「ウツボラ」という一冊の小説を巡る愛と狂気と官能の物語。誰が誰なのか?私はあなたを知っているけれど、果たしてあなたは私が知っているあなたなのか?
謎が謎を呼ぶ、藪の中的展開の一巻から一転徐々に全容が明らかになっていくラストに鳥肌が立つ。所々に散りばめられた付箋に脱帽。まっとうな人生を歩んできた男の堕ちていく姿がエロティックで狂おしくて切なくも哀しい。
狂った世界で唯一清らかな存在だったコヨミと、生かされて生きる選択をした彼女が交差するシーンに、女性の力強さとしたたかさを感じます。明日美子さんの漆黒の魅力が最大限に溢れた作品です。