宮澤伊織のレビュー一覧
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ネタバレ開幕から空魚の記憶喪失から始まり、瀬戸茜理を巻き込みつつTさんへ対峙していくという、普段とは違った長編となってました。
今巻は怖さが薄めで裏世界へもあまり行かず、瀬戸茜理や小桜さんも出てきてと、此方側の世界に寄った話の様に感じました。また、空魚が鳥子との事や、後輩の瀬戸茜理の事などへ意識を向けている巻でもあったのだと思います。
前巻で拾った?女の子もチラチラと出て来たり、潤巳るな様と交流したりと、段々と空魚が関わる人間が増えてきて、鳥子と2人だけではいられなくなってきている感じが見られ、空魚が今後、どう他の人間と関わっていくのか楽しみにしています。 -
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5巻はバリエーション豊かな短編集、6巻は番外編といった趣があって、更に前者は鳥子の気持ちに段々自覚的になる空魚、後者はそれゆえにちゃんと向き合おうと努力しようとする姿が描かれていたが、いずれも若干大きな跳躍へのステップのような感じがしていた。その待ちに待った跳躍が、今巻だろう。これまでばら巻いていた種が一気に結実するような爽快感と、一歩踏み込んだ空魚と鳥子の関係性。またその関係性も、新しい局面に突入こそするものの、一気に進め過ぎないのがもどかしくもあり、一方で素晴らしい点でもある。こっちは入り組んだ感情を解きほぐして、互いに一緒にいるためにはどうすればいいかを整理する過程が見たくて百合読んで
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ネタバレシリーズ第3弾!
ファイル9では本当にピクニックみたいにお弁当を持ってのんびり……出来るわけないですね笑
お弁当食べてまったりしていたらあっという間に日が暮れて、怖い怖い闇の世界へ
乗り物も無くなってたり、そしてやっぱり襲われて
ファイル10は現実世界!
カラテカ少女とそのお友達からの相談事
歯が…歯が抜けて…!?
何も知らないで怪異に出会って歯が取られたら怖くて私ならトラウマもの
ファイル11は宗教と閏間冴月と裏世界と…
冴月さんのことが見えてることを鳥子ちゃんきバレてしまい、これは焦るヤツ
目ん玉潰されちゃったり冴月さんを妄信的に愛する子を顔面崩壊させちゃうし、この巻の中では1番怖くて -
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前巻に引き続き、単体のエピソードを1巻通して描いている。
と同時に、これまでのエピソードを貫く大串だった部分に決着をつける巻でもある。
葬儀というモチーフも、そこで起きる出来事もしっかりと恐怖を感じられるものでありながら、積み上げてきた裏世界という存在が認識や感覚の概念から成り立っているという設定をしっかりと活かしており、面白かった。
しかし同時に、大きくストーリーをドライブさせていた要素に区切りがついたということでもあり、次巻以降どう広がるのか、あるいは畳んでいくのかが気になるところ。
あとがきに記載されていた汀のモデルは、あまり意識していなかったが言われればなるほどと思う人選だった。 -
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書店の売り上げランキングの類いにはラノベに属される本シリーズですが、ハヤカワから出ていることもあってか、ラノベっぽさなどはほぼ感じられず、この7巻では特に比喩の表現がとても豊かで、月の葬送という耽美なタイトルに相応しいシリーズの中では屈指の美しい作品だったと思いました。それでいて空魚の戦国時代の人ぶりや小桜のセリフや説教のキレももちろん健在でとても楽しめた一冊になりました。ラストの空魚と鳥子はSFでも百合でもなくもう紛れもなく純文学でしょ、現代版ハヤカワ版花物語!しかし全くいい意味で次巻からの展開が全く想像つかない…こういう読後の感情を久しぶりに思い出しました。余談ですが書店特典のポストカード
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本気で面白かったよ!!と誰かに言いたい。
小6姪っ子が待っているのでクリスマスプレゼントとともにまわします。
空魚が人間味出てきてるのも良かったし、空魚の大学生活がまず善きものですね。
ゼミでテーマについて話す空魚は現実世界にまだ未練はあって、裏世界に消えていくことはないねんなーって今回の7巻でちゃんとわかった気がした。空魚の探しているもの求めているものをたぶん閏間冴月は同じように手にしたかったし、自分は平気だと裏世界に挑んでのみこまれたんだとワタシは思った。結局冴月は鳥子や小桜を利用して裏世界に行くことだけを選んで空魚はそうじゃなくて全部を引き受けることにしたから、現象となった冴月に引導を渡 -
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ネタバレ一巻から六巻はぜんぶ七巻のためだったと思うくらいに、今まで読んできてよかったくらいに面白かった。
これまで語られてきた怪談の文法やフレームというものに文字通りの中間報告がされていて興奮したし、牛の首やこっくりさんの攻略方法もすごく楽しかった。
そのあたりはもともとこのシリーズで一番買っていた部分で、今回はさらに、ある意味信用できない語り手、過酷な人生を単独で生き抜いてきて、一人称の視界に歪みやぼやけを持っている主人公だと一巻で明かされていた空魚の、周囲の人間への・からの解像度がじりじり上がっていま閾値を超えた感があるのが、これまでになく明確になっている気がして感慨深かった。
既刊分に好きな -
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ネタバレ葬儀式場はこちらになります、な7巻である。
あらすじでも明示されているが、この巻はここまでの物語に大きな一区切りを置く一巻であり、6巻同様に一巻を通じて描かれる中編となっている。
