【感想・ネタバレ】それは誠のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

溺れている人がいたら、一緒に溺れてやろう。
一緒に溺れてやろうって考えながら生きることは、どういう意味があるのか。
溺れゆく1人に、一緒に溺れてやろうって6人。
そこにあるのは優しさ?友情?
そんなたいそうなものじゃなくて、ちょっとした相手への興味と、自分への興味なだけかもしれない。

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2024年02月25日

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共に旅する友達でも他人でもない絶妙な距離感のクラスメイトたち。甘くて酸っぱいひそやかな恋心。家族と社会への諦観などなど、田舎の高校の空気感だったり、思春期の心の機微なんかが一人称の繊細な筆致で鮮やかに描き出されていて、ほうっと溜息が出た。たくさん小説を読んでいるわけでない自分でも、「上手いっ!!」と思った作品。
等身大でひねくれものの主人公のささやかな冒険が、軽快な疾走感を伴って語られるロードムービー。
自然に感情移入できて、だからこそ、主人公の小さな冒険が自分をどこか遠くへ連れて行ってくれるような気がしている。成長していく主人公と、ゆっくりと芽吹く確かな友情に強く胸を打たれる。
これ以上無いと思える青春の小説でした。

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2024年02月20日

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素敵!!爽やか!!
登場人物みんながとても素敵であんなクラスがあったら幸せだろうなぁ。3班のらみんなも先生もなんて素敵なんやろう。
一緒に修学旅行に行って一緒におじさんを待ってる気持ちになる位引き込まれる。
松くんがまた素敵で、松くんのお母さんも素敵。
落ち葉の描写が綺麗過ぎて、本を読みながらもキラキラした光が見えて本当に幸せなった。
やっぱり素敵な本を読んだら元気になるなぁとほっこりしました。

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2023年09月16日

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冴えない立場の高校生がちょっとした冒険で友情を見つける物語。ラインは交換しなくても少しづつ友達になっていく感覚が愛おしい。

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2023年09月03日

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ネタバレ

たった1日の冒険。離婚して離れてしまったおじさんに会いにいく。東京への修学旅行のグループ自由行動の1日、主人公の誠の計画はちょっとずつ固まっていく。グループ行動となるため、GPS携帯を支給される中で1人だけ抜けるという計画は、いつしか、男友達2人が参加し、さらに女子の協力も得て、みんなのプロジェクトになっていく。
友情を知らない、愛を知らない、そういう孤独な子供の心と、どこかで友達が欲しい、でも近づけば傷付く、そんな微妙な感情が入り混じる。青春の一幕は、そういう愛憎も交えながら進んでいくものだ。
 最後に出会えたおじさんには、女がいた。それでも伝えたいメッセージは、ありがとうだったんだと思う。色々辛いことがあったけど、大好きなんだということを伝えたかったんだと。そして、おじさんからのメッセージは、友達経由できく事になるのだけれど、すごくあったかくて、でも絶望的で、友達との友情が何よりの戦利品だったということだ。
 自分自身の修学旅行でも、その当時の彼女とTシャツをこっそり合わせてみたりとか、2人で抜け出したりとか、そういうことってしたけれど、そのスリルが最高に青春だったんだと思い出した。本筋とは異なるが、甘酸っぱい思い出を改めて思い起こさせてくれて、ありがとうと言いたい。
 読者にはちょっと難しいリズム感なのが特徴で、文体は少しねっとりした、テンポを変えながら進んでいく。イライラだったり、熱くなったり、そういう感情がないような日記のような進め方に違和感を感じていたが、最後はなんで文章に認めることにしたんだろうか、そんな疑問を爽やかにまとめてくれる良作。

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2023年09月01日

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とてもよかった!!世間を少し斜めから構えて見ている青年。本当に日常のやり取りの描写、東京修学旅行の思い出。忘れられない一日。

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2023年08月23日

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乗代さん、やっぱりめちゃくちゃ好きかも…
去年読んだ『パパイヤ・ママイヤ』は、実は去年のベスト3として本屋大賞に応募したんだけど、この作品も、青春のまばゆさが溢れていてすごく好き。

