戸高一成のレビュー一覧
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本書は、「失敗の歴史」の教訓とある
1941年12月08日から1945年08月15日に至る、太平洋戦争を、海戦というフィルターでみたドキュメンタリーである。
冒頭にある次のことばこそ、日本の運命を決めた、足掛け5年の戦争の重みである。
「日本の歴史を振り返るとき、太平洋戦争の持つ意味は極めて大きいと言わなくてはならない。それは失敗の歴史こそ、大きな教訓を含んでいるからに他ならない。」
・真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦、ガダルカナル島攻防に関わるソロモン諸島での諸海戦も、戦局の流れを方向づけているが、海軍としての決戦意識から見れば、それは、マリアナ沖海戦(あ号作戦)とレイテ沖海戦(捷1号作戦 -
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当事者たちが亡くなる現在だからこそ重要な議論。軍事研究の泰斗二人が語る資料、オーラルヒストリーなど調査の留意点。
今年読んだ本の中でベストワンかもしれない。二名の歴史研究家が、調査の過程で身につけたワザ、バイアスについて語る。資料そのものには記載されていないが、重要な視点を多く指摘している。
書籍だからといって100%は信用できないという。海軍は戦後もヒエラルキーが生き続け、通史と違う内容の記載は否定されたという。戦闘詳報など公文書も同様。言われてみれば当たり前だが軍人は国家公務員。自分たちの組織に都合の悪いことは書かない。
公文書、私文書とオーラルヒストリー。それぞれの長所がある。ほと -
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対談形式でかなりマニアックな書。本当はとか、背景にはとか、現代にも往々にして存在する忖度がサラッと書いてある。故の信憑性を感じたり、歴史書には表っつらしか書かれていないちょっとした真実が垣間見れとても考えさせられました。
特に山本五十六が何故選ばれたのかについては成る程と驚嘆だった。
取材した時には、涙して聞いていたが原稿が上がってくるとそこまで書かれていないとか。人って…とか、寝て起きたら気持ちが変わる…とか、取材側も色々大変そうだ。
書籍でも版によっては書かれている事が変わっているものもあるそうで、著者のピックアップも関心度がまします。
取材と出版で数名の作家の名が上がっているが、吉村昭さ -
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大和型戦艦の設計思想と造船技術について深く知ることのできる本。設計に携わった技術将校である著者が,敗戦時の焼却命令にもかかわらず私蔵していた資料をもとに執筆した文章に,大和ミュージアムの所蔵写真・図面等を加えた,非常に史料価値の高いものになっている。
一般書籍としては,戦艦大和の技術面の記述がこれ以上詳細にわたるものはないようだ。大和の戦歴や乗組員の生活・運命,そちらにより興味がある人には少し退屈かも知れないが,機械や技術に目がない人なら夢中で読破すること請け合いだ。
例えば防御の設計では,直接防御(装甲)と間接防御(水密区画と注排水)についてそれぞれかなり詳しい説明を加えている。砲弾と爆弾と -
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対談の形で進行するが、整理されているのと、注釈が細かくつけられているため、非常に読みやすくわかりやすい。
本書の最後に、各人が書いた文章があり、その主題で、それぞれがどこに主眼を置いているのかがわかる。それを前提としてもう一度読み直すのも興味深いと思う。
「永遠の0」で、本当にこんな戦争だったのだろうかという疑問がわいた。小説は史実ではない。
そしてこの本を読んだのだが、戦争というものがはじまり、継続していくということが、こういう形で行われていたのか、という再確認でもあった。国を存続させるために、やむなく開戦に至ったのだという認識を改めざるを得なかった。
日本人とはどういう民族なんだろう、 -
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「海軍反省会」全131回の内容をそのまま残すために発刊されている、『[証言録]海軍反省会』の第四巻。
第31回から第37回までの議論が収録されている。
主だった内容は、第32回における、軍令部参謀三代一就氏の、ハワイ作戦決定までの、軍令部と連合艦隊の衝突といってよいほどの対立が興味深い。
第34回では、日本軍の捕虜問題と、船が沈没するとき、艦長が船と運命をともにするという、いわば習慣について議論されている。
第37回では、ゲストとして第一委員会の高田利種元少将が出席し、海軍時代の及川古志郎大将が世に誤解されているとして、その思い出を語っている。
巻末に、末国正雄氏の「指揮官の所在位置 -
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6名のそうそうたる面々が大東亜戦争を討議。討議のかたちだが文章がうまく補足されてるので、戦史全体像と事件経緯もよく分かる。注釈も見開きごとにあるし。
日本の戦略性ゼロというか「エイ、ヤー」の勢いってのはこんなにもヒドかったのか。かなりコキ下ろす一方で、昭和天皇の評価は高い。天皇と大元帥の二役で苦しいなか最大限の情報発信をしてきたと。
それにしても「バスに乗り遅れるな」の勢いって、いまのTPPで騒いでんのといっしょだろ。日本人ってホントに歴史から学ばない民族なんだなあとつくづく思った。逆に外国からみればそれが不思議以上に得体の知れない恐怖を感じるのかもしれない。
あの戦争で日本人は「攻勢の -
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戦史家二人による対談。
戦史史料、文書、オーラルヒストリーについて、著者二人が日本軍について語る。 様々な事例をあげながら、旧日本軍の軍人達がどのような人たちであったのかを語っており、大変面白く読めた。 二人とも過去に軍人当事者に会う機会があり、資料や書き物だけではわからない雰囲気や性格、軍人気質に接することができた。 この先そういう経験を持つ人が少なくなり、史料を読むときに、文字に書かれたことだけを鵜呑みにすることを心配している。 また戦史についてはいろいろな本が出ているが、小説家では吉村昭と澤地久枝を高く評価している。 資料の付き合い方向き合い方が真剣なのだそうだ。 対談なので面白いエピソ