乗代雄介のレビュー一覧

  • 本物の読書家

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    こちらも『未熟な同感者』同様、引用が多かった。
    相席の男は、喪黒福造みたいだと思いながら読んでいた。

    間氷青年目線だから、大叔父のことに興味を惹かれるよりも相席の男の怪しさと途中からの間氷への対応に不信感で一杯だった。

    『未熟な同感者』は
    『十七八より』と『最高の任務』の間の話。
    とは言っても今回は家族はほとんど出ない

    ゼミで一緒になった子に叔母を少し重ねる主人公とゼミの授業が描かれる。

    サリンジャーとカフカ、一冊でも読んでいたので授業を放り出さずに読めたかも

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    2024年12月16日
  • 十七八より

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    私も高校生の頃、60代の古典の先生が好きだったな。

    家族四人のところの会話が特に好きだった。

    モスでのタバコの話、犯人はお前かーとツッコミ入れながら読んでいたけど、これはミステリーではありません。

    ギバちゃんのドラマも色々見返したくなったな。
    景子の口達者や少女としての機微の描かれ方がとても良かった。

    そんな景子に負けてないどころか、景子の大人版みたいな叔母も良かった。

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    2024年11月19日
  • 旅する練習

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    仲のよい叔父である「私」と中学入学を目前にした姪の亜美が、「私」は文章で風景を描写する練習をしつつ、亜美はサッカーの練習をしながら鹿島まで歩いて旅をするロードムービー的な物語。途中で同じく徒歩で鹿島スタジアムを目指していたみどりと合流し、彩りが加わる。人間模様でちょっとした波風は立つことはありましたが、基本的に和やかな雰囲気の中、淡々と旅は続けられ、無事に旅を終えることができたかにと思ったのですが、物語の終盤にさりげなく書かれた数行にわが目を疑い、その箇所を数回読み返してしまいました。何ともやるせない。人生は角も儚いものと思うしかないのだろうか。

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    2024年10月06日
  • 本物の読書家

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    大叔父上は本当に川端康成からの手紙を持っているのかという謎で引っ張りつつ、列車で居合わせた読書家の男と大叔父上、主人公の三人の会話で物語が進む。主人公の発言のみカギ括弧のセリフではなく地の文にすることで読者も三人の空間にグッと入っていける効果があるように感じた。

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    2024年08月25日
  • 十七八より

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    そういえば、私も少女だった!いまもなお、ふとした時にあらわれて、平凡なおばさんになった私を苦しめます(笑)読んでいて気持ち良すぎてびっくりした。とてもすき。ありがとう。

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    2023年06月03日
  • 旅する練習

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    中学入学を前にしたサッカー少女と、小説家の叔父が徒歩で旅行した6日間のロードムービーの様な小説。
    ずっと穏やかな雰囲気で、道中旅を一緒にする女性も登場するけれど、大きく、小さく成長を描いていた。
    だけど、、最後で全部がひっくり返ったくらいの衝撃でした。優しくて悲しい色の小説でした。

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    2026年06月07日
  • それは誠

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    「旅する練習」に続いて、同じ作者の作品を読んでみた。多少、読みづらい部分はある。世代の違いと、巻末の筆者の解説にある(3人以上の会話への挑戦)のためかと感じる。しかし、高校生の小さな旅の中で、主役の佐田誠の心情が、冒険をともにする同級生たちの行動によって、変化を見せる。それは、他のメンバーも同様で、冒険を共にした7人は、一皮剥けたような1日を過ごした。本を閉じた時、良い小説だったと感じる自分がいた。

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    2026年06月03日
  • 最高の任務

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    本のタイトルにもなっている「最高の任務」と「生き方の問題」の2編の短編から成る。

    「生き方の問題」は、まどろっこしい形態の手紙の体裁で書かれており、「こんなまどろっこしくて長い手紙書くやついないだろ」とツッコミたく成るのを抑えて読む必要はあるが、とにかく読む手を止めることができないくらいに読者を引きつける臨場感がある。

    「最高の任務」は「十七八より」を読んだ人ならぜひ読まれたい。「十七八より」よりは読みやすく、亡くなった叔母が生前仕掛けた景子への隠れた任務と、それを誰に言われるでもなく遂行していた景子に感動を覚える。生前の叔母にはすべてお見通しだったのだろうか、なんて小説に対して想像しても

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    2026年05月15日
  • 十七八より

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    好き嫌いが分かれるだろうな、とは思うが個人的には嫌いではない。
    日常を淡々と、小難しい語りで振り返る。細部に張り巡らされすぎた記述に時々気持ちが萎えるし、詳細すぎて情景が浮かばないこともしばしばあるが、中盤辺りからそれが病みつきになる。女子高生の日常、というには、国語教師との関係や、病院での出来事は非日常ともいうべきである。純文学好きには強くお勧めする。

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    2026年05月10日
  • それは誠

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    皆それぞれ考え方がバラバラで、友達というわけでも無いけど、共通の目的を通して、協力し合う。ベタつきすぎず、あっさりとした旅の道連れ感が良かった。大日向君みたいに明るくやっている人でも、思うところはあるもんなんだな。

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    2026年05月10日
  • それは誠

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    前半の修学旅行の準備パートはちょっと読みにくい感じもあってそこまででもなかったけど、後半の旅行当日パートがすごく良かった。

