乗代雄介のレビュー一覧

  • それは誠

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    ネタバレ

    芥川賞ものだけに導入部分が、ああ、文学小説だなと読もうというエンジンがかからなかったが、内容は難しいながらも文面は知的な表現で癪に障ることなく登場人物の生活感を感じさせてくれた。主人公の設定がよくわからず、文中の登場人物も、”お前こんな奴だっけ?”みたいなことを言われており、ほんとそうだと思った。ちょっとぶっ飛んでない?
    日常の中のちょっとした非日常を活き活きと描写される高校生の姿がまぶしい作品だった。
    で、実際内容はどうかと聞かれたら、”やっぱり芥川賞はこんなもんなんでしょう”と締めくくる。エンターテイメントではない。

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    2023年12月08日
  • それは誠

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    かなり読みにくい文章。現代っ子の会話のままの感じで書かれたのかもしれないけど、これは久々に断念かとも思ったけど、とりあえず薄いから頑張って読もうと覚悟を決める。
    結果頑張って読む甲斐があった。それでも所々??ってなるところもあったけど、
    いいな青春。若い頃の繊細さも修学旅行っていう学校生活での大イベントのちょっとテンション上がっちゃう感じも、懐かしくてキュンとするな。

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    2023年11月18日
  • それは誠

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    高校時代は勉強しかしなかった。と思おうとしてきたが、やはりいろいろなことがあった気もする。そんなことを思う読後。

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    2023年11月04日
  • それは誠

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    読み終わると、とても好きだった。

    序盤は“なんだか面倒だな、、”と感じてしまう言い回しも多かったけれど、高校生たちの関係性の変化と共に徐々にそのような表現が削ぎ落とされていく。

    多様性なんてわざわざ声高に叫ばれずとも、他を知り共感し受け入れていくことはできるんだ。
    私たちも高校生の素直さを見習わなければ。

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    2023年10月20日
  • 十七八より

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    1行で終わるところを3、4行かけて描写する。そして匂わせるばかりではっきり描かない所はこの手の作品を読みなれない人には何を読まされてるのか?となるかも。好きな人にはたまらない。

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    2023年10月08日
  • 本物の読書家

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    本書は、2015年にデビューした新鋭による2冊目の書物である。2018年本作「本物の読書家」で野間文芸新人賞受賞。2019年、2021年芥川賞候補。

    表題作「本物の読書家」では、語り手の「わたし」が、独り身の大叔父を茨城県の高萩にある老人ホームに入居させるため、上野から電車で同行する。車中で二人はあやしげな大阪弁の男と出会う。この男が開陳する文学関連のマニアックな知識に反応する読書家の「わたし」と大叔父。やがて大叔父の口から、信じがたい秘密が告げられる。 

    川端康成の名作「片腕」を本当に書いたのは自分だ、という大叔父の主張を、小説外の事実として認める読者はいないだろう。文豪川端康成の

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    2023年02月24日
  • 鉄道小説

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    JR時刻表を出している交通新聞社が出した小説ということで、鉄分高いのかなー、と思いながら読んだけど、そんなことはなかった。各話に鉄道が出てくる短編集ってだけで、五話五様の普通のアンソロジーとして楽しめる内容だった。

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    2023年01月31日
  • 本物の読書家

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    ネタバレ

    「本物の読書家」と「未熟な同感者」の二篇収録。

    相変わらず難解。でも個人的には「読んでて分からないけれど楽しい」作家さんでもあります。話として面白かったのは「本物の読書家」で好きなのは「未熟な同感者」でした。「未熟な同感者」は少し百合ですね。

    「本物の読書家」
    老人ホームに入る大叔父上に最寄り駅まで同行する主人公は大阪弁の読書家と相席になる。川端康成の『片腕』が出てきます。既読で良かった…。
    主人公の自意識過剰っぷりに「ちょっと落ち着いて」と言いたくなりました(笑)

    『ロリータ』を2月に読む予定なので楽しみです。

    「未熟な同感者」
    こちらは頻繁に引用されるサリンジャーをまったく読んでい

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    2023年02月02日
  • 本物の読書家

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    「皆のあらばしり」で今年気になる作家NO.1になった乗代雄介。次は「旅する練習」を開こうと思いつつ目の前に文庫が次々現れてたどり着けません。前回は「十七八より」。今回は「本物の読書家」。今度の文庫は「本物の読書家」と「未熟な同感者」の二編が収録されていました。単行本の時も同じ構成かな?先ずは「本物の読書家」。登場人物の関西弁の饒舌な男、これ「皆のあらばしり」のあの男の再登場?とびっくり!いや「本物の読書家」の方が先に書かれているので「皆のあらばしり」の方が再登場か…さらには「未熟な同感者」の一人称の女子も「十七八より」の高校生が大学生になった感じ。アセチレン・ランプ、スカンク草井などのような手

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    2022年09月10日
  • 十七八より

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    「ミック・エイバリーのアンダーパンツ」で果てしのない饒舌さに挫折し、「皆のあらしばり」を会話の応酬の末のストーリを堪能し、なんだか知らないうちに気になる作家No.1になってしまった乗代雄介。次なるターゲットは「旅する練習」と決めていましたが、文庫でデビュー作を見つけ、途中下車読書しました。第58回群像新人文学賞受賞の作品ということです。デビュー作には、その作家の特質がすべて込められている、と誰かが言っていたような、言っていなかったような…しかし、この「十七八より」には乗代雄介の作家としての文学観が決意表明として表されているような気がしました。(すいません、読み始めたばっかりなのに、すべてを知っ