高校二年、東京修学旅行の自由行動をめぐる、佐田くんの手記。
冴えない男子とキラキラ女子たちの班行動、なにかが起こりそう…なんてことは全然ないんだけど、そのやりとりは青春としか言いようがなくてまぶしい。
もったいをつけるような、照れ隠しのような、本当はとても大事に思っていることをさもなんてことないかのように書く、ユーモアの織り込まれた佐田くんの文章。
可笑しくて、好きすぎて、胸がきゅっとなりました。

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2023年07月28日

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スリルある冒険譚に緊張感が張り詰める場面もある中、青春真っ只中に感情の機微にほっこりと感動もさせられ、色んな感情が湧き出てきた。あくまで主人公が「書くこと」を通じて物語が語られる乗代雄介らしさも凄く良い味を出してして、余韻の残る読後感も爽やかで凄く心地よかった。名作。

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2024年03月03日

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修学旅行を抜け出して親戚のおじさんに会いに行く話。
前半が読みづらいのは、ワザとなのかも知れない。後半一気に引き込まれて、自分も日野にいる気分でした。
斜に構えてる主人公が魅力的だし、周りの友達と打ち解けて行く様子が蒼くて、こそばゆく感じました。

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2024年05月12日

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「旅する練習」が大好きで感動して、読むのは2作目の乗代さんの作品でした。
スタンドバイミーみたいな、高校生の冒険。さわやかで、楽しい小説!

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2024年03月28日

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人には自分の場所があって全てを見ることはできないけど、若さの時代はそれでも人と心を通わせることができて全てがわからなくても綺麗な夕暮れを見て一緒に感動することができる。

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2024年03月04日

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高校2年東京への修学旅行。班行動。男子と女子。男の友情…だいぶ昔のことになってしまったけれどあの頃と今の子達の青春ってそれほど変わりないのかもしれない。なんだか泣けた。

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2024年02月15日

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主人公だけでなく、登場人物たちがそれぞれの何かを抱えて、なんらかのこじらせぶりがあるところを描くのが上手い。登場人物たちが少しずつ歩み寄っていくのを、保護者のように息を詰めて見守りつつ読む。挿入された宮沢賢治の話が、後から実際の話にリンクした時、泣けた。

芥川賞の選評で、「話を作った感がある」というのを読んだので、先入観ありありで読んでしまった。豊崎由美はこの小説を高く評価していてその選評に対してとっても怒っていたので、どっちかな?と思いつつ読んだ。そういう読み方は正しくないかもしれないが、こういう読み方もまあ面白いかなと思って。
で、読んでみたら、どっちもありでした(笑)

確かに、こう持って行きたい、という作者の意図を感じるんだよね。それは、前回も芥川賞の候補になった「旅する練習」にも感じた。確かにその仕掛けのせいで、最後には泣かされるんだけど。作者は、そんな気はないんですけどね、ってそっけない書き方をしてるところが、なかなか憎いというか、そこが鼻につくっていうか(笑)今回は、はなっから、たぶんここは伏線で泣かせるんだろうなと、わかって読んでたから、予定調和というか、そんな感じだった。
豊崎さんは、創作なんだから、そういう仕掛けはあるだろうと言ってた。確かにそれもそう。
そして、その仕掛けが鼻についたとしても余りあるくらいの出来でもある。
仕掛けはいくつかあるのだけど、その一つは、吃音で病弱な松くんの存在。種明かしに至る最後まで、この存在が効いている。
この松くんの存在感たるや!
(でも、松くんみたいな存在を持ってくるの卑怯だろうという見方もおそらくあるだろうと思う。障がい者を「善なるもの」として配置することに対して、安易じゃないかという見方もよくわかる。)
でも松くん魅力的で泣かされちゃうんだよね。

ということで、正月の読書小説の在り方について考えることができて、楽しめました。
この小説自体も好きですし。

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2024年01月06日

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ネタバレ

芥川賞ものだけに導入部分が、ああ、文学小説だなと読もうというエンジンがかからなかったが、内容は難しいながらも文面は知的な表現で癪に障ることなく登場人物の生活感を感じさせてくれた。主人公の設定がよくわからず、文中の登場人物も、”お前こんな奴だっけ?”みたいなことを言われており、ほんとそうだと思った。ちょっとぶっ飛んでない?
日常の中のちょっとした非日常を活き活きと描写される高校生の姿がまぶしい作品だった。
で、実際内容はどうかと聞かれたら、”やっぱり芥川賞はこんなもんなんでしょう”と締めくくる。エンターテイメントではない。

