戸高一成のレビュー一覧

  • あの戦争になぜ負けたのか

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    近衛は首相の強い意思もあり、昭和16年10月中旬に、アラスカにおいてルーズベルト米大統領との首脳会談が計画されていた。ところが近衛書簡の内容の概ねが漏れてアメリカの新聞に発表されてしまう。日本政府はアメリカに泣きを入れた!対米強硬・親ドイツ派の右翼や小壮軍人や軽噪な言論人は、この方に激昂した。一般の国民の気持ちまでもがぐんぐん激烈になり、アメリカに対する敵愾心をいっそう燃え立たせることになる。日本国内の世論の熱狂が、アメリカ小竹に良い口実を与えたことになる。こうして一気に、首脳会談の望みは微塵に砕け散ったのである。

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    2016年08月15日
  • あの戦争になぜ負けたのか

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    この本を読むと官僚組織が力を持ちトップダウンで政策を指示、遂行していくという流れが戦前から変わっていない事がわかります。(力を持ったものが武官が文官に代わっただけ。)過去の戦争での悲劇をを風化させてはいけないと強く思います。

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    2014年08月26日
  • 海戦からみた日清戦争

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    日清戦争での海軍の重要性を初めて知った。
    海軍のハードのみならずソフトの充実を重要視したこと。艦船の技術は世界的にも確立されて行く時期で、様々な失敗があったこと。清軍との威海衛海戦は、各国海軍に注目されていたこと。
    一方、海軍の組織の問題が、1945年まで解決されずに終ったことも知った。

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    2014年06月11日
  • [証言録]海軍反省会 3

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     「海軍反省会」も3巻目となり、個別参加メンバーの個性と主張がだんだんわかるようになってきたが、「開戦2年半で日本とアメリカの戦力差が二倍以上になっちゃう。これでは全然問題にならないという結論」であったにもかかわらず、「海軍」が「内乱を恐れて開戦に同意した」という証言には驚く。
     これは、「当時の世界や日本の状況」に押し流されたと考えるべきか、「日本の政治システム」に問題があったと考えるべきか、読みながらいろいろ考えさせられてしまった。
     それにしても、本書を読んで思うのは、これらの海軍関係者には、戦時には国家予算の8割以上という膨大な予算を使いながら「帝国の破綻」に突進したことへの深刻な自責

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    2013年04月06日
  • [証言録]海軍反省会 2

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     本書は「海軍反省会」の2巻目で、内容は「戦略」「戦闘」多岐に渡るが、海軍内部でも「日本は負けるぞ、必ず。今のような航空兵力で勝てると思うかと地団駄踏んだ」幹部がいたとは驚いた。
     もちろん戦後だいぶ経ってからの発言ではあるが、本書の、時には露骨な迫真の論議を読みながら、巻末の発言者の当時の階級と年齢、兵学校卒業年次を逐一照らし合わせる読書作業は実に充実した時間となった。
     発言者の立場と個性・主張がそれぞれわかるようになると、一層面白かった。
     「戦闘」についての詳細な論議や「情報」「兵站」「特攻」「砲術」「潜水艦」等々の多岐に渡る論議も、それぞれ興味深く読めた。やっぱり「専門家」である。内

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    2013年03月23日
  • [証言録]海軍反省会

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     先の戦争については、「なぜあんな無謀な戦争に突入したのか」との疑問をつねづね持っていたが、本書を読んで、専門家である「海軍士官」たちが当時どのように考え、どういう問題意識を持っていたのかがよくわかる思いがした。
     本書の内容は、さすが大官庁「日本海軍」であるだけに、内容は多岐にわたっている。
     しかし、「反省会」と名付けられた会議での詳細な論議を読むと、海軍の多くのシステムが多くの問題点を内包しつつ、情勢に押し流された様子は伺えるものの、戦後出席者たちが「失敗の原因」を真剣に追求し、認識を共有していたようには思えない。
     彼ら「海軍」の専門家において、「戦争へと向かった道」や「海軍のありかた

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    2013年03月14日
  • あの戦争になぜ負けたのか

