宮澤伊織のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本気で面白かったよ!!と誰かに言いたい。
小6姪っ子が待っているのでクリスマスプレゼントとともにまわします。
空魚が人間味出てきてるのも良かったし、空魚の大学生活がまず善きものですね。
ゼミでテーマについて話す空魚は現実世界にまだ未練はあって、裏世界に消えていくことはないねんなーって今回の7巻でちゃんとわかった気がした。空魚の探しているもの求めているものをたぶん閏間冴月は同じように手にしたかったし、自分は平気だと裏世界に挑んでのみこまれたんだとワタシは思った。結局冴月は鳥子や小桜を利用して裏世界に行くことだけを選んで空魚はそうじゃなくて全部を引き受けることにしたから、現象となった冴月に引導を渡せたんやとおもう。でもまだ終わりじゃない。赤い女のこととか回収されてない。はやく続きをお願いしまっす!! -
Posted by ブクログ
ネタバレ一巻から六巻はぜんぶ七巻のためだったと思うくらいに、今まで読んできてよかったくらいに面白かった。
これまで語られてきた怪談の文法やフレームというものに文字通りの中間報告がされていて興奮したし、牛の首やこっくりさんの攻略方法もすごく楽しかった。
そのあたりはもともとこのシリーズで一番買っていた部分で、今回はさらに、ある意味信用できない語り手、過酷な人生を単独で生き抜いてきて、一人称の視界に歪みやぼやけを持っている主人公だと一巻で明かされていた空魚の、周囲の人間への・からの解像度がじりじり上がっていま閾値を超えた感があるのが、これまでになく明確になっている気がして感慨深かった。
既刊分に好きな場面や文章はたくさんあるけど、今から思えば全部「月の葬送」にたどりつくまでの道のりだったな、と振り返ってしみじみするような、今までの裏世界ピクニックにないしんみり清々しい終わり方ですごくよかった。特に小桜。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ葬儀式場はこちらになります、な7巻である。
あらすじでも明示されているが、この巻はここまでの物語に大きな一区切りを置く一巻であり、6巻同様に一巻を通じて描かれる中編となっている。
章立ては以下の通りだが、これ自体にはあまり意味はないかもしれない。(少なくとも連作短編形式ではない)
ファイル21 怪異に関する中間発表
ファイル22 トイレット・ペーパームーン
ファイル23 月の葬送
誰の葬儀であるかは一応この感想では伏せるが、あらすじにも明記されているので特に意味のない配慮だろう。
表紙に登場した彼女は、物語上でもきちんとした形で登場している。
そのおぞましい存在感は読者にも伝わり、そのおぞましさゆえに祓うべく空魚が決意することになる、そうした物語である。
一つ述べておくと、この巻は前巻同様に「裏世界ピクニック」としてのニュアンスはほとんどない。
だが、それでもこの巻は名作回と言っていいだろう。
関係が深化したキャラ同士の絡みは面白く、シリーズで一番笑ったようなシーンも含んだコミカルさもある。
その一方で、メインとなる葬儀のシーンにおいては、描かれるべきシリアスがふんだんに描かれて、まさに葬送に相応しい密度の描写が置かれている。
百合ファンが喜ぶだろう内容も大いに含まれている。
またSFファンにとっても、今回の葬儀が持つ儀式的怪異対応は面白さがあるに違いない。
オールキャスト型の物語もまた魅力的である。
そして、すでに述べたように、肝となる葬儀が読ませる内容だ。
裏世界ピクニックという主題から外れていて、そこで減点しても、星六つ程度で評価したい一巻である。
率直に面白かった。良い読書をさせていただいた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一巻まるまま、寺生まれのTさんが大暴れする6巻である。
この巻は章立てがシンプルであり、ファイル一つで物語が構成されている。
ファイル20 Tは寺生まれのT
あとがきでは劇場版だった旨が述べられていて(P.312)、著名でかつ大規模なネタである「寺生まれのTさん」を扱う上で特上待遇を用意した印象もあった感であった。
