乗代雄介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わって読み返したくなった。
最後を読んだ時は、なんであの結末にする必要があったのか疑問に感じたけれど、解説を読んで腑に落ちた。何気ない日常とちょっとした喜怒哀楽を生む出来事が繰り返されるその人生を描いていた。
正直最後の展開がなければこんなに心動かされなかっただろうし、考えず平和な作品だったなぁくらいの感想になるところだった。
事細かに記録された旅の話、あまりにも細かい描写が多く初めて出会う単語もあり読むのに苦労した。でもこれも全て、あの最後のためにあった。
どんな旅行でもあんなに全てのことを記録することは自分にはできないし、いくら小説家の叔父だからといってあんな事細かに記録するわけじ -
Posted by ブクログ
最近お名前を見かける作家さん。
わたしにとっては、本作が最初の作品。
姪の亜美(「あび」と読む)は、サッカー少女。
中学受験が終わって、さあ、サッカーだと思ったタイミングで緊急事態宣言が発出され、チームが集まっての練習さえできなくなる。
落胆する亜美を見かねて、叔父で小説家でもある語り手が、鹿島まで練習を兼ねて歩いて旅することを提案する。
以前鹿島の合宿所から亜美が無断で持ち出してしまった本を返す名目で。
条件は、語り手が旅の中で人気のない風景を描写する間、邪魔をしないで待つこと。
こうして二人の「練習の旅」が始まっていく。
途中で同じように鹿島に歩いて旅をしている大学生のみどりさんと出会 -
Posted by ブクログ
みなさん書いているように、最初は主人公の一人語りが私にはとても読みづらく、最後まで読めるかな…と不安になりましたが、修学旅行に入ってからはサクサクと読み進められました。高校でイベントなどの非日常の時に、普段は話すこともないような子と不思議な仲間意識を持てることって、確かにあるよなあとワクワクした気持ちで読めました。ついてきてくれた男子みんないいヤツだし、自分たちが楽しみながらも作戦に乗ってくれた女子たちも、みんないいなと思いました。文章だけ読んでると、確かに友達はあまりいなさそうだな…という感じの主人公ですが、みんなフラットに接しているのがいい学校だなあと最後は温かい気持ちになりました。
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Posted by ブクログ
主人公だけでなく、登場人物たちがそれぞれの何かを抱えて、なんらかのこじらせぶりがあるところを描くのが上手い。登場人物たちが少しずつ歩み寄っていくのを、保護者のように息を詰めて見守りつつ読む。挿入された宮沢賢治の話が、後から実際の話にリンクした時、泣けた。
芥川賞の選評で、「話を作った感がある」というのを読んだので、先入観ありありで読んでしまった。豊崎由美はこの小説を高く評価していてその選評に対してとっても怒っていたので、どっちかな?と思いつつ読んだ。そういう読み方は正しくないかもしれないが、こういう読み方もまあ面白いかなと思って。
で、読んでみたら、どっちもありでした(笑)
確かに、こう持