乗代雄介のレビュー一覧
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難しながらも面白かった。謎の男と大叔父が最後帰ってっこなかったとなったときは普通に「えっ!?」て声が出た。この「えっ」の出方は『旅をする練習』のときにもあった。どんな意味があったんだろ?てきなことを考えるのも楽しい。
続く「未熟な同感者」では言ってることが難しい部分も多く(引用が多くある)いったりきたりを繰り返すもやっぱり分からないことも。でも今はそのままにしてもよくて、後で読み返したときに少し近づけるかもしれないという期待もありつつ、再読しつづけたい作品だなと思った。読むことと書くことが一緒になることを完全な同感者というなら自分はずっと未熟な同感者だ。そもそも完全な同感者になりえるのか?とい -
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ネタバレコロナ禍で小学校が休校となった亜美と小説家の叔父が、鹿島アントラーズの本拠地を目指して歩く旅に出る。利根川沿いを進みながら、亜美はボールを蹴り、叔父は風景を描写する。我孫子駅から鹿島神宮まで、交通機関を使えば1,2時間で移動できる距離を歩いて行く。叔父が描写していた風景は観光名所って感じでもなく、わざわざ訪れる人もいなさそうな所だけど、ゆっくり歩いて行くからこそ見られる景色という感じだった。そして予想も付かなかったラスト。良い雰囲気で旅を終えたはずだったのに、突然現実を突きつけられたように思った。コロナ禍ということで、身内や周囲の人間との突然の別れが現実的にあった時期。この小説のラストで同じよ
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Posted by ブクログ
弟の結婚式で仙台に来た姉、阿佐美景子。2年ぶりに家族と会い、弟と語らい、変わっていないことに安堵している気がしました。彼女が尊敬していた叔母への思いを何度も反芻し、心の中でなんとか消化しようともがいている様子が伺えました。家族と会わなかった2年間、彼女が大切に思っていた叔母との日々を逡巡していたと思います。自分のことを一番わかってくれていた人が、まだまだ共にいるような気持ちでいることは、大切な人を亡くしたことがある人にしかわからないものだと思いました。
小説の終わりに、新幹線の中で出会った平原夏葵の明るさが、景子が前向きに向かおうとする兆しを生み出したことに安堵しました。
景子が作家という