山本淳子のレビュー一覧
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『源氏物語』の作者、紫式部が残した日記文学『紫式部日記』。
「紫式部の宮仕え回顧録」という紹介通りの内容ではあるが、全体的に紫式部の悩み苦しみ、生きづらさ、そんなものが滲み出ている。
文才があるにも関わらず、それを表に出すと人を遠ざけるからと、わざとぼんやりした演技をするところなんかは切ない気持ちになる。
また、父親から才能を認められつつも「お前が男だったらなあ」と言われたエピソードもあり、今でもそんな家はあるんじゃないかと思った。
紫式部は宮仕えに対して悩んだり、鬱屈した思いを持っていた。
しかし時を経て少しずつ自信をつけていったのか、職場である後宮自体をもっと良くするためにということも書き -
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大河ドラマを見て、「源氏物語」を読んだら、紫式部の頭のなかを知りたくなった。この本は「紫式部日記」を、現代の働く30代女性の話し言葉に翻訳してある。文章に勢いがあり、読みやすかった。
紫式部が仕事(中宮のお世話)のことや、職場で感じたことを率直に語っている。まるで友達のグチを聞いてるみたいに、とても身近にかんじられた。平安時代の、皇族のお世話係という、いまの自分とはまるでかけ離れた世界のことなのに、親しみをおぼえた。
「紫式部は今日も憂鬱」という題名にも、心惹かれる。夫を亡くし、暮らしのために内裏で働く人生を憂鬱に感じていたようだ。自分の境遇を何度も嘆いている。
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大河ドラマに夢中になり、勢いで「源氏物語」を読み、そうしたらもっと本当の紫式部と周辺のことを知りたくなった。
本書はいくつもの気づきがあり、ワクワクしながら楽しく読めた。
忘れないようにメモしておきたい。
○大河ドラマで、道長の金峰山詣でのとき伊周が道長の暗殺を企てた。これはてっきりドラマ上の創作だと想像していたら、「小右記」に記録あり。史実だったのか〜と驚いた。
○紫式部の弟の惟規について、姉としての紫式部の口からズバズバと語られていて、長所も欠点も、魅力的に感じた。
○一条天皇の辞世の句は、紫式部が「源氏物語」で書いた和歌を、本歌取りしたかもしれないこと。
まだまだあるが、とり -
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現代語訳が先に書かれていて、またそれが丁寧なので、古文があまり読めなくても充分に楽しめる。
紫式部の目を通して語られる宮仕え事情。古の日本に興味のある私からしたら、当時を知れる最高の書物だった。これまで、日記系は堅苦しいものだと決めつけていたが、そんなことはなかった。もっと日記系に親しもう。
そして、殊に紫式部の心情の所は、原文の方が直に伝わってくる。世の中に対する思い、宮仕えに対する思い…決して明るいことばかりではないが、つい彼女の言葉を反芻し、噛み締めてしまう。世の中も仕事も、時代は違えど思う所はあるのだと、救われた気持ちになったからだ。
現世を鬱陶しく感じたとき(頻繁すぎるが)、背 -
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角田光代さんと山本淳子さん
源氏物語を巡るお二人の対談
角田さんは五年かけて源氏物語の現代語訳を完成させました。
山本さんは平安文学研究者です。
地球っこさんといるかさんのレビューがとっても良くて、手に取った本です。
ありがとうございます♪
感想は一言
「とにかく面白かった!」
もう、全てのお話が興味深くて、読み終えてもパラパラと気になる頁を読み返したりしました。
特に惹かれたのは第三章の〝気になる登場人物〟
藤壺、花散里、末摘花、六条御息所、などを例に挙げ、どんな人物だったのかをお二人の自由な視点と解釈で語り合っているのが深くて…
また紫式部については
【山本】
〝主人 -
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ネタバレ著者の山本淳子さんは、素人にも分かり易い解説で読みやすく、源氏研究者の中で一番好きな方です。
今回、大河ドラマきっかけで新刊が発売されたのでうれしい♪(といいながら1年近く積読・・)
今回は、道長の「幸ひ」についてがテーマです。
いろいろ思うことがあったので備忘録としてだらだら書いときます。
まず、今回初めて道兼の人となりを少し知ることが出来ました。
中野関白家の華やかさと、道長の圧倒的専横さにはさまれて、私の中で道兼ってなんかちょっと地味でおまけみたいな存在でした。
知っているのは花山天皇をそそのかした事件くらい。
しかし本書では、人望があり、詩歌を好む文学好きな面があることをが紹介され -
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面白かった。。。
この本の著者 山本淳子さんの『源氏物語の時代』一条天皇と后たちのものがたり を読むまでは歴史って本当の物語??ってかんじでまったく興味は無かった。
地球っこさんのレビューに魅せられて、源氏物語の時代を読んでびっくり。
登場人物が実にいきいきとして、歴史ってそれぞれが一生懸命に生きた証だったのだと気づかされた。
で、この「道長ものがたり」も焦点を道長にあわせ、実に生々しい。
「幸ひ」の人であったのであろうが、やれることはすべてやるという精神の強さがいちばん。
それゆえに恐怖もつきまとう。
詠まれた歌も背景を知ればなんと奥深いものか。
此の世をば 我が世とぞ思ふ 望月の -
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5年かけて全訳に挑んだ作家角田光代さんと平安文学研究者山本淳子さんが、「源氏物語」と紫式部、道長など、現代の視点で語り尽くす
ー本書の帯よりー
面白かった!
今まで何度か源氏物語に挑んだけれど、1〜2巻で挫折。
今NHKの大河ドラマが面白くて、書店でこの本を見つけた。
いよいよ、角田源氏を読んでみようと、今は意気込んでいる!
ドラマで人間関係を把握できたから、本書も面白く読めたかな。
山本淳子さんの著書「源氏物語の時代」は角田さんが大絶賛だったので、ポチッと買ってしまった。
果たして、全巻読めるのだろうか?
とりあえず、源氏物語の時代、を読んでから読み始めようと思う。
(ちなみに1巻だけ購入 -
Posted by ブクログ
最高に面白かった。。。
これまで歴史にまったく興味がなかったのに、地球っこさんのレビュー
『源氏物語の時代』一条天皇と后たちのものがたり に魅せられて読んでみたら、これが衝撃的だった。
歴史上の人物もしっかりと生きた結果。
それぞれの人間模様がしっかりと描かれている。
歴史に対する考え方が変わってしまった、自分を変えた一冊でした。
そしてまた、地球っこさんのレビュー 角田光代さんと山本淳子さんの対談集「いま読む『源氏物語』 」をみて、これもまた絶対読まなきゃと購入。
角田さんは5年かけてご自分で訳した源氏物語 全8巻を出版されたとのこと。
このお二人のなんとも贅沢な一冊。
源氏物語の -
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楽しかったわー。
源氏物語や紫式部日記、紫式部集はもちろん、小右記、御堂関白記、権記、栄花物語などから紫式部の「外側」を繋ぎ「内側」を想像する本。
登場するエピソードは有名なものが多く、話の筋が分かっているので読みやすいが、そのままでは終わらないのがいい。各エピソードをまるっと包んだ紫式部の「心境」は彼女の下級貴族出身の才媛ぶりを見事に想像したもので、眉根を顰めたり舌打ちしたり(しないだろうけど)するのが聞こえてきそうなほどに現実的。
定期的に差しこまれる和歌も補強資料であると同時に筆者のひとり語りなのか紫式部のひとり語りなのか分からなくさせる役目を持っていてグラデーション感が心地良い。