宮下遼のレビュー一覧

  • 僕の違和感 上

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    ネタバレ

    イスタンブールの路上で呼び売りをする少年。田舎から父について出てきて以来、いろいろなライフイベントを経験しながら年齢を重ねる姿を描く。
    田舎出身の貧しい主人公の意識や親戚づきあいなどの有り様と、40年前から現在へ至るイスタンブールの変遷が興味深く読めた。
    貧しいけれど主人公は素直で優しい男だ。いつまでも少年のような純朴さが、ちょっと古めの少年向けの物語のようでもある。
    個人的には、現代的なトルコの友人から聞くより時代が周回遅れのように感じられ、トルコの現実について考えさせられる。

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    2017年12月05日
  • わたしの名は赤〔新訳版〕 上

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    訳文が、流れるようで美しい。
    中東やイスラムが何かと騒がれることの多い昨今、あちらの文化・風習・考え方に触れ、カルチャーショックを自分に与えるには良い機会になった。
    西洋人が考え出した遠近法を、「皇帝陛下と他の事物を同じ大きさに描くとは何事か」となったり。
    細密画は古の名人のものを完璧に写すことこそが大事で、そこに絵師の個性を出すなどもってのほか、とか。
    全く異なる文化に生きる登場人物なのに、卑怯でしたたかで虚栄心と自尊心のかたまり、そういうところは現代の我々とそっくりなのだ。

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    2016年07月18日
  • わたしの名は赤〔新訳版〕 上

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    とにかく文字が多くて執拗だ。登場人物もいいやつが1人もいない。女は面倒くさい。男も面倒くさい。読むのが億劫になるけど、半分超えると、段々途中で諦めるのがもったいなくなる。でも、下巻読むのはもう少しあいだを空けよう。。

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    2016年02月25日
  • わたしの名は赤〔新訳版〕 上

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    人だけでなく、屍、犬、絵に描かれた木、金貨、「死」そのもの、さらには「赤」と、次々に入れ替わる話者の独白により物語が進んでいく。
    その形式はまるで、別々の絵師によって描かれた細密画を組み合わせ、一つの写本を完成させようとする作中の「企み」を、そのまま小説で表現しているみたいに思える。

    彼らの独白をつなぎ合わせ、「人殺し」が誰なのかを捜しあてる、探偵小説の面白さ。
    ばらばらになった写本から時代を、文化を、人々の営みを読み解いていくかのような、歴史小説の面白さ。
    その二つの魅力が混ざり合って、難解ではあるけれどするすると読めてしまう。

    恍惚の赤。煽情の赤。

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    2013年01月25日
  • わたしの名は赤〔新訳版〕 上

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    東西の交点であるイスタンブール自体に、
    独特の雰囲気がある。
    馴染みの薄いイスラム文化と細密画。
    多視点で語られる物語。

    2003 年 国際IMPACダブリン文学賞作品。

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    2012年09月23日
  • わたしの名は赤〔新訳版〕 下

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    ひとつの細密画の製作にかかわる人たちのそれぞれの視点で、殺人事件とその犯人探しを語らせている。この中で、実在の細密画の絵師も登場させ、細密画の歴史と、細密画の絵師について丁寧に語られている。
    この話の16世紀末から17世紀初めにオスマン=トルコに珈琲が広まったとされており、珈琲店での噺家による小噺や細密画の絵師による文学の一遍などが差し挟まれ、その時代のオスマン=トルコの情勢を描き出している。

    自分としては読むのに時間(上下2冊で10日間)がかかりました。

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    2014年03月15日
  • わたしの名は赤〔新訳版〕 上

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    冒頭で殺人事件がおこり、犯人探しが主題になっているので、ミステリーだが、16世紀末のオスマン=トルコの情勢、細密画の絵師の世界が細かく描かれていて、歴史小説に分類。しかし、恋愛の駆け引きがその背景に絡まり、男たちが美しい女性にひきずり回される恋愛小説ともいえる。

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    2012年08月04日
  • わたしの名は赤〔新訳版〕 上

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    オルハン・パムク。
    イスラム圏発のノーベル賞作家です。

    殺人事件を下地にしていますが、なにより美しい文章でつづられる細密画の傑作と細密画師の言い伝えが素晴らしい。

    海外文学はこういったまったく異なる文化や世界を見せてくれるのがとても好きです。

    イスラム圏の文化にあまり馴染みがないので、絵と偶像崇拝禁止の関係も興味深かったです。

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    2012年03月05日