あらすじ
戊辰戦争に参戦した会津藩白虎隊士・飯沼貞吉。仲間達と自刃したが、唯ひとり蘇生する。江戸の謹慎所で、生き残りと謗りを受ける貞吉に、捕虜受け取り責任者楢崎頼三が、自分の故郷長州へ行こうと誘う。会津を失った貞吉は、敵だった長州へ楢崎と旅立つが……。異郷でもがき苦しみながらも、恩愛を知り、明治の日本人として誇り高く生きた実在の男の波乱の生涯。幕末維新に新しい光を当てる傑作歴史小説。
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Posted by ブクログ
会津に一人旅、お供にこの本を買いました。
生き残ったことを責められる理不尽さと、それに負けずに大きなことを成し遂げた生き様が描かれていました。旅がより楽しくなりました。
Posted by ブクログ
白虎隊でただ一人、生き残った 飯沼貞吉。冷たい目を向けられ、死に損ないと罵られる日々を救ったのは、長州の楢崎頼三だった。「生きていて良かった」の温かい声に背を向け、身元を引き受け、将来の面倒まで見てくれた頼三に報いることもせず、ただただ立派に自害できなかった事を嘆くばかりの定吉。一人ぼっちになり、ドン底の暮らしを見た時、漸くその有難さに気づき、恥じていたものをさらけ出し、ようやく新時代へ目を向ける。定吉の故郷、家族への想いや、分岐点で出会う人たちが今だから語る会津への想いが胸を打つ。あぁ、頼三ににもう一度、会わせてあげたかった。
白虎隊に1人だけ、生き残った人がいたのは知っていたが、その後の事を考えたこともなかった。白虎隊の自害は、城が燃えたと勘違いして…と間違えた事を覚えていたことも。この本に出会えて良かった!
Posted by ブクログ
知人に推され、初読の作家さん。
出てくる人全てがあたりが柔らかく、読んでいて疲れない。
ともすれば悪人が描けないと云うことが、作家さんの限界に感じることもあるが、ギリギリのところで免れている感がある。
ただ一つ、会話文の語尾にやたらと「ッ」と付くのが、安っぽくて残念。
さて、次は何を読めばいいのでせう・・?
Posted by ブクログ
白虎隊の悲劇から1人生き残った主人公の飯沼貞吉少年が、生き残ったのは恥だと同郷人から謗られ、居場所が無くなり、縁があり敵であった長州へと向かい、過去の出来事に、押し潰されそうになりながら周囲の人から手助け、ときには突き放され二転三転しながら、居場所を求めて成長していく史実を元にした物語
過ごしていた時代や環境が変化していき、今までの自分の考えが通用しなくなっていく中で、故郷や居場所だと思っていた所をなくし、これからのことを自活していくなかで、最初こそ周囲からの甘やかしは必要だけれど、どん底に陥った過去の状況を恥じずに受け入れていく気概が大事になってくると思いました
また戻るところや居場所がが無いというのも、過去のことを恥としている限りは、どれだけ努力しても、自分自身が許せずどこにいても辛いので、自分の居場所を作っていくには、まず自分を許すことから始まるのだと、作品を読んで思います。
主人公は序盤では死に損なったことを後悔しているが、中盤からは「美しいのは死では無く、生き残った辛さを乗り越える力」や、終盤での「周囲には見えない砲弾が降り注ぎ、死にたくなる辛かった。でも苦しみながらも、自分は伝えなければならない。」と、生き残ったのは、周囲の人の想いがあり、それを繋げなければいけないと気づくシーンは、メチャ感動しました。
Posted by ブクログ
植松三十里さんの初読み。
史実に基づく、白虎隊の生き残りの物語。。。
事前情報は皆無。
作者の名前も聞いたことない。
文字通り、店頭でたまたま目についただけの一冊だが、白虎隊と聞いては、福島県出身者として読まずにはおられまい!
と、衝動買い。
敵方の少年の資質を見込んで故郷に連れ帰り、衣食住から教育の援助まで施す……楢崎頼三の男気に感激。
挫折は経験すれども、それに答えた飯沼貞吉の生き様に感動。
★4つ、9ポイント。
2019.04.04.新。
※ば白虎隊自刃の理由……
巷では「燃える城下町の様子に絶望しての自害」
しかし(貞吉の)事実は異なる。(第2章に詳述)
貞吉はそれを覆そうと、真実を語る活動を続けた……
……とのことだが、幼い頃にテレビで見聞きした記憶では、この本を読むまでは自分の見解も"前者"のそれだった。福島県民として恥ずかしい(苦笑)。