乗代雄介のレビュー一覧
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ネタバレ第58回群像新人文学賞受賞作。デビュー作。
芥川賞候補『旅する練習』は既読、『皆のあらばしり』は冒頭10頁既読、で本作にいざ挑戦!
あれ?これは乗代さん?文体が既読の作品と全然違って翻訳の直訳文のような文章…という戸惑いを隠せないまま読み進める。
文学好きのある少女(阿佐美景子)の、叔母とのやり取りを軸に置いた他愛のない日常。「少女」は、弟の「姉」であり、叔母の「姪」であり、主語が場面によって変わる上に、文章自体もなかなか独特かつ難解。
家族の前では茶目っ気もあり、教師とのやり取りでは時に大人びていたり、病院の待合では不可解な大人に怯えたり…。少女の日常はありふれた事が次々に起こって時 -
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コロナ禍の中、小説家の叔父とサッカー少女の姪が千葉の我孫子から茨城の鹿島まで徒歩で数日をかけて歩くという旅の物語
少女はドリブルやリフティング
叔父は所々の名所で風景を描写
それぞれの練習をしながらの旅である
名所は文学作品に関連する場所が多く、そこで語られるエピソードも面白い
私だったら
◯◯があった
という一言で終わりそうな風景を
とても細かく、まさに絵を描くように描写している
以下、少しネタバレあり
お気を付けください
読みながら
作品全体に漂っている不思議な湿り気になんとなく違和感があった
ラストシーンまで読み、もう一度頭から読み返したくなった
これはどうい -
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内容とは全く関係ないけど、乗代作品を読むとき恒例、お側にGoogleマップ。こんな読み方は乗代作品以外はしないんだけど、作者が現地を実際に歩いているというのを聞いてから自分が勝手に楽しんでる読み方です。
今回の面白発見は、ボートヤードの敷地内にいるヤギを発見したことでした。あとは所ジョンの仮の住処であったポンプ場跡。
単行本は全体が真っ黄色で結構目を引くのだけど、この黄色は所ジョンの「きいれい」ものだったんじゃないか!?と一人で興奮したり。所ジョンは本が買えなさそうだけど、どうにかして手に入れようとしたかもしれない。所ジョンばかり述べていますが、主人公はパパイヤ・ママイヤというニックネームの女 -
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面白かった!関西弁の男は博識だし高級時計持ちだし『本物の読書家』の関西弁おじに見えなくもなかった。乗代氏自身が自分の足や資料を通して小津久足と栃木市を丁寧に描いた作品だなあと感じた。
作品中、男が琴平神社の石段の窪みを見て自分の足を嵌める姿や、「伝わらんでも人の思いが残る法もあると知らせとるがな。その思いを後世の人間が汲んでやれば当人たちも報われるっちゅうもんやないか(略)。」と言った場面が作者の仕事ぶりを表しているようで、こういうところに感動してしまう自分がいた。
巻末の成り立ちでは、研究者(参考文献の著者)の方の『皆のあらばしり』の読み方について現実の方が小説においついてきたとあった。もち -
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難しながらも面白かった。謎の男と大叔父が最後帰ってっこなかったとなったときは普通に「えっ!?」て声が出た。この「えっ」の出方は『旅をする練習』のときにもあった。どんな意味があったんだろ?てきなことを考えるのも楽しい。
続く「未熟な同感者」では言ってることが難しい部分も多く(引用が多くある)いったりきたりを繰り返すもやっぱり分からないことも。でも今はそのままにしてもよくて、後で読み返したときに少し近づけるかもしれないという期待もありつつ、再読しつづけたい作品だなと思った。読むことと書くことが一緒になることを完全な同感者というなら自分はずっと未熟な同感者だ。そもそも完全な同感者になりえるのか?とい -
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ネタバレコロナ禍で小学校が休校となった亜美と小説家の叔父が、鹿島アントラーズの本拠地を目指して歩く旅に出る。利根川沿いを進みながら、亜美はボールを蹴り、叔父は風景を描写する。我孫子駅から鹿島神宮まで、交通機関を使えば1,2時間で移動できる距離を歩いて行く。叔父が描写していた風景は観光名所って感じでもなく、わざわざ訪れる人もいなさそうな所だけど、ゆっくり歩いて行くからこそ見られる景色という感じだった。そして予想も付かなかったラスト。良い雰囲気で旅を終えたはずだったのに、突然現実を突きつけられたように思った。コロナ禍ということで、身内や周囲の人間との突然の別れが現実的にあった時期。この小説のラストで同じよ