乗代雄介のレビュー一覧
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「生き方の問題」「最高の任務」の2篇。どちらもとっても良かった!情景に根付いた何かを感じ取る感性というのがたまらなく好きだ。
例えば「最高の任務」で青鷺を見つけた時、この青鷺は2年前叔母と一緒に見た青鷺だったか?多分違うんだろうけど同じものに見えてしまって、というかその青鷺であってほしいという景子の願望。相沢忠洋の一家団欒の幸せというのは一万年前の土器片からそういう喜びを第一にしてきたという下り。ゆき江叔母が景子のことを思って導く姿勢。ラストの場面、家族が景子を優しく見守るような眼差し。
ちょっとわかりずらく感じるところもまた読んで近づきたいと思える素敵な小説でした。 -
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ネタバレ美しかった。
本当に文章が美しい。僕は元々情景描写を好まない人間だが、乗代雄介の情景描写は本当に好きだ。
あまりにもど真ん中の青春で、それに対するメタも含んではいるのだが、やはりそれを美しいと信じようとするパパイヤやママイヤの、そして乗代雄介の意図が感じられた気がする。
「旅する練習」では景色を文章として残そうとしていたが、本作では写真で残そうとしている。残そうとしていると言っても、序盤のママイヤは「変わっちゃうのに耐えられない」が故に、現像を拒否する。しかしパパイヤとの交流を通じ、変わっちゃうと分かっていても、そこにあった美しいものを、美しいと感じた自分自身を、信じられるようになり、強くなる -
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ネタバレ阿佐美景子(主人公)が、仙台である弟の結婚式に向かう電車で、ある女子大生(平原夏葵)に声をかけられる。
サラッとしている読み心地で、
読み進めていく中で少しずつ事実関係など分かってくるような、
叔母(ゆき江ちゃん)の喪失をすごく引きずっていることが分かってきて、
主人公は作家になって活躍してることとか、
24、5歳の阿佐美景子が、なんだかかなり大人っぽく感じた、自分より、ね。
始めから終わりまでキーパーソン的な女子大生がすごく好感を持てる子であり、
ほんとみなさん、しっかりしてるよなーと思ってしまう。またまた自分と比べて。
何かあるわけでもないようだけど、
出来事とは、個々人の中で起こって -
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ネタバレ読み終わって読み返したくなった。
最後を読んだ時は、なんであの結末にする必要があったのか疑問に感じたけれど、解説を読んで腑に落ちた。何気ない日常とちょっとした喜怒哀楽を生む出来事が繰り返されるその人生を描いていた。
正直最後の展開がなければこんなに心動かされなかっただろうし、考えず平和な作品だったなぁくらいの感想になるところだった。
事細かに記録された旅の話、あまりにも細かい描写が多く初めて出会う単語もあり読むのに苦労した。でもこれも全て、あの最後のためにあった。
どんな旅行でもあんなに全てのことを記録することは自分にはできないし、いくら小説家の叔父だからといってあんな事細かに記録するわけじ -
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本書は、2015年にデビューした新鋭による2冊目の書物である。2018年本作「本物の読書家」で野間文芸新人賞受賞。2019年、2021年芥川賞候補。
表題作「本物の読書家」では、語り手の「わたし」が、独り身の大叔父を茨城県の高萩にある老人ホームに入居させるため、上野から電車で同行する。車中で二人はあやしげな大阪弁の男と出会う。この男が開陳する文学関連のマニアックな知識に反応する読書家の「わたし」と大叔父。やがて大叔父の口から、信じがたい秘密が告げられる。
川端康成の名作「片腕」を本当に書いたのは自分だ、という大叔父の主張を、小説外の事実として認める読者はいないだろう。文豪川端康成の -
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ネタバレ「本物の読書家」と「未熟な同感者」の二篇収録。
相変わらず難解。でも個人的には「読んでて分からないけれど楽しい」作家さんでもあります。話として面白かったのは「本物の読書家」で好きなのは「未熟な同感者」でした。「未熟な同感者」は少し百合ですね。
「本物の読書家」
老人ホームに入る大叔父上に最寄り駅まで同行する主人公は大阪弁の読書家と相席になる。川端康成の『片腕』が出てきます。既読で良かった…。
主人公の自意識過剰っぷりに「ちょっと落ち着いて」と言いたくなりました(笑)
『ロリータ』を2月に読む予定なので楽しみです。
「未熟な同感者」
こちらは頻繁に引用されるサリンジャーをまったく読んでい