    特に何が起こるわけでもない大冒険を通して、特に仲が良いわけではない寄せ集めグループの距離が縮まっていく感じが良かった。

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    2026年05月07日
  • それは誠

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    著者後記を読んでやはりと思ったが、この小説は主人公である高校生が修学旅行のレポートを書いた設定なのでプロらしからぬ文章になっていて、しかも4人の会話がかなり占めるため読みにくい。
    なのに、たまたま一緒の班になったメンバーが高校生らしく斜に構えたり、異性にときめいたり、小競り合いをしたりする様がとてもよいアオハル小説だった。
    絶妙な短編なのも良い。

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    2026年05月05日
  • 旅する練習

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    ネタバレ

    心して読まれよ!
    コロナ禍における叔父と姪の小さな旅。
    作家の語り手とサッカー選手になることを夢見る姪の亜美。旅は、鳥に詳しい語り手からの話と柳田國男の話に頷く亜美が、リフティングを続け、みどりさんと出会い、二人が前を向く利根川沿いのストーリー。
    しかし、最後のぺージに不穏な文章が…
    たしかに、この旅に語り手が、こんなにも思いを残し、書き綴られなければいられない為には、こう言う結末が必要だったのかも知れない。

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    2026年05月04日
  • 作家と編集者

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    『作家と編集者』というタイトルから、早見和真さんの『小説王』のような熱いお仕事小説を想像していた。ところが、一話目の錦見映理子さん「邪悪な香り」でいきなり背筋がゾクゾク……。なんだか寒くなってきた。風邪か? いま季節は春なんだけどなと思いつつ。

    新人作家・鷹柳をデビューさせようと奔走する熱血編集者の話かと思いきや、漂ってくるのは不穏な空気と怪しいオピウムの香り。次第に狂気の世界へ足を踏み入れていく編集者・安曇、そして作家・鷹柳の正体とは? 夢か現実か、境界線が溶けていく物語にぐいぐい引き込まれる。
    作中作のタイトルに、「もしかして、そういうこと!?」と鳥肌が止まらない。こんな作家と編集者の関

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    2026年04月04日
  • 皆のあらばしり(新潮文庫)

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    歴史は苦手であまり興味のある分野ではないのだけれど、郷土史を研究することの面白さが伝わる快作

    メインの2人の会話のテンポも良くて、先入観を逆手に取って見事に裏切られる小説的な面白さもあって読んでいて楽しい作品でした

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    2026年03月18日
  • GOAT meets01

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    SSWのさらささんが寄稿した文章が載っているとのことで購入した。
    彼女の歌の世界観に常にある仄暗さとか根底にある強さとか儚さが、手の届かないものではなく、ちゃんと私たちと同じ日常の隣にあるものに思えてとてもよかった。
    わたしにとってはこの一ページに会うための本。

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    2026年03月03日
  • 皆のあらばしり(新潮文庫)

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    『皆のあらばしり』なる幻の書物を巡る、ボーイミーツおっさんによるボーイの成長物語。本当にあった本なのかなと思ってしまうくらいたくさんの知識が詰め込まれているけれども、それでいて衒学的ないやらしさがなく楽しく読めた。
    男の正体は、とか、『皆のあらばしり』は実在するのか、みたいなエンタメ的興味で読むと物足りなく感じてしまうかもしれないけど、謎の男さんみたいにいろんなことを知ってたら世界はとても楽しいだろうなと思う。せめて自分の周りしか見ない人間にならないように生きていきたいものですねえ。

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    2026年02月14日
  • 皆のあらばしり(新潮文庫)

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    文庫で再読。二篇追加され、物語の制作の背景が分かった。やはり高校生とオッサンとの掛け合いが知的好奇心をそそる。

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    2026年01月05日
  • 旅する練習

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    人の歴史が、その本質として土地と切り離せないことを思い出させてくれる小説。人が生き、そして死ぬ積み重ねを「歴史」とするならば、「家にいること」が称揚され、そこから切り離されたコロナ禍は異常な時期だったと言える。そんな中、あえて肉体の確かな感覚を伴って歴史を歩き、「練習」を重ねる姿は、いっそ清々しい理想型を感じさせる。しかしそうした爽やかさの陰には馬頭観音初め死の影がちらつくのであり、我々はコロナ禍もまた、死の匂いを帯びた季節であったことを思い出す。
    惜しむらくは結末。芥川賞の選評にあざとさが指摘されていたが、個人的には「こうでもしないとこの物語は終わらない」という感じがする。むしろそれだけ生命

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    2025年12月29日
  • 旅する練習

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    文庫になってからの再読。とても良かった。
    好きなのは「カワウを慮って土手を下った少女が形をとるなら、私はどんなに嬉しいかわからない(中略)書き続けることで、かくされたものへの意識を絶やさない自分を、この世のささやかな光源として立たせておく」や、亜美といっしょに撮った顔はめパネルの場面、パネルの後ろでは亜美が叔父の肩を組んでいて、撮影者側からは見えないけど、もしこの場面を横から見ている人がいたら大きな慰めになったというところ。こういった人の残した影のようなものをを丁寧に受け取ろうという温かい姿勢がとてもととても好きです。

    この本が話題になっていたとき最後の部分に注目が結構あったように記憶してい

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    2025年12月26日