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2023年12月08日

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高校時代は勉強しかしなかった。と思おうとしてきたが、やはりいろいろなことがあった気もする。そんなことを思う読後。

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2023年11月04日

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読み終わると、とても好きだった。

序盤は“なんだか面倒だな、、”と感じてしまう言い回しも多かったけれど、高校生たちの関係性の変化と共に徐々にそのような表現が削ぎ落とされていく。

多様性なんてわざわざ声高に叫ばれずとも、他を知り共感し受け入れていくことはできるんだ。
私たちも高校生の素直さを見習わなければ。

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2023年10月20日

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不器用で人との関わりが苦手な主人公が、修学旅行で同じグループになったクラスメイトとの関係を通して、自分自身の過去と向き合い、何を感じるのか。
思春期ならではの潔癖さや不器用さがなんだか懐かしく、まぶしかった。

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2023年10月11日

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乗代雄介さんの小説は本作を入れても4冊しか読んでいない。
それでも『それは誠』がいちばん好きとハッキリ言える。

高校二年生の修学旅行の思い出を綴る佐田誠。
自由行動の予定を決めるとき
「音信不通になったおじさんに会いたい」という思いを
同じ班の皆に伝える。
誠は同行してくれる(?)という男子と、おじさんのアパートを目指す。
P91
疲れた友達を休ませるため大きめの公園に立ち寄る。
そこで出会った園児の何気ない様子を乗代さんは綺麗に切り取る。
私の頭の中でカシャカシャと映像が映し出され素早く消え去っていく。

まったく私の語彙力の無さといったら...。

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2023年10月03日

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高校2年の修学旅行。自由行動の1日をめぐって僕の叔父さんに会いに行くというミッションを3班の男子たちで成し遂げる。協力してくれる女子やそう仲の良いわけでもない男子のぶつかり認め合う様子がいかにも青春。

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2023年09月14日

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こんなにも真っすぐな青春を描いた小説は久しぶりだった。周囲の同級生→友人・仲間となる子たちのセリフから、主人公の人となりが自然と浮かび上がってきて、とても魅力的な青年が浮かび上がる。眩しい1日をわくわくしながら体感した。

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2023年09月09日

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乗代さん初読み。最初の3ページが読みづらかったけど、そのあとはスラスラ。人との距離感が縮まっていくのって、こんな感じだよなぁってのが丁寧に描かれてた。宮沢賢治の溺れる人の話は考えさせられるなぁ。ラストにかけて爽やか過ぎるくらい爽やかだった

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2023年09月03日

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本書のことはポリタスの石井千湖さんと豊崎由美さんの紹介に惹かれ、内容をほとんど知らないまま読んでみた。冒頭数ページが“首尾よく失敗した導入”なので、(ついていけるかな?)と思わせておきながら、それが読み進むうちに気にならなくなり、この“だらだら”感にうまいことしてやられた後の爽快感。
表紙の4人(と、ここには居ない3人)それぞれのキャラクターがすごく良い!

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2023年08月27日

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ネタバレ

すごく優しい高校生たちの話だった。
両親のいない僕は、かつて自分を引き取ろうとしていた叔父に会うため、修学旅行の班別行動で一人抜け出して日野へ向かうことを画策する。同じ班の男子たちが行動を共にし、女子たちの協力も得て、先生にバレずに叔父との再会を果たす。というのが筋だけれど、社会的には弱者と呼ばれる人々に、過度な気遣いをせずに接することのできるこの高校生たちはすばらしい。この、というより、一般に大人よりも、弱い人々の友であるのは子どもたちだと思った。吃音の松や叔父を労わりつつ差別せずに扱ったり、孤児である僕を変に哀れまずにフラットに接したり。自分の特待が解除されないかばかり気にしているような蔵並も、知恵を駆使して僕が叔父を待つ時間を捻り出す。そのチームプレイの積み重ねが胸熱だし、この旅行中できるだけたくさん僕の笑顔の写真を撮った方が勝ち、というこの三班の隠れたゲームも、優しさあふれたものじゃなかろうか。吃音で結婚できないから誠を引き取ろうとしてると邪推されて家を出た叔父にも彼女がいてよかった。その叔父が、来てくれてありがとうと言っていたというのは本当なのか、三班メンバーの優しいフォローなような気もする。
高村先生と話した、もし子どもが溺れたら助けてやることはできないけど一緒に溺れる、っていう宮沢賢治の話は象徴的で、溺れている僕に同行して叔父に会いについてきてくれる男子たちは一緒に溺れているのだし、そして一緒に集合時間に遅れて一芝居打つ三班メンバーも一緒に溺れているのだし、それによって誠は助けられているのだ。とにかく優しい話。
「本物の読書家」や「未熟な同感者」でも、書くということの形而上的意味を考察していた感じがしたけれど、今回も易しい形で所々触れられていた。

