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侍女になりたくなかった紫式部が中宮の侍女となった理由、宮中の人付き合いの難しさ、主人中宮彰子への賛嘆、ライバル清少納言への批判……。『源氏物語』の時代の宮廷生活、執筆動機がわかる!
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Posted by ブクログ
当時の歌の解説と物語のように紫式部の心情が書いてあり史実に沿って書かれているのだと分かる内容だった。歌の意味はどれだけの人がきちんと把握して返歌できたのだろうか?? 紫式部が勤めている間は性格を隠していたとあり世の荒波を乗り越えるのには自分を抑えていた紫式部の一面を知る
大河ドラマに夢中になり、勢いで「源氏物語」を読み、そうしたらもっと本当の紫式部と周辺のことを知りたくなった。 本書はいくつもの気づきがあり、ワクワクしながら楽しく読めた。 忘れないようにメモしておきたい。 ○大河ドラマで、道長の金峰山詣でのとき伊周が道長の暗殺を企てた。これはてっきりドラマ上の...続きを読む創作だと想像していたら、「小右記」に記録あり。史実だったのか〜と驚いた。 ○紫式部の弟の惟規について、姉としての紫式部の口からズバズバと語られていて、長所も欠点も、魅力的に感じた。 ○一条天皇の辞世の句は、紫式部が「源氏物語」で書いた和歌を、本歌取りしたかもしれないこと。 まだまだあるが、とりいそぎ。
楽しかったわー。 源氏物語や紫式部日記、紫式部集はもちろん、小右記、御堂関白記、権記、栄花物語などから紫式部の「外側」を繋ぎ「内側」を想像する本。 登場するエピソードは有名なものが多く、話の筋が分かっているので読みやすいが、そのままでは終わらないのがいい。各エピソードをまるっと包んだ紫式部の「心...続きを読む境」は彼女の下級貴族出身の才媛ぶりを見事に想像したもので、眉根を顰めたり舌打ちしたり(しないだろうけど)するのが聞こえてきそうなほどに現実的。 定期的に差しこまれる和歌も補強資料であると同時に筆者のひとり語りなのか紫式部のひとり語りなのか分からなくさせる役目を持っていてグラデーション感が心地良い。 どれもイイんだけど読み終わって思い出すのは3つ。 1つめは夫を亡くして失意の日々だった紫式部が「身」と「心」について話す場面。 数ならぬ心に身をば任せねど身に従うは心なりけり 心だにいかなる身にか適ふらむ思ひ知れども思い知られず 筆者はこの二首を紫式部集から選び、ままならぬ現実はそのまま受けなきゃいけないけれど、まぁそれと心は別世界だし。心は勝手気ままにね。としている。 私の古い古い友人は私と同じく頭がおかしい人ではあるけれど、ピンポイントに平安の才女の考えを覗かせてくる。一つ目は「ブスに声をかけられるのが苦痛(声をかけてもいい、その程度だと思われているのが腹立たしい。自分の価値が下がった気がする。)」というもの。さてこれは清少納言の「身分の低い女性がやんごとなき男性の噂をするとその男性までもがなんだか価値が下がる気がする」というのに繋がる(と私は思う)。二つ目はまさにこの身と心で語られたものと似ていて、彼は昔から「自分がどう思おうと勝手なんだから心に任せられることは自分の思いたいように思えばいい。」と断言していた。人がどう言おうとも自分が純愛と思えばそれでいいと。(頭がおかしいのでね彼は) 若い私は「そんなアホな。世の中には決まりがあるし事実は変わらない。何でも思いようだって?ただの逃げだろ。目を逸らすな。自分なんて他人と他人の隙間であって自分自身に形なんてないのに。」と思って聞いていたがここでも彼の考え方は紫式部に共通している(と私は思う)。 ちなみに今は私も完全に紫式部サイドです。 2つめは 亡き人にかごとをかけて煩ふもおのが心の鬼にやはあらぬ 1000年前にこれよ。仏も憑物も全く信じて無さそうでかっこいい。21世紀にこれを読む私は「ちょw 紫式部w冷静すぎんだろw」とケタケタ笑っていられるけれど、1000年前の日本で神仏を信じきれなかった紫式部はそれはそれで辛い日々だったろうなぁ。 3つめは 暮れぬ間の身をば思はで人の世のあはれを知るぞかつはかなしき これいいですね。自分もすぐ死ぬ身だというのに他人の死を悲しんでいた。あはれなんて人間全体なのにね。と。 いや、ほんとそうなのよ。皆んな100年ぽっちで必ず死ぬんだもの。マジでやってらんないよね。何もかもが儚すぎて。 3つって言い切っちゃったからもう終わりにするけど弟の辞世の句が途中で止まってるなんてのも良かったなぁ。 山本淳子さんの他の本も読んでみよう。