快復した潤巳るなまで参戦するオールキャストで展開された物語は、やはり派手ではあった。
Tさんが強すぎて倒せない状態で、やっぱり理不尽な存在だよなと改めて思う。
「破ぁ‼」で全部潰されちゃうんだから、酷い話である。
ところで今巻はおそらく、次巻以降で
「裏世界のターゲティングが切り替わった」
ことが焦点になってくる、その発端なのだろう。
結末でそのことが引きに使われているが、これまでほとんど怪異に関与してこなかった彼女が今回はガッツリ参加しているのは特徴的である。
空魚、鳥子が裏世界への関わり方を少しずつ変えてきている中で、あちら側が考えを変え始めたとしても、そこはおかしなことではない。
特に鳥子は、すでにターゲットとしては不適切なので、物語の流れが変わってくるのは理解できるところである。
分析はさておき、今巻は星四つ半程度で評価している。
どうしても舞台が表世界中心になっていたし、そこは「裏世界ピクニック」としてはやや弱くなっていた面はある。
とはいえ、それも含めて「劇場版」の味わいな気もするので、それも含めて楽しませてもらった旨は加筆させていただきたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレラブホ女子会にチャレンジするコミュ障主人公が楽しめる5巻である。
箸休めのような一章だが、冒頭から飛ばしていて、大変楽しい巻になっている。
章立ては以下の通りだ。
ファイル16 ポンティアナック・ホテル
ファイル17 斜め鏡に過去を視る
ファイル18 マヨイガにふたりきり
ファイル19 八尺様リバイバル
ネットロアという路線からはだいぶズレてきているが、怪異は全般に充実してもいる。
東南アジア圏の怪異(ポンティアナック)や遠野物語に収録された古典的怪異(マヨイガ)などが描かれている巻である。
一冊として見ると、非常にバランスの良い巻である。
後半にはピクニック要素も強く、裏世界を十分に満喫できる内容になっている。
マヨイガに住む外館とハナ、八尺様に取り込まれた先で見つけた少女など、出会った相手が多いのも特徴的である。
中でも外館の伝授で「裏世界に生息する動物の見つけ方」を知ったのは、世界観設計的にも面白いところだ。
荒涼した架空世界ではなく、そこには息づく生命もいるのだというのは、また裏世界を知るうえで一つ大きなファクターになりそうだ。
一方で前半部は二人(空魚&鳥子)の関係に大きくメスを入れる内容が描かれている。
この巻は4巻と合わせて前後編のような、ワンセットのニュアンスがあるかもしれない。
このワンセットによって百合SFとしての体裁は整えられたと見ていいだろう。
少し先走れば、次巻(6巻)で劇場版形式が採られたのも、ここで一つひと段落したからもあったのだろうと思われるところだ。
というわけで、バランス良く楽しませていただいた一冊だった。
本領というべき「裏世界ピクニック」も充実していて、文句なしに星五つで評価したい巻である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ新たな関係を作り始め、二人で裏世界に行く目的もガラッと変わってしまった、そんな第二部スタート的なシリーズ4巻である。
前巻の後始末なども挟みながら、この巻では空魚にスポットが当たる形でエピソードが進行している。
章立ては以下の通りだ。
ファイル12 あの牧場の件
ファイル13 隣の部屋のパンドラ
ファイル14 招きの湯
ファイル15 裏世界夜行
メインとなる怪異は「くだん」「パンドラ[禁后]」「赤い人」など。
裏世界に関わる以前の空魚が出会った「赤い人」は、この一巻を通じてようやく解決を得た怪異である。
くだんを通して、隣の部屋を通して再会した怪異は、恐ろしく根深く彼女を蝕んでいた。それが明らかになる物語は慄然とするものがある。
巻を全体で見ると、強化版AP-1のお披露目となるファイル15はかなり大きなトピック。
ファイル12で裏世界ピクニックの道筋にも幅が生まれ、その幅を活かすべく描かれたのがこのファイル15という構図である。
