伊吹亜門のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
京都近代バディもの。
鯉城(りじょう)は豆腐屋の息子として生まれ、警官となったが、事情があって職を辞し、今は探偵として働いている。
彼のパートナーでもあり、ある種パトロンでもあるのが露木。伯爵の血を継ぐ庶子で、本家には嫌われている。病弱な彼は鯉城のようには動けないが、思慮深く、頭脳明晰で、鯉城に何くれとなくアドバイスする。安楽椅子探偵型ホームズといったところである。
舞台は大正時代の京都。浪漫漂う世界で繰り広げられる事件には、生臭い情念が渦巻く。
鹿ヶ谷の別荘に正体不明の化け物の叫び声がする。そこに残されたのは異様に顔が腫れた男の死体。男は化け物に取り殺されたのか?
聚楽第の娘にかなわぬ恋をした男は娘の家に付け火をする。それに留まらず、自ら油をかぶって焼死する。いったいなぜそんな死に方を?
西陣の老舗機屋で、男女3人の死体が見つかる。社長夫妻とその弟。これは不倫の代償なのか?
いずれも混み入った事件。鯉城はそれぞれ、結論にたどり着くのだが、露木はもう一歩、踏み込んだ「解」へと鯉城を導く。
全5話の連作集。第4話のみ、露木の語りとなり、あとは鯉城の視点で事件が描かれる。
通常のミステリと少々違うのは、露木の示す「解」にある種の裏事情があることだ。これはなかなか目新しい試みかもしれない。起きた事柄は1つでも、視点を変えればさまざまな見方が「出来得る」というところだろうか。
正直なところ、個々の事件の筋は混み入り過ぎで、キレも弱い。事件解決の爽快感は得られにくい。現実世界で起こる事件もあるいはこのくらい割り切れぬものもあるのかもしれないが、それにしてもカタルシスは薄い。
読みどころとなるのは、大正京都の濃い目の仄暗い情感と、2人の探偵の関係性だろう。
一風変わったブロマンス。「焔(ほむら)」は直情的で頑強な鯉城、「雪」ははかなく怜悧な露木だろうが、表紙では鯉城が雪の中におり、露木は暖かな(おそらく暖炉のある)部屋にいる。いずれにしろ、対照的な2人である。
さて、この2人、さらなる事件に挑むことはあるだろうか。 -
Posted by ブクログ
結城真一郎「惨者面談」★★★☆☆
凡そ結末の予想はついたけれど、文体が好き。
伊吹亜門「囚われ師光」★★★☆☆
「刀と傘」「雨と短銃」に続いて。
この方の作品、個人的にとても好きなのだが、短編だと淡々とした印象がより強いかも。ただ母校の新島襄を出してくるところが強いな。
中島京子「ベンジャミン」★★★☆☆
お母さんのセリフと動物園であらかた予想はついたけれど最後まで読めた。
アメリカの小説を読んでる印象があった。
櫛木理宇「夜に落ちる」★★★☆☆
掲示板のまとめを読んだときに感じる胸糞感があって、とりあえず私は外食しているときに隣のテーブルにこのご家庭が座ったら、脳内早食い選手権を開催しそう。
短編を読んだという印象より、本を読んだ、という印象。