あらすじ
株で大損、妻を担保にアメリカへ……それでも、この男はすごかった! 奇想天外なアイデアと並外れた行動力、そして内助の功と多彩な仲間たち――“別府観光の父”と呼ばれた男の、感動の生涯を描く力作長編。明治維新の五年前、伊予国(愛媛県)宇和島に生まれた油屋熊八は、大阪で経済記者をするかたわら株で大儲けし、一時は「油屋将軍」と呼ばれるほどだった。だが日清日露の戦争後に読みを誤り、財産を失う。妻のユキの助けもあり、熊八は再起を懸けてアメリカへ行くも、思うような成果は得られなかった。しかし四十八歳の時、大分県別府で宿屋を始めたときから、熊八の第二の人生がスタートする。これまで日本になかったような温泉観光地を――地元の反対、資金不足など、様々な困難に遭うも、「万事オーライ」の精神で乗り越え、仲間や妻とともに別府を日本一へと導くまでの奮闘を描いた感動の長編小説。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
16血湧き肉躍るという表現がぴったりの経済活劇やー。こんな偉人が市井にいたことを紹介してくれてありがとうございました。大して大作でもないのに上下巻にする本があるけど、これは内容盛りだくさんで上下巻でもよかったなあ。
Posted by ブクログ
以前「かちがらす」という幕末を読み切った男という副題の本を読みました。
この植松三十里さんは、丹念な取材と資料の読み込みにより、史実を第一にしながらも読み物としても十二分で、ハラハラドキドキ、感動を呼びます。
今回の時代は明治から昭和10年まで。
最初は油を売っていたが米屋に転身した実家。
小僧として働く。気働きができて、頑張り屋の少年、熊八。
子供時代からの米相場を皮切りに、経済のことをよく学び、一時は株で大儲けをする。
いったん、大負けして仕事を無くすが、縁あって別府温泉宿を譲る受ける。経済のことを学ぶために渡米した経験がある熊八。
ヒッチハイクをしながら全米を旅し書き溜めたノートを財産に、観光という概念を商売に繋げる。
港の桟橋をはじめとし、道の拡張や売りになる物を次々と開拓し、人を呼べる別府にかえてゆ変えてゆく。
そのバイタリティーのあふれる言動は、
時々時代を忘れてしまうほど。
痛快だし涙も誘われたり。
Posted by ブクログ
別府温泉を日本一にした男、油屋熊八の一代物語。人の一生でこんなに忙しい人が居るのか、と思うような人物。亀の井旅館を経営してから、そこで出会う人を別府の仲間に引き入れて盛り上げていくところは読んでいてワクワクし感動することもありました。いまの日本ではあまりいない人情味溢れる人物のお話です。