乗代雄介のレビュー一覧

  • 旅する練習

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    ネタバレ

    読み終わって読み返したくなった。
    最後を読んだ時は、なんであの結末にする必要があったのか疑問に感じたけれど、解説を読んで腑に落ちた。何気ない日常とちょっとした喜怒哀楽を生む出来事が繰り返されるその人生を描いていた。
    正直最後の展開がなければこんなに心動かされなかっただろうし、考えず平和な作品だったなぁくらいの感想になるところだった。

    事細かに記録された旅の話、あまりにも細かい描写が多く初めて出会う単語もあり読むのに苦労した。でもこれも全て、あの最後のためにあった。
    どんな旅行でもあんなに全てのことを記録することは自分にはできないし、いくら小説家の叔父だからといってあんな事細かに記録するわけじ

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    2025年02月28日
  • 旅する練習

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    鬱屈としたコロナ禍の時期に、穏やかな実りある時間があった、という事を満喫しながら読み進めた。最後は、旅で何かを得たであろう亜美と叔父さんの様子が描かれるんだろうな、と思いながら読み進めての、予想しなかった展開の破壊力。こうくるとは思わなかったので、何度も読み返し、作者がなぜこういう終わりにしたのか、考えてしまった。

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    2025年02月23日
  • それは誠

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    うん、これはいい!
    ひさびさに当たりくじを引いた気分だ。

    高校生が修学旅行中に親戚を訪ねる、という、ネタバレのしようがない単純な話が、実にスリリングでライブ感溢れる語り口で展開し、うっかりしてると心の深いところを揺さぶられる。

    小劇場の舞台を観ているようなテンポのいいセリフのやり取りに乗せられてページを捲ってしまうが、細かく見ると、人物造形や情景描写、セリフのひとつひとつが緻密に構成されていて、技巧性も高い。

    2冊目、3冊目と次々に手に取ってしまいそうな、楽しみな作家さんだ。

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    2025年01月10日
  • それは誠

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    ネタバレ

    ひたすらに心地よい文章の中に浸かることができた。久々の読書がこの本でよかった。
    僕は誠のような人間を心底愛している。彼のような人間を本当にかっこいいと思っている。でも彼のようになれない。僕は「孤独」を恥じてしまう。誠は美しい人間だ。
    今日、高校生活最後の授業があった。
    図らずも、我が校は教育目標に「誠」を掲げている。
    それもあって本当にたまにだが、「誠」とは何かについて考える。
    もちろん答えはないわけだが、佐田誠が持っているような人間的美しさを「誠」として形容することを、一つ高校生活を送った上での回答としておきたい。

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    2024年12月05日
  • 旅する練習

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    最後に待ち受けている一文の、あまりにささやかで、かつなんと破壊力のあることか。読者は微笑ましい気持ちで彼らの旅の行く末を見守っているはずで、登場人物たちに思い思いの感傷を抱いているはずで、そうくるか、と読者の心を破壊しにかかるのは唸らされてしまった。
    そこに辿り着く、そのための物語なのだ、と読み終えた今では思う。

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    2024年11月07日
  • 旅する練習

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    ほのぼのとのんびりと旅は始まる。サッカーボールを蹴りながら、それが練習なんですね。長い距離を歩くなんて、最後はいつだろう。歩くと普段は通り過ぎて気がつかないことにも目が行くことでしょう。練習の旅の行きつく先が悲しい。どこかを歩きたくなった。

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    2024年10月25日
  • 旅する練習

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    少し遠出をしたいと思いました。
    この本はとても悲しい気持ちになりますが、それと同時に旅による、思い出ができる素晴らしさも教えてもらいました。柳田國男の作品を読んでみたいと思いました。

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    2024年10月22日
  • 旅する練習

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    ネタバレ

    書き写したくなるような箇所がいくつかあった、それは柳田国男や小島信夫の著書からの引用部分だった。「私」の記述や「亜美」の日記やジーコの評伝などと重層的にからまりあって面白い読書体験だった。この作家を追い続けるかどうかはまだ決められないけれど。読んだ3作の中では『それは誠』が好きだ。ついでに台164回芥川賞の選評も読んでみたが、プロの作家先生たちの受け止め方が様々で、文学賞選ぶのも大変ですね~と思ってしまった。だから一読者がどの作家のどの作品にひかれるかなんて運命の出会いのようなものだと思う。出会えたひとは幸せだ。

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    2024年09月05日
  • 旅する練習

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    ネタバレ

    過去の乗代作品の持って回ったような表現は抑えられ比較的読みやすい。風景描写は個人的に得意ではないのでうまくイメージ作りはできないところがいくつか。
    ロードムービーのような展開で心地よく読み進めていたが、結末はそうする必要があったのか私にはわからない。

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    2024年07月28日
  • それは誠

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    男子高校生たちの修学旅行中の小冒険。冒頭の独白部分は読み進めるのになかなか体力がいるけど、いざ会話が始まると自然に各キャラクターが思い浮かび、グイグイと進んでいく。ひさしぶりに青春を過ごさせてもらった。

