あらすじ
貞明皇后の波乱の生涯を描いた、近現代小説の傑作!――縄田一男氏(文芸評論家) 幼少の頃に農家へ預けられ、「九条の黒姫さま」と呼ばれるほど活発な少女として育った節子。その利発さと健やかさを評価され、皇太子妃として選ばれたことから、明治、大正、昭和をつらぬく節子の激動の人生が始まった。病に臥せることの多かった大正天皇を妻として支え、母として昭和天皇を見守り続けた貞明皇后が、命をかけて守りたかったものとは。大正天皇と皇后の実像に迫った傑作長編。
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伝記・評伝小説というのは、噛み砕いて歴史と歴史上の人物を教えてくれるとてもいい読み物だと思う。私は昭和天皇のお母様という位置づけで読んだ。大正時代というのはあまりなじみがなくデモクラシー、ロマン、関東大震災という言葉と対に連想する程度。華族の娘さんが庶民の子と一緒に育てられることがあるなどとは知らなかった。上皇后さま皇后陛下と、お后の系譜は庶民にとって興味深いもの。平和について、福祉について、皇族方の努力の足跡を追ういいきっかけになる小説です。病弱な大正天皇を支えた、偉大な女性のお話です。
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平成最後の年に、この本を読めて良かったです。江戸、明治、大正、昭和の時代を知る大正皇后だからこその視点から描かれている作品でした。有名な日本と世界の歴史が、日本のトップである天皇家を取り囲む時代の様子からよく理解できて良かったです。戦争を経験し、大変な苦悩の末に、今の平和な世の中があるのだということを強く実感します。そして今ある平和を持続させ、さらに世界中の人々ができるだけ平和な暮らしができるように、努力していかなければいけないと思いました。また福祉の精神が貞明皇后からだということに驚きと同時に納得です。
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正直、明治天皇と大正天皇って写真で見て知ってるくらいの認識。今まで触れる機会がなかったので、皇后節子の幼少期から話が始まるこの本はとても興味深く面白かった。
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大正天皇を知る第二弾。
大正天皇の貞明皇后、九条節子の伝記小説。
大正天皇の人間像、近代天皇制の実態、事実認識を得ることができた。
一夫一妻制最初の皇后、また、社会活動にも従事したその姿は、まさに現代の象徴天皇制に繋がるもの。
生い立ちや(含む会津との関係)、昭和天皇他、各々の子供達との関係性も興味深い。
会津を訪れた際に、貞明皇后、雍仁親王妃勢津子のことが触れられていたことを思い出した。
以下抜粋~
・かつて嘉仁は公家で育ったが、裕仁は、川村純義という薩摩出身の海軍中将のもとに預けられた。武家の家風で、たくましく育てないという天皇の意向だった。