【感想・ネタバレ】[証言録]海軍反省会 2のレビュー

あらすじ

秘蔵されていた、日本海軍中堅幹部の肉声として話題を呼んだ、「海軍反省会」。本書は、その、第11回から第20回までの議事録を収録した、「証言録」第2弾である。この巻には、軍令部からは、暴走と思われていた、山本五十六連合艦隊司令長官の作戦指導。潜水艦戦に関しては、潜水艦勤務の経験のない参謀が潜水艦作戦を指導していたこと。そして、回天特攻の背景について、第六艦隊参謀であった鳥巣健之助氏の憤りを交えた激しい証言。また、海軍砲術の大家と目されている黛治夫氏の、日本海軍の砲戦に関する克明な報告など、多くの証言が含まれている。今回も、戦史ファン・研究家にとって、読みどころ満載の一冊となっている。

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Posted by ブクログ

 本書は「海軍反省会」の2巻目で、内容は「戦略」「戦闘」多岐に渡るが、海軍内部でも「日本は負けるぞ、必ず。今のような航空兵力で勝てると思うかと地団駄踏んだ」幹部がいたとは驚いた。
 もちろん戦後だいぶ経ってからの発言ではあるが、本書の、時には露骨な迫真の論議を読みながら、巻末の発言者の当時の階級と年齢、兵学校卒業年次を逐一照らし合わせる読書作業は実に充実した時間となった。
 発言者の立場と個性・主張がそれぞれわかるようになると、一層面白かった。
 「戦闘」についての詳細な論議や「情報」「兵站」「特攻」「砲術」「潜水艦」等々の多岐に渡る論議も、それぞれ興味深く読めた。やっぱり「専門家」である。内容は深いが、古い見解に固執している参加者も中にはいる。
 それにしても、本反省会の提唱者である「野元氏」や他の参加者の凄さである。
 発言当時、70代から80代の高齢でありながら、これだけの内容を語る「知性」。
 当時の「日本海軍」が第1級の人物を集めていたことが伺える。ひとりひとりは決して愚かではなかったということは、やはり「負ける戦い」に突入していった理由は、別のところにあったのだろうか。
 しかも「野元氏」はこの反省会の内容に危機感・不満をもち、「反省会運営方法の見直し」すら提案している。しかし、この「反省会」を積極的に発表して歴史に活かすことは全く考えていなかったようである。
 結果的に、このテープが発掘されてはいるが、彼らは貴重な歴史の教訓が「年寄りのよもやま話」で終わってしまう事への危惧は持たなかったのだろうか。
 まだまだ、次巻が楽しみである。本書を高く評価したい。

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2013年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私が生まれた頃に行われていた、
海軍の主軸(今でいうミドル層)の方々による、反省会の発言集。

海軍組織の問題点を赤裸々に語っている。
教育、人事、派閥、対陸軍との関係性等、すこし言葉を変えれば、
どこかで聞いたことある話である。

(要所要所で、思うところはあるけど、ちょい「右」がバレちゃうので差し控えます。)

「GMとともに」を読んだ時思ったが、
改めて「抱える問題はどこも同じ」と感じた。

組織って重いですなぁ。

あと、発言集ゆえ、話の流れがあっちゃこっちゃ行くので、非常に疲れる…。
抄録集出ないかな…。

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2011年06月25日

Posted by ブクログ

前巻だけでは、反省会がどういう形になったのかよく分からないと思ったので、
これから続巻が出される事は良かった。
基本的に海軍の反省会で、当時の主立った人々はいない場所、
世間に全てを発表するつもりは無い事をふまえても、
鵜呑みにするのは難しいような気も。
ただ人間性や人格が戦術に反影はしない事実を、
理解しながら進まざるを得ない状況に立たされてしまった
冷静さを持っていれた人は苦しかったろうとは思う。
でもこれは戦争反省会ではないんだ、
海軍の為の、=海上自衛隊や、
これからの国家軍事のあり方を示唆する、
平和の時代ではない戦争を経験した人間の反省会なんだ、
と思えるような内容でした。
誰が悪いとか、誰の責任だとか、
戦争に負けた国は何の発言権も許されない時期が、
確実にあって、その時にどれだけの情報が消されたり、
ねつ造されたのかは、難しい話なんだけども。

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2011年07月31日

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