戸高一成のレビュー一覧
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「海軍反省会」も3巻目となり、個別参加メンバーの個性と主張がだんだんわかるようになってきたが、「開戦2年半で日本とアメリカの戦力差が二倍以上になっちゃう。これでは全然問題にならないという結論」であったにもかかわらず、「海軍」が「内乱を恐れて開戦に同意した」という証言には驚く。
これは、「当時の世界や日本の状況」に押し流されたと考えるべきか、「日本の政治システム」に問題があったと考えるべきか、読みながらいろいろ考えさせられてしまった。
それにしても、本書を読んで思うのは、これらの海軍関係者には、戦時には国家予算の8割以上という膨大な予算を使いながら「帝国の破綻」に突進したことへの深刻な自責 -
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本書は「海軍反省会」の2巻目で、内容は「戦略」「戦闘」多岐に渡るが、海軍内部でも「日本は負けるぞ、必ず。今のような航空兵力で勝てると思うかと地団駄踏んだ」幹部がいたとは驚いた。
もちろん戦後だいぶ経ってからの発言ではあるが、本書の、時には露骨な迫真の論議を読みながら、巻末の発言者の当時の階級と年齢、兵学校卒業年次を逐一照らし合わせる読書作業は実に充実した時間となった。
発言者の立場と個性・主張がそれぞれわかるようになると、一層面白かった。
「戦闘」についての詳細な論議や「情報」「兵站」「特攻」「砲術」「潜水艦」等々の多岐に渡る論議も、それぞれ興味深く読めた。やっぱり「専門家」である。内 -
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先の戦争については、「なぜあんな無謀な戦争に突入したのか」との疑問をつねづね持っていたが、本書を読んで、専門家である「海軍士官」たちが当時どのように考え、どういう問題意識を持っていたのかがよくわかる思いがした。
本書の内容は、さすが大官庁「日本海軍」であるだけに、内容は多岐にわたっている。
しかし、「反省会」と名付けられた会議での詳細な論議を読むと、海軍の多くのシステムが多くの問題点を内包しつつ、情勢に押し流された様子は伺えるものの、戦後出席者たちが「失敗の原因」を真剣に追求し、認識を共有していたようには思えない。
彼ら「海軍」の専門家において、「戦争へと向かった道」や「海軍のありかた -
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●:引用 →:感想
●アメリカの国民は、義務として兵役につき、戦争に参加している。同時にすべての兵士は国家に対して、生命の安全に関して最善の努力を払うことを要求する権利を持っている。もし一人の兵士が戦死すれば、その遺族はその兵士の死が”意義のある死”であったかどうかを知る権利を持っていた。それがアメリカという国家と国民の契約だった。(略)また、海軍の内部でも同じような契約があった。「義務を果たした者には名誉を、果たさなかった者には罰を」である。すべての失敗について責任者がきびしく失態や怠慢を追求され、それぞれ処分を受けたものである。(略)法廷で戦友のミスを追及することはアメリカ人にとっても、 -
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真珠湾攻撃から全軍特攻の終局へ、「失敗」の
本質を探る。
昭和の日本海軍はなぜ、日露戦争の完全勝利再現に
失敗したのか?海軍の敗北に読む日本の姿。
太平洋戦争と海軍と言えば、山本五十六は外せない。
本書でも、山本五十六に対する記述は、大きなウエ
イトを占める。
山本は、犠牲を顧みず真珠湾攻撃を徹底的に破壊し、
敵の闘志を根本から萎えさせるという自らの真意を、
南雲機動部隊にも軍令部にも、また連合艦隊司令部
にも知らせてなかったという。このために、攻撃が
不徹底なものに終わったという。
著者は、山本は真珠湾攻撃もやりたくなかったので
はないかという。
図上演習による -
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『海戦からみた日清戦争』『海戦からみた日露戦争』に続く『海戦から~』三部作の最終作。前2作に比べて若干質は落ちるが、なかなかの良作。
日本近代史の3つの海戦は、後世の人は「日本近代史の50年戦争」と名づけるであろうが、その成功と失敗を俯瞰するにもってこいの『海戦史』である。その中でも、範囲・量・質においてずば抜けてるこの太平洋戦争は世界史上においても稀有の技術合戦であった。世界最初の空母艦隊(機動部隊)による攻撃、イギリスの誇りであった戦艦をあっという間に撃沈した航空攻撃、世界初で最後の空母対空母による決戦、レーダーやVT信管による防御の成立、あらゆる戦いが最先端であり、最大規模の海戦が行われ -
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英雄譚では読み解けない日本「完全勝利」の真実。
東郷ターン、丁字戦法の陰で戦史から消された最高機密
とは。
日本海海戦は、天才秋山真之が立案した丁字戦法と、
聖将東郷平八郎の指揮により完勝したということが、
一般的には定説とされている。
著者は、伝説化されてきた戦闘の実相を明らかにする。
当時、日本海軍の主力艦は、イギリス製であった。当然
の事のように考えていたが、本書を読むと、イギリス側
の事情がわかる。艦艇建造においては後発であった、ア
ームストロング社が本国の戦艦建造入札への参加を可能
とするための実績を積むために、外国の軍艦発注を受け
た事。そのため、外国向 -
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ネタバレ[ 内容 ]
「対米戦争の目的は何だったのか」、「陸軍エリートはどこで問違えた」等、戦後六十余年、「あの戦争」に改めて向き合った六人の論客が、参戦から敗戦までの疑問を徹底的に掘り下げる。
「文藝春秋」読者賞受賞。
[ 目次 ]
第1部 座談会・あの戦争になぜ負けたのか(対米戦争の目的は何だったのか;ヒトラーとの同盟は昭和史の謎;開明派・海軍が持つ致命的欠点;陸軍エリートはどこで間違えた ほか)
第2部 あの戦争に思うこと(空しかった首脳会議;八月九日の最高戦争指導会議;私の太平洋戦争観;果たされなかった死者との約束 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