戸高一成のレビュー一覧
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本書は元帝国海軍の左官級の中堅幹部が戦後に集まり、先の大戦について反省を踏まえて振り返った「海軍反省会」をベースに、本書タイトルにあるように「特攻」について語る部分を抜粋した内容である。筆者は大和ミュージアムでお馴染み、呉市にある海事歴史資料館館長であり、様々な海戦史に関する歴史書物を書いた戸高一成氏である。
元海軍関係者という事もあり、自身が関わった作戦に対して、また、当時の上司にあたる将官クラスの人々に対して、どの程度否定的な意見を述べているのか、興味を持って読んでみた。当時の作戦立案や戦争指導にあたる様な高い地位にいた人々の中には、自刃したり裁判で死刑になったり、すでに発言の機会を失って -
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山本五十六や井上成美をはじめ海外ツウが多く、戦後に太平洋中心に描かれる提督物の書籍も多いことから、大陸で泥臭い戦いを強いられた陸軍と対照的にインテリ感の漂う帝国海軍、そんなイメージを持たれる方が多いように感じる。
私も学生時代から何処となくその様なイメージで括っていた。近年はレイテ反転の栗田中将の評価が見直されたり、山本長官をこっ酷く批判する書籍など、提督や参謀等の評価も割れていて面白い。実際は戦後生き残った関係者の個人的な関係や聞き伝わった内容など濁った情報が混ざり合うのだから本当の姿は解らない。
本書は人物よりも状況にフォーカスしてメジャーな作戦を評価していく点で、何度も似た様な書籍を読ん -
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第1部は識者6人による座談会。
第2部は6人それぞれの補遺的文章。
あの戦争で当時のメディア(新聞とラジオ)が果たした役割はとてつもなく大きかった。開戦を賛美し、国民を扇動熱狂させた。恐ろしい!
終戦の日はいつか?
ポツダム宣言受諾を敵国に通告したのは8月14日。
それを国民に伝えた(玉音放送)のは8月15日。
ポツダム宣言受諾文書に調印したのは9月2日。
日本人は「終戦記念日は?」と問われれば8月15日と答えるが、国際的には「9月2日」が一般的だそうだ。
あの戦争の経緯が分かる文書はまだまだ未公開のモノが多い。なぜ開戦したのか?戦争の経緯は? 歴史的な解明はまだまだ先のようだ。 -
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対談。なぜ戦争になったのか。どこで間違えたのか。こういう本を読むと、自分がいかに知らなかったということを痛感する。そしてこういう本を読んで思うのは、過去のこととして知識にするのではなく、今、自分のいるまわりに活かせることはないか、ということなんだよね。
大正七年の原敬首相から昭和七年犬養毅が五・一五事件で暗殺されるまでを日本の政党政治の黄金期という。
では、原敬の何がすごかったのか。
偉大だったのは、としていわれること。
原敬日記をひいて、すごくこまめに軍人に会っていることを指摘している。
こまめに、ひょっとしたら自分と反対意見の人とも会って、パイプをつくっていたこ -
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日本がなぜアメリカとの戦争に踏み切り、そして負けたのかという点について、近代史に造詣の深い6名の方が対談形式で述べる本。「なぜ負けたのか」よりも「なぜ国力に圧倒的な差があったアメリカとの戦争に踏み切ったのか」という点に関する部分には、ちょっときな臭い雰囲気になりつつある今日、考え直す意味は深いと感じます。
対米戦争に限らずほとんどの戦争が「自衛・自存」を大義名分に始められ、ブレーキをかけるはずのメディアも政権や大衆に迎合していく流れであった事などは同じ過ちを繰り返さないためにも知っておくべき事実であると思います。
なぜヒトラーのドイツと同盟を結んだのか、海軍・陸軍エリートはなぜ判断を誤って開戦 -
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海軍反省会も5巻目となると、主要な出席者のキャラもだいぶわかってくるが、あの時代の選抜をくぐりぬけてきただけあって、みなそれなりに優秀な人材であるのがよくわかる。
しかし、この人々はそもそも「反省」しているのだろうかとの疑問をいだいた。
自らの行動が「帝国の破綻」を招いて、日本人の死者だけでも310万人ともいわれる。アジアにおいては千万の位の死者がでたといわれるが、その結果についての「慙愧の念」や「深刻な後悔」などは、彼らの言動には伺えない。
「反省」の内容についても、そもそも海軍関係者でそれまでに論議の積み重ねがないからこそ、本書の論議になっているように思える。
「歴史認識」とは、 -
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ネタバレ昭和史を語る際にいつも示唆を受ける半藤、保阪に右よりの中西が加わり、どのような討議になるのか興味深いところでした。昭和の大戦という際に、日米戦争を分けて、中国に対しては明らかに侵略戦争であったという半藤、保阪に対して中西は何となく曖昧な姿勢であると思いました。それだけに日本が反乱もなく、一致して闘っていけたのは米英に対して自衛=興国存亡の危機にあるという意識が強かったからだという一致した考えもなるほどと思いました。このタイトルではなく、「なぜ負けることが分っている戦争をしたのか」という観点から、日本の指導層に対する厳しい批判は今の私たちの姿勢(政治だけでなく、企業においてさえ)に反省させられる