【感想・ネタバレ】皆のあらばしり(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

幻の書の新発見か、それとも偽書か。高校生のぼくは、うさんくさい男と〈謎の書〉の存在を追う。その名は、『皆のあらばしり』。探求は真と嘘の入れ子を孕み、歴史をさかのぼり、コンゲームの様相を呈しつつ、ついに世界の深奥にある〈ほんまもん〉に辿りつくが……。大逆転の結末に甘美な香気さえ漂う表題作のほか、「ニセ偽書事始」「『皆のあらばしり』の成立について」を収録した傑作。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

自分が知らないというだけで興味を持たず、自分のことだけ考えて死んでいくから苦しい、すぐ読んでもらわねば意味がないという軟弱な自意識等、知識や学問への敬意からか、結構過激な言葉が出てくる。一つ一つ刺さる。高校生くらいの時に、こんな大人に出会ったら、心酔するのではないか。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

素数の木曜日という響きも良く、それを待ち侘び、その間起きたことは二人の会話でしかわからず、わくわくしながら次の素数の木曜日を読み、最後はどこから形成逆転したかに驚き…もう一度読まないといろいろついていけないと思うが、わくわく感だけは間違いない。
青年がどんな大人になりたいか、語ったことこそがわくわく感に繋がっているのだと思った。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

面白かった!関西弁の男は博識だし高級時計持ちだし『本物の読書家』の関西弁おじに見えなくもなかった。乗代氏自身が自分の足や資料を通して小津久足と栃木市を丁寧に描いた作品だなあと感じた。
作品中、男が琴平神社の石段の窪みを見て自分の足を嵌める姿や、「伝わらんでも人の思いが残る法もあると知らせとるがな。その思いを後世の人間が汲んでやれば当人たちも報われるっちゅうもんやないか(略)。」と言った場面が作者の仕事ぶりを表しているようで、こういうところに感動してしまう自分がいた。
巻末の成り立ちでは、研究者(参考文献の著者)の方の『皆のあらばしり』の読み方について現実の方が小説においついてきたとあった。もちろんその読み方は研究者じゃないと知り得ないものだったので一読者である自分(読書家とはとてもいえない)が気づくわけがないのだけども。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ある偽書(それさえも作者の創作)をめぐる小説。先日観た演劇がメタメタメタメタのメタという構造をしていたこともあり、新しさは感じなかったが、小中学校の図書室に置いていたらキャラの魅力で好きになりそうではある。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ


 博覧強記な関西弁の胡散臭い男と歴史研究部の賢い高校生が幻の書の存在を追う。二人の会話が卓球のラリーのように小気味良い。高校生が胡散臭い男にファウルフェローをディズニー土産として渡すのが面白い!
二人の騙し合いも楽しい!

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2025年08月24日

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