章立ては以下の通りだが、これ自体にはあまり意味はないかもしれない。(少なくとも連作短編形式ではない)
ファイル21 怪異に関する中間発表
ファイル22 トイレット・ペーパームーン
ファイル23 月の葬送
誰の葬儀であるかは一応この感想では伏せるが、あらすじにも明記されているので特に意味のない配慮だろう。
表紙に登場した彼女は、物語上でもきちんとした形で登場している。
そのおぞましい存在感は読者に -
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ネタバレ一巻まるまま、寺生まれのTさんが大暴れする6巻である。
この巻は章立てがシンプルであり、ファイル一つで物語が構成されている。
ファイル20 Tは寺生まれのT
あとがきでは劇場版だった旨が述べられていて(P.312)、著名でかつ大規模なネタである「寺生まれのTさん」を扱う上で特上待遇を用意した印象もあった感であった。
快復した潤巳るなまで参戦するオールキャストで展開された物語は、やはり派手ではあった。
Tさんが強すぎて倒せない状態で、やっぱり理不尽な存在だよなと改めて思う。
「破ぁ‼」で全部潰されちゃうんだから、酷い話である。
ところで今巻はおそらく、次巻以降で
「裏世界 -
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ネタバレラブホ女子会にチャレンジするコミュ障主人公が楽しめる5巻である。
箸休めのような一章だが、冒頭から飛ばしていて、大変楽しい巻になっている。
章立ては以下の通りだ。
ファイル16 ポンティアナック・ホテル
ファイル17 斜め鏡に過去を視る
ファイル18 マヨイガにふたりきり
ファイル19 八尺様リバイバル
ネットロアという路線からはだいぶズレてきているが、怪異は全般に充実してもいる。
東南アジア圏の怪異(ポンティアナック)や遠野物語に収録された古典的怪異(マヨイガ)などが描かれている巻である。
一冊として見ると、非常にバランスの良い巻である。
後半にはピクニック要素も -
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ネタバレ新たな関係を作り始め、二人で裏世界に行く目的もガラッと変わってしまった、そんな第二部スタート的なシリーズ4巻である。
前巻の後始末なども挟みながら、この巻では空魚にスポットが当たる形でエピソードが進行している。
章立ては以下の通りだ。
ファイル12 あの牧場の件
ファイル13 隣の部屋のパンドラ
ファイル14 招きの湯
ファイル15 裏世界夜行
メインとなる怪異は「くだん」「パンドラ[禁后]」「赤い人」など。
裏世界に関わる以前の空魚が出会った「赤い人」は、この一巻を通じてようやく解決を得た怪異である。
くだんを通して、隣の部屋を通して再会した怪異は、恐ろしく根深く彼 -
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ネタバレついに百合SFが確立されたシリーズの3巻である。
この巻は色々な意味で一つの区切りが打たれた巻だった。
内容的にもバランスが取れた巻であり、物語性と恐怖、大きな物語と個別のエピソードの面白さが両立した良質な巻である。
章立ては以下の通りになっている。
ファイル9 ヤマノケハイ
ファイル10 サンヌキさんとカラテカさん
ファイル11 ささやきボイスは自己責任
怪異は「ヤマノケ」「サンヌキカノ」「地下の丸穴」「山の牧場」などがモチーフに採られている。
形式的には「自己責任系」と称される怪談の一形式などもファイル11では取り上げられている。
危害を加えてくる物も多く、不気味 -
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新進気鋭の作家様によるSF中短編書き下ろしプラス創元SF短編賞受賞作アンソロジー
自分の裡に形成される「SF固定概念」を毎回アップデートしてくれる最先端を走るシリーズ
ティプトリーを読み涙していた頃、このような未来型が到来すると露ほども予測せず、また今後どのような作品が紡がれてゆくのか、想像するだけで萌えます
読みごたえあります!
『未明のシンビオシス』
南海トラフ大規模地殻変動が発生、列島の姿すら変わってしまった日本
荒廃した世界で生き延びる主人公たちの微かな希望を描いた近未来SF
『いつか明ける夜を』
光のない闇の世界が、夜と昼に別たれた
言い伝えの神馬と少女は、世界の救世主にな -
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ネタバレネットロアをテーマに据えた、2021年にアニメ化もしている怪異探検物語である。
ネット上で流布される都市伝説をネットロアと言うようだが、この小説が採用しているのはど真ん中でそれだ。
章立てを見れば、わかる人には明らかだろう。
ファイル1 くねくねハンティング
ファイル2 八尺様サバイバル
ファイル3 ステーション・フェブラリー
ファイル4 時間、空間、おっさん
くねくね、八尺様、きさらぎ駅、時空のおっさん。
まさに王道のネットロア。オカルト系に詳しくない自分にも耳馴染みがある題材ばかりである。
これらの題材に、SF的なニュアンスを絡ませて、謎の裏世界を探索するのが本筋の物語であ -
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空魚、重いわぁ…。
…って言いたいとこなんですが、正直(惚れた)相手が悪いというか、鳥子が悪い女過ぎるんですよねぇ。惚れさせ力が強過ぎる。それでいて本人は他の女にご執心ってんだから…そりゃぁ「共犯者でも良い」ってなります。
物語が空魚の視点で語られているので、どうしたって私の視点・考え方も空魚のものになってしまい…えぇい、どこかのノベルゲームみたいに視点(主人公)変更システムがあればいいのに。
この裏世界の存在並みにわけわからん美少女の内心知りたいわー。
と言いつつ、個人的には空魚自身が好きではあるのです。
この色々拗らせまくったコミュ障具合が凄く共感できるし、優しくありたいのに踏み出せな