戸高一成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書の内容は「海軍史の研究者にとっては既知の事実が多く、初めて世に知られる事実は多くはない」という。
海軍が「大官庁」である以上、多くの人々がそれぞれの部署で活動をしていたのだろうが、本書を読んで、「帝国の破綻」という歴史の審判を受けたこれらの海軍当事者が深刻に反省しているようには思えない。
「陸軍との内乱を恐れて開戦に踏み切った」幹部がいたのだろうが、戦争の結果の日本人の死者は300万人を超える。
「内乱」と「戦争」とのリスク計算はしなかったのだろうか。少なくとも「内乱」では、「廣島・長崎・沖縄の悲劇」はおこらない。
なによりも、これらの海軍当局者の論争を読んでいると、当時の日本が -
Posted by ブクログ
歴史の事実を一方向だけで語る事の危うさはあると思うが、
言い切っている訳ではないけども、
「戦争、War、をしているのではなくて、Battle、オンリーだ」
の様な事が書いてあって、
戦争というものの政治力の大切さがないがしろにされ過ぎていたのも敗戦の理由の1つなんだろう、と思えた。
三国同盟の頃の海軍からの目線の話は面白く読めた。
あの頃の世界の行動力や政治力を知っていくと、
日本の決定権のあやふやさも見えて来る。
それにしても、この反省会の中で戦争に反対だった事、
陸軍の行動について、いろいろ語られてはいるが、
もっと立場の違う方々との会談を聞いてみたいとも思った。
結局ここに関わった全 -
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Posted by ブクログ
もう何度目になるのか。ことあるごとに近代史を読み返す。
後世の人は必ずこう呼ぶであろう「日本の50年戦争の始まりの戦争」
それが、日清戦争である。自分より強大な敵と戦ったためか、あるいは日本の完勝に終わったためかこの戦争に関しては現在の判断からは「陰鬱さ」が欠如している。戦後教育の賜物で「No more戦争!」のような戦争忌避が全てある思想を持っている私でさえ、艦隊決戦でほぼ雌雄を決した黄海海戦はどこか牧歌的な雰囲気をかもし出していて古きよき時代であるかのように思える。最高速度14.5ノットでの戦い、隊列が横陣形と縦陣形の戦い、敵艦隊発見後食事をしてから戦闘開始という悠長さ。いかにも明治の若々 -
Posted by ブクログ
前巻だけでは、反省会がどういう形になったのかよく分からないと思ったので、
これから続巻が出される事は良かった。
基本的に海軍の反省会で、当時の主立った人々はいない場所、
世間に全てを発表するつもりは無い事をふまえても、
鵜呑みにするのは難しいような気も。
ただ人間性や人格が戦術に反影はしない事実を、
理解しながら進まざるを得ない状況に立たされてしまった
冷静さを持っていれた人は苦しかったろうとは思う。
でもこれは戦争反省会ではないんだ、
海軍の為の、=海上自衛隊や、
これからの国家軍事のあり方を示唆する、
平和の時代ではない戦争を経験した人間の反省会なんだ、
と思えるような内容でした。
誰が悪 -