ビギナーズクラシック「紫式部日記」を買った時近くにあった。冒頭を読むと、~それにしても私の人生とは、なんとまあ次々と大切な人を喪い続けた人生だったろうか。思えば、この悲しみから目をそらすまいと決めたことが、私を『源氏の物語』の作者、紫式部にしたのだ。・・ 「姉君」の話をしよう。あれは長徳元(995...続きを読む)年、私がまだ若い娘で、父や弟と一緒に京の邸に暮らしていた頃のことだった・・ と始まる。 そう、これは山本氏が残された史料をもとに、想像を駆使して描いた『紫式部』の人生の独白なのだった。これがめっぽうおもしろい! ずんずん読み進めて一気に読んでしまった。 ・・私は後になって書いた『源氏の物語』で、登場人物たちを次々に私と同じ目に遭わせた。光源氏は三歳で母を亡くし、六歳で祖母を亡くす・・ 本文には独白の合間合間に「紫式部日記」、「紫式部集」の本文と読み下しが入る。独白の根拠を示している。これが私にはとてもしっくりきた。山本氏の解釈としての独白文が、なるほど、と真実味と凄みをもって迫ってきた。また歴史的出来事もはさんであるが、それらは「小右記」「権記」「御堂関白記」から「日本紀略」「今昔物語集」、また「枕草子」「蜻蛉日記」「古今和歌集」「栄花物語」などなどによって、心境を紡いだ。いやはや実に多くの史料を読み込んで書いてある。 私は和歌が苦手なのだが、当時は自分の心境を和歌によって現わしてしたのだ、ということがわかった。 「紫式部日記」では清少納言を悪しざまに書いている、と流布されているが、山本氏の解釈は少し違う。そこには清少納言と紫式部との漢詩への思い入れと解釈の深さの違いがあるのだ、とする。定子はじめ道隆一族、清少納言は、『香炉峰の雪は』の一文に見られるように漢文の素養があり、それが定子後宮を輝かしいものにしている。そして「枕草子」の存在で10年後の今になっても輝きが増している。それが『枕草子』の力だ。それに比べ彰子後宮は地味だ。彰子様もそれを分かっている。が、しかし定子後宮にとって、漢文とは風流な装飾品でしかなかった。漢文とはもっと自省的な深い意味を持つものなのだ、とする。 また、「紫式部日記」は4つの部分に分かれ、後段のつけたした部分は何故そうしたのか、その紫式部の真意を推理するのも日記を読む醍醐味です、とビギナーズクラシック「紫式部日記」で言っていたが、この「ひとり語り」では、娘の賢子のために書き足したとしている。賢子は父も早くに亡くし後ろ盾がない。あの子は女房になるしかない、と紫式部は考えていて、女房の心得をつけたしの部分で書いた、としている。 しかしこれを読む限り、紫式部と道長は、紫式部が『源氏物語』を書く以前には面識はなかった。大河はドラマなのであるが、ちょっと設定が大胆かなあ、という気もする。でも、倫子と紫式部は母方のはとこ同士、道長とは6代遡る冬嗣からの子孫。お互いの曽祖父の曽祖父が冬嗣なのだった。 単行本「私が源氏物語を書いたわけ 紫式部ひとり語り」角川書店2011.10 を文庫化したもの 2020.2.25初版 2022.11.25第7版 購入
例によって大河ドラマの影響で読んでいます。紫式部さんの内なる思いが肉声で聴こえてきそうなほどリアルな描写でスイスイ内容が入ってきました。肉声というか吉高由里子さんのお声で再現されてしまっていますが。笑 それはそれでまたドラマを楽しめるのでぜんぜん良しとします。