とんだ物騒なピクニックもあったものだが、まさしく裏世界ピクニックと言うべき物語が描かれているのが印象的である。
また、物語全体を通して、鳥子・小桜らと空魚の間に存在した(冴月に対する執着によって生まれていた)ギャップが解消されたのは大きいところだ。
であればこそ、新たなピクニックの目的が必要になっていて、そこが描かれたのがこの巻の内容なのだろう。
それゆえにか、どことなくドラマの持つ緊張感が薄れて、気楽な風情のやり取りが多くなっている印象もある。
シリーズが進むと、
「ただ登場人物が会話してるだけで面白い」
といった最強の状態になるシリーズが間々あるが、この4巻にはそうした気風が感じられる。
試しに「普通に笑った箇所」を付箋してみたが、なかなかの量になった。
それだけ物語が深化していると言っていいだろう。
空魚と鳥子の関係が劇的に進められつつ、第二部スタートの体裁が整った一巻だった。
率直に面白かった。文句なしに星五つで評価したい一冊である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレついに百合SFが確立されたシリーズの3巻である。
この巻は色々な意味で一つの区切りが打たれた巻だった。
内容的にもバランスが取れた巻であり、物語性と恐怖、大きな物語と個別のエピソードの面白さが両立した良質な巻である。
章立ては以下の通りになっている。
ファイル9 ヤマノケハイ
ファイル10 サンヌキさんとカラテカさん
ファイル11 ささやきボイスは自己責任
怪異は「ヤマノケ」「サンヌキカノ」「地下の丸穴」「山の牧場」などがモチーフに採られている。
形式的には「自己責任系」と称される怪談の一形式などもファイル11では取り上げられている。
危害を加えてくる物も多く、不気味さもさることながら危機回避の面でも恐る恐る読むべき一巻だ。
構成的には、ファイル9でこのシリーズの本領と言うべき「裏世界ピクニック」の王道が描かれている。
ファイル10は茜理の友人・市川夏妃が体験した「サンヌキカノ」と対峙する現実世界でのエピソード。
そしてファイル11で、潤巳るな率いるカルト集団による誘拐を発端にして、ついにあの閏間冴月と邂逅する物語が描かれた。
構成的にバランスの良い様は、アウトラインだけでも見て取れるだろう。
中でもファイル11は150ページ近くを要して書き下ろされた重要なエピソード。
実際的には上下話にすべき内容を、一話で書き切っているのが特徴的だ。
このシリーズに一つの区切りを付ける物語であり、百合要素を同定する物語でもあり、その衝撃的な展開はまさに「裏世界」に相応しいもの。
大変読み応えのある内容であった。
ピクニック要素も色濃く取り入れられている点も合わせて、星七つ程度で評価したい一巻である。(星は五つが最大なので、カンストということで) -
Posted by ブクログ
新進気鋭の作家様によるSF中短編書き下ろしプラス創元SF短編賞受賞作アンソロジー
自分の裡に形成される「SF固定概念」を毎回アップデートしてくれる最先端を走るシリーズ
ティプトリーを読み涙していた頃、このような未来型が到来すると露ほども予測せず、また今後どのような作品が紡がれてゆくのか、想像するだけで萌えます
読みごたえあります!
『未明のシンビオシス』
南海トラフ大規模地殻変動が発生、列島の姿すら変わってしまった日本
荒廃した世界で生き延びる主人公たちの微かな希望を描いた近未来SF
『いつか明ける夜を』
光のない闇の世界が、夜と昼に別たれた
言い伝えの神馬と少女は、世界の救世主になれるのか? 世界の真実とは?
詩的に描かれた作品
『1ヘクタールのフェイク・ファー』
気がついたらブエノスアイレスに居た…主人公の日本人男性…好意で拾ってもらった女性に部屋から追い出され…めくるめく思考を文字で綴った興味深い作品
『時間飼ってみた』
動画生配信でリアルSF考察する《ときときチャンネル》シリーズ
絶え間なく入るコメントも愉快で、まさに新世代の作品
『ラムディアンズ・キューブ』
電車内で目があった男女…恋愛に発展、、ではなく、壮大な物語が待ち受ける骨太の中編バトルSF
『ほんとうの旅』
“ほんとう”って、何だろう?