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    今現在の現状を理解するのに先の大戦ってとても重要だと思う。例えば、開戦の理由は石油をアメリカに止められたのが直接の要因で、エネルギーに関しては当時とあんまり変わっていない。負けた要因をきちんと分析、理解ることもこれまたとても重要。さっきバラカンさんのラジオで戦争は二度と起こしてはならない、みたいなこといってたけど、起こしてはならないからこそ、きちんと抑止力としての武力は必要だし、憲法もちゃんと改正しないといけない。戦争ダメの理想論だけで思考停止に陥るってのは、先の大戦の理解が足りないからなんだよね。

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    2013年03月10日
  • あの戦争になぜ負けたのか

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    軍部にコミンテルンが入っていたようだとか、受勲スコアの考え方とか、草鹿龍之介が剣道的な戦略概念を持っていたとか、開戦直前の顛末とか、知らなかったことが書かれていて興味深い。

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    2013年01月03日
  • 海戦からみた太平洋戦争

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    真珠湾攻撃で顕在化した海軍の弱点を冷静に改善する意志と勇気があれば,完全勝利はできなくとも,日露戦争のような多少は苦いが実のある結末になったはずだ.勝利に酔った海軍と日本国民は最終的に壊滅的な終局を迎えることになったが,交渉による解決が下手な習性は今日でも根強く残っている感じがする.

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    2012年05月26日
  • 海戦からみた太平洋戦争

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    ●:引用 →:感想

    ●アメリカの国民は、義務として兵役につき、戦争に参加している。同時にすべての兵士は国家に対して、生命の安全に関して最善の努力を払うことを要求する権利を持っている。もし一人の兵士が戦死すれば、その遺族はその兵士の死が”意義のある死”であったかどうかを知る権利を持っていた。それがアメリカという国家と国民の契約だった。(略)また、海軍の内部でも同じような契約があった。「義務を果たした者には名誉を、果たさなかった者には罰を」である。すべての失敗について責任者がきびしく失態や怠慢を追求され、それぞれ処分を受けたものである。(略)法廷で戦友のミスを追及することはアメリカ人にとっても、

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    2015年12月10日
  • 海戦からみた日清戦争

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    艦船などの装備品の充足度に劣った日本が清国に勝てたのは,ほとんどが輸入品であった資材を実際に使用する兵士の質が,事前の教育で培われていたことが大きな要因だと結論づけている.妥当な見解だと思った.現代に当てはめて見ると,自衛隊の質はどうなのか,若干気になる.でも,軍事費に多額の血税を費やす時代は終わったと思うが,我が国の金の使い方には大いに疑問がある.

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    2012年01月10日
  • あの戦争になぜ負けたのか

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    英国情報部へのスパイ浸透とゾルゲ事件を引き合いに、軍部にもソ連のスパイがいた、そして日本の方向性を誤らせたのではないかという示唆は興味深かった。

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    2011年12月03日
  • 海戦からみた太平洋戦争

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    真珠湾攻撃から全軍特攻の終局へ、「失敗」の
    本質を探る。
    昭和の日本海軍はなぜ、日露戦争の完全勝利再現に
    失敗したのか?海軍の敗北に読む日本の姿。

    太平洋戦争と海軍と言えば、山本五十六は外せない。
    本書でも、山本五十六に対する記述は、大きなウエ
    イトを占める。
    山本は、犠牲を顧みず真珠湾攻撃を徹底的に破壊し、
    敵の闘志を根本から萎えさせるという自らの真意を、
    南雲機動部隊にも軍令部にも、また連合艦隊司令部
    にも知らせてなかったという。このために、攻撃が
    不徹底なものに終わったという。
    著者は、山本は真珠湾攻撃もやりたくなかったので
    はないかという。
    図上演習による

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    2011年12月02日
  • 海戦からみた太平洋戦争

