乗代雄介のレビュー一覧
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弟の結婚式で仙台に来た姉、阿佐美景子。2年ぶりに家族と会い、弟と語らい、変わっていないことに安堵している気がしました。彼女が尊敬していた叔母への思いを何度も反芻し、心の中でなんとか消化しようともがいている様子が伺えました。家族と会わなかった2年間、彼女が大切に思っていた叔母との日々を逡巡していたと思います。自分のことを一番わかってくれていた人が、まだまだ共にいるような気持ちでいることは、大切な人を亡くしたことがある人にしかわからないものだと思いました。
小説の終わりに、新幹線の中で出会った平原夏葵の明るさが、景子が前向きに向かおうとする兆しを生み出したことに安堵しました。
景子が作家という設定だったからなのか、今まであまり出会わなかった表現があり、それがとても新鮮に感じた小説でした。
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Posted by ブクログ
2024年下半期の芥川賞受賞2作品を両方未読なのに、同候補作の本書を手にしました。これまで乗代雄介さん作品を2冊既読だったのと、少し前に敬愛する某書店主さんのレビューで心が動きました。
本作は、亡き叔母との特別な記憶を強く残す主人公・私(景子、二十四五の作家)が、参列した弟の結婚式で親族等と再会し、思い出話を語る中で叔母の痕跡を辿っていく話です。
景子は、5年前に死んだ叔母の克明な記憶(大事な存在であり苦い思い出)を忘却の彼方に失いつつあり、苦悩しているようです。今ある自分に、叔母が大きな影響を与えたのは見て取れますが、結婚式で周囲が語る叔母からは、景子にとっての特別な存在の具体像はなかなか見えてきません。
結婚式のため仙台に赴く際に、就活帰りの女子大生・夏葵と出会い、式後も再会して1日を共にします。この出会いが変化をもたらすのでした。
叔母の記憶が少しずつ削られ、書けなくなるかもしれない残酷な現実。逆に、受け入れることが希望につながるということを、叔母を知らない大学生の夏葵との触れ合いで気付かされます。それは、今生きている人が変わっていくことだと…。
結婚式前後の内容が冗長に感じ、『違国日記』のモチーフを活用した大学生との出会いと再会、会話内容が少しリアリティに欠ける印象をもちました。
それでも、主人公の喪失を抱えて生きていく祈りの物語は、間違いなく繊細で深みがありました。足掻き苦しんだ足枷が外れ、景子が新たな作品を提供していく新境地の未来が思い浮かびました。 -
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難しかった。
たくさんの言葉が使われていて読み進めるのは面白かったんだけど、何が言いたいかが今の私にはわからなかった。ただ17.8の頃の繊細さとか、反発したくなる感じとか、もやもやした気持ちが重くのしかかりそうな思春期特有のあの感じを思い出してました。本を読むといろんな景色を色付きで思い浮かぶんだけど、この作品はずっと灰色の景色だったのも不思議な感覚でした。家族の前の少女と、祖母の前の少女、学校での少女、どれも別人みたいで、そのチグハグさとかも含めて面白かったです。ただ本当に難しかったからまた一年後とかにもう一度読んでみようと思います。 -
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手紙の中であなたのことを思う。客観的に見ている自分を、客観的に見てもらうという手法。同じく、最高の任務でも、同じく日記という手法がとられていて、共に相手、手紙の場合は受取人、日記の場合はそれを見る人、がいる中で書いているという前提がある。なので、物語はどこか第三者的な目を持ちつつ、主観的な語りで進んでいくという特徴を持つ。慣れるまでの間は、一体なんだろうなと思うのだけれど、だんだんと読み進めるうちに、それが読者に宛てた面白い問いかけになっていることに気がつく。この文章が、届くことはおそらくない。そして、私自身に宛てた手紙になっていく。それでも手紙と日記にこだわった語りには、強い思いを感じる。
人生は簡単ではなくて、その年毎に大変で、辛い思いがたくさんあるんだけど、生きる柱、みたいなものを少しずつ築いていく。その柱たちを大事にしていく過程で、本書では、家族であったり、祖母の優しさであったり、愛する人、そういうものがエネルギーになっていく。男性の持つ、過去への執着と美化する能力は相当なもんだなという話ではあるのだけれど、生き方の問題に登場する彼が求めていくものは、過去にすがる悲しいキャッチとなるだろう。 -
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別の著書ですが、
芥川賞候補になっていて著者を知りました。
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日記の中のあなた。
過去の中のあなた。
いまは亡きあなた。
今は亡きあなたと
旅に出る方法。
これは巡礼の物語。
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装丁の本から星形をくり抜く絵も、
帯も素敵で手に取りました。
がしかし………!
何度となく挫折しかけました。苦笑
あれ、これ読めないかも、無理かもって。苦笑
何とか読めた理由は、
物語の中に登場する舞台が、
栃木県足利市だったり、
群馬県のぶんぶくちゃがまだったりするから。
数年だけ住んでたことがあり、
知っている土地だったからです。苦笑
二編収録されていますが、
一作目の「生き方の問題」
いとこの女性へ宛てた手紙という文体です。
一方的な独白文。
読まれたくない読まれたいうジレンマのような気持ちのなかで爆発する自意識と執着心。
性的な描写も登場しますが、
これ著者興奮して書いてるんか、と思いたくなるほど。苦笑
上手く説明できないですが、性的描写が生理的に気持ち悪くて読むのが辛かったです。苦笑
ただただ気持ち悪くて、気味が悪くて、
だけれど一生片思い的な
重たい偏愛はわかる気がしつつも、
結局わけわからない違和感が残りました。苦笑
二作目は、「生き方の問題」
これは、大好きだった叔母を喪った主人公が、
大学の卒業式になぜか家族全員で出席し、
行先のわからぬ旅に連れて行かれる話です。
叔母からもらった日記に書かれている、
叔母と過ごした日々を重ね合わせながら、
巡礼ではないですが、
自分の中の気持ちの整理と、
弔いと昇華とがテーマなのかな、と。
こちらの方が個人的には読後は良かったです。
ただ、どちらも突っ込みたかったのは、
女性という「性」が気持ち悪くて違和感しかなかった点です。
登山(トレッキング)の途中で行為に及ぼうとしたり、
特急列車内の隣の乗客に痴漢されたときの描写がありますが、
女性が本当にそんなことするかよ、と。
大多数は怖くて逃げだしたくなるし、そんな風に大胆にならないよ、エロ本かよ、と。
男の人の幻想というか、都合が良いというか、嫌悪感しかなかったです。
これが実は著者は女性でしたと言われたら心から謝罪しますが、男性にしか書けないんだろうな、こんな女の人像は、と思います。
そして、男性は、女性はとか言いながら読みたい気持ちじゃなかったので、余計に嫌でした。苦笑
そもそも群馬の観光名所(といっても、都会のようなきれいに舗装されていないような道)を、7センチヒール?の靴で普通に歩かせないでほしい。苦笑
と、フィクションにリアルを求めるなと言われそうですが。苦笑
とにかくすべてにバイアスと性と軽んじられてる感が強くて、挫折しかけました。苦笑
だけど、何か理由があるはずと読み切った結果、これだけ長い言葉を書いてる自分はちょっと好きです。笑
著書に登場するひとりよがりな主人公と一緒ですかね。苦笑