乗代雄介のレビュー一覧

  • 鉄道小説

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    ネタバレ

    5人の作家による短編集
    鉄道は背景の一コマ的な扱い。滝口氏の「反対方向行き」の目的地の宇都宮と逆方向の電車に乗ってそのままあえて小田原まで行く車内で祖父を回想する時間、空間が、ごとごと揺れるリズムとともに心に残った。
    犬の散歩の話、台湾からの帰化の話、宝塚線中山駅のホラー、青森のトラム、それぞれ作家さんの持ち味が出ていて面白かったです。

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    2023年06月29日
  • 本物の読書家

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    「本物の読書家」と「未熟な同感者」の二篇。どちらも多数の引用を以て構成され非常に読むのがめんどくさい小説。
    前者は1本の道筋を通るのでまだ読みやすい。うさんくさい関西弁を話す男が出てくるが態となのだろうか。
    後者は「十七八より」の続編としてその少女の大学時代を記したもの。大学の講義内容を著す部分が矢鱈多く特異な小説の印象。主眼はどこにあったのか。
    引用される作家は多少読んだこともあるのがあるがそこまで深く読み込んだことはないので何とも言えず。

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    2023年06月16日
  • 鉄道小説

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    【収録作品】「犬馬と鎌ケ谷大仏」 乗代雄介/「ぼくと母の国々」 温又柔/「行かなかった遊園地と非心霊写真」 澤村伊智/「反対方向行き」 滝口悠生/「青森トラム」 能町みね子

    日本初の鉄道が新橋~横浜間に開業した1872/10/14から150年を迎えることを契機に立ち上げた「鉄道開業150年 交通新聞社 鉄道文芸プロジェクト」の一環として制作した短編集とのこと。

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    2023年05月13日
  • 最高の任務

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    書くことについての問題意識というのはわかるのだけれどあまりにもそれが前面に出てくるのできつい、「生き方の問題」はあえてだろうにしても読んでいて恥ずかしくなる文体だし、そういう「あえて」みたいな作者の自意識が全編に染み渡っていてやっぱりきつい

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    2023年03月26日
  • 十七八より

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    ネタバレ

    わざと書き落とされている内容が所々あった。読みにくいと思ったが焼肉屋の場面と病院の場面のやり取りは引き込まれるものがあった。

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    2022年10月29日
  • 十七八より

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    ネタバレ

    十七八って、青春謳歌って言うけれど、実際はもっとおどろおどろしくて、混沌としていたことを思い出させる。

    彼女?少女?姉?みたいな文学少女は、こういう方向なんだろうけれど、方向や志向が違ってもきっとこういうことなんだという雰囲気は感じられた。

    正直、ずっと頭が晴れる感じはなかったが、やめられない文章だった。

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    2022年09月04日
  • 十七八より

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    一言でいえばすごく難しい。
    言葉遊びにずっと付き合わされているようですごく難解。
    しかし、意味など理解するのではなく真っ正面から思春期の女子の揺れに付き合うべきなのかとも思った。(著者は男性だが…)

    揺れ、危うさ、幼さゆえの冒険…
    すべてが十七八というタイトルに込められているようにも思う。

    しかしやはり難解である。

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    2022年09月04日
  • 十七八より

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    なんでしょうねぇ、この表紙の写真
    岡上淑子 「ダンス」1951年

    1950年からわずか6年間のみ美術界に姿を現し、幻の作家とも言われている彼女のコラージュ作品

    最初に叔母の亡くなる時の話がある。
    主人公は女子高生。過激な事をわざと口走ってしまったりし、学校で嫌な事が起こると帰りに寄る、叔母のいる眼科の受付
    叔母は相談に乗るようで、解決してるのかどうか私にはわからない。
    叔母との関係は「口に放り込んで味わいかける瞬間のあめ玉のように気を逸らす役割を担っていた」らしい
    文学に詳しく、相談した時の返事も文学から。
    古文教師の朗読会での教師と生徒の関係、そしてそこにいる男子1名。この男子が、自分は

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    2022年08月28日
  • 本物の読書家

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    乗代雄介『本物の読書家』講談社文庫。

    表題作と『未熟な同感者』を収録した純文学中編小説集。古今東西の文学からの引用の数珠つなぎと知識の洪水。表題作は辛うじてストーリーを辿ることが出来るのだが、『未熟な同感者』はギブアップせざるを得ない。

    『本物の読書家』。古今東西の作家や文学に関する豊富な知識の渦とその中に隠された川端康成からの手紙を巡るミステリーという面白さ。川端康成からの手紙を後生大事に持っていると言われる大叔父上を老人ホームに送り届ける役目を任された主人公。高萩に向かう常磐線の車内で関西弁で話し掛けて来た奇妙な男と遭遇する。読書家を自認する主人公と読書に関する様々な知識をひけらかす関

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    2022年07月22日
  • 本物の読書家

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    非常に理論的に組み込まれたストーリーで、作中に
    他の作家たちの、文献や、作品が組み込まれいて
    本作は、小説と呼べるのかと感じてしまいました。
    評論の世界に入った印象でした。でも、乗代さんの
    特徴である、実在の人物のある隠された秘密、今回でしたら、川端康成の「片腕」をめぐる、間氷と大叔父上の話で、そこに怪しい関西弁を話す田上が絡まっていく群像劇で、実際にはそんな秘密があるのか知らないが、その秘密までもが、信憑性を持った、読者に信じ込みやすいストーリーにさせるところがすごいと感じました。川端康成、カフカ、サリンジャー様々な文豪の作品が、作中に使われていて、文豪たちの思いとか、作品に触れることが出来

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    2022年07月22日
  • 鳥獣戯画/我が人生最悪の時

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    鳥獣戯画の明恵上人だけの話であるかと思っていたら、私小説も入っていた。
     小説の中で芥川賞受賞と書いてあったのでわかった次第である。終の棲家での受賞である。
     赤ずきんちゃん気をつけてという小説があったが、これは、都心の高校生及び大学生の恋愛を語った私小説である。アニメにしても面白いのかもしれない。

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    2021年11月20日