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Posted by ブクログ
エロティックがテーマの短編集。6作品が収録されていて、そのうち半分が書き下ろしです。「痛い靴」「カルメン」「クリスタル」は以前に読んだような記憶がうっすらとあります。
エロに特化したというだけあって、短編なのにかなり濃い内容です。そのエロがまたマニアックなんだな…好き嫌いが人によっては出てくるでしょうが、ここはちょっと太っ腹になってあれこれお試ししてみるチャンスではないかと思われます。文章がうまいから、変態なのにノーマル感があふれてるのですんなり入り込めます。
榎田センセのエロ嗜好と文章の実力を、一度に味わうことができました。
全体的に、そこそこBLを知り尽くした上級者に向けての作品という気がします。
ココから詳細な感想です。
「痛い靴」CUT/えすとえむ
脚フェチ、ハイヒールフェチな上司に翻弄される真面目リーマンの話。仕事ができてカッコいい営業部GMの久我は、なかなか仕事や仲間になじめない日高をいつもかばってくれる、一見やさしく頼れる上司なのですが、実は
超ドS男。日高への猛烈な執着愛がSM行為に集約されています。靴擦れイタイ!読者にもドSでした。痛いけど久我のSな言葉責めに萌える!すごく卑猥。
「ストロベリー」CUT/腰乃
仕事を通じて親しくなった館野と篠田。ゲイの篠田は館野と友人のふりで2年耐え、玉砕覚悟で告白して晴れて恋人になって1年目。
ノンケとゲイcpゆえに発生する誤解と思い込みが、おかしな方向に発展してしまいます。篠田がかわいいです。わかりますよ、相手がノンケだからいつか心変わりして捨てられるかもしれないと疑心暗鬼になりすぎてしまうのも。でも、案外館野は信じてあげられる相手だったみたいでよかったです。必死すぎて「リバ」ってのが最高でした!かわいい、キュン死にしそうになった。イラストとベストマッチ。
「10×3」CUT/円陣闇丸
893です。しかも3P。女癖が悪い辻は組長の大事な娘にまで手をつけて、ホテルで一緒のところを運悪く顧問弁護士の財津に目撃されてしまいます。金で口止めしようと財津に持ちかけたところ、金は足りていると言われて。
漢が漢2人に犯られるというのはおいしいです。辻はけっこう強気で俺様タイプなんです。なので、2人からガンガン言葉や道具でドSに攻められても、悲壮感が全然なくてあっけらかんとしてるイイ人でした。あんな目に遭っても殺意も無さそうで、安心です…
「カルメン」CUT/鬼嶋兵伍
ドラァグクィーン攻!人には言えない性癖を持つ桐生と、身長がコンプレックスの千歳。ちょっとヘタレなガチムチとクール美人なチビという体格差に萌え。オネエまではいかないけど女装攻めというのもツボです。イラストがいいですよね。
「クリスタル」CUT/中村明日美子
社長である父親の後ろ盾で取締役となった篤樹は、自分の教育係であり秘書である真人に嫌われていると思い込んでいます。ある日真人と乗ったエレベーターが故障して閉じ込められた篤樹は彼に恥をかかせようとしますが。
設定がスリリングでドキドキさせられます。
主従逆転も有りの失禁羞恥攻め。コレも相当Sが入ってます。
「書生の戀」CUT/今 市子
これは戦時中の作家と書生のものすごく切ないお話。プラトニックな恋愛が手紙と日記と小説の形で展開していきます。「エロ」じゃなくて胸が張り裂けそうな「えろてぃっく」です。この時代の人々の恋愛を思うと胸が痛くなります。ラブもエロも生き方もままならない世の中は不幸です。
泣かされました。最後の最後でこんなに泣かされるとは思いもよらず…
気を引き締めて、BLに精進したいと思いました。
Posted by ブクログ
▼あらすじ
弱みを握られ、脅され、ふたりがかりで辱められ――
支配するものがその立場を奪われ、悦楽に跪くとき…。
『10×3』をはじめ、書き下ろし含む全6編、密室、玩具、極道など、榎田尤利がこだわりぬいた極上のエロティック短編集。
***
どれも良かったのですが何と言っても最後の「書生の戀」というお話が別格です。
手紙のやり取りをそのまま小説にした感じなのですが、本当に全てを持って行かれた感じ。
このお話だけ、他のお話と空気も時代背景も違います。
私は小説でも何でも感動はしても泣くまで至る事が無に等しいので今回もそのパターンかと思いきや、読み進めるうちに身体がカーッと熱くなって、それを理解するのと同時に震えが来るほど衝撃を受けて、最後は涙腺が壊れたようにボロボロ泣いていました。
小説で、しかもBLというジャンルでここまで泣けたのは初めてです。
切なくて、苦しくて、悲しくて…まさかこんなに胸が引き絞られるなんて思ってなかった。
ただただ、遣る瀬ない思いでいっぱいというか…。
私がここでどんなに熱く語っても言葉が安っぽくなってしまうのが悲しい。
切ない話が苦手な方も「書生の戀」だけは読んで欲しいなと思ってしまいます。
Posted by ブクログ
エロスと官能の珠玉の短編集。
短編集というと普通は物足りない感の詰合せになるのだが、どれも内容が濃くて一つの物語として完結している様は流石。マニアックなエロがてんこ盛りなのだが、美しく流れるような文章で不思議と下世話な印象はなく上質なエロティシズムが感じられるのは榎田さんの小説という先入観があるからなのか(^^;;
そして最後の「書生の戀」のような作品こそ榎田さんの真骨頂ではないだろうか。一度も交わるどころか逢瀬すらしていない、ただ書簡のやり取りを通して紡がれる恋物語。書生が創り出した絵空事だったはずの物語がどんどん真実味を帯びてきて、いつのまにか二人の恋が事実として存在していたかのように感情移入してしまう。
そして戦争によって残酷な運命が訪れる訳だが、それを第三者の曾孫が読み知る事によって不思議なカタルシスとなって青年は今の恋人との生を実感する。エロスなくしては私達は生まれない、エロスとは生きること。というあとがきに書かれていた榎田さんのメッセージが込められた作品であったと思います。
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