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    『海戦からみた日清戦争』『海戦からみた日露戦争』に続く『海戦から~』三部作の最終作。前2作に比べて若干質は落ちるが、なかなかの良作。
    日本近代史の3つの海戦は、後世の人は「日本近代史の50年戦争」と名づけるであろうが、その成功と失敗を俯瞰するにもってこいの『海戦史』である。その中でも、範囲・量・質においてずば抜けてるこの太平洋戦争は世界史上においても稀有の技術合戦であった。世界最初の空母艦隊(機動部隊)による攻撃、イギリスの誇りであった戦艦をあっという間に撃沈した航空攻撃、世界初で最後の空母対空母による決戦、レーダーやVT信管による防御の成立、あらゆる戦いが最先端であり、最大規模の海戦が行われ

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    2011年11月20日
  • 海戦からみた日清戦争

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    一般的にはピックアップされにくい日清戦争の海戦をテーマにしております。

    そのなかでも本書は「日清戦争は後の戦争にどのような影響を与えたのか」という事を主軸に幕末ー日清戦争終戦までの海軍の歴史を考察されております。

    東郷平八郎等、後々の大戦で登場する人物の若い時代の事もかかれており、海軍ファンなら読んでおいて損はないと思います。

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    2011年09月30日
  • 海戦からみた日露戦争

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    英雄譚では読み解けない日本「完全勝利」の真実。
    東郷ターン、丁字戦法の陰で戦史から消された最高機密
    とは。

    日本海海戦は、天才秋山真之が立案した丁字戦法と、
    聖将東郷平八郎の指揮により完勝したということが、
    一般的には定説とされている。
    著者は、伝説化されてきた戦闘の実相を明らかにする。

    当時、日本海軍の主力艦は、イギリス製であった。当然
    の事のように考えていたが、本書を読むと、イギリス側
    の事情がわかる。艦艇建造においては後発であった、ア
    ームストロング社が本国の戦艦建造入札への参加を可能
    とするための実績を積むために、外国の軍艦発注を受け
    た事。そのため、外国向

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    2011年08月16日
  • [証言録]海軍反省会 2

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    ネタバレ

    私が生まれた頃に行われていた、
    海軍の主軸(今でいうミドル層)の方々による、反省会の発言集。

    海軍組織の問題点を赤裸々に語っている。
    教育、人事、派閥、対陸軍との関係性等、すこし言葉を変えれば、
    どこかで聞いたことある話である。

    (要所要所で、思うところはあるけど、ちょい「右」がバレちゃうので差し控えます。)

    「GMとともに」を読んだ時思ったが、
    改めて「抱える問題はどこも同じ」と感じた。

    組織って重いですなぁ。

    あと、発言集ゆえ、話の流れがあっちゃこっちゃ行くので、非常に疲れる…。
    抄録集出ないかな…。

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    2011年06月25日
  • 海戦からみた日清戦争

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    日清戦争の評価として、日本と清国の開戦までの日清両国の海軍整備の状況を丁寧に追っている(第2章)。好著です。問題意識としての「日清戦争はなぜ開戦に至ったか」は単純な答えはないのだと思えた。

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    2011年06月01日
  • あの戦争になぜ負けたのか

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    「対米戦争の目的は何だったのか」、「陸軍エリートはどこで問違えた」等、戦後六十余年、「あの戦争」に改めて向き合った六人の論客が、参戦から敗戦までの疑問を徹底的に掘り下げる。
    「文藝春秋」読者賞受賞。

    [ 目次 ]
    第1部 座談会・あの戦争になぜ負けたのか(対米戦争の目的は何だったのか;ヒトラーとの同盟は昭和史の謎;開明派・海軍が持つ致命的欠点;陸軍エリートはどこで間違えた ほか)
    第2部 あの戦争に思うこと(空しかった首脳会議;八月九日の最高戦争指導会議;私の太平洋戦争観;果たされなかった死者との約束 ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ

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    2011年04月17日
  • あの戦争になぜ負けたのか

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    NHKで昨年放映された、首脳部ぐだぐだ座談会を思い出しながら読んだ。
    戦争をするも続けるも、雰囲気と気遣いと押しの強い弱いによって決まったようだ。
    遺伝子に組み込まれた国民性なのか、空気が決める傾向は、今も変わっていない気がする。
    我らは猿以下か。

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    2010年10月03日