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    2022年05月29日
  • 十七八より

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    ブログの方のミック・エイヴォリーのアンダーパンツの方を過去に時折読んでおり、素っ頓狂な発想と文章に感心していた。
    その著者の小説デビュー作が文庫になったので読んでみたのだが、これまた内容よりも文章主体の一風変わった作品。巻末の評にある通り衒学的でもってまわった表現、ともすれば読みにくい翻訳小説の如き文体で彩られている。やたらめったら描写の細かい挿入エピソードや作中作などは先のブログから引っ張ってきたかのよう。
    小説に結末を期待する人には受け入れにくいかもしれないが、文体を愉しむという点では申し分なし。「あの少女」の振舞を自らに当て嵌めたり、考察したりなど野暮なことはするまい。

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    2022年05月14日
  • 十七八より

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    評価の難しい本。小難しい表現を折り重ねていて、決して読みやすい文章ではない。それでいてそんな表現の向こうに17、8歳の少女の微妙に揺れ動く心情が垣間見える。そんな小説です。

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    2022年01月29日
  • 十七八より

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    ネタバレ

    第58回群像新人文学賞受賞作。デビュー作。

    芥川賞候補『旅する練習』は既読、『皆のあらばしり』は冒頭10頁既読、で本作にいざ挑戦!

    あれ?これは乗代さん?文体が既読の作品と全然違って翻訳の直訳文のような文章…という戸惑いを隠せないまま読み進める。

    文学好きのある少女(阿佐美景子)の、叔母とのやり取りを軸に置いた他愛のない日常。「少女」は、弟の「姉」であり、叔母の「姪」であり、主語が場面によって変わる上に、文章自体もなかなか独特かつ難解。

    家族の前では茶目っ気もあり、教師とのやり取りでは時に大人びていたり、病院の待合では不可解な大人に怯えたり…。少女の日常はありふれた事が次々に起こって時

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    2022年08月14日
  • パパイヤ・ママイヤ

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    内容とは全く関係ないけど、乗代作品を読むとき恒例、お側にGoogleマップ。こんな読み方は乗代作品以外はしないんだけど、作者が現地を実際に歩いているというのを聞いてから自分が勝手に楽しんでる読み方です。
    今回の面白発見は、ボートヤードの敷地内にいるヤギを発見したことでした。あとは所ジョンの仮の住処であったポンプ場跡。
    単行本は全体が真っ黄色で結構目を引くのだけど、この黄色は所ジョンの「きいれい」ものだったんじゃないか!?と一人で興奮したり。所ジョンは本が買えなさそうだけど、どうにかして手に入れようとしたかもしれない。所ジョンばかり述べていますが、主人公はパパイヤ・ママイヤというニックネームの女

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    2025年11月23日
  • 二十四五

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    説明がほとんど無くて、誰かの日常をバッサリ切り取ったような話。
    あらすじ言えないなあ。終わりも終わりの頃に、東北の震災の話?って身構えたら、そういうわけでもなくて安心したような、なんとも言えない感じ。相手が死んじゃったら、からのやりとりは、被災地出身の人と話すことがあったら感じる「ぞっとする」なのか。たまたま出会った年下の女の子と、友達になれたら楽しいね。

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    2025年11月13日
  • 二十四五

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    『最高の任務』を読んだあとに阿佐美家の続きが読みたくてこれを読んだ。小説家になった景子、結婚するこになった弟の洋ちゃん。これまで景子には友達という存在が見えなかったけど年下の夏葵という女性(身内以外の生身の人間)が友達なったこと、書くという行為、これらが叔母に導かれているような内容だった。夏葵の友達というもの(死者も含めて)を熱弁する場面がなんか良かった。そして景子は最後に「だからこそ」と言った時、『最高の任務』でゆき江おばさんが言った「でも、だからこそなのよ」が重なったかと思った。

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    2025年11月09日
  • 皆のあらばしり(新潮文庫)

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    面白かった!関西弁の男は博識だし高級時計持ちだし『本物の読書家』の関西弁おじに見えなくもなかった。乗代氏自身が自分の足や資料を通して小津久足と栃木市を丁寧に描いた作品だなあと感じた。
    作品中、男が琴平神社の石段の窪みを見て自分の足を嵌める姿や、「伝わらんでも人の思いが残る法もあると知らせとるがな。その思いを後世の人間が汲んでやれば当人たちも報われるっちゅうもんやないか(略)。」と言った場面が作者の仕事ぶりを表しているようで、こういうところに感動してしまう自分がいた。
    巻末の成り立ちでは、研究者(参考文献の著者)の方の『皆のあらばしり』の読み方について現実の方が小説においついてきたとあった。もち

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    2025年11月02日
  • 十七八より

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     物語の語り手が少女時代を懐古し、そこで語られるのは語り手が「十七八」の頃の日常の、細かな、極端に細かな出来事。過去の出来事を、細部を極端に懐古していく、秘密めいた語り口が、高橋源一郎氏や多和田葉子氏には評価されたようだ(巻末に、本作が群像新人文学賞を受賞したときの選評が載っている)。実験的であることはわかるけど、登場する人物たちがやたら理屈っぽく、小説というよりは文芸評論という感じ。

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    2025年10月17日
  • 二十四五

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    変わる前も変わった後のことも大体わかったらそれは友達。大人になると新しい友達ができないのは、あまり変化しなくなるから、という文章が印象に残った。弟との会話が心地よかった。

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    2025年09月26日
  • 皆のあらばしり(新潮文庫)

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    ある偽書(それさえも作者の創作)をめぐる小説。先日観た演劇がメタメタメタメタのメタという構造をしていたこともあり、新しさは感じなかったが、小中学校の図書室に置いていたらキャラの魅力で好きになりそうではある。

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    2025年09月22日