あらすじ
「数百時間に及ぶ、日本海軍中堅幹部の肉声が遺されていたという事実に、驚きを禁じえない。感動した」と、戦史研究家の半藤一利氏も思わず心高ぶった感想をもらされたように、本書は、極秘で開催され続け、その後、現在まで秘蔵されていた、「海軍反省会」の生々しい記録である。「海軍反省会」は、昭和55年3月28日に、水交会で第一回を開催し、以後、12年にわたり継続した。本書は、この第一回から第十回までの会議において、各員が発言した記録のテープを文字に起こしたものである。この十回分を選定したのは、全体量が膨大で、全文の刊行が困難であることもあるが、当初、この程度の会合で、一定の結論を出すことを目的としたため、初期の会合で、重要事項がほぼ網羅されているためでもある。肉声に宿る、真実の証言が満載された、読み逃せない一冊である。
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Posted by ブクログ
先の戦争については、「なぜあんな無謀な戦争に突入したのか」との疑問をつねづね持っていたが、本書を読んで、専門家である「海軍士官」たちが当時どのように考え、どういう問題意識を持っていたのかがよくわかる思いがした。
本書の内容は、さすが大官庁「日本海軍」であるだけに、内容は多岐にわたっている。
しかし、「反省会」と名付けられた会議での詳細な論議を読むと、海軍の多くのシステムが多くの問題点を内包しつつ、情勢に押し流された様子は伺えるものの、戦後出席者たちが「失敗の原因」を真剣に追求し、認識を共有していたようには思えない。
彼ら「海軍」の専門家において、「戦争へと向かった道」や「海軍のありかた」についての深刻な反省は、この会議までほとんどなされていなかったのだろうか。
少なくとも本書の内容は、「多くの意見」が出ているといえば聞こえはいいが、「敗北へ至った道」への考察を全員が共有しているようには思えなかった。
本書は、旧海軍士官による迫真の「反省会」であると思うし、よくこの資料が残っていたとも感嘆するが、同時に「戦前・戦中」の日本をどう捉えたらよいのかという「時代の認識」が当事者「海軍士官」でさえ、戦後の長い期間を過ぎても成熟していなかったということではないかと思えた。
専門家ですらこうなのだから、現在の日本において「先の戦争とその時代」への「歴史認識」が成熟していないと言われるのも無理もない。
それでも、「陸軍と右翼による内乱を避けるために海軍は開戦に応じた」とか「軍令承行令」という日本海軍のシステムの問題点とかの多くの知見は実に興味深い。
本書は、現在第4巻まで発行されているが、次巻以降を読むのが楽しみである。本書を、歴史を知ることができる本であると高く評価したい。
Posted by ブクログ
海軍の『大東亜戦争』後の話。反省会とされてますが非常に白熱してます。
戦後の日本の立て直し、海軍のこれから、開戦の是非、何故負けたのか、教育とはどうするべきか、人選はどうだったのか 等々。
10回分を載せてあります。
後半の頁でかなり『関連資料』が載せられています。
コレには脱帽。
反省会当時85歳にしてこの記憶やスゴイと思わせてくれます。
この本自体が 資料 となる。
私は背景がシッカリしてないのでわからない単語を調べながら読み進めるという時間のかかりよう。
それでも勉強できます。