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2023年08月02日

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修学旅行を機に上京する男子高校生が1日だけの自由行動の日を使って離れて暮らす叔父に一目会おうと行動を起こす。
最初はバラバラだったクラスメイトが少しずつ友達になっていく。
身の回りにあってでも勝手に距離をとって寂しさを感じていたりすることはたくさんある。
改めて、周りを大切にしようと思える。

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2023年07月31日

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"自然な導入に失敗"しているからか、読み始めはなかなかに乗れなかったですが、計画段階から旅行初日に飛躍するほどの勢いに、打って代わって、読み終えました

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2024年04月06日

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なんか前半はあまり入り込むことができなかったです。
でも、読み進めていくと自分の学生時代のことが徐々に蘇ってくる感じでした。
友達になろう!って言って友達になるなんてことはなくって、なんかこう言う感じだなぁ〜って、温かい気持ちになりました

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2024年03月27日

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高校の修学旅行で、東京に行くことになった佐田誠たち。友だちがおらず、目立たない佐田の主張に班員たちが示すさまざまな姿が興味深い。

ただ、高校の出欠は結構シビアなので、そんなに休めるのかなという現実的な疑問は……野暮なのだろう。

饒舌体というのか、切れ目のない文体は苦手なので、読むのが辛かった。途中でやめようかと思ったほど。『旅する練習』の著者なので、なんとか読んだ。

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2023年10月18日

Posted by ブクログ

修学旅行の自由行動を友達と抜け出して、生き別れたおじさんに会いに行く。
簡単に言ってしまうとそれだけのことが、それがこんな青春小説に仕上がってしまうのはさすがだなと思った。
高校時代の笑いや、クラスメイトとの距離が縮まるきっかけってこんな感じだったなと思い出しながら読んだ。
こういう出来事って、大人になっても不思議と鮮明に覚えている。
誰しもが持っている感覚を呼び起こされる小説だと思った。

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2023年09月14日

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物語としては読みやすい。修学旅行の自由行動日に佐田のおじさんに同じ班の男子が会いに行くという、まだ時間が無限にある若者の時間の無駄遣い行動が瑞々しい。若者の間だけにあるコミュニケーションは自由であり、どんな境遇でもお互いを尊重できる。引率の先生を騙そうとする悪のりも若者の特権だ。そんな清々しい物語のように思ったが、作品自体は技巧を試して失敗した感じもする。分かりやすそうで、きちんと読み解けたか心配になった。

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2023年07月29日

Posted by ブクログ

乗代雄介さん、とても良い。「皆のあらばしり」がとても好き。
青春だと思う。高校生のリアルな感情がよく書けていて、共感できる。
おじさんがよく歌っていた曲に出てくる歌詞。ギターを弾きながら歌う。「それは誠」タイトルの意味を知る。
学校にバレたら特進解除。ハラハラする。
大冒険で、先生にバレないように、作戦を練って?
修学旅行の班行動を抜け出す男子4人。
はじめは、全く仲良しとはいえない雰囲気だったのに。
でも女子を含め、班の連携が良かった。
警察と話したときもドキドキした。
こんな修学旅行は、絶対に忘れないよね。
松くんのお母さんも素敵。
じわじわくる(泣)
背伸びして成長するのだと思った。
いい話だった。
芥川賞は残念だったけど、これからの乗代さんの話も楽しみに待ちたい。

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2023年07月27日

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