乗代雄介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
⚫︎受け取ったメッセージ、感想
「旅する練習」が比較的評価が高い印象の作者だが、私はなんとなく好きになれないままだったが、こちらの「本物の読書家」を読んで、著者の考えがわかったような気がして、「旅する練習」の結末があのような形なのも、なんとなく理解でき、読んで良かったと思った。
著者は、書くこととは?読むこととは?を丁寧に探っていることが伺えた。書かれた作品がうまれた背景(事実)、著者を通して書かれる本物(真実)とのバランスについて思いを馳せることができた。
「本物の読書家」「未熟な同感者」ともに、書かれた作品を通して、事実と真実の乖離の間にこそ、作品は生まれるのだということを改めて思った -
Posted by ブクログ
仲のよい叔父である「私」と中学入学を目前にした姪の亜美が、「私」は文章で風景を描写する練習をしつつ、亜美はサッカーの練習をしながら鹿島まで歩いて旅をするロードムービー的な物語。途中で同じく徒歩で鹿島スタジアムを目指していたみどりと合流し、彩りが加わる。人間模様でちょっとした波風は立つことはありましたが、基本的に和やかな雰囲気の中、淡々と旅は続けられ、無事に旅を終えることができたかにと思ったのですが、物語の終盤にさりげなく書かれた数行にわが目を疑い、その箇所を数回読み返してしまいました。何ともやるせない。人生は角も儚いものと思うしかないのだろうか。