事実は人の捉え方によって違うものだし…
列車に乗り合わせたふたりの垣根のない会話に癒される作品
『神の豚』優秀賞
「兄貴が豚になった」
連絡を受けた主人公リリーは急ぎ実家に戻るが、そこに居たのは兄らしからぬピンクの可愛い子豚だった…
食糧、感染症、世界は未だ問題が山積だけれど、伝えてゆきたいことがある、若者たちの熱いメッセージが込められた近未来SF
『射手座の香る夏』正賞
「意識転送中」で横たわっているだけの作業員の「生身の体」が忽然と消えた
まるでミステリーのような物語は、調査する警察官と若者たちの流行「動物への意識転送」が互いに絡み、伝説の狼へそして真実へと導かれる近未来SF
-
Posted by ブクログ
ネタバレネットロアをテーマに据えた、2021年にアニメ化もしている怪異探検物語である。
ネット上で流布される都市伝説をネットロアと言うようだが、この小説が採用しているのはど真ん中でそれだ。
章立てを見れば、わかる人には明らかだろう。
ファイル1 くねくねハンティング
ファイル2 八尺様サバイバル
ファイル3 ステーション・フェブラリー
ファイル4 時間、空間、おっさん
くねくね、八尺様、きさらぎ駅、時空のおっさん。
まさに王道のネットロア。オカルト系に詳しくない自分にも耳馴染みがある題材ばかりである。
これらの題材に、SF的なニュアンスを絡ませて、謎の裏世界を探索するのが本筋の物語である。
ピクニックと言うには、いささか物騒な内容ではあるけれども。
うっかり関わってしまった神越空魚と、裏世界で失踪した友人を探す仁科鳥子が主人公である。
彼女らのガールミーツガールが物語の軸となり、末に二人で幾度も裏世界に足を踏み入れ、怪異を体験していくこととなる。
それも、裏世界で女子大生がバンバン拳銃や機関銃を撃つという非常にフェティッシュな要素も含んでいる。
この辺は女子高生×機関銃のような黄金比的ギャップだろうが、作者の趣味もあるのかもしれない。
物語は王道の怪異物。
一筋縄ではいかず、時には人間同士ですら対立を余儀なくされる、そんな厄介な世界の物語である。
その中で面白いのが、女性作者らしいキャラ造形のドライさだろう。
良い意味で主人公格の3人(研究者の小桜も含めて3人)は非常に自分勝手で、実に人間的だ。
特に鳥子のキャラ造形は、ファイル4で語られた生い立ちも含めてなかなか凝っている。
ライトテイストなSFとして描かれた物語は、楽しく読ませていただけた。
程よい気持ち悪さ、程よい恐怖と、濃厚な人間模様が描かれた良質なホラー小説である。
私的には星五つで評価したい一冊である。次巻以降の読書も楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
空魚、重いわぁ…。
…って言いたいとこなんですが、正直(惚れた)相手が悪いというか、鳥子が悪い女過ぎるんですよねぇ。惚れさせ力が強過ぎる。それでいて本人は他の女にご執心ってんだから…そりゃぁ「共犯者でも良い」ってなります。
物語が空魚の視点で語られているので、どうしたって私の視点・考え方も空魚のものになってしまい…えぇい、どこかのノベルゲームみたいに視点(主人公)変更システムがあればいいのに。
この裏世界の存在並みにわけわからん美少女の内心知りたいわー。
と言いつつ、個人的には空魚自身が好きではあるのです。
この色々拗らせまくったコミュ障具合が凄く共感できるし、優しくありたいのに踏み出せない。理屈を優先させてしまい動けない。小桜さん達に話をしてる時点で気になってるのは確かなのに。
あぁ、ホントにめんどくさい子だなぁ!!(いいぞもっとやれ、と)。
さて。今回も裏世界は恐ろしい。
生理的嫌悪をもたらすような恐怖の飽和攻撃かと思えば物理的ホラーも。…よくもまぁ、毎度毎度恐怖ネタを思いつく…。
とはいえ、見た目が可愛い分、猫の忍者の方がはるかにマシですね。南洋式投げナイフ、マジ怖い(どっちだよ)。
とりあえず、空手万能過ぎて酷い。
ノーカラテ、ノー猫のニンジャ。