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    2024年07月09日
  • それは誠

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    ネタバレ

    ずっと青春が襲ってきて苦しくなる本だった。
    あの時のどうにもならなくて、狭い社会でやりくりして、クラスメイトと仲良くなる瞬間。
    クラス、ってすごく不思議で社会に出ると同い年の人と出会う方が珍しい。同じクラスにいるってだけで、一生話しかけなかった人と仲良くなる運命みたいな出来事のことを思い出した。読んでよかったー!と心から思える話。あとキャッチャーインザライも、読まず嫌いせずに頑張ろうかなと思えた。

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    2024年06月04日
  • それは誠

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    修学旅行を抜け出して親戚のおじさんに会いに行く話。
    前半が読みづらいのは、ワザとなのかも知れない。後半一気に引き込まれて、自分も日野にいる気分でした。
    斜に構えてる主人公が魅力的だし、周りの友達と打ち解けて行く様子が蒼くて、こそばゆく感じました。

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    2024年05月12日
  • 旅する練習

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    ネタバレ

    難しかった。
    僕が子供だというのもあるのかもしれないが、それ以上に単純に観念的な難しさを感じた。
    忍耐という概念があまり掴めなかった。
    ただ十分に面白かったのと、文章がとても綺麗だった。硬い文ではあったけど。

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    2024年05月02日
  • 旅する練習

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    最近お名前を見かける作家さん。
    わたしにとっては、本作が最初の作品。

    姪の亜美(「あび」と読む)は、サッカー少女。
    中学受験が終わって、さあ、サッカーだと思ったタイミングで緊急事態宣言が発出され、チームが集まっての練習さえできなくなる。
    落胆する亜美を見かねて、叔父で小説家でもある語り手が、鹿島まで練習を兼ねて歩いて旅することを提案する。
    以前鹿島の合宿所から亜美が無断で持ち出してしまった本を返す名目で。
    条件は、語り手が旅の中で人気のない風景を描写する間、邪魔をしないで待つこと。

    こうして二人の「練習の旅」が始まっていく。
    途中で同じように鹿島に歩いて旅をしている大学生のみどりさんと出会

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    2024年04月14日
  • それは誠

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    みなさん書いているように、最初は主人公の一人語りが私にはとても読みづらく、最後まで読めるかな…と不安になりましたが、修学旅行に入ってからはサクサクと読み進められました。高校でイベントなどの非日常の時に、普段は話すこともないような子と不思議な仲間意識を持てることって、確かにあるよなあとワクワクした気持ちで読めました。ついてきてくれた男子みんないいヤツだし、自分たちが楽しみながらも作戦に乗ってくれた女子たちも、みんないいなと思いました。文章だけ読んでると、確かに友達はあまりいなさそうだな…という感じの主人公ですが、みんなフラットに接しているのがいい学校だなあと最後は温かい気持ちになりました。

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    2024年04月06日
  • それは誠

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    「旅する練習」が大好きで感動して、読むのは2作目の乗代さんの作品でした。
    スタンドバイミーみたいな、高校生の冒険。さわやかで、楽しい小説!

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    2024年03月28日
  • 旅する練習

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    ジーコの話に惹かれました。スポーツのなかでもサッカーだけはなぜか疎遠だったけれど、ジーコの本でも読んでみたくなった!

    誰もが知る日本の名所ではないけれど、地域の特性がよく描かれていて、情景や動物の観察力に長けている著者さんだなと思いました。そして、ちょこちょこ織り交ぜたコロナネタが、「あぁ、あの時そうだったよなぁ」と思い出させてくれて、この本を読んだ2024年のいま、あーわたし生きてるわーって思えました。

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    2024年03月25日
  • それは誠

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    人には自分の場所があって全てを見ることはできないけど、若さの時代はそれでも人と心を通わせることができて全てがわからなくても綺麗な夕暮れを見て一緒に感動することができる。

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    2024年03月04日
  • それは誠

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    高校2年東京への修学旅行。班行動。男子と女子。男の友情…だいぶ昔のことになってしまったけれどあの頃と今の子達の青春ってそれほど変わりないのかもしれない。なんだか泣けた。

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    2024年02月15日
  • それは誠

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    主人公だけでなく、登場人物たちがそれぞれの何かを抱えて、なんらかのこじらせぶりがあるところを描くのが上手い。登場人物たちが少しずつ歩み寄っていくのを、保護者のように息を詰めて見守りつつ読む。挿入された宮沢賢治の話が、後から実際の話にリンクした時、泣けた。

    芥川賞の選評で、「話を作った感がある」というのを読んだので、先入観ありありで読んでしまった。豊崎由美はこの小説を高く評価していてその選評に対してとっても怒っていたので、どっちかな?と思いつつ読んだ。そういう読み方は正しくないかもしれないが、こういう読み方もまあ面白いかなと思って。
    で、読んでみたら、どっちもありでした(笑)

    確かに、こう持

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    2024年01月06日