大河ドラマ「光る君へ」に触発されて読みだした本。紫式部って源氏物語の作者であることは知っているもののそれ以外のことは意外と知らなかった。 源氏物語を書きだしたきっかけは、夫、藤原宣孝が突然になくなり、その後、物語を書くという作業を通じて、自らを昇華させていったという所なのかな。 初めは、雨夜の...続きを読む品定めといった一編を収録している「箒木」、「空蝉」、「夕顔」の三帖から物語は始まったそうだ。その後、「桐壺」の巻やいろいろな物語を書き足していって源氏物語が完成していく。その間、物語の成立には、藤原道長などの援助もあったようだ。 読んでいていると、結構他の女房達の批評が乗っているが、特に清少納言などについての人物評は手厳しい。かなり口で言えない分、書くことで発散する人だったのだろうかとも思う。 一条天皇の皇后で、紫式部がつかえていた上東門院藤原彰子が徐々に人間として成長していく様を描いている所がまたいいなあ。 注目は、道長との関係。昔、読んだ北山茂夫氏の「藤原道長」では、関係があったという記述があった記憶があるが、実際はどうだろう。この人の性格を見ているとそういう危ない橋は渡らなそうだし、召人のような関係は好まなさそうだから、ない様な気がするのだが、どうだろう。 「紫式部日記」や歌集の「紫式部集」の成立の事情にも触れている。この人は、根っからの作家のような気がする。こういう人は、これまでの文学史上居たのだろうか? 紫式部とはどんな人だったのか、その生涯、述作などを知るための入門書としてはちょうどいい本だと思う。
紫式部の書き残したもの、歴史的資料などを元にした紫式部の人生が小説風にまとめられています。 偉大な物語作家ではあるけれど、シングルマザーでお勤めをして、仕事や職場の人間関係に悩み、ついいじめに加担するなど、あぁ、普通にいそう、こういう人…と紫式部が身近に思われます。また、主人である中宮彰子の人柄につ...続きを読むいても述べられています。藤原道長の娘で、政治の道具としてしか印象がなかったのですが、そうではなかったのだな、と。 全体の印象としては、紫式部の心のなかに入り込んで世界を見ているような。心の奥に沈み込むでいくような。そんな感覚を覚えました。
大河ドラマと平行して読んでいて、本に出てくるエピソードがドラマに登場して大変楽しめました。 私には熟語が難しく、一つ一つ調べ、ノートに書きながらの読書。 学生時代に戻ったみたいでその点でも楽しかったです。
紫式部の書いたものをもとに、自伝形式で創作したもの。参考にしたものがその都度載っているのは、研究者ならでは。
藤原道長の長女、藤原彰子。一条天皇の中宮です。元々は、道長のお兄ちゃんの娘、定子が中宮でしたが、出産時にお亡くなりに。 平安時代の貴族・皇族は「楽して生きてるんだよねー、あーあ、いいなーっ」というイメージがありますが、本当にそういうわけではなかったんですね。政権争いとかで、命を狙われてしまったり、金...続きを読む持ち、権力者はいつもリスクを背負って、生きてるんですね〜!道長の、甥っ子・伊周も道長の企みで太宰府に送られてしまっているので。 話は戻り、中宮と言ったら、天皇の妃の中で一番位が高いのです。中宮・皇后、女御、更衣と、このような感じです。 ところで、一条天皇の時は特殊で、中宮、皇后と二人、正室が二人いるってことなんです。普通、正室は一人と決まっていますが、道長がゴリ押しで彰子を中宮にしたってことなんですよね。 それに、ライバル定子は一条天皇が幼き頃からそばにいるから、寵愛を受けている。しかも、彰子が初めて、帝と枕を共にする日の朝に定子が第一子を出産してしまうのです。 だから、彰子のことなど、初めから眼中に入ってなかったんですね。 定子が亡くなってからも、彰子にお渡りはなく、どうしたものかと思った道長が、定子の宮中のように、知性があふれ、華やかな宮中にしようと、源氏物語の作者、紫式部を登用したんです! 紫式部日記、源氏物語と紫式部の女房時代が始まっていくんですね! 感想:面白かった!!(≧∇≦)
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