶に発展して行く。
穴のある軽い石 大谷石を選ぶこだわりと彫刻ができる。
ある意味では、日本人の匠の技量に期待すぎている面があるが、やり遂げる。
スクラッチブリックとテラコッタと大谷石で、
組み立てて、そのままコンクリートを流し込む。
子供の頃の積み木が好きな ロイド・ライトらしい発想。
そして、浮き構造によって、地震対策をする。卓越した能力。
それにしても、こだわることで、建設費はどんどん増えて行くが、
あまり気にしていない胆力が素晴らしい。
ロイド・ライトと知り合った 林愛作。
この男、セレンディピティに優れている。
京都のたばこ王、村井吉兵衛に連れられて、アメリカに渡る。
アメリカの富豪 ミスリチャードソンと会い、奨学金など援助を受ける。
山中商会の創業者、山中定次郎とばったりあって、入社する。
そして、ロイド・ライトと知り合いとなる。
渋沢栄一と大倉喜八郎に、帝国ホテルの支配人として要請される。
赤字の帝国ホテルを立て直し、ロイド・ライトに帝国ホテルの建築を依頼する。
人の繋がりでは、どんどんと引き上げられて行く。
芸術家ロイド・ライトを守るために、全力をあげる。
覚悟を決めて、リスクを負うことで、困難を突破する。
別館の火災、本館の火災にあって、結局は帝国ホテルを辞することになる。
遠藤新の生き方も、西洋建築の模倣に飽き足らず、
それをどう突破するのか、悩んでいたことが、林愛作そしてロイド・ライト
に師事し、タリアセンで学ぶことで、西洋と日本のハイブリッドが理解できるようになる。
谷口吉郎と土川元夫が、同級生で、帝国ホテルライト館を保存することに
奔走して行く。そして、明治村に 様式を再現させる。
帝国ホテルの魔力みたいなものを感じる。
丁寧な作品作りで、どっしりとしている。熱が伝わった。