乗代雄介のレビュー一覧
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みなさん書いているように、最初は主人公の一人語りが私にはとても読みづらく、最後まで読めるかな…と不安になりましたが、修学旅行に入ってからはサクサクと読み進められました。高校でイベントなどの非日常の時に、普段は話すこともないような子と不思議な仲間意識を持てることって、確かにあるよなあとワクワクした気持ちで読めました。ついてきてくれた男子みんないいヤツだし、自分たちが楽しみながらも作戦に乗ってくれた女子たちも、みんないいなと思いました。文章だけ読んでると、確かに友達はあまりいなさそうだな…という感じの主人公ですが、みんなフラットに接しているのがいい学校だなあと最後は温かい気持ちになりました。
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主人公だけでなく、登場人物たちがそれぞれの何かを抱えて、なんらかのこじらせぶりがあるところを描くのが上手い。登場人物たちが少しずつ歩み寄っていくのを、保護者のように息を詰めて見守りつつ読む。挿入された宮沢賢治の話が、後から実際の話にリンクした時、泣けた。
芥川賞の選評で、「話を作った感がある」というのを読んだので、先入観ありありで読んでしまった。豊崎由美はこの小説を高く評価していてその選評に対してとっても怒っていたので、どっちかな?と思いつつ読んだ。そういう読み方は正しくないかもしれないが、こういう読み方もまあ面白いかなと思って。
で、読んでみたら、どっちもありでした(笑)
確かに、こう持 -
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本書は、2015年にデビューした新鋭による2冊目の書物である。2018年本作「本物の読書家」で野間文芸新人賞受賞。2019年、2021年芥川賞候補。
表題作「本物の読書家」では、語り手の「わたし」が、独り身の大叔父を茨城県の高萩にある老人ホームに入居させるため、上野から電車で同行する。車中で二人はあやしげな大阪弁の男と出会う。この男が開陳する文学関連のマニアックな知識に反応する読書家の「わたし」と大叔父。やがて大叔父の口から、信じがたい秘密が告げられる。
川端康成の名作「片腕」を本当に書いたのは自分だ、という大叔父の主張を、小説外の事実として認める読者はいないだろう。文豪川端康成の -
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ネタバレ「本物の読書家」と「未熟な同感者」の二篇収録。
相変わらず難解。でも個人的には「読んでて分からないけれど楽しい」作家さんでもあります。話として面白かったのは「本物の読書家」で好きなのは「未熟な同感者」でした。「未熟な同感者」は少し百合ですね。
「本物の読書家」
老人ホームに入る大叔父上に最寄り駅まで同行する主人公は大阪弁の読書家と相席になる。川端康成の『片腕』が出てきます。既読で良かった…。
主人公の自意識過剰っぷりに「ちょっと落ち着いて」と言いたくなりました(笑)
『ロリータ』を2月に読む予定なので楽しみです。
「未熟な同感者」
こちらは頻繁に引用されるサリンジャーをまったく読んでい -
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「皆のあらばしり」で今年気になる作家NO.1になった乗代雄介。次は「旅する練習」を開こうと思いつつ目の前に文庫が次々現れてたどり着けません。前回は「十七八より」。今回は「本物の読書家」。今度の文庫は「本物の読書家」と「未熟な同感者」の二編が収録されていました。単行本の時も同じ構成かな?先ずは「本物の読書家」。登場人物の関西弁の饒舌な男、これ「皆のあらばしり」のあの男の再登場?とびっくり!いや「本物の読書家」の方が先に書かれているので「皆のあらばしり」の方が再登場か…さらには「未熟な同感者」の一人称の女子も「十七八より」の高校生が大学生になった感じ。アセチレン・ランプ、スカンク草井などのような手
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「ミック・エイバリーのアンダーパンツ」で果てしのない饒舌さに挫折し、「皆のあらしばり」を会話の応酬の末のストーリを堪能し、なんだか知らないうちに気になる作家No.1になってしまった乗代雄介。次なるターゲットは「旅する練習」と決めていましたが、文庫でデビュー作を見つけ、途中下車読書しました。第58回群像新人文学賞受賞の作品ということです。デビュー作には、その作家の特質がすべて込められている、と誰かが言っていたような、言っていなかったような…しかし、この「十七八より」には乗代雄介の作家としての文学観が決意表明として表されているような気がしました。(すいません、読み始めたばっかりなのに、すべてを知っ
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ブログの方のミック・エイヴォリーのアンダーパンツの方を過去に時折読んでおり、素っ頓狂な発想と文章に感心していた。
その著者の小説デビュー作が文庫になったので読んでみたのだが、これまた内容よりも文章主体の一風変わった作品。巻末の評にある通り衒学的でもってまわった表現、ともすれば読みにくい翻訳小説の如き文体で彩られている。やたらめったら描写の細かい挿入エピソードや作中作などは先のブログから引っ張ってきたかのよう。
小説に結末を期待する人には受け入れにくいかもしれないが、文体を愉しむという点では申し分なし。「あの少女」の振舞を自らに当て嵌めたり、考察したりなど野